婚約者を寝取ったのは義妹ですって？

寄宿舎生活 その1

学校が終わると、私は寄宿舎へ帰る。私以外の生徒も、当然寄宿舎で帰ることになるわけだが、私の場合は普通とは少し違う。何かと言うと、学校に備え付けの馬車で移動することになる。どうして私だけ……こんなことを考えるのはもう意味がない。そんなことはわかっている。私が私である理由だ。しかしながら、ここまで特別扱いしてもらうと、私はどうして学校に通っているのかと、疑問に感じざるを得ない。学校と言うのは本来、様々な人と交わる場所では無いのだろうか?私の場合、そういったことを勉強したいと思ったのだが、なかなかかなわないのである。

「ディーノ様！」

ディーノと呼ばれるのは、せいぜい休み時間くらいである。それ以外は、生徒も教師も私のことを全く気にしていないようだ。気にしているのは、私を警護する侍従たちくらいだった。