婚約者を寝取ったのは義妹ですって?

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寄宿舎生活 その10

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「ディーノ様!ぜひとも、私たちの話を聞いていただきたいですわ!」

ここまで言われると、私はとても知らん顔することができなかった。

「なんでも言ってごらんなさい」

「ありがとうございます。それではですね、まずは本人に登場してもらうことにしましょうか。アニー……さあ、入ってらっしゃい……」

女はアニーという別の生徒を呼び入れた。

「失礼いたします……」

蚊の泣くような声で、アニーが教室に入ってきた。

「ほら、問題児のご登場だ!」

男たちが盛り上がり始めた。

「失礼ね!これでも立派なレディーなんだから……ディーノ様はご理解頂けますわよね?」

「理解すると言っても、彼女の素性が分からなければ、判断のしようがないよ」

「なるほど……ほら、アニー。ディーノ様の前で自己紹介してごらんなさい」

女がアニーに促すと、アニーは身体をガタガタと震わせた。

「私ごときが……ディーノ様の御前でご挨拶などと……そんな大それたことはできません!!!」

「ほら、やっぱりそうだろう!」

私が不可解だったのは、男たちの笑い声ではなくて、アニーが私の目の前にいるというのに、どうして彼女は、まるで、距離が空いていると感じているのか、ということだった。

「私のお父様は……恐れ多くも子爵の爵位を皇帝より頂きまして……私は子爵令嬢のアニーです!」

「へんな自己紹介だな!さすがはアニーだ!」

男たちはなお一層笑った。
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