婚約破棄の前に論破してみる

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論破論破論破

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「王子様!婚約破棄ってどういうことですか!」

「ひぃぇっ……!」

王子様が驚くのは、私が壁ドンの逆をしているからでしょうけれど、そんなことはどうでもいいんです!

「僕は君のことが怖くて……そうやってグイグイ来られるのが嫌なんだ……」

グイグイって……それはそうですよ。こっちは必死なんですから。王子様と婚約することに命を注いできたのですから。だから、王子様の面倒ならなんでも見ますよ。炊事洗濯お掃除……それでもって、夜のお世話まで!

「頼むから、パンツくらいは自分で洗わせてくれ!」

「それはできません」

「どうして?」

「どうしてもです!」

パンツのチェックは色々大切ですからね。

「とにかく、婚約破棄だ!」

「王子様?」

もう一回、王子様に壁ドンの逆をやってみました。王子様は蛇に睨まれたカエルのようでした。

「これは私たち二人だけの問題ではないのですよ?一度婚約を決めた以上、あなただけの御意志でどうこうできる問題じゃないんですよ?」

「そんなことは知っている。だから、父上、母上に相談したんだけど……」

あっ、それは大丈夫です。国王様とお妃様には先手を打っておきましたから。

「それなのにお二人とも……」

「王子様?」

「ひぃぇっ……ちょっと待って、繰り返さないでよ」

「ああっ、もうどうすればいいんだよ!」

「王子様?何もしなくていいんですよ……」

王子様は私の範疇にいますから。後は王子様が私に逆らえないようにする……。

「もう頼むから一人にしてくれ!」

「人間は一人じゃ生きられませんよ」

「屁理屈はいいから!」

「よくありません」

「君はまったく……」

「わかりました。そこまでおっしゃるのであれば、どうぞ婚約破棄してください。いいんですね、婚約破棄ですよ?いいんですね!」

あーあっ、スッキリした……なんて言ってると、もう子供みたいな王子様が私の裾を引っ張りまして。

「でも、もうちょっと待ってくれ……」

はい、いただきました!

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