冒険者を生還させるな!と命じられた超一流の迷宮ガイド、魔獣生物学者の助手に転職する~高年収な上に美少女ダークエルフと旅ができて最高です~

和泉鷹央

文字の大きさ
42 / 52
第六章 仲間の裏切り

第41話 騙し打ち

「遮蔽結界の範囲内なら動いても大丈夫なんだよな?」
「……? 多分そうだと思いますが」
「だったら――」

 弓使いが指差したのは、監視塔の隣に広がる最下層へと続く竪穴の真横にある、遺跡だった。

 確かこの迷宮を創造した古代魔導文明の遺跡だったはず。
 ここに来て引き継いだ情報の中で、その遺跡はあらかた調査が終わっていて大したものは残っていないということだった。

「あれが何か?」
「あの遺跡から竪穴の底を覗くことができると思わないか? 見てみたいんだ」
「出来ると思いますけど。行きますか?」

 気分転換に悪くないと思った。
 彼らの真意に気づかないまま、キースは【影承】スキルを使いつつ、真っ先に立って歩き出す。

 キースの役目は斥候も兼ねている。
 危険があればすぐさま逃げれる態勢を取りつつ、三人は遺跡へと足を運んだ。
 遺跡へ降りる道は、高さが微妙に段違いな階段になっている。

 隣には緩やかな坂があり、はるか古代に車輪をつけて荷物を引き上げしたのだろう。その跡が刻まれていて、苔が色濃く生えていた。

 坂を降り、左手に向かうと、大きな集会所のようなものが存在すると騎士は言っていた。

「おお、すごいな。これはまるで魔王の国にある闘技場みたいだ」

 彼らの先にあったのは、眼下に丸く角度を続いて降りていく段差と、その中央に大地の盛り上がった丸いステージのようなものが見える。

 言われてみれば闘技場と呼ぶに相応しい形をしていた。

「フォンさん、そんな場所に行かれたことがあるんですか?」
「いや、新聞とか雑誌で読む限りだよ。あの国では、魔王の娘が経営する闘技場がいくつもあるんだ」
「へえ……」

 華やかな世界。見知らぬ世界。棄民のままでは、一生かかっても知ることのできない世界だ。
 新しい世界を知っている彼らに、キースは心の中で少なくない嫉妬を覚えた。

「あそこの端まで行ってみない?」

 女魔導師が指さしたのは、ステージの向こう側。
 広く突き出したテラスになっていて、あそこからなら竪穴の中を奥底まで眺めることができるだろう。

「俺が先に行きますよ。あのステージまでまず行ってみるので、待っていてください」
「悪いね」
「お願いするわ」

 快諾して、階段を降りる。
 この建物の中には、ありとあらゆる場所に影が存在した。

 いや、暗闇がどこにでもある。
 ほんの些細な危険でも、キースには感知できるはずだった。

 ステージの横の出来た時、ふと心にざわめきを覚える。
 嫌な予感。敵がやってくる前の、高揚感のようなものが心をふわりと持ち上げた。

 憎しみの感情。怒りの視線。狩りの前触れ。
 戦う者が隠そうとしても隠せない、負の感情は、いきなり背後から襲いかかってきた。

「なっ――っ!?」
 
 颶風が頬を撫でていく。
 培ってきた経験が、とっさの判断で、肉体を左側に。ステージのあるほうへと飛びこませる。

 そこにはステージに上がるために深く階段が刻まれていた。
 身をよじるようにして、ステージの壁を防壁代わりにすると、先ほどまでいた位置。

 頭があった空間を、正確に矢が通過していくのが見えた。

「何をしゃがる!」

 仲間達のいたずらなのか、それとも勇者パーティに入るための試験なのか。
 そんな都合のいい解釈をしている間に、壁の隙間から向こう伺うと、弓使いは今度は数本の弓を天空高くへと放っていた。

 彼らとキースのほぼ中間に位置する天井で、矢たちは巨大な光の玉となり、さらにそれが数十に分裂して、地上へと襲い掛かる。

「ぐぅ……っ!」

 天空から降り注いだのは、ダーツサイズの光の矢だ。
 一本が、キースの左腕に突き刺さった。

 矢じりが何か固いものに触れた瞬間、爆発する仕組みらしい。
 左腕上腕部。

 そこに突き刺さった小矢は、パンっと音を立てて爆ぜた。
 とっさに、右手で顔面の左側を覆う。

 着ていた竜の革をなめしたジャケットは、普通の矢程度なら完成させることもなくはじき返してしまう。

 今回、革は四散し、その下の衣類と肌が少し焦げたで程度に棲んだ。
 これは試験じゃない。俺を殺す気だ。

 遊びか試験か、本物の殺し合いかは、その場の雰囲気で手に取るように分かる。

「ついさっきまで仲良くしていたのが、これかよ?」

 ちっ、と悪態をつくしか思いつかなかった。
 今は生き延びなくては……。

 腰の革ポーチから、簡易式の防御結界を発生させる魔導具を取り出した。
 結界を発動して歩きながら持ち運べる携行タイプのやつだ。

 ひとまずこれを発動させ、彼らの攻撃が及ばない場所へと逃げようと考えた。
 魔導具のスイッチを押そうと思って、ちょっと待てよと考える。

 その間にも、雨あられのように小矢が数度、降ってきた。
 弓使い達はキースとの距離を縮めようとしているようだ。

 まさかと思って、スイッチを軽く押したまま、転送魔法で彼らが今いるだろう辺りに検討をつけて転送する。

 キースは魔導師ではないが、冒険者に必須な素敵な魔法は履修済みだ。
 半径二十メートル以内なら、転送・転移魔法も扱える。彼らの歩調に合わせてタイムラグを作り、足元に転送してやる。

「3、2……1」

 バゴッと派手な爆発音がした。悲鳴が上がる。二つだ。

感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。