悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき

文字の大きさ
8 / 20

8

「今日の議題は恋人と最高にいちゃいちゃ出来るデートだ。お前達の経験を存分に俺に語ってくれ」
「ティータイムの雑談を議題などと言うな」
「生徒会の協議に加われないことをやっと恥じるようになったのかしら」
 意気揚々と発した俺の言葉に、先に生徒会副会長ルフナ、後に生徒会書記キームンが冷たく反応する。
 いつからかは忘れたが、生徒会業務の合間の休憩として、3人でティータイムをとるのは恒例だ。
「生徒会全員が最近俺への当たりが強くなっている」
「ラプサンスの成長のために思う存分言ってほしいと、王太子方に頼まれたからな」
「席を置いてるだけで全く使い物にならない生徒会長に対して、むしろここまでよく耐えたものよ」
「使い物になるのはまだまだ先だろうが、ラプサンスに成長のきっかけを与えたフレーブ令息には感謝しかない」
 ダメだ。この流れは早く変えなければ、俺への不満大会が休憩終了まで止まらなくなる。
「ルフナはいろんな子息令嬢とデートをしてるだろ!オススメのデートスポットとかないのか?」
「間違ってはないが、その言い方はよせ。俺が節操ないみたいだろ」
「伴侶選びが上手く進まないようで残念ね。セイロン辺境伯爵家に嫁ぐとなれば、家系の安寧にも繋がるのだから、悪い話ではないのに」
「セイロン領の気候は過酷だ。家格に釣られただけの者では生き抜くことは難しい。慎重にならざるを得ない」
「おい、デートスポットの話をしろ」
 ルフナとキームンが呆れた目で俺を見てくる。話を変えたのはお前達だろ!
「どこに行くかはフレーブ令息と話し合うことをお勧めするわ」
「俺達が何を言ったところで、ラプサンスは明後日の方向に受け取り実行しようとするだろうからな」
「俺がサプライズしたらアルグが喜んでくれるだろう?」
「話し合いを持ちかければ、楽しい時間を二人で築いていこうと思ってくれてるのだと、フレーブ令息は喜ばれると思うわ」
 た、確かに、その方が夫婦らしいな。俺とアルグはまだ夫婦ではないが、将来は夫婦になるんだから、今からその予行演習は必要だろう。
 ふふふ、アルグの笑顔が目に浮かぶ。
「キームンの言う通りだ。デートの予定はアルグと話し合って決めるとしよう」
「ええ、そうして。ところで、例の子爵令嬢のことは覚えてるかしら?」
 もう話が変わるのか?早々に解決したからいいものの。さっきから直ぐに話題が変わっていって忙しないな。
「例のとは何だ?」
「最近いろいろと問題を引き起こしている令嬢がいるだろう?ラプサンスもフレーブ令息に嫉妬してもらうために利用していた令嬢だ」
「・・・そんな令嬢居たか?」
「「!?」」
 2人が怪訝な顔で俺を見た。俺はそんなおかしなことは言ってないはずだ。なのに、小声で2人で何か話して、2人して溜め息をついた。最近、俺の周りは失礼な者が多くないか!?
 まったく、俺に優しいのはアルグだけだな。
「とにかく、あらゆる方と恋仲になろうとして問題になってる令嬢がいるの」
「名はラテ・カフェリオ子爵令嬢だ」
「私の婚約者の弟にまで手を出してるようでね。このタイミングで動くのは私情のようで悪いけれど、そろそろ厳重注意が必要だわ」
「相手選びに婚約者の有無関係ないのが彼女の問題点だ。いない者同士ならトラブルになっても放っておけばいいが、婚約者がいる者も加わると話はややこしくなってくる」
 うんうん。俺もアルグに声をかけられでもしたら、平静ではいられないからな。それはよく分かるぞ。
「以前の彼女はラプサンスを手玉に取ろうとしていたけど、現状の通り玉砕したでしょ。その結果、今度は複数の高位令息に息をかけているのよ」
「俺は狙われていたことがあったのか?」
「あったのよ」
 キームンとルフナが揃って溜息をついた。
 そんな令嬢が俺の周りに居たとは、全く覚えがないな。俺の記憶はアルグとの思い出でいっぱいだから、他のものが入る余地はないんだ。仕方ない。
「生徒間のトラブルと位置付けて、生徒会として俺達が動くことにする」
「基本は私達でどうにかするから、ラプサンスは何もしなくていいわ。というか、何もしないで」
「じゃあ、何で俺に話したんだ?」
「生徒会長に話は通してるって体裁は整える必要があるだろ?」
 キームンがうんうんと頷く。
 まぁ、俺といい仲になろうとしていた者に関して俺が動いて、その令嬢に勘違いされても困るからな。
 その分俺はアルグと甘い一時を過ごすとしよう!

感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される

水凪しおん
BL
激務で過労死した俺が転生したのは、前世でやり込んだBLゲームの悪役宰相クリストフ。 しかも、断頭台で処刑される破滅ルート確定済み! 生き残る唯一の方法は、物語のラスボスである最強の”魔竜公”ダリウスを懐柔すること。 ゲーム知識を頼りに、孤独で冷徹な彼に接触を試みるが、待っていたのは絶対零度の拒絶だった。 しかし、彼の好物や弱みを突き、少しずつ心の壁を溶かしていくうちに、彼の態度に変化が訪れる。 「――俺の番に、何か用か」 これは破滅を回避するためのただの計画。 のはずが、孤独な竜が見せる不器用な優しさと独占欲に、いつしか俺の心も揺さぶられていく…。 悪役宰相と最強ラスボスが運命に抗う、異世界転生ラブファンタジー!

【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜

明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。 その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。 ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。 しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。 そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。 婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと? シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。 ※小説家になろうにも掲載しております。

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)

かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。 はい? 自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが? しかも、男なんですが? BL初挑戦! ヌルイです。 王子目線追加しました。 沢山の方に読んでいただき、感謝します!! 6月3日、BL部門日間1位になりました。 ありがとうございます!!!

俺の婚約者は悪役令息ですか?

SEKISUI
BL
結婚まで後1年 女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン ウルフローレンをこよなく愛する婚約者 ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている

春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」 王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。 冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、 なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。 誰に対しても一切の温情を見せないその男が、 唯一リクにだけは、優しく微笑む―― その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。 孤児の少年が踏み入れたのは、 権謀術数渦巻く宰相の世界と、 その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。 これは、孤独なふたりが出会い、 やがて世界を変えていく、 静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。