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7、ホント女みたいなヤツ
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「おばちゃーん!おはよー!」
「あら、おはよう。早いのねェ」
「鈴菜は?」
「まだ寝てるわ。起こしてあげて」
「はーい!」
ドタドタドタ!
バターン!
「鈴菜~おきろー!」
ベッドで寝ていたら突然、誰かが肌掛けをはぎ取った。
「キャー!」
僕は慌てて胸を隠す。
「女みたいな声を出すんじゃない。お目覚めか?」
「勝手に入って来ないで下さいよ!」
「君のマザーに頼まれたのだ。起こしてあげて~ってね」
イケメンで長身。髪はボッサボサ。この小憎らしい男の名は、結依天馬。
7才上の僕の腹違いの兄。自称天才プログラマー。今は弟の僕を実験台にしてVRニューエイジの開発をしてる。
「もう起きましたよ」
僕の本名は、橘花鈴菜。鈴の菜っ葉と書いて鈴菜。斗夢はバーチャルネームだ。
僕はベッドの上で欠伸をした。胸は隠したまま。何故隠すのか自分でも謎だ。たぶんチクビが恥ずかしいんだと思う。
天馬さんはパンティ一枚で寝てる僕をジーッと見てる。
事情は前に説明した。最初は驚いてたけどね。我が家では秘密でも何でもない。
今履いてるのも母が僕に買ってくれたお気に入りのヤツだ。
夏っぽく水色と白のボーダー柄。
「可愛いでしょ?ウフフ」
僕はからかった。
「スゲーなと思って」
「何がです?この柄ですか?フツーですよ」
「いや、その朝立ち。なかなかのモンだ。ピーンと張って!」
「ギャアアーー!!」
僕は顔から火が出た。
「こーのヘンタイ野郎!」
股間を手で押さえ枕を投げたけどスッとかわされた。
「オシッコしてこいよ。そんなに暴れたら折れちゃうぜ?あーん?」
「キャアー!キャアアー!!」
「朝から元気なやっちゃなー。わはは!」
「お母さーん!お母さーん!」
「はいはい!」
いたのかよッ!!
「どーしたの?騒がしいと思ったら。はい。レモネード持ってきたわよ」
「天馬さんがひどいんだよォ~!」
「あ、おばさん。お構いなく」
「あなたがいつまでも寝てるからでしょう」
「エッチな事ばかり言うんだ!怒ってよお!」
「イイわねぇ。仲が良い証拠よ。あら?鈴菜?オチンチン立ってるわよ?トイレ行ってきなさい」
「うわあぁ~~~~ン!」
トイレに行き、シャワーを浴び、二人分のコーヒーを淹れた。
「天馬クンに失礼よ」
パンティー姿でウロウロしていると母に咎められたので部屋着に着替えた。
コットンのショートパンツに時計じかけのオレンジのロゴが入ったTシャツ。
パンツの下はノーショーツ。それが僕のポリシー。
母はサンドウィッチとミモザサラダをこしらえてくれた。
「あとで食べてね!」
今日は横浜にある天馬さんの家に出かける日。
「じゃ宜しく~!」
__ガチャ。
母と天馬さんのお母さんはとても気が合うらしい。
僕の父、橘花十兵衛はスーパーコンピュータ羅衣夢(ライム)の開発を手がけ、完成と同時にあちこちに転移した癌が原因であっけなく他界。僕がまだちっちゃい頃だ。
父は亡くなる数ヶ月前、母に天馬さんらの存在を初めて明かした。
母は是非会ってみたいと病床の父に願い出た。
天馬さんの将来を気にしていた父は、母にその役割の一端を担って欲しかったのかも知れない。
父の資産は二つの母子家庭を養うには充分だった。経済面の安定だけではなく、二人の女性と二人の息子が協力し合って生きていくビジョンを心の何処かで理想に描いたのだろう。
研究者は合理的に物を考えるものだ。
母は常識に囚われないオープンな性格だったから、父は安心したと思う。
僕と天馬さんは父が最期の時を過ごした病院で何度か会っている。でも多くを話した記憶はない。
二人が来ると父は僕達のためにベッドを使わせてくれた。
覚えているのは空いたベッドに乗っかって二人でよく遊んだ事。母に見つかったら思い切り怒られていただろう。
__ドスンドスン!
「うわ、何だよ!」
「いつまで隠れてんだよ!レイナ!」
シーツをめくって僕を押さえ込むテンマ。
「わかったよ、どいてよ」
「よし、早く用意しろ」
「なんの?」
「あほう。今日は日曜だぞ。忘れたか。ヴァルキリーのフィギュア見せてやんねーぞ」
「ヴァルキリー!今から?じゃあ服着る」ちっちゃい僕は背伸びをしてカーテンをあけた。
ソファーでうたた寝をしていた父がこちらを見て静かに笑った。鼻から酸素吸入器、腕から点滴のチューブが垂れていた。
「外用の服着るから向こう行って」
僕はテンマにお願いした。
「ここで着替えろよ」
「ヤダよ。恥ずかしい」
「ハハ。お前ホント女みたいなヤツだな」
テンマは肩をすくめてベッドを降りた。
僕はもう一度父を見た。
着替える為に半ズボンを下ろすと、その下は苺のパンティー。
父はクスッと目を細めて「内緒だよ」って合図を送ってきた。
「うん!」
「あら、おはよう。早いのねェ」
「鈴菜は?」
「まだ寝てるわ。起こしてあげて」
「はーい!」
ドタドタドタ!
バターン!
「鈴菜~おきろー!」
ベッドで寝ていたら突然、誰かが肌掛けをはぎ取った。
「キャー!」
僕は慌てて胸を隠す。
「女みたいな声を出すんじゃない。お目覚めか?」
「勝手に入って来ないで下さいよ!」
「君のマザーに頼まれたのだ。起こしてあげて~ってね」
イケメンで長身。髪はボッサボサ。この小憎らしい男の名は、結依天馬。
7才上の僕の腹違いの兄。自称天才プログラマー。今は弟の僕を実験台にしてVRニューエイジの開発をしてる。
「もう起きましたよ」
僕の本名は、橘花鈴菜。鈴の菜っ葉と書いて鈴菜。斗夢はバーチャルネームだ。
僕はベッドの上で欠伸をした。胸は隠したまま。何故隠すのか自分でも謎だ。たぶんチクビが恥ずかしいんだと思う。
天馬さんはパンティ一枚で寝てる僕をジーッと見てる。
事情は前に説明した。最初は驚いてたけどね。我が家では秘密でも何でもない。
今履いてるのも母が僕に買ってくれたお気に入りのヤツだ。
夏っぽく水色と白のボーダー柄。
「可愛いでしょ?ウフフ」
僕はからかった。
「スゲーなと思って」
「何がです?この柄ですか?フツーですよ」
「いや、その朝立ち。なかなかのモンだ。ピーンと張って!」
「ギャアアーー!!」
僕は顔から火が出た。
「こーのヘンタイ野郎!」
股間を手で押さえ枕を投げたけどスッとかわされた。
「オシッコしてこいよ。そんなに暴れたら折れちゃうぜ?あーん?」
「キャアー!キャアアー!!」
「朝から元気なやっちゃなー。わはは!」
「お母さーん!お母さーん!」
「はいはい!」
いたのかよッ!!
「どーしたの?騒がしいと思ったら。はい。レモネード持ってきたわよ」
「天馬さんがひどいんだよォ~!」
「あ、おばさん。お構いなく」
「あなたがいつまでも寝てるからでしょう」
「エッチな事ばかり言うんだ!怒ってよお!」
「イイわねぇ。仲が良い証拠よ。あら?鈴菜?オチンチン立ってるわよ?トイレ行ってきなさい」
「うわあぁ~~~~ン!」
トイレに行き、シャワーを浴び、二人分のコーヒーを淹れた。
「天馬クンに失礼よ」
パンティー姿でウロウロしていると母に咎められたので部屋着に着替えた。
コットンのショートパンツに時計じかけのオレンジのロゴが入ったTシャツ。
パンツの下はノーショーツ。それが僕のポリシー。
母はサンドウィッチとミモザサラダをこしらえてくれた。
「あとで食べてね!」
今日は横浜にある天馬さんの家に出かける日。
「じゃ宜しく~!」
__ガチャ。
母と天馬さんのお母さんはとても気が合うらしい。
僕の父、橘花十兵衛はスーパーコンピュータ羅衣夢(ライム)の開発を手がけ、完成と同時にあちこちに転移した癌が原因であっけなく他界。僕がまだちっちゃい頃だ。
父は亡くなる数ヶ月前、母に天馬さんらの存在を初めて明かした。
母は是非会ってみたいと病床の父に願い出た。
天馬さんの将来を気にしていた父は、母にその役割の一端を担って欲しかったのかも知れない。
父の資産は二つの母子家庭を養うには充分だった。経済面の安定だけではなく、二人の女性と二人の息子が協力し合って生きていくビジョンを心の何処かで理想に描いたのだろう。
研究者は合理的に物を考えるものだ。
母は常識に囚われないオープンな性格だったから、父は安心したと思う。
僕と天馬さんは父が最期の時を過ごした病院で何度か会っている。でも多くを話した記憶はない。
二人が来ると父は僕達のためにベッドを使わせてくれた。
覚えているのは空いたベッドに乗っかって二人でよく遊んだ事。母に見つかったら思い切り怒られていただろう。
__ドスンドスン!
「うわ、何だよ!」
「いつまで隠れてんだよ!レイナ!」
シーツをめくって僕を押さえ込むテンマ。
「わかったよ、どいてよ」
「よし、早く用意しろ」
「なんの?」
「あほう。今日は日曜だぞ。忘れたか。ヴァルキリーのフィギュア見せてやんねーぞ」
「ヴァルキリー!今から?じゃあ服着る」ちっちゃい僕は背伸びをしてカーテンをあけた。
ソファーでうたた寝をしていた父がこちらを見て静かに笑った。鼻から酸素吸入器、腕から点滴のチューブが垂れていた。
「外用の服着るから向こう行って」
僕はテンマにお願いした。
「ここで着替えろよ」
「ヤダよ。恥ずかしい」
「ハハ。お前ホント女みたいなヤツだな」
テンマは肩をすくめてベッドを降りた。
僕はもう一度父を見た。
着替える為に半ズボンを下ろすと、その下は苺のパンティー。
父はクスッと目を細めて「内緒だよ」って合図を送ってきた。
「うん!」
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