VRハケン社員斗夢 1st.season〜バーチャル男子のエロスな日常〜

MIKAN🍊

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9、終わったらちゃんと洗え

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「鈴菜。ちょっと手伝ってくれ」
天馬さんがドアの隙間から手招き。
僕は書いていたブログを一時保存してアプリケーションを閉じた。
一階に降りるとリビングの半分は天馬さんが持ち込んだパソコンやら周辺機器やらで占領されていた。
「ありゃまあ」
「こりゃさ」
「何ですかそれ」
「パソコン、キーボード、4Kディスプレイ、サーバー、HDD、無線LANルーター…」
「そうでなくて」
「わかっている。VRニューエイジのバージョンアップの為に必要なんだよ」
「何を手伝えば良いんです?」
「そこのモニターアームだ。それ取って。先週メール送っただろ。システムの更新やるぞって」
「今日でしたっけ?これ?こうですか?」
「その角度で、そこで良い。読んでないのか。親父の遺産だ。デュアルディスプレイ!一度やってみたかった!」
「何か向きヘンじゃないです?良いのこれで?500ページもあるんですよ。最初の10ページで嫌んなっちゃいました。父が天馬さん達に残した遺産は聞いてます。家でしょ。それに一生食べてけるだけの預貯金、株式、ベンツ2台、貴金属、家具、骨董品、絵画。あと大学と研究施設と会社が二つでしたっけ」
「それはすべてお袋名義のものだ。そのケーブルを下から通してラックんとこに。そそ。親父が俺に残してくれた遺産はたった一つ。スーパーコンピューター羅衣夢へのアクセス権限だ。確か217ページに書いてあったと思うがね」
「だから読んでねーつの」
「何で動かない?そっちのハブを見てくれ。ちょっと抜き差しして。そのアクセス権がね、不便な事に一日限定なんだよ。年に一回、親父の命日の日だけなんだ。お、イイぞ」
「世界一のスーパーコンピューターに繋がるわけですか?あれって…、一般人が誰でも自由には使えないでしょう?」
「そうだ。今は文部科学省の管理下にある。と言っても内閣の許可なく使用は出来ない」
「父さんが天馬さんに残した遺産て、つまり一日だけ使えるパスコードとか?フリー乗車券みたいな!」
「てゆーか、その日だけセキュリティーが若干甘くなるとゆーか」
「まさかのハッキング?」
「ロックが解除される瞬間を偶然見つけたんだ。と言うより、親父は俺の生きる方向性を見越してたんだと思う。そして俺を自分が生涯かけて作りあげたドリームマシーン羅衣夢に招待したんだ。彼らしい凝ったやり方で」
「ヤバイ感じがしてきました」
「よし、準備OK。だいたい良いだろう」
「だいたいで良いんですか」
「いい」

「それで?クリプトン星からデロリアンはいつ来るんですか?」
「さあ、5分後かな。ほれ!」
天馬さんはオレンジ色のボックスを投げて寄越した。
「開けてみろ」
「電気がビビッと来たりして」
「今日の作業には危険が伴う」
「やーめた」
「テイラー・スィフトのチケット要らないのか?」
「要ります。これAED 自動体外式除細動器ですよね?」
「万が一の場合に備えてな」
「やっぱりやーめた!」
「冗談だ」
パカっと上蓋を開くと中身は別の物だった。
アルコール消毒液、次亜塩素酸水スプレー、不織布マスク…
「マツキヨで買ってきた」
「こんなのウチにも山ほどありますよ」
除菌シート、キレイキレイ、うすうす、とろとろ入浴剤、ペペ… 何か擬音が多くなってきたぞ。
「パパ?なんすかこれ?」

「ぺペだ。ところでさーお前さー。ニューエイジ使った後、きちんと洗浄してるか?」
「えー?」
「チンコケースだよ。終わったらちゃんと洗えよ」
「失礼な!何ですか。唐突に!それにチンコケースって。やめて下さいよ!下品な!」
「チンコに巻きつけるパッドだよ。照れてる場合か」
「照れてないですよ!」
「耳が赤いが?」
「さっき蚊に食われたんですよ!」
「ちゃんと洗わないとビョーキになるぞ。どーなんだ?」
「プライバシーの侵害です!」
「今回のバージョンアップでさらに感度が良くなる」
「マジですか?」
「保証する。今なら三年間保証付きだ」
「炊飯器ですか!」
「あ、オカマだから?」
「あー気に障った。映画見ようかなあ~。ジャック・ライアンの続きを見なくちゃ!」
「男の娘と言えば良いのか?」
「訴えますよ。マジで」
「お!来たぞ!パスワード忘れた!」
「嘘でしょ?」
「嘘だ。えっと、0…7…、✖️…✖️と。よし!」
「えーっ!たった四桁!網膜認証とかじゃないんですか!」
ディスプレイの真ん中がグルグルし始めた。
「おっそ!Wi-Fi入ってんのか?」
「入ってますよ!しかも命日だし。簡単過ぎません?」
「シンプル・イズ・ベストキッドだ」
「いやー違うと思いますけど」
「ようこそ!キター!」
突如、アクティブスピーカーからジャーニーの「don't stop believin'」が大音量で流れ始めた。
「誰のー!趣味ー!ですかーっ!!」
「親父!だっ!ろーっ!!」
「ベタですねー!!」
「なっ!にーっ!?」
「ベ!ターッ!!です!ねーっ!!」

ふいに肩をトントンする手。
振り向くと長い髪に白いワンピの見知らぬ女が立っていた。
髪が逆立っている!
「ぎゃあああああー!!」
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