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第十二夜 あなたのを挿入れたい。門倉医師の治療 三回目

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 譲治は紗和のそこに顔を寄せると襞の間から滴らせてヌラヌラしている淫裂に舌を這わせた。

「いいよ」

 啜り込み、舐め回し、彼は言った。

 紗和は、ヴァギナとクリトリスとをイヤらしい水音をさせて舐められ、尻を上げてさらに譲治の頭を抱えそこに押し付けようとする。

「・・・ああっ!、・・・いいっ! あなたっ、そこ、そこおっ! は、はっ、あ、い、イク、イクッ! ・・・んんんんっ・・・・・・・・・」

 身体を反らせ痙攣しながら絶頂の余韻に浸る妻に、譲治は言い放った。

「その代わり、次の施療からは、家に戻ってもシャワーを浴びないでくれ」

「えっ?」

「きみの匂いを嗅ぎたいんだ! エッチの後の、淫らなきみの匂いをっ!」

 譲治は渾身の波動をこめて、男根を紗和の蜜壺に突き立てた。

「あ、あなたっ・・・。う、嬉しいっ!」

 しかし、結局は、ダメだった。

 男根は紗和の中で急速に力を失い、萎れた。

 涙が出て来た。

 どうしてだ! どうしてダメなんだ。何故自分は妻の中に這入れないんだ。どうして自分のモノで紗和を感じさせてやれないんだっ! ・・・。

 自分のモノで満足させられない妻の女を、赤の他人のそれが易々と貫き、歓喜させることにどうしようもない無力感と不甲斐なさを感じてしまうのだった。しかも、その光景に昂奮して勃起してしまうとは・・・。

 やむなく妻の身体から離れようとする譲治を、紗和は両手と両脚で捕まえ、絡みついた。

「待って! しばらく、このままでいて。こんなの、気にしないで。わたし、嬉しいの。とっても、嬉しいの!」

 紗和も泣いていた。

「焦らないで。あなたはわたしが必ず治して見せる。どんなことがあっても、必ず治す。だから、だから、わたしを信じて、お願い、あなた・・・」

 紗和は愛おしそうに夫の背中を撫で、頬に、耳に、肩に、そして唇にキスした。その妻の優しさに、譲治はさらに込み上げ、泣けてくるのだった。


 

 次の施術は二日後に早くも行われることになった。

「ねえ、見てて・・・」

 妻は出掛ける支度をするのを譲治に見てもらいたがった。

 脱衣所の入り口に胡坐をかき、バスルームから全裸で出てくる紗和を見守った。

 輝く裸体。ただ単に「若い女」から、「円熟した女」に移ろいゆく、その貴重な刹那を体現した女。その女が、愛する妻、紗和だった。

 その神々しくも美しい裸体を前に、当然、勃起した。

 この二日間は先生の言いつけを守ってオナニーなどはしていない。紗和の帰宅まで勃起を静められないのは辛い。だが、それを敢えて見せようとするのは、少しでもやきもちを妬かせ、自分に注意を引かせようという紗和の、切ないほどの目論見があるからだろう。そう、信じた。全て自分のために心を砕いてくれているのだと思うと胸が苦しくなる。そんな愛しい女がこれから他の男に抱かれ、剛直で貫かれようとしているのだ。勃起が更に激しく憤る。

「解って。本当は先生のじゃなくて、あなたのを挿入れて欲しいんだからね・・・」

 妻は、いじらしいほどの表情(かお)を譲治に魅せながら、バスタオルを使った。

 股を開いてそこの水気を拭き取る。そんな、恥ずかしい様・・・。先生の前では絶対にしたくないが、夫にだけはワザと見せる。他人に妻を抱かせようとする、異常性愛の、「寝取られ好き」の夫だ。要するに、ヘンタイだ。そのヘンタイを愛している。そのヘンタイに抱いてもらいたい一心で、妻は他の男に抱かれに行くのだ。

 だから、股間をバスタオルで拭く程度の姿を見せるのは何でもないし、むしろ見せたい。見せることで、紗和も昂奮している。

「匂い、嗅ぎたいですか?」

 たった今股間を拭いたばかりのバスタオルを入り口に座っている夫の首にかけた。

 すぐにバスタオルを鼻に当て匂いを嗅いだ。紗和が使ったであろう、ソープの香りしかしない。胸いっぱいに吸い込んでいる夫に紗和は言った。

「あなたのお望み通りにします。帰っても、シャワーは浴びません。

 でも、その代わりに、わたしからもお願いがあります」

 全裸の紗和はショーツを穿いた。黒の、バックが紐のようになった、派手でセクシーなものだ。Tバックショーツと言うのだろう。見るのも初めてだが、妻がこんなものを穿くのも、初めてだ。片方ずつ脚を入れ、形の良い盛り上がった尻に引き上げてピシッ、とゴムが肌を打つ。後ろから見れば尻たぶが丸見えの、ショーツ。

「これから、わたしには命令形で話してください。わたしの意見を聞かないでください。わたしを、あなたのお望みのままに、あなたの奴隷だと思って欲しいんです。あなたの言葉に、全て従います。いいですか?」

 ドクン! 大きく心臓が動く。

「・・・え?」

「あなたに、虐められたいんです。あなたの、奴隷になりたいんです。先生の所から帰ってきたら、いっぱい、たくさん・・・、虐めて下さい・・・」

 黒いショーツ一枚の紗和が譲治の前に膝をつき、首を垂れ、瓜実の広い額を床に擦りつけた。

「・・・虐める?・・・」

「先生よりも・・・、ミネギシよりも、もっと激しく、わたしを犯して、虐めて欲しいんです・・・」

 紗和は顔を上げた。黒いセミロングが左右に流れる。なかば愁いを帯びているかのような、せつなげな眼を夫に向け、夫の両手を取って、自分の頬に当て・・・、

「・・・あなたに」

 そしてキスした。


 

 紗和ほどの美人で、スタイルもいい女が、普通に歩いていても男が振り返る、ましてや、こんな薄着で、セックスアピールバリバリの、そんな、「その場に押し倒したくなるほど、いい女」が、何故自分なんかに、そんなに・・・。

 わたしを虐めて! そして、犯して!

 紗和の言葉を反芻したら、勃起してしまった。

 前回よりもさらに煽情的な黒い、身体にピッタリ貼りつくようなショートワンピース。しかも背中の部分が大きく開いていた。そのV字型の切れ目を腰のあたりから紫の紐が上に向かって編み上げるような、セクシーすぎるもの。もちろん、ブラジャーなどは着けていなかった。その紐の最後の結びを、譲治がした。

「お願いします。結んでください」

 白い手でセミロングの髪が捌かれきめ細かな肌に脊椎の僅かな膨らみすらが愛らしく思える。

「ありがとう」

 黒髪が戻され、結び目は隠された。

 紗和は、薄手ではあるが袖丈の長い白のジャケットを羽織って出掛けて行った。

「じゃあ、行って来ます・・・」

 ドアを出る紗和は、その双眸にあの蠱惑的な光を湛えていた。

 そんないでたちの妻を、道行く男たちが振り向く。後を追う。

 ねえ、おねえさん。ちょっと時間ある。

 すみません急いでいますので。

 そんなこと言わずにさあ・・・。

 男が紗和の腕を掴み、さっと横付けした黒い大型のワンボックスカーに連れ込む。

 中にはすでにもう一人の男がいて紗和を引きずり込み、車はそのまま発進してしまう。

 紗和は強引にディープなキスをされ、スカートをまくり上げられ、背中の大きく開いた口から手を挿しいれられ乳房を鷲掴みにされ、乳首を痛いほど潰される。

 悲鳴を上げて助けを呼ぼうとしても全くのムダ。

 おねえさんなにこのぱんつエレーエッチなの穿いてんじゃん。そう言いながらクロッチをずらしてそこにむしゃぶりつかれる。男がズボンのジッパーを下げて醜悪なイチモツを曝け出し、これもまた強引に紗和の口に捻じ込む。恐怖と苦痛からの嗚咽が徐々に快感に変わりはじめ、早く挿入れて欲しいと尻を揺すっておねだりする紗和。シートに座った男に跨らされ、強引にイチモツを挿入される。そしてもう一人が紗和のアナルに・・・。

 歓喜の叫びをあげて口からよだれを流して悶えイキまくる紗和・・・。

 ああ、いい、いいのォ・・・、もっと、もっと突いて、気持ちいい、気持ちいいいいいいいいいいっ!・・・。

 

 ネットの動画はありふてた取るに足りないものだったが、そのセクシー女優の顔を紗和に置き換えたりするとたちまちに勃起した。そして扱きたくなってしまう。それではマズいとサイトを閉じてリモートの仕事に戻るが、ともするとムラムラと出がけの妻の姿が目の前に彷彿とする。するとまた・・・。

 同じベッドに寝て裸で迫られても勃起しにくいのに、妻の過去の「性態」や先生との行為を聞いたり想像したりすると激しく昂奮してしまう。なぜそれがセックスに結びつかないのだろう。

 譲治はその狂おしいほどの煩悶を堪えかねた。

 仕事をこなし、家事をして、再び簡単な夕食を作って・・・。六時半にLINEしてみた。

「もう帰るころだよね。暑いから冷やし中華でも作ろうか」

 やはり既読が付かない。今出たとしても、帰りは七時半ごろか。前回より、遅い。

 煩悶に加え焦燥も混じった不快さの中で、股間だけが期待を見せて勃起する。

 考えると苦し過ぎるので考えまいとしていた。が、どうしても意識はそこへゆく。

 先生はやはりあの逸物を紗和の可憐なヴァギナに挿入れるのだろうか。それとも、もう挿入れたのだろうか。先生に胸を揉みしだかれ、唇を吸われ、舌を絡ませ合い、喜悦の声を上げながら貫かれ、ズコズコされまくっているのだろうか。まさか、アナルまで・・・。峰岸にはされたというが、まさかそこまで先生に許すのだろうか!

 ああ。もう、堪らなすぎる。胸が張り裂けそうで、今までになく股間が膨張しすぎてしまっていた。禁を破ってそこへ手を伸ばしかけるが、寸前で思いとどまる。

 頼む、紗和! 早く帰って来てくれ!

 気が狂いそうなほどの葛藤を耐え、その破裂しそうなほどの精神の拘束具が強烈な圧力で破砕される寸前、

「・・・ただいま、帰りました・・・」

 疲れ切ったような声が玄関から響いた。時計は八時を過ぎ、もう九時になろうとしていた。

 服は変わっていなかった。だが蒸し暑い夜にも拘わらず、紗和はあの長袖のジャケットを着ていた。表情(かお)はやや疲れたように沈んでいたが、その美しい双眸の奥にぎらつく欲望の光を見た。

「遅くなって申し訳ありません。もう、お風呂入りましたか?」

「・・・いや、まだ」

「よかったら、一緒に入りませんか」

「・・・うん」

「約束でしょう。命令してください。バスルームに来い、って。そして、脱げ、って・・・」

 紗和は、酒ではない何かに酔っているように見えた。彼女がジャケットを脱ぐ。そこに現れたものが、譲治を驚愕させた。何故彼女が暑苦しいジャケットを着ていたのかがわかったからだ。彼女の手首とそして背中には赤い筋が入っていた。

「言ってください。命令してください、あなた」

「・・・バスルームに、・・・来て」

 喉がカラカラに干上がっていた。もちろん、勃起もした。

 紗和はあの、ウフ。をした。あの、蠱惑的な目をして。

「はい、あなた」

 リンスとコロン以外の、明らかに紗和の汗の匂いを追いながら脱衣所に行った。紗和は生足の裸足だ。ストッキングを穿いていかなかったのは、知っている。あのクリニックにシャワールームがあったのかなかったのかは知らないが、彼女は譲治との約束を守って先生との施術のあとにシャワーを浴びて来なかったのだ。

 紗和は背中を向け、出掛ける時と同様に髪をさばいた。編み上げの紐の結び目は解けていた。

「少し緩めて下さい。そうしないと、脱げないんです」

 紐に指を通す。肌に触れる。まだ汗ばんでいて、熱い。そっと、赤い筋に触れた。

「今日の施術で、先生に、縛られました。・・・縄で」

 と、紗和は言った。

 ドクン・・・。

 動悸が激しくなる。額を汗が流れる。

 背中の紐が緩むと両の肩から衣が落ち、汗で少し貼りついた服を両腕から抜いてゆく。豊かな裸の乳房が露になってゆくのが背後からもみえる。そしてそれは腰を抜け、尻が現れた。

 ドクン! ドクンッ!

 譲治は驚愕した。

 紗和の下半身に付けられていたのは、出掛けた時の黒いショーツではなく、同じ黒色の、ふんどしだったのだ。
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