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22 ヤヨイ、危機一髪。
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ヤヨイの降下に遡ること三時間前。
「マーキュリーより『ガーデナー(庭師)』へ」
ズズ・・・。
「こちら『庭師』」
雑音混じりだが、応答は明瞭だった。
「ナイグン北の川の浅瀬、水深は膝下。十分に徒歩での渡河可能。しかし、やはり土手が高い。『猟犬』の渡河には不適。橋が使用不可の場合、さらに三十キロ北までの迂回を要す。当方はこれより川沿いに南下し、橋を目指す」
リヨンは『庭師』こと、『猟犬』機甲部隊の飼い主であるフロックス少将の司令部に通報した。
「了解、マーキュリー。軍神マルスの加護のあらんことを。アウト」
すぐに馬に跨り、発見されることを懸念して川の土手の上ではなく土手の法面の下を疾駆した。馬を駆けさせれば土埃が舞い上がり、当然に遠目にも人目を惹く。だが、彼には時間がなかった。ヤヨイたちが守るに適する橋か否か。それを通報することが、空挺部隊の兵たちの運命を左右する。橋が戦車の通行に適さない場合、機甲部隊は橋を捨てて北に迂回する。もしそうなれば最悪の場合、戦闘が落ち着くまでナイグン橋を守る四百名は捨て置かれる可能性があった。それが戦争の現実なのだ。
絶対に情報を知らせねば。
リヨンは疲れた馬にさらに喝を入れ、南に急いだ。
橋まで二キロはあるだろうか。そこでリヨンは馬をとめた。
遠目にも東から橋を渡って西に逃れようとする避難民の群れが見えた。
人目在り過ぎだろう。
リヨンは思わず舌打ちをした。
ここまで辿り着いておきながら。くっそーおっ!・・・。
と。
橋の左手、東側に三角帽子の黒い兵たちが騎馬でやってきて橋を渡ろうとする避難民の群れを止め、東に押し返しはじめた。ナイグンの西はチナの天領になる。そこは同じチナでも「異国」であり、この地域の住民の「無断難民移動」を阻止せねばと差し向けられた兵たちなのだろう。チナという国の、なんと複雑なことか。
だがそれでリヨンにチャンスが巡って来た。
橋の付近が無人になったころ合いを見計らい、リヨンは馬を降りた。馬は尻を思い切り蹴とばして彼方の方角へ駆けさせた。チナ兵が乗っていた馬が見つかるとマズいからだ。到底言い訳などできない。
リヨンは駆けた。
人影を見れば身を伏せ、草むらに潜んだ。そしてまた、駆けた。
そうやってやっとの思いでナイグンの橋の下に身を潜めることが出来た。
石造りの橋は、頑丈だった。これならマークⅠ型のニ十トンでも十分に通行可能だ。
すぐに通報せねば。
と、橋の下のほぼ中央部に異様な黒い物体があるのに気づいた。
あれはなんだろう。
もしや、爆薬?
だとすれば、まずそれを取り除かねば。
背中のズダ袋を下ろし、橋の構造が戦車の通行に耐えることと正体不明の橋桁下の物体について通報せねば。無線機を取り出そうとすると、
ヒヒーンッ!
背後で馬が嘶いた。
たった小一時間。共に走っただけの間柄なのに、その躾の良い馬は乗り手のリヨンを慕ってついてきてしまったのだった。
「お前・・・」
硝煙の匂いが漂った。リヨンは身を固くした。
「貴様。そこで何をしている!」
彼を慕って追って来た優しい馬を責めることは出来なかった。リヨンはただひたすらに、天運尽きたおのれだけを責めた。
あの荒野の訓練所で何度も降下したようにして、ヤヨイは5点着地で無事に田んぼのど真ん中に降りた。稲刈りが終わったばかりの水田はまだ土が柔らかく、被害と言えば切られた稲の株の切っ先が少し痛かったことぐらいだった。心配していた降下中の敵兵の狙撃も高射砲の攻撃もなかった。幸先が良すぎて怖いぐらいだ。
辺りを見回すと「マルス」だけではなく他の小隊たちも次々とおおむね無事に初めての降下を終え、皆広がったパラシュートを掻き集めつつ、降下地点を離れ自分の小隊を探し始めていた。
ポケットから笛を取り出して、吹いた。
ぴっぴぷー、ぴっぴぷー・・・。
加えてヘルメットの顎紐を少し緩め、鉄棒を後ろに跳ね上げてブルネットを風に晒した。気持ちのいい秋の風を受けたかったからというよりは、この方が兵たちに自分が見つけられやすいと思ったのだ。
「少尉!」
真っ先にカーツ大尉が寄ってきてくれた。それにあのヤンチャなフォルカー。ビアンカにヴォルフガング、看護兵のクリスティーナ・・・。そしてグレイ曹長までもが皆モーツァルトの笛の音を聞きつけて集まってきてくれた。
最後にフリッツが息せき切ってやってきて、パイロット2名を除く30名と大隊長カーツが揃った。
「みんな揃ったわね。では大隊長、グライダーへ」
「ウム。・・・すごいな。やればできるもんだな」
大尉という上官でありながら、カーツは少しも威張ることも衒うこともなく、素直に陸軍最初の空挺部隊の初降下の感想を言い講評を述べた。こういう人は人に好かれやすい。よい指揮官の条件の一つだと、ヤヨイは思った。
そこから少し離れたグライダーたちが着陸している辺りまで歩いた。みな自然に駆け足気味になった。無理もなかった。ここは敵地のど真ん中で、兵たちは緩衝材としてジャンパーで包み胸に括った小銃以外ほぼ丸腰なのである。肝心の通信機も重火器も食料も弾薬も、全部グライダーに載せたままだった。
他のグライダーたちのように着陸の衝撃で胴体が折れたり翼が飛んだりしているのに比べれば、グライダー「マルス」号はまずまずの着陸を見せてダイコン畑の畝の上に機体を乗り上げて止まっていた。カールとミシェルの操縦の腕前は抜群に良かったと言っていいだろう。もしかすると、偵察機を壊してしまったヤヨイよりも上かもしれない。
「小隊長殿~!」
機体の尻のドアをバールでこじ開けていたカールが「マルス」の面々を見つけて手を振っていた。
「ミシェルは?」
ヤヨイは姿の見えない女性パイロットの所在を尋ねた。
「アイツはその・・・。えっと、ですね・・・」
カールはハニカミながら言葉を濁した。
と、少し離れた雑木林の中からテクテクと女性兵が歩いて出てきた。無事に着陸してホッとし、催したのだろう。タフな兵たちだとヤヨイは思った。
「これで全員揃ったわね。まずは飛行機から荷物を取り出しましょう」
ヤヨイが兵たちを指示して荷物の取り出しをている横でカーツは真っ先に通信機を持ち出したグレタに寄り添い、ヘッドセットを着けた。
「『学者』より各小隊。被害状況を知らせろ。『優等生』応答せよ」
一番最後に降下を始めたヨハンセン中尉の6個小隊の最後尾の小隊が応答すれば、ほぼ全機無事に降下を終えたことになる。降下はすでに終了し、乗って来た飛行船も帰投の途に就いた。だが、予想以上に散らばった降下兵たちが集合するまでにはまだ時間がかかりそうだった。戦争の現実はシミュレーションのようには行かなかった。
ヤヨイと同じ飛行船から降下した『覗き魔』小隊の小隊長ラインハルト・ウェーゲナー中尉はまだ降下地点にいた。
「えー、『覗き魔』小隊、集合せよ・・・『覗き魔』は集まれェ・・・」
まるで、ヤル気のない物売りが売り口上を述べているように、半ば不貞腐れつつ、ウェーゲナー中尉は小隊の兵を呼び集めていた。三番船から降下した小隊はもう彼の小隊だけしか残っていなかった。
「あの、小隊長殿。小隊全員、揃いましたが・・・」
見かねた下士官がウェーゲナー中尉に声をかけた。
「あっそ・・・。そんじゃまあ、ぼちぼちグライダーまで行くかね」
そう言ってトボトボと歩き出した。
「『覗き魔』小隊! グライダーまで、駆け足!」
いろいろと察した下士官が中尉の代わりに兵たちに号令した。号令に反応して駆け足で小隊長を追い越した兵たちの何人かは、いかにもやる気の無さそうな小隊長に興味本位でふざけた小隊名を贈呈したことを後悔し始めていた。だが、この『覗き魔』小隊が後に殊勲賞ものの活躍をすることになるのだから、いくさ神であるヤヌス神のなさることは凡庸な人間たちには計り知れないことなのだった。
「覗き魔」から、小隊全員無事降下、との無線報告を受けたカーツ大尉は「マルス」を含む6個小隊『フェット』『鍛冶屋』『道化師』『詐欺師』『覗き魔』、言わば「東」中隊に出発命令を下した。目指すは橋の北西にある丘。各小隊はそれぞれ二人一組になって重火器や弾薬食料の入ったコンテナを運びつつ、丘を目指した。
がっしりした体躯のグレタの背負う大型の携帯用無線機のレシーバーをかけていたカーツは、「西」中隊を指揮するヨハンセン中尉から入った報告に刹那顔を曇らせた。
「・・・そうか。では30分だけ手分けしてもう一度辺りを捜索して見ろ。その後予定通り丘の西側に待機して指示を待て。負傷者はとにかく痛み止めを打ってガマンさせるしかないな。では、頼むぞ」
「被害が、出ましたか」
ヤヨイは訊いた。
「まあ、予想されたことではあるが、連隊も兵たちも初降下で370名中負傷1、行方不明1だけというのは奇跡に近い。むしろ幸先がいいと言えるかもしれない。兵たちがこれでもかと降下訓練に明け暮れたお陰かもな」
「学者」大隊長はあくまでも冷静で前向きな人だった。そういう点がグールド大佐に買われ大隊を任せられたのだろう。これは戦争であり、リセの校外活動ではないのだから。
でも、自分だったら兵を見捨てるなんてムリかも。とヤヨイは思った。
連隊司令部であるグールドに大隊の降下完了を報告した。
「ご苦労だった。初めての実戦降下で損害が2名だけとは素晴らしい! 敵情はどうだ」
「現在までのところ敵影はありません。ですが、これだけハデに降下しましたからマークはされていると思われます。これより所定の作戦行動に移り、今日中に拠点確保を行います」
「頑張れ。こちらは半島の南からの敗残兵が多少いた程度で済んだ。すでに拠点は確保して防衛体制を敷いた。だが気になるのはむしろ北だな。そちらも気を付けろ」
「了解しました。北方への配慮を加味します。では行きます。アウト」
丘への途中まで「東」を担当する5個小隊と共に移動。そこからは「マルス」だけが丘を攻略するために前進した。待機する5個小隊はそれぞれ2門、合計10門の大口径グラナトヴェルファーをその場に設置、丘に向けて照準した。大隊長の攻撃命令一下、この10門が一斉に火を噴き、丘の頂上めがけて迫撃弾を集中させる。あのレオン少尉と共に行った青い野蛮人への威力偵察の攻撃を数倍超える大火力だった。
ヤヨイは「マルス」の子たちを従え、カーツ大尉と共に丘を目指した。丘はさして高くはなかった。標高60から70メートルほどであろうか。
このナイグンの橋を攻略するにあたりカーツが最初の作戦行動としてこの丘の占拠を計画したのには理由がある。
航空偵察ではこの低い丘が北西方面から来るであろう敵の中央からの増援部隊を牽制する絶好の位置にあり、かつ、橋の両側の拠点攻略にもそれらを眼下に収め得る高さを持っていると思われたのである。
「辺り一面の平原に比べて珍しい山だな。もしかすると自然の地形ではなく、古代の古墳かもしれないな」
「地質学者」志望だったらしく、カーツは丘の全容を眺めてそんな感想を漏らした。それは丘というよりは雑木林を載せた独立した小山で、人が登れる登山道までついていた。カーツの見立ての通り、はるか遠い昔に何かの目的で盛られた山、と見ることもできた。
「コフン、ですか」
ヤヨイはその意味が分からなかった。
「遠い昔の古代の重要人物の墓であるかもしれない、ということだ」
「ああ、なるほど」
と、ヤヨイは思った。
「大尉。先行して様子を見ようと思います」
「そうだな。キミの合図で残りを率いて登る。援護しよう」
「では行きます。リーズル、ヴォルフガング、フリッツ、ついてきて」
ヤヨイは先頭に立って丘を登り始めた。
飛行船に乗っていた時からの「楽しさ」は続いていた。いささか過剰なほどに。それがヤヨイを衝き動かして丘を軽々と登らせていた。
暢気に登山道を登るほどバカではなかった。丘には長い年月の間に浸食されたと思われる襞、小さな尾根が無数にあった。
ヤヨイはその最初の一つの斜面の木の根や雑草を掴んでよじ登り、よっこいしょ、と尾根の上に顔を出した。
そこに怯え切った、三角帽子の下にチャン軍曹やチェン少佐、そしてヤン閣下と同じ系列に属する東洋人の顔があり、いきなりコンニチワしてしまった。
「!」
間髪入れずにドンッ、という音とヤヨイの左の耳を掠めるピュンッ、という空気を切り裂く音がした。チナ兵は眉間に風穴を開けられ、尾根の向こう側にもんどりうって落ちていった。
ヤヨイはすぐに頭を下げ、後ろを振り返った。
まだ煙の上がるライフルの槓桿を引いて空の薬莢を排出したリーズルがニヤニヤ笑っていた。
「小隊長殿。ウ・カ・ツ♡」
ヤヨイは思わず顔を赤らめた。
「笑い事じゃないわ」
とリーズルは言った。
「小隊長殿はあたしたちの指揮官、旗印なんだから。作戦の初っ端にこんなに簡単に殺られちゃったら、あとがタイヘンです!」
彼女の言う通りだった。反省するしかなかった。昂奮し過ぎていた自分を戒めねば・・・。
でもお陰で、ヴォルフガングやフリッツたちのヤヨイを見る眼差しが少し、和らいだように思った。それまでは「アイゼネス・クロイツ(鉄十字章)の英雄」を見る畏敬の籠っていた目が、デートに遅れてきたことを申し訳なく思う優しい彼女を宥めるような、愛情の込められた眼差しに変わったような、そんな気がした。
ヤヨイは丘の手前で待機している大尉に手を挙げて合図した。
カーツはそれでも慎重な指揮官だった。
「こりゃあ、少し掃除してからの方がいいようだぞ、やはり・・・」
そしてヘッドセットのマイクに向かって指示した。
「『東』中隊、グラナトヴェルファー斉射。丘の上を焼き払え! 中腹にマルスがいる。気を付けろ」
「『フェット』了解!」
すぐに背後からズバッ、ズバババン、と大口径の擲弾筒の発射音が聞こえた。
「みんな、伏せてっ!」
背後のリーズルたちに指示し、自分も身を伏せた。
10発の噴進弾が上空を飛び、ヤヨイのすぐ頭の上で盛大に炸裂した。大口径の擲弾の炸裂は一連だけで丘の上の木々を薙ぎ倒し、草を焼き払い、小高い山の頂上は一瞬でハゲ山と化した。
「グラナトヴェルファー、射撃中止。どうやら、一連だけでいいようだ。あまりハデにぶっ放すとあとが大変だしな・・・」
ヤヨイと違い、カーツはあくまでも冷静な指揮官だった。このあと「マルス」たちと共に丘に登り、他の部隊の市街地攻撃を観戦、指揮し、場合によっては援護せねばならないのだった。
丘の中腹で大量の土砂に埋もれていた四人は爆撃が止んで身を起こした。皆、頭や背中に降り積もった土砂や雑草の切れ端を払い落とした。
「ペっぺっ。・・・ああ、耳がどうにかなりそ」
凄まじい爆発の威力に、四人ともしばしボーっとお互いの顔を見合わせていた。
「さ、登りましょ」
そこから頂上まではすぐだった。
ヤヨイたち四人が到着した丘の頂上は見事に木々が無くなり、吹きっ晒しの丸坊主になっていた。
南を望むと目的地の橋がすぐ眼前にあった。
左手背後から流れる川が景色を横切って右手奥のほうに流れている。左手奥の街道は土手を降りるとすぐ市街。右手奥の西岸もまた然りである。川は街のど真ん中を南に向かって流れ、街を二つに分けていた。この主要街道の橋以外にも南にいくつかの橋があるが、それらは木造りでとても重量のある車両の通行には適さないのが肉眼でもわかった。
「へえ、これがナイグンの橋か。意外に小さいわね」
リーズルは肩の上にライフルの銃身を預け口の端で葉巻を咥えた。
後ろを振り返り、ヤヨイは手を振った。丘の頂上を占拠した、の合図である。
すぐにカーツ大尉が残りのマルス達を引き連れて登って来た。
彼はヤヨイの隣に立つと双眼鏡で市街や橋や背後の今降下したばかりの田園地帯を一通りぐるっと見渡した。
そして、言った。
「少し、気が変わった」
彼はグレタの背中の無線機に寄った。
「『覗き魔』は予定を変更し丘の守備に当たれ。『でぶ』、他『東』中隊を率いて当初の予定通り川を渡河して北から拠点を目指せ。『西』中隊も前進を開始せよ!」
矢継ぎ早に命令を下した。
「ヴァインライヒ少尉。オレはこの丘が気に入った。この高さがあれば橋の両岸にも、予想される北西からの脅威にも対応できる」
と、「学者」は言った。
「マーキュリーより『ガーデナー(庭師)』へ」
ズズ・・・。
「こちら『庭師』」
雑音混じりだが、応答は明瞭だった。
「ナイグン北の川の浅瀬、水深は膝下。十分に徒歩での渡河可能。しかし、やはり土手が高い。『猟犬』の渡河には不適。橋が使用不可の場合、さらに三十キロ北までの迂回を要す。当方はこれより川沿いに南下し、橋を目指す」
リヨンは『庭師』こと、『猟犬』機甲部隊の飼い主であるフロックス少将の司令部に通報した。
「了解、マーキュリー。軍神マルスの加護のあらんことを。アウト」
すぐに馬に跨り、発見されることを懸念して川の土手の上ではなく土手の法面の下を疾駆した。馬を駆けさせれば土埃が舞い上がり、当然に遠目にも人目を惹く。だが、彼には時間がなかった。ヤヨイたちが守るに適する橋か否か。それを通報することが、空挺部隊の兵たちの運命を左右する。橋が戦車の通行に適さない場合、機甲部隊は橋を捨てて北に迂回する。もしそうなれば最悪の場合、戦闘が落ち着くまでナイグン橋を守る四百名は捨て置かれる可能性があった。それが戦争の現実なのだ。
絶対に情報を知らせねば。
リヨンは疲れた馬にさらに喝を入れ、南に急いだ。
橋まで二キロはあるだろうか。そこでリヨンは馬をとめた。
遠目にも東から橋を渡って西に逃れようとする避難民の群れが見えた。
人目在り過ぎだろう。
リヨンは思わず舌打ちをした。
ここまで辿り着いておきながら。くっそーおっ!・・・。
と。
橋の左手、東側に三角帽子の黒い兵たちが騎馬でやってきて橋を渡ろうとする避難民の群れを止め、東に押し返しはじめた。ナイグンの西はチナの天領になる。そこは同じチナでも「異国」であり、この地域の住民の「無断難民移動」を阻止せねばと差し向けられた兵たちなのだろう。チナという国の、なんと複雑なことか。
だがそれでリヨンにチャンスが巡って来た。
橋の付近が無人になったころ合いを見計らい、リヨンは馬を降りた。馬は尻を思い切り蹴とばして彼方の方角へ駆けさせた。チナ兵が乗っていた馬が見つかるとマズいからだ。到底言い訳などできない。
リヨンは駆けた。
人影を見れば身を伏せ、草むらに潜んだ。そしてまた、駆けた。
そうやってやっとの思いでナイグンの橋の下に身を潜めることが出来た。
石造りの橋は、頑丈だった。これならマークⅠ型のニ十トンでも十分に通行可能だ。
すぐに通報せねば。
と、橋の下のほぼ中央部に異様な黒い物体があるのに気づいた。
あれはなんだろう。
もしや、爆薬?
だとすれば、まずそれを取り除かねば。
背中のズダ袋を下ろし、橋の構造が戦車の通行に耐えることと正体不明の橋桁下の物体について通報せねば。無線機を取り出そうとすると、
ヒヒーンッ!
背後で馬が嘶いた。
たった小一時間。共に走っただけの間柄なのに、その躾の良い馬は乗り手のリヨンを慕ってついてきてしまったのだった。
「お前・・・」
硝煙の匂いが漂った。リヨンは身を固くした。
「貴様。そこで何をしている!」
彼を慕って追って来た優しい馬を責めることは出来なかった。リヨンはただひたすらに、天運尽きたおのれだけを責めた。
あの荒野の訓練所で何度も降下したようにして、ヤヨイは5点着地で無事に田んぼのど真ん中に降りた。稲刈りが終わったばかりの水田はまだ土が柔らかく、被害と言えば切られた稲の株の切っ先が少し痛かったことぐらいだった。心配していた降下中の敵兵の狙撃も高射砲の攻撃もなかった。幸先が良すぎて怖いぐらいだ。
辺りを見回すと「マルス」だけではなく他の小隊たちも次々とおおむね無事に初めての降下を終え、皆広がったパラシュートを掻き集めつつ、降下地点を離れ自分の小隊を探し始めていた。
ポケットから笛を取り出して、吹いた。
ぴっぴぷー、ぴっぴぷー・・・。
加えてヘルメットの顎紐を少し緩め、鉄棒を後ろに跳ね上げてブルネットを風に晒した。気持ちのいい秋の風を受けたかったからというよりは、この方が兵たちに自分が見つけられやすいと思ったのだ。
「少尉!」
真っ先にカーツ大尉が寄ってきてくれた。それにあのヤンチャなフォルカー。ビアンカにヴォルフガング、看護兵のクリスティーナ・・・。そしてグレイ曹長までもが皆モーツァルトの笛の音を聞きつけて集まってきてくれた。
最後にフリッツが息せき切ってやってきて、パイロット2名を除く30名と大隊長カーツが揃った。
「みんな揃ったわね。では大隊長、グライダーへ」
「ウム。・・・すごいな。やればできるもんだな」
大尉という上官でありながら、カーツは少しも威張ることも衒うこともなく、素直に陸軍最初の空挺部隊の初降下の感想を言い講評を述べた。こういう人は人に好かれやすい。よい指揮官の条件の一つだと、ヤヨイは思った。
そこから少し離れたグライダーたちが着陸している辺りまで歩いた。みな自然に駆け足気味になった。無理もなかった。ここは敵地のど真ん中で、兵たちは緩衝材としてジャンパーで包み胸に括った小銃以外ほぼ丸腰なのである。肝心の通信機も重火器も食料も弾薬も、全部グライダーに載せたままだった。
他のグライダーたちのように着陸の衝撃で胴体が折れたり翼が飛んだりしているのに比べれば、グライダー「マルス」号はまずまずの着陸を見せてダイコン畑の畝の上に機体を乗り上げて止まっていた。カールとミシェルの操縦の腕前は抜群に良かったと言っていいだろう。もしかすると、偵察機を壊してしまったヤヨイよりも上かもしれない。
「小隊長殿~!」
機体の尻のドアをバールでこじ開けていたカールが「マルス」の面々を見つけて手を振っていた。
「ミシェルは?」
ヤヨイは姿の見えない女性パイロットの所在を尋ねた。
「アイツはその・・・。えっと、ですね・・・」
カールはハニカミながら言葉を濁した。
と、少し離れた雑木林の中からテクテクと女性兵が歩いて出てきた。無事に着陸してホッとし、催したのだろう。タフな兵たちだとヤヨイは思った。
「これで全員揃ったわね。まずは飛行機から荷物を取り出しましょう」
ヤヨイが兵たちを指示して荷物の取り出しをている横でカーツは真っ先に通信機を持ち出したグレタに寄り添い、ヘッドセットを着けた。
「『学者』より各小隊。被害状況を知らせろ。『優等生』応答せよ」
一番最後に降下を始めたヨハンセン中尉の6個小隊の最後尾の小隊が応答すれば、ほぼ全機無事に降下を終えたことになる。降下はすでに終了し、乗って来た飛行船も帰投の途に就いた。だが、予想以上に散らばった降下兵たちが集合するまでにはまだ時間がかかりそうだった。戦争の現実はシミュレーションのようには行かなかった。
ヤヨイと同じ飛行船から降下した『覗き魔』小隊の小隊長ラインハルト・ウェーゲナー中尉はまだ降下地点にいた。
「えー、『覗き魔』小隊、集合せよ・・・『覗き魔』は集まれェ・・・」
まるで、ヤル気のない物売りが売り口上を述べているように、半ば不貞腐れつつ、ウェーゲナー中尉は小隊の兵を呼び集めていた。三番船から降下した小隊はもう彼の小隊だけしか残っていなかった。
「あの、小隊長殿。小隊全員、揃いましたが・・・」
見かねた下士官がウェーゲナー中尉に声をかけた。
「あっそ・・・。そんじゃまあ、ぼちぼちグライダーまで行くかね」
そう言ってトボトボと歩き出した。
「『覗き魔』小隊! グライダーまで、駆け足!」
いろいろと察した下士官が中尉の代わりに兵たちに号令した。号令に反応して駆け足で小隊長を追い越した兵たちの何人かは、いかにもやる気の無さそうな小隊長に興味本位でふざけた小隊名を贈呈したことを後悔し始めていた。だが、この『覗き魔』小隊が後に殊勲賞ものの活躍をすることになるのだから、いくさ神であるヤヌス神のなさることは凡庸な人間たちには計り知れないことなのだった。
「覗き魔」から、小隊全員無事降下、との無線報告を受けたカーツ大尉は「マルス」を含む6個小隊『フェット』『鍛冶屋』『道化師』『詐欺師』『覗き魔』、言わば「東」中隊に出発命令を下した。目指すは橋の北西にある丘。各小隊はそれぞれ二人一組になって重火器や弾薬食料の入ったコンテナを運びつつ、丘を目指した。
がっしりした体躯のグレタの背負う大型の携帯用無線機のレシーバーをかけていたカーツは、「西」中隊を指揮するヨハンセン中尉から入った報告に刹那顔を曇らせた。
「・・・そうか。では30分だけ手分けしてもう一度辺りを捜索して見ろ。その後予定通り丘の西側に待機して指示を待て。負傷者はとにかく痛み止めを打ってガマンさせるしかないな。では、頼むぞ」
「被害が、出ましたか」
ヤヨイは訊いた。
「まあ、予想されたことではあるが、連隊も兵たちも初降下で370名中負傷1、行方不明1だけというのは奇跡に近い。むしろ幸先がいいと言えるかもしれない。兵たちがこれでもかと降下訓練に明け暮れたお陰かもな」
「学者」大隊長はあくまでも冷静で前向きな人だった。そういう点がグールド大佐に買われ大隊を任せられたのだろう。これは戦争であり、リセの校外活動ではないのだから。
でも、自分だったら兵を見捨てるなんてムリかも。とヤヨイは思った。
連隊司令部であるグールドに大隊の降下完了を報告した。
「ご苦労だった。初めての実戦降下で損害が2名だけとは素晴らしい! 敵情はどうだ」
「現在までのところ敵影はありません。ですが、これだけハデに降下しましたからマークはされていると思われます。これより所定の作戦行動に移り、今日中に拠点確保を行います」
「頑張れ。こちらは半島の南からの敗残兵が多少いた程度で済んだ。すでに拠点は確保して防衛体制を敷いた。だが気になるのはむしろ北だな。そちらも気を付けろ」
「了解しました。北方への配慮を加味します。では行きます。アウト」
丘への途中まで「東」を担当する5個小隊と共に移動。そこからは「マルス」だけが丘を攻略するために前進した。待機する5個小隊はそれぞれ2門、合計10門の大口径グラナトヴェルファーをその場に設置、丘に向けて照準した。大隊長の攻撃命令一下、この10門が一斉に火を噴き、丘の頂上めがけて迫撃弾を集中させる。あのレオン少尉と共に行った青い野蛮人への威力偵察の攻撃を数倍超える大火力だった。
ヤヨイは「マルス」の子たちを従え、カーツ大尉と共に丘を目指した。丘はさして高くはなかった。標高60から70メートルほどであろうか。
このナイグンの橋を攻略するにあたりカーツが最初の作戦行動としてこの丘の占拠を計画したのには理由がある。
航空偵察ではこの低い丘が北西方面から来るであろう敵の中央からの増援部隊を牽制する絶好の位置にあり、かつ、橋の両側の拠点攻略にもそれらを眼下に収め得る高さを持っていると思われたのである。
「辺り一面の平原に比べて珍しい山だな。もしかすると自然の地形ではなく、古代の古墳かもしれないな」
「地質学者」志望だったらしく、カーツは丘の全容を眺めてそんな感想を漏らした。それは丘というよりは雑木林を載せた独立した小山で、人が登れる登山道までついていた。カーツの見立ての通り、はるか遠い昔に何かの目的で盛られた山、と見ることもできた。
「コフン、ですか」
ヤヨイはその意味が分からなかった。
「遠い昔の古代の重要人物の墓であるかもしれない、ということだ」
「ああ、なるほど」
と、ヤヨイは思った。
「大尉。先行して様子を見ようと思います」
「そうだな。キミの合図で残りを率いて登る。援護しよう」
「では行きます。リーズル、ヴォルフガング、フリッツ、ついてきて」
ヤヨイは先頭に立って丘を登り始めた。
飛行船に乗っていた時からの「楽しさ」は続いていた。いささか過剰なほどに。それがヤヨイを衝き動かして丘を軽々と登らせていた。
暢気に登山道を登るほどバカではなかった。丘には長い年月の間に浸食されたと思われる襞、小さな尾根が無数にあった。
ヤヨイはその最初の一つの斜面の木の根や雑草を掴んでよじ登り、よっこいしょ、と尾根の上に顔を出した。
そこに怯え切った、三角帽子の下にチャン軍曹やチェン少佐、そしてヤン閣下と同じ系列に属する東洋人の顔があり、いきなりコンニチワしてしまった。
「!」
間髪入れずにドンッ、という音とヤヨイの左の耳を掠めるピュンッ、という空気を切り裂く音がした。チナ兵は眉間に風穴を開けられ、尾根の向こう側にもんどりうって落ちていった。
ヤヨイはすぐに頭を下げ、後ろを振り返った。
まだ煙の上がるライフルの槓桿を引いて空の薬莢を排出したリーズルがニヤニヤ笑っていた。
「小隊長殿。ウ・カ・ツ♡」
ヤヨイは思わず顔を赤らめた。
「笑い事じゃないわ」
とリーズルは言った。
「小隊長殿はあたしたちの指揮官、旗印なんだから。作戦の初っ端にこんなに簡単に殺られちゃったら、あとがタイヘンです!」
彼女の言う通りだった。反省するしかなかった。昂奮し過ぎていた自分を戒めねば・・・。
でもお陰で、ヴォルフガングやフリッツたちのヤヨイを見る眼差しが少し、和らいだように思った。それまでは「アイゼネス・クロイツ(鉄十字章)の英雄」を見る畏敬の籠っていた目が、デートに遅れてきたことを申し訳なく思う優しい彼女を宥めるような、愛情の込められた眼差しに変わったような、そんな気がした。
ヤヨイは丘の手前で待機している大尉に手を挙げて合図した。
カーツはそれでも慎重な指揮官だった。
「こりゃあ、少し掃除してからの方がいいようだぞ、やはり・・・」
そしてヘッドセットのマイクに向かって指示した。
「『東』中隊、グラナトヴェルファー斉射。丘の上を焼き払え! 中腹にマルスがいる。気を付けろ」
「『フェット』了解!」
すぐに背後からズバッ、ズバババン、と大口径の擲弾筒の発射音が聞こえた。
「みんな、伏せてっ!」
背後のリーズルたちに指示し、自分も身を伏せた。
10発の噴進弾が上空を飛び、ヤヨイのすぐ頭の上で盛大に炸裂した。大口径の擲弾の炸裂は一連だけで丘の上の木々を薙ぎ倒し、草を焼き払い、小高い山の頂上は一瞬でハゲ山と化した。
「グラナトヴェルファー、射撃中止。どうやら、一連だけでいいようだ。あまりハデにぶっ放すとあとが大変だしな・・・」
ヤヨイと違い、カーツはあくまでも冷静な指揮官だった。このあと「マルス」たちと共に丘に登り、他の部隊の市街地攻撃を観戦、指揮し、場合によっては援護せねばならないのだった。
丘の中腹で大量の土砂に埋もれていた四人は爆撃が止んで身を起こした。皆、頭や背中に降り積もった土砂や雑草の切れ端を払い落とした。
「ペっぺっ。・・・ああ、耳がどうにかなりそ」
凄まじい爆発の威力に、四人ともしばしボーっとお互いの顔を見合わせていた。
「さ、登りましょ」
そこから頂上まではすぐだった。
ヤヨイたち四人が到着した丘の頂上は見事に木々が無くなり、吹きっ晒しの丸坊主になっていた。
南を望むと目的地の橋がすぐ眼前にあった。
左手背後から流れる川が景色を横切って右手奥のほうに流れている。左手奥の街道は土手を降りるとすぐ市街。右手奥の西岸もまた然りである。川は街のど真ん中を南に向かって流れ、街を二つに分けていた。この主要街道の橋以外にも南にいくつかの橋があるが、それらは木造りでとても重量のある車両の通行には適さないのが肉眼でもわかった。
「へえ、これがナイグンの橋か。意外に小さいわね」
リーズルは肩の上にライフルの銃身を預け口の端で葉巻を咥えた。
後ろを振り返り、ヤヨイは手を振った。丘の頂上を占拠した、の合図である。
すぐにカーツ大尉が残りのマルス達を引き連れて登って来た。
彼はヤヨイの隣に立つと双眼鏡で市街や橋や背後の今降下したばかりの田園地帯を一通りぐるっと見渡した。
そして、言った。
「少し、気が変わった」
彼はグレタの背中の無線機に寄った。
「『覗き魔』は予定を変更し丘の守備に当たれ。『でぶ』、他『東』中隊を率いて当初の予定通り川を渡河して北から拠点を目指せ。『西』中隊も前進を開始せよ!」
矢継ぎ早に命令を下した。
「ヴァインライヒ少尉。オレはこの丘が気に入った。この高さがあれば橋の両岸にも、予想される北西からの脅威にも対応できる」
と、「学者」は言った。
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