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第二章 対決
29 いざ、海峡通過へ
しおりを挟むヴィクトリーのブリッジは得も言われぬ緊張感に満ちていた。
ミカサの強力な通信機が受信した帝国内閣府、および陸海軍部の通達を知り、皆、言葉を失っていた。
その場にいた誰もの胸に様々な思いが交錯した。
「ついに内閣府は、帝国は、堪忍袋の緒を切らせたのだ! 」
「ここ30年ほど保たれていた平和が破られ、今しも戦端が切られようとしている!」
「チナとの全面戦争が近づいている!」
と。
一人フレッチャー少将だけが通信機を操作するアンの背後に立ち、プライヤーを燻らせて芳醇な香りをブリッジに漂わせ、悠然としていた。
アンがリュッツオーのミヒャエルからのモールスの翻訳をスミタ大尉に示そうとすると少将は、
「かまわん、少尉。読み上げたまえ」
と言った。
「アイ、サー!」
アンは、電文を読み上げた。
「あ、ごほん!
リュッツオーよりヴィクトリーへ達する。
本艦はこれより演習を打ち切り進路を変更、ミカサ追尾の任に着く。ミカサより30海里の距離を保たんとし、かつ通信維持のため貴艦との距離を同様に保持することを欲す。
以上です」
「ありがとう、少尉」
少将は言った。
そしてひとわたりブリッジを見回し、集っている一同の反応を待った。
誰もが不可解な表情を浮かべていた。それを代表するようにして、第一艦隊司令部から来ているカストロ中佐が口を開いた。
「司令。演習中止はもちろんです。先ほどの通信にあったように、帝国はチナに対する戦争態勢を整えつつあります。
ですが、で、あるならば、なぜミカサを追尾するのです。
この際ですから洋上で落ち合い、司令長官と司令部に他艦に、例えばビスマルクに移乗していただき、ミカサには給炭でもして、より安全な航路を取らせ、本艦を含む3隻は今は一刻も早くターラントへ帰港すべきでは? そして通信にあったように、早急に連合艦隊の編成に着手すべきです!」
それは至極まっとうな提案で、その場の誰の胸のうちにも同感の思いを抱かされるものだった。だが戦隊司令には何故か受け入れられなかった。
フレッチャー少将は、言った。
「中佐。私は、ワワン第一艦隊司令長官より正式に権限を委譲されている。現在ミカサを除く第一艦隊の指揮権は私にある」
そして、一息つくと、東南の方向を指し示し、こう言い放った。
「第一艦隊はこれより、ミカサ追尾の任に着く!
ミカサは、日の出と共にこの半島と、続く島嶼の間の海峡に進入するものと思われる。
そこで我が第一戦隊は、ミカサに万が一の事態が発生した場合には、30分で殺到することができる海域に急行するのだ。ただしチナの沿岸より6海里の距離を保ち、チナ側に我々が視認されぬよう配慮せねばならん。各員、直ちに作戦行動を開始せよ!」
「アイ、サー!」
まず、第一戦隊の幕僚が、次いでヴィクトリーの艦長が少将の命令に反応し、矢継ぎ早に命令を発していった。
「信号兵! 運動旗掲揚!」
「レフトフォーラダー、進路115。機関全速!」
「通信長、ビスマルク及びエンタープライズに演習中止と進路変更を伝達!」
「ブリッジより全艦に達する。現時刻を持って艦隊演習は中止する。総員、第一種警戒態勢に着け! これは演習ではない。繰り返す・・・」
ヴィクトリーの士官や水兵たちは、勢いその小気味の良さを発揮した。まるでフレッチャー少将の手足のごとくに命令を具現化、着々と実施していった。
ブリッジに集っていた士官たちや第一戦隊の幕僚たちはそれぞれの持ち場に散っていった。その後に、カストロ中佐とホワイト大尉だけが残った。
「中佐、」
フレッチャー少将は、なおも怪訝な表情を抱えたままのカストロ中佐に言った。
「重ねて言うが、今後ミカサから何らかの指示なり司令なりが来るかもしれん。だが、私はそれとは別に行動するつもりだ。是々非々でな。それを、心得ておきたまえ」
「・・・アイ、サー」
と、中佐は答えた。そしてブリッジを立ち去りかけたがふと立ち止まった。
「・・・あ、少尉。念のため聞いておきたいのだが」
他の2艦に進路変更を伝達しているスミタ大尉の隣にいたアンに、中佐は言った。
「・・・なんでしょうか、中佐」
「なぜ、リュッツオーに通信機があるのか。それと、音声通信の方が便利なのに、何故ミカサと同様に音声を使わずモールスを送って来たのか」
電波通信に知識がない人の、ごく真っ当な疑問に、アンは答えた。
「リュッツオーに通信機があるのは、あた・・・、小官も知りませんでした。
でも、あの艦に搭載しているのはバッテリー式で出力が小さいものなのです。アンテナも短く、ミカサやこの艦に搭載している通信機のように遠くまで電波を飛ばしたりできません。
そしてリュッツオーの通信機は300KHz~3000KHzの中波を使いますが、ミカサやこの艦の通信機は中波も、VHFという超短波も使えます。
モールスは中波を使いますが、音声通信はVHFを使います。使用する電波の帯域が違うのです、中佐。音声通信の帯域はより多くの情報を送るのに適していますが、遠距離の通話には不適なのです。モールスの方は雑音も拾いやすいのですが、電波さえ強ければより遠くまで、水平線の彼方でも、地球の裏側までも届きます。つまり、確実なのです。
なぜかといいますと、光が距離と反比例して減衰するように、電波も発信する出力と発信源からの距離に反比例して大きく減衰します。光も電波の一種なのです。しかもモールスは波長の短い帯域を使います。波長の短い帯域は地球の周りの電離層に跳ね返って屈折しやすく距離や発信出力の影響を受けにくく・・・、まあ、いろいろ、あるのです・・・」
アンは、中佐の困ったような顔に気付き、語尾を濁した。
カストロ中佐も、質問した手前、しばらくは我慢して聞いていたが、その辺りが限界だったらしい。
「・・・なるほど。なんとなくだが、理解したよ、少尉」
彼はホワイト大尉を伴ってブリッジを降りて行った。
ガラにもなく緊張していたアンの肩に大きな手がポンと、置かれた。
「ありがとう、少尉。だが、これからはもっと、君に働いてもらわねばならない。頼りにしているよ」
そう言ってフレッチャー少将もパイプの紫煙を残してブリッジを去った。
彼の後姿を見送り、「シブイ中年妻子あり」も、なかなかにいいものだなあ・・・。と、アンは思った。
息苦しい幕僚室もこれで3度目だった。
せめて全員が揃う前に入れば多少は息苦しさ、暑苦しさも紛れるかと思いきや、やはり、事はそう簡単には運ばなかった。
最初に幕僚室に入って来たのはなんとルメイだった。
「やあ。朝早くからご苦労だったな」
それまでの意気消沈や狼狽はどこにも見えず、むしろ漂白されたように清々しく、颯爽とし快活にさえ映った。そして、ヤヨイを気遣う余裕さえ見せた。それは彼の後に続くように入って来た参謀長や航海長、副長の憔悴した雰囲気とは対照的に、ヤヨイに、強く、印象された。
最後に、ワワン中将がラカ少佐を従えるようにして入室すると全員が起立し、敬礼した。
ワワン中将は海図台の奥に立つと、そのまま全員に対し答礼し、立ったまま訓示を始めた。
「諸君!」
開口一番、司令長官は言った。
「宣戦布告こそまだ為されてはいない。だが、もはや、戦時だ!」
明確に、まるで大きなハンマーを打ち下ろすかのように、長官は、言い切った。
「陸軍と内閣府は本気でチナと一戦交える心算(こころづもり)を固めたようだ。おそらく陸軍は2日以内に進撃準備を終えるだろう。
軍令部もまた、連合艦隊を編成し全艦艇に出動準備を下令するはずだ。各艦順次燃料を満載、陸軍と呼応して48時間以内に出撃準備を終えるものと思われる。
皇帝陛下が元老院を招集、議案を提出し、討議を要請し、その決議がなされれば、即時チナ王国に対して宣戦布告がなされよう。陸軍は、布告と同時に国境に向け進撃を開始するはずだ!」
中将は幕僚室の面々を見渡し、その覚悟を迫った。チナとの全面戦争に向けての、である。帝国の象徴とも言える、第一艦隊旗艦を害した、当然の報いを、今こそチナに思い知らせるのだ、と。
「第一艦隊司令部は、速やかにミカサ、および他3艦に対し行動指針を示さねばならない。並びに軍令部に対してもその指針を報告、以降の指示を仰がねばならん!」
一同に、水を打ったような沈黙が行き渡った。砲術長のハンター少佐だけがブリッジに残っていて、この場にはいなかった。
司令長官はぐっと前を見据えたまま、沈黙した。
彼はもう、何も話す必要がなかった。
誰が、何を提案してくるのか。それを黙って眺めていればよかった。
沈黙が、異様に、長かった。
士官たちには帝国政府がここまで過剰に反応するとは予想外だったのだろう。それはミカサを強奪しようとしているチナにとっても同じはずだ。
帝国の一要塞にも等しい最新鋭の戦艦を害するなどという行為は当然に戦争を誘発する。帝国としてはその危険性を断固として示す必要がある。士官たちはその帝国と海軍の強い意思を改めて肝に銘じている・・・。
沈黙は、そのためのものなのだ。
「長官、」
その沈黙を破ったのは、意外にもラカ少佐だった。
「この際です。ヴィクトリーかビスマルクを近海に呼び寄せ、長官と参謀長だけでも移乗していただくわけにはまいりませんか。第一艦隊司令長官たる閣下が連合艦隊編成に不在では支障があるのではないですか?」
その提案に参謀長もミカサの幹部たちも顔をあげた。一人ルメイだけが身じろぎせずに前を向いていた。
「少佐。その提案はすでに却下したはずだ」
とワワン中将は答えた。
「帝国海軍の象徴たる第一艦隊旗艦を攻撃し損害を与えるなど、言語道断。
この度の帝国内閣府の反応はごく当然のことであり、動員令と戦時戒厳令の布告とは、仮にチナが本艦に攻撃を仕掛けてくれば、それを口実に元老院の決議を待たず戦端を開くことができるということだ。そうなればこのミカサが、自動的にチナに対する最前線となろう!」
居並ぶ士官たちの沈黙の上に、最高度の緊張が、走った。
「最前線に司令長官がいる!
これも至極当然である。ヴィクトリーなど3艦や他の艦隊は、必要ならその際に呼び寄せればよい。本艦には、通信機が装備されているのだ。
何度も言うようだが、私は無事ターラントに帰港するまで絶対にこの艦を離れぬ。少佐。そのような提案は、以降、無用だ」
中将はそう、言い切った。
「アイ、サー!」
不動の言葉。千鈞の重みのある言葉がそこにあった。
全ての海軍艦艇や全ての海軍将兵を動かす言葉はこのように重いものでなくてはならぬ。その手本のような言葉だった。
長官の気迫を知り、それでもなお発言を試みる者は、誰もいなかった。
事実上、会議は終わった。
ヤヨイは自室に引き上げた。
疲れていた。すぐにベッドに入った。短いが深い熟睡をした。30分もしないうちに目が覚めてしまった。緊張しているせいだろう。
ベッドの中で、ヤヨイは本国からの通信のことを考えた。
あの「バカロレア経由の通信」は、実は、ターラントのリヨン中尉から、あるいはクィリナリスにいるウリル少将から直接送られている。
ヤヨイはそれを知っている。
その内容が全てウリル少将が起案し、監修したものであろうことも、知っている。
だから、内閣府や参謀本部や元老院の件、そして「戒厳令」や「宣戦布告」の件も、おそらくは、事実ではない、フェイクかもしれないことを、知っている。
ウリル少将と謀って、今回の「裏切り者炙り出し作戦」を実行しているワワン中将とフレッチャー少将も、ヤヨイと同様に、その通達が裏切り者たちを炙り出すためのフェイクであるかもしれないのを知っているだろう。
そして、最も重要な事実は、裏切り者たちにとって、それが事実であるかどうかを確認する手段がない、ということなのだ。
これは、壮大な芝居なのだ。
ミカサと3隻の戦艦からなる第一艦隊第一戦隊の、戦艦部隊全艦が、いわば封鎖された劇場であり、客席の中にまで張り出した舞台、それがミカサなのだ。
そこで演じる俳優は、艦隊司令長官のワワン中将とフレッチャー少将という2人の将官。主演女優は、臨時海軍少尉になりすましている、ヤヨイ。
3人は、総合プロデューサーでありこの舞台の演出家でもあるウリル少将が書いた台本を知っている。
対して、隔離されたこともウリル少将の台本も知らない悪役俳優がルメイ。
そして、ヤヨイたちもウリル少将も知らない、第二の悪役俳優が、キャストの中に紛れ込んでいる。その者たちは、ウリル少将の台本を知らない。
裏切り者たちはそろそろ気づくはずだ。
その劇場が海という鉄格子で閉鎖されていることに。
彼らには、通信機によってもたらされた情報の真偽を確認する術がない。
陸軍が本当に進撃を開始したかどうかわかるのは早くて5日後。しかも、裏切り者たちがそれを確認するためには、帝国ではなくチナと直接接触せねばならない。
それが、この作戦の、ミソなのだ。
チナと意思を交わそうとした人物こそ、ターゲットなのだ!
ヤヨイは確信した。
ワワン中将とウリル少将の目的は、一に、この状況を作り出すことにあったのだ!
そして、緊張の夜が明けた。
左舷の彼方に、チナの国土が見える。
東に横たわる赤茶けた土地は相も変わらず不気味な沈黙を続けていた。
食堂が開き、非常用戦闘糧食で腹を満たした交代要員たちが夜間の哨戒に就いていた者たちに代わり監視任務に就いた。
艦内には緊張が漲っているが、海が穏やかなのはありがたい。
こうした時に兵たちの不必要な緊張を解し、かつ士気を維持するのは先任士官たる者の務めだとヨードルは思っている。
一通り艦内を巡視し、まずは兵たちが無用なストレスなどを感じずになんとか平穏を保っているのに安堵し、副長に報告するためにブリッジに上がるタラップを登っていた。
と、
上甲板から降りてくるヴァインライヒ少尉と出会(でくわ)した。
彼女にタラップを譲るために横にステップし、敬礼した。
そうだ・・・。ヤヨイ、といったのだったな、彼女は・・・。
「ヨードル海曹長! お早いですね!」
つい数時間前まで、共にあの陰鬱な幕僚会議に出席していたのに、この少女にはもう溌溂とした生気が漲っている。少尉の、ヤヨイの答礼を受けてヨードルもまた挨拶を送った。
「お早うございます、少尉。朝からお元気ですね。よく休まれましたか」
「ハイ! 」
もう少しこのバカロレアから来た娘のような少女と話したい。そう思い口を開きかけた時だった。
「ブリッジより幹部士官に達する!」
通路上のスピーカーから艦内放送が鳴り喚いた。
「行きましょう、フレッド!」
ヤヨイに声を掛けられる前に身体が動いていた。が、それより先に彼女は、まるで風のように階段を駆け上って行ってしまった。
やっぱりあのこは、軍神マルスの娘だ・・・。
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