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It seem like we may have a white Christmas in Tokyo.
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しおりを挟む香辛料のたっぷり入ったグリューワインを飲んで温まると、今度は雑貨の露店を見て回った。
会場に向かっていたときと同じく腕を組み、さすがにスキップはしていないが弾むような足取りの瑛介は器用に人ごみを縫って、一軒一軒のぞいていく。
そのうちのひとつの店で、瑛介はてのひらサイズのくるみ割り人形を模したオーナメントを買った。
「ひとつだけ買ってどうすんだ?」
瑛介が一志の家に来るばかりで、最近は瑛介の部屋に行っていないけれど、ひとり暮らしの部屋にツリーが飾ってあるとは思えない。
「これだけ壁に掛けておいても可愛いかな、と思って。カズくんの部屋に飾ってもいい?」
「おお、いいけど」
広場の中心にはツリーとは別にもうひとつ、タワーのようなものが建っている。山小屋風の露店といい、別の国に迷い込んでしまったかのような雰囲気だ。何かはよく知らないけれど、ものすごく〝それっぽい〟。
「あれ、最近よく見るよな。あのトーテムポールみたいなやつ」
「クリスマスピラミッドね。全然違うよ」と瑛介が楽しげに笑う。
「へえ、ドイツから取り寄せたみたいだよ。どうりで本格的だ」
クリスマスマーケットの案内を読みながら、瑛介が感心したように頷いた。
この男は仕事で何度もドイツに行っているから、本場のクリスマスマーケットにも行ったことがあるかもしれない。
「行ったことあんの? ほんとにこんな感じの雰囲気?」
「うん、昔一回ね。ドイツは行く機会も多いから。まんまこんな感じってくらい、よく再現してると思うよ」
「そう言えばチョコもらったわ」
長細い箱に四粒だけ入った高級そうなチョコレートを、今の関係になるずっと前、土産でもらったことがある。たしか、木でできた雪の結晶のオーナメントが箱の飾りに使われていた。それを伝えると瑛介は「すごい、覚えてるんだ。嬉しい」と目を細めた。
それから突然はじまった踊りのステージを冷やかしたあと、ふたりは駅に向かっていた。
腕に引っついたまま離れない瑛介は、反対の手に提げた袋の中をのぞき込んで「へへっ」と締まりのない顔で笑っている。酔っ払っているのかもしれない。
中にはワインが入っていたクリスマスマーケットのロゴの入ったオリジナルのマグカップが入っている。会場の出入り口には洗い場が用意されていて、使ったカップを洗って持ち帰れるようになっていた。
「カズくんとお揃いだな~、と思って」
「ああ、そうだな。あの会場の大多数の人がお揃いだな」
「うぅ、そうなんだけど……」
一志と揃いの物が増えるのが嬉しいのだろう。
あったはずの食器が消えていることに気付いたのは最近だ。一志が自分で選んだものではなかったので気付くのが遅れた。どれもこれも、元カノの選んだ揃いのカップや皿だった。かわりに揃いの新たな食器が増えていることにも、もちろん気付いている。
特にこだわりはないので好きにさせているが、そんなに嬉しいもんかねえ、と内心では思う。
「来週から、ぐっと冷え込むらしいよ。ひょっとしたらホワイトクリスマスになるかもねぇ。いいよねぇ、実際降ったら通勤困っちゃうけどさぁ」
吐き出した白い息を弾ませ、瑛介が言った。
まだ降りもしない空を見上げながら。辺りは電飾で煌めいて、空には星ひとつ見えない。曇ってるせいかもしれないけれど。
「なあ、それより食い足りん。ラーメン食って帰ろうぜ」
「あっ、いいねー! 何系?」
「五目あんかけ」
「あはっ、じゃあ日高屋だ。この辺あったっけ? 俺は何にしよっかなぁ~」
たとえカップがお揃いだろうと夫婦茶碗だろうと、あるいはクリスマスに大雪が降ろうとも。
まあ、瑛介が喜ぶんなら何だっていいんだけど。
おわり
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