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もしものふたり

赤ちゃんの話

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※もしものふたり の世界線です。
(前回から、約二年後のお話になります)
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「圭吾さん、突然ですけど…」
零は食後のミルクティーを飲みながら、目の前で自分の淹れたブラックコーヒーを飲む恋人に話しかける。
「ん?」
圭吾はカップをテーブルに置き、話を聞く体制になった。
「あの、まだ先のことかもしれないですけど…子どものこと、圭吾さんはどう思ってるのかなって…」
時々言葉に詰まりながら、零は言った。
元々零は自分の子どもを望んでおり、
そのことを圭吾は知っている。
もちろん、自分が産みたいということも。
「なるほどね。
俺が産めるわけじゃないし、最終的には零の身体次第かな。
もちろんその時は一緒に頑張るつもりだけど」
あとは零が大学を卒業してから、だね。
と圭吾は答える。
零は安心したように、
「そうですか…よかった。
僕、なるべくはやく産みたいんです。
体力的にもそうですし、あとはまあ、母も元気なうちに…」
と言ってミルクティーを一口啜った。
零はあと数ヶ月もすれば大学を卒業し、そのまま専業主婦として家庭に入るつもりだ。
というのも、圭吾と散々話し合った結論である。
圭吾は最初、無理して家庭に入る必要は無いと言った。
家事なら分担すればいいし、子どもだって遅くてもいい、と。
だが零はそれを希望しなかった。
はやく結婚して、圭吾さんの子どもがほしいと言って聞かなかった。
「確かにね、それはそうかも。
俺の母親だってあと何年で子どもを抱っこできなくなるかわからないし」
零は自分のお腹に手を当て、そっと呟いた。
「前にも言ったかもしれませんけど、
ずっと夢だったんです。
ここで十月十日、好きな人の赤ちゃんを育てて、産みたいって…」
零があまりにも艶めかしく微笑むので、
圭吾は少しくらっとした。
まるで聖母の微笑みだ。
「零がお母さんだったら、きっと赤ちゃんはかわいい顔をして生まれてくるんだろうね」
圭吾はそう言って、立ち上がる。
零の飲み終わったカップと自分のカップを洗いに、キッチンへ向かう。
零はその間に寝る支度を始め、今日も彼に抱かれるためにコンドームを準備しておくのだった。

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急に時間が飛んでしまいましたが、
少しずつ終わりが見えてきました。
はやく…ゆいを…
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