子持ちの同僚の弁当に口出ししたらなぜか俺がママに任命されました

よる

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本編

こんな弁当見たことない

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「え、なにこれ!?弁当にグミ?ってかご飯にパスタにパンはやばいだろ!」
大手文房具メーカーに勤める林田洸希はやしだこうきは、同僚の西條京さいじょうけいの昼食を見て目を丸くする。
いつもはコンビニ弁当や近くのカフェで昼食をとる西條が、珍しくお弁当を作ってきたと言うのでどれ見てやろうとついてきたのだ。
会社近くの芝生のベンチに座ると、春の暖かい陽射しが2人を包む。
最高のピクニック日和だと言うのに、西條の弁当を見た林田はまるで雪でも降り出す寒さかのように身震いした。
「仕方ないだろ。子供の保育園で遠足があるっつってさ、手作りの愛情弁当を持たせてくださいハートだってよ。料理なんて高校の調理実習以来だし、コンビニ弁当でも詰めてやろうかと思ったら子供が怒るもんでさ」
はあ、とため息をつき、かろうじてふりかけがかかっている白米に箸をつける。
「わ、わあ…。大変だな。あれだろ、兄ちゃんの子供を引き取ったとかいう」
2か月前、いつもは爽やかに髪をセットして颯爽と歩いている西條が、どっと疲れた顔をしてクシで梳かしただけの髪で出勤するようになった。
理由を聞くと、シングルファーザーとして子供を育てていた西條の兄が事故で亡くなり、誰も子供の引き取り手がいないということで生活に余裕のあった西條が名乗り出たのだと言う。
兄親子とは月一で会っていたし、子供にも懐かれていたのでなんとかなるだろうと思っていたものの、唯一の親を亡くし精神的に不安定な子供は毎晩3度は夜泣きで起きてしまうのだそう。
未婚で子育て経験のない西條は仕事にくるのが精一杯だと言っていたが、それもこの2ヶ月でまた爽やかな西條に戻っていたので慣れたと思っていたのだが。
「でもこれ、子供にも同じの持たせたのか?今頃保育士が絶叫してるだろうに…」
林田は自分の作ってきたおにぎりを食べながら、眉をひそめた。
「いや、子供のはもうちょっと盛り付け頑張ったよ。俺はその余りを詰めてきただけで…」
そう言い訳するが、語尾が弱くなっているあたり盛り付け以前に具材が悪いのだと自覚しているらしい。
「てかお前、まさか家でもコンビニ弁当とか出してんのか?さすがに栄養偏るだろ、愛情も!」
林田は前に写真で見せてもらった子供の顔を思い浮かべながら、とても不憫に思った。
「そんなに言うなら頼むよ、林田。お前が子供のママになってくれ」
そう言った西條と林田の間に、春とは思えぬ冷たい風が吹いた。
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