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本編
パパとママ
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「わかった、俺がママになってやる!」
昼休み、同僚の西條にそう豪語した林田洸希は仕事の合間を縫って今日の夕食のメニューを考えていた。
4歳の子供の好きな食べ物と言えば、王道のハンバーグだろうか。
それなら野菜をたっぷり刻んで入れてもバレないだろうし、栄養もしっかりとれる。
さっき西條にアレルギーの有無を確認し、特にないとのことだったのでこれからいろんなものを食べさせてやろうと考えを膨らませた。
突然同僚から子供のママになってくれだなんて意味のわからないお願いをされ、普通なら嫌がるところだというのに、年の離れた弟妹の多い林田は久しぶりに子供に触れ合えるのを楽しみにしている。
それに男の子だと言うので、一緒に遊ぶことを想像して表情が緩んでしまった。
定時になると、いつもは少し残業して仕事が終わっていない後輩たちの手伝いをするのだが、今日はお迎えのある西條と一緒に会社を出る。
まだ少し明るい空の下を、駅まで二人で歩く。
「今日はハンバーグにしようと思うんだけど、西條はそれでいい?嫌いなものとかあったら遠慮なく言えよ」
西條は俺もハンバーグ好き、と言って嬉しそうにする。
二人で電車に乗り、一旦途中の駅で降りて林田の荷物を取りに向かう。
とりあえず土日までの3日分の着替えや生活用品をスーツケースやボストンバッグに詰め、二人で西條の家まで運んだ。
育てている豆苗を切ってジップロックに入れ、今日の夕飯用に持ってきたのでそれだけ冷蔵庫に入れると、二人で家を出て西條は保育園へお迎えに、林田はスーパーへ買い物に向かった。
西條は保育園に着くと、気まずそうな保育士に
「西條さん…さすがにお弁当にグミは…」
と大量に残ったお弁当を渡される。
今日は落としちゃった子用に余分に持ってきた市販のお弁当を食べたらしく、その分の代金を入れるようにと封筒も渡された。
「涼介くんは食べようとしていたんですけど、溶けたグミでご飯やパスタがでろでろになっていたので喉に詰まらせると危険だからと私たちで止めたんです。
西條さんも頑張って作ってくださったのにすみません…」
西條のようにお昼まで室温で保存されたお弁当はグミも形状を保っていられたが、さすがに遠足ともなると暑さで溶けてしまったらしい。
申し訳なさそうに謝る保育士に謝罪をし、涼介のいるクラスへ向かう。
お友達とブロックで遊んでいた涼介は、声をかけると満面の笑みで西條の方へ走ってきた。
「パパー!」
抱き上げると、ぎゅう、としがみついてくる。
「ごめんな涼介。パパの作った弁当酷かったろ」
西條の兄で涼介の父は、息子に"とと"と呼ばせていた。
なので、西條は"パパ"と呼んでもらうことにしたのだ。
「んーん、おいちかったよ!」
保育士からこっそり渡されたのは、涼介が食べられなかったことを秘密にするためだったのかもしれない。
西條はその優しさに涙が出そうになった。
「ありがとう涼介。でもな、今日からはママが作ってくれることになったんだよ」
ママ?と、涼介は不思議そうに首を傾げた。
西條は涼介の保育園リュックを持ち、涼介と手を繋ぎながら園を出る。
「お料理が上手な、パパのお友達。涼介とパパと一緒に住んで、毎日美味しいご飯作ってくれるって。おうち帰ったら挨拶しような」
涼介の母は涼介を産んですぐに亡くなっている。
涼介の父はそれを涼介に伝えずに逝ってしまったので、涼介にとって母という存在は無いに等しいのだ。
「ママって、りょーちゃんのママ?ほいくえんのみんなみたいにママがいるの!」
涼介は嬉しそうに西條を見上げ、下手くそな足取りでスキップをした。
昼休み、同僚の西條にそう豪語した林田洸希は仕事の合間を縫って今日の夕食のメニューを考えていた。
4歳の子供の好きな食べ物と言えば、王道のハンバーグだろうか。
それなら野菜をたっぷり刻んで入れてもバレないだろうし、栄養もしっかりとれる。
さっき西條にアレルギーの有無を確認し、特にないとのことだったのでこれからいろんなものを食べさせてやろうと考えを膨らませた。
突然同僚から子供のママになってくれだなんて意味のわからないお願いをされ、普通なら嫌がるところだというのに、年の離れた弟妹の多い林田は久しぶりに子供に触れ合えるのを楽しみにしている。
それに男の子だと言うので、一緒に遊ぶことを想像して表情が緩んでしまった。
定時になると、いつもは少し残業して仕事が終わっていない後輩たちの手伝いをするのだが、今日はお迎えのある西條と一緒に会社を出る。
まだ少し明るい空の下を、駅まで二人で歩く。
「今日はハンバーグにしようと思うんだけど、西條はそれでいい?嫌いなものとかあったら遠慮なく言えよ」
西條は俺もハンバーグ好き、と言って嬉しそうにする。
二人で電車に乗り、一旦途中の駅で降りて林田の荷物を取りに向かう。
とりあえず土日までの3日分の着替えや生活用品をスーツケースやボストンバッグに詰め、二人で西條の家まで運んだ。
育てている豆苗を切ってジップロックに入れ、今日の夕飯用に持ってきたのでそれだけ冷蔵庫に入れると、二人で家を出て西條は保育園へお迎えに、林田はスーパーへ買い物に向かった。
西條は保育園に着くと、気まずそうな保育士に
「西條さん…さすがにお弁当にグミは…」
と大量に残ったお弁当を渡される。
今日は落としちゃった子用に余分に持ってきた市販のお弁当を食べたらしく、その分の代金を入れるようにと封筒も渡された。
「涼介くんは食べようとしていたんですけど、溶けたグミでご飯やパスタがでろでろになっていたので喉に詰まらせると危険だからと私たちで止めたんです。
西條さんも頑張って作ってくださったのにすみません…」
西條のようにお昼まで室温で保存されたお弁当はグミも形状を保っていられたが、さすがに遠足ともなると暑さで溶けてしまったらしい。
申し訳なさそうに謝る保育士に謝罪をし、涼介のいるクラスへ向かう。
お友達とブロックで遊んでいた涼介は、声をかけると満面の笑みで西條の方へ走ってきた。
「パパー!」
抱き上げると、ぎゅう、としがみついてくる。
「ごめんな涼介。パパの作った弁当酷かったろ」
西條の兄で涼介の父は、息子に"とと"と呼ばせていた。
なので、西條は"パパ"と呼んでもらうことにしたのだ。
「んーん、おいちかったよ!」
保育士からこっそり渡されたのは、涼介が食べられなかったことを秘密にするためだったのかもしれない。
西條はその優しさに涙が出そうになった。
「ありがとう涼介。でもな、今日からはママが作ってくれることになったんだよ」
ママ?と、涼介は不思議そうに首を傾げた。
西條は涼介の保育園リュックを持ち、涼介と手を繋ぎながら園を出る。
「お料理が上手な、パパのお友達。涼介とパパと一緒に住んで、毎日美味しいご飯作ってくれるって。おうち帰ったら挨拶しような」
涼介の母は涼介を産んですぐに亡くなっている。
涼介の父はそれを涼介に伝えずに逝ってしまったので、涼介にとって母という存在は無いに等しいのだ。
「ママって、りょーちゃんのママ?ほいくえんのみんなみたいにママがいるの!」
涼介は嬉しそうに西條を見上げ、下手くそな足取りでスキップをした。
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