子持ちの同僚の弁当に口出ししたらなぜか俺がママに任命されました

よる

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本編

いただきます

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ちょうどお風呂から上がって髪を乾かした涼介が、わ~!と嬉しそうにプレートを覗き込む。
「はい、これは豆苗サラダね。涼介くんは苦手かもしれないから、一応大人用」
3人で席につき、いただきます!と言って手を合わせる。
林田は久しぶりに誰かと食べる夕食に、心がじんわりと温かくなった。
「え、美味。なにこれ美味!」
西條は、一口食べると目を見開いた。
涼介は本当に美味しいものを食べると声が出なくなるタイプらしく、目をキラキラさせたまま固まっている。
「ふふ、よかった。おかわりもあるからいっぱい食べてね」
ママのとなりすわる!と言って林田のとなりに子供用の椅子を置いて座っている涼介の口を、林田が拭う。
「涼介くん食べるの上手だね。喉に詰まらせないようにお茶も飲もっか」
西條家は2Lのペットボトルのお茶を飲んでいるらしく、林田は節約のためにもこれからはお茶パックを買おうと思った。
涼介はコップを両手で持ち、ごくごくとお茶を飲む。
それからまたハンバーグを食べ、トマトを食べ、お腹いっぱいになったらしく目がとろんとしてきた。
「おっと、もう眠いね。歯磨きしてねんねしようか」
西條よりも子供の扱いに慣れている林田は、涼介にうがいをさせてから歯磨きをした。
イチゴ味の歯磨き粉を子供用の歯ブラシにつけ、涼介の小さな乳歯を磨く。
全部が小さくて、こんなに小さいのに両親をはやくに亡くしていることを考えるといたたまれなくなった。
歯磨きが終わると、涼介は上手にうがいをした。
それから林田の手を取り、寝室へ連れて行ってくれる。
数時間前に初めて会ったと言うのに、生まれてからずっと一緒にいるかのように甘えてくれる。
「ママ、いっしょにねんねする?」
「ママ、おうちかえらない?」
「ママ、りょーちゃんのことしゅき?」
涼介の口から出る言葉は全部愛おしくて、林田は心がふわふわした。
林田はまだお風呂に入っていないので、西條が寝かしつけをしている間にシャワーを浴びる。
お風呂にはたくさんのおもちゃが置いてあり、壁につけて水を入れると動くおもちゃや、湯船に浮かべるアヒル、釣りセットなどがある。
どれも新品らしく、西條がここに涼介を連れてきてからなんとかお風呂を楽しんでもらおうと試行錯誤したことが手に取るようにわかった。
突然同僚から子供のママになってくれなんて無茶なことを言われ、普通なら引くところを林田が引き受けたのは、西條のこういうところを尊敬するからなのかもしれない。
西條は普段から、人に頼る前に自分でなんとかしようと努力する。
それでも分からない時は上司や同僚を頼るけれど、それはごく稀で、実際は頼られることの方が多い。
そんな西條が、あんなに真剣に頼んできたのだ。
自分にやれることならやってやりたいと思う、林田もお人好しなのだ。
15分ほどでお風呂から上がり、無事寝かしつけを終えた西條に小さな声で
「お風呂ありがとう」
とお礼を言った。
それから林田のために空けてくれた部屋で髪を乾かし、歯磨きが終わったところで疲れて眠ってしまった。
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