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本編
世界がきらきら輝いてる
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林田は目が覚めると、真っ先に自分の左手を見て頬を緩ませた。
カーテン越しに照らす太陽の光も相まって、いっそう輝いて見える。
昨日西條から改めてプロポーズをしてもらい、泣きながら指輪を受け取った林田。
涼介を迎えに行って家に帰ったあとは、ずっと気分がふわふわしていた。
結婚は元々決まっていたのに、ちゃんとプロポーズをされて婚約指輪をもらうことがこんなに幸せだったとは。
昔は男の自分は贈る側だと思っていたし、西條と交際するようになってからはそういうものとは無縁だと思っていた。
プロポーズだって気持ちが籠っていれば言葉だけで十分だと思っていた。
それなのに、あんなに素敵な場所で素敵な言葉と指輪を貰えたことが嬉しくてたまらない。
西條の愛する人だと証明され、認められた気がした。
「ん~……ママぁ?」
しばらくベッドの上で昨日の余韻に浸っていると、涼介がむくりと目を覚ました。
「おはよう~、おいで」
手を広げると、涼介はなんの迷いもなく腕の中に飛び込んでくる。
むぎゅう、と抱きしめ前後に揺れると、涼介は気持ちよさそうに林田に身を委ねた。
まだ出会ってほんの数ヶ月だというのに、涼介は林田を本当の母親のように慕っている。
父親と違って母親という存在がいた記憶のない涼介は、西條以上に林田を親だと思いやすいのかもしれない。
西條は元々叔父として接していたのだからそりゃそうなのだが、林田は涼介がちゃんと自分を親だと思ってくれていることが本当に嬉しくてたまらなかった。
「ママだいすき~」
「ママも涼介くんだいすき、世界で一番だいすきで大切だよ」
悪いことをしたら叱ることもあるが、それ以上に愛情を言葉にして伝えることが大事だと林田は思っている。
それはかつて林田の母親が同じようにしてくれていたように。
どんなに忙しくて疲れていても、母親は一度だって子供たちに対してマイナスなことを言ったことは無い。
いくら叱られても、最後には仲直りをして
「世界で一番大好きよ~」
と言って抱きしめてくれた。
今はそれを、自分の息子にできることが嬉しい。
「よし、朝ごはん作ろうかな~。涼介くんはまだごろんしてる?」
林田が聞くと、涼介は迷わず
「ママのおてちゅだい~」
と言って抱っこしたまま2人でリビングへ向かった。
「あれ!林田さんご結婚されるんですか?」
仕事中、林田は領収書を提出した事務の女性にこそっとそう聞かれた。
指輪をつけていくかは家を出る10分前まで悩んだが、婚約期間はあともう少ししかないのだし、せっかくだからとつけていくことにしたのだ。
もうすでに、何人かは気がついて声をかけてくれている。
「はい、実は西條になるんです。紛らわしいので呼び名は今まで通り林田でお願いします」
女性はちらりと西條の方を見ると、にっこりと笑った。
「あの西條さんを勝ち取ったわけですね~?今頃社内の女性陣が咽び泣いていますよ」
あはは、と笑い、
「おめでとうございます!」
と祝福してくれる。
デスクに戻ると、膝の上でこっそり指輪を眺めて微笑んだ。
「浮かれてるみたいで恥ずかしかったけど、みんなにおめでとうって言われて嬉しかったな~。西條になります、って言う時緊張した」
林田は西條とお弁当を食べながら、嬉しそうに話す。
「俺も、何人かに声かけられたよ。おめでとうって言われるの、こんなに嬉しいんだな」
名義の変更などがあるので上司には伝えるつもりでいたが、他の社員には聞かれた時だけにする予定だった。
同性婚が珍しくない都会とはいえ、いまだに偏見の目を向けられることはある。
実際に直面したことはないが、わざわざ言って傷つくかもしれない可能性を抱えている以上、あまり大きな声では言えないのだ。
それでも、指輪に気づいて声をかけてもらえて、相手を言ってもそのままの調子で祝福してもらえたことが嬉しい。
西條のファンには質問攻めを食らったが、それでも嫌味を言われることはなかった。
「幸せだなあ」
2人は、心からそう思った。
カーテン越しに照らす太陽の光も相まって、いっそう輝いて見える。
昨日西條から改めてプロポーズをしてもらい、泣きながら指輪を受け取った林田。
涼介を迎えに行って家に帰ったあとは、ずっと気分がふわふわしていた。
結婚は元々決まっていたのに、ちゃんとプロポーズをされて婚約指輪をもらうことがこんなに幸せだったとは。
昔は男の自分は贈る側だと思っていたし、西條と交際するようになってからはそういうものとは無縁だと思っていた。
プロポーズだって気持ちが籠っていれば言葉だけで十分だと思っていた。
それなのに、あんなに素敵な場所で素敵な言葉と指輪を貰えたことが嬉しくてたまらない。
西條の愛する人だと証明され、認められた気がした。
「ん~……ママぁ?」
しばらくベッドの上で昨日の余韻に浸っていると、涼介がむくりと目を覚ました。
「おはよう~、おいで」
手を広げると、涼介はなんの迷いもなく腕の中に飛び込んでくる。
むぎゅう、と抱きしめ前後に揺れると、涼介は気持ちよさそうに林田に身を委ねた。
まだ出会ってほんの数ヶ月だというのに、涼介は林田を本当の母親のように慕っている。
父親と違って母親という存在がいた記憶のない涼介は、西條以上に林田を親だと思いやすいのかもしれない。
西條は元々叔父として接していたのだからそりゃそうなのだが、林田は涼介がちゃんと自分を親だと思ってくれていることが本当に嬉しくてたまらなかった。
「ママだいすき~」
「ママも涼介くんだいすき、世界で一番だいすきで大切だよ」
悪いことをしたら叱ることもあるが、それ以上に愛情を言葉にして伝えることが大事だと林田は思っている。
それはかつて林田の母親が同じようにしてくれていたように。
どんなに忙しくて疲れていても、母親は一度だって子供たちに対してマイナスなことを言ったことは無い。
いくら叱られても、最後には仲直りをして
「世界で一番大好きよ~」
と言って抱きしめてくれた。
今はそれを、自分の息子にできることが嬉しい。
「よし、朝ごはん作ろうかな~。涼介くんはまだごろんしてる?」
林田が聞くと、涼介は迷わず
「ママのおてちゅだい~」
と言って抱っこしたまま2人でリビングへ向かった。
「あれ!林田さんご結婚されるんですか?」
仕事中、林田は領収書を提出した事務の女性にこそっとそう聞かれた。
指輪をつけていくかは家を出る10分前まで悩んだが、婚約期間はあともう少ししかないのだし、せっかくだからとつけていくことにしたのだ。
もうすでに、何人かは気がついて声をかけてくれている。
「はい、実は西條になるんです。紛らわしいので呼び名は今まで通り林田でお願いします」
女性はちらりと西條の方を見ると、にっこりと笑った。
「あの西條さんを勝ち取ったわけですね~?今頃社内の女性陣が咽び泣いていますよ」
あはは、と笑い、
「おめでとうございます!」
と祝福してくれる。
デスクに戻ると、膝の上でこっそり指輪を眺めて微笑んだ。
「浮かれてるみたいで恥ずかしかったけど、みんなにおめでとうって言われて嬉しかったな~。西條になります、って言う時緊張した」
林田は西條とお弁当を食べながら、嬉しそうに話す。
「俺も、何人かに声かけられたよ。おめでとうって言われるの、こんなに嬉しいんだな」
名義の変更などがあるので上司には伝えるつもりでいたが、他の社員には聞かれた時だけにする予定だった。
同性婚が珍しくない都会とはいえ、いまだに偏見の目を向けられることはある。
実際に直面したことはないが、わざわざ言って傷つくかもしれない可能性を抱えている以上、あまり大きな声では言えないのだ。
それでも、指輪に気づいて声をかけてもらえて、相手を言ってもそのままの調子で祝福してもらえたことが嬉しい。
西條のファンには質問攻めを食らったが、それでも嫌味を言われることはなかった。
「幸せだなあ」
2人は、心からそう思った。
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