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【第1話】『そして、正義は俺を見捨てた』
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視界が、赤かった。
それは流れ落ちる自分の血の色か、それとも空を焦がす炎のせいか。よくわからなかった。ただ一つ確かに言えるのは──今、自分たちは負けたという事実。
空中に浮かぶ崩壊した都市の残骸。溶けかけたビル群。異様に静かな風が吹き抜ける。
「……う、ぐっ……!」
がれきの中で、日向イツキは呻き声をあげて立ち上がる。血に塗れたマスクの下の顔が、歯を食いしばる音を立てた。
かつて“セイガンレッド”と呼ばれた彼のボディスーツは、既に半壊している。赤いヒーロースーツの光沢は失われ、装甲のあちこちに焼け跡と亀裂が走っていた。
「イツキ! 生きてたのか……」
声をかけてきたのはセイガンブルー──千堂レンだ。かつての仲間であり、同じ戦隊に所属していた。
「……ああ。なんとか……な」
イツキが手を伸ばしかけたその時だった。
レンの目が、冷たく細まった。
「……なんだその顔。悪びれた様子もないのか?」
「は……?」
意味がわからず、イツキはまばたきした。
だが、次の瞬間、彼の背後にいた仲間たちも姿を現す。セイガンイエロー、セイガングリーン、セイガンピンク──その誰もが、険しい表情だった。
「俺たちは、全滅寸前だったんだぞ……!」
「なにが“特攻する”だ……! あんたが突っ込んで、敵の総帥に一人で挑んだから、部隊が分断されて──!」
「作戦無視したのは、レッド……いや、お前だよ、日向イツキ」
責め立てる言葉の嵐。焼けつくような瞳が突き刺さる。
「待て……あの時は、分断される前に奴を止めるチャンスだったんだ。あれを逃したら、被害はもっと……!」
「“正義のために俺が犠牲になればいい”って、いつもそうだよな、お前」
レンが呟く。静かな言葉に、凍りつくような重みがあった。
「お前はいつだって、自分だけで勝手に突っ走ってきた。仲間を信じず、一人で抱え込んで……それでこのザマだよ」
「…………」
イツキは言葉を失った。
焼け跡の向こう、黒煙が立ち上る都市の片隅に、見覚えのある影が立っていた。
──ネメシスの総帥、“メフィウス”。
彼はもう戦っていなかった。どこか皮肉げに微笑みながら、ただこちらを見下ろしていた。
「もう……お前は、ヒーローじゃない」
ピンクの少女・ヒナが絞り出すように言った。
「今日限りで、セイガンファイブから……追放よ」
鼓膜が破れそうなほど、世界が静かだった。瓦礫が風に吹かれてカラカラと転がる音だけが響いていた。
イツキは、それをただ受け止めた。
何も言い返さなかった。できなかった。
気づいていた。自分が独りよがりだったことに。戦うことでしか生きられなかったことに。
だが──。
「俺を……見捨てるのか」
唇から、低く、呟きが漏れた。
「一緒に笑った仲間も、拳を合わせた絆も、全部……“負けた”ってだけで、捨てるのか……!」
その言葉に、誰も答えなかった。
やがて、ブルーがぽつりと呟いた。
「──さらばだ、“元”レッド」
そして彼らは、去っていった。
崩壊した空に、昭和風ヒーローのシルエットが沈んでいく。背中のマントが風に揺れて、やがて小さくなる。
その場に残されたイツキは、膝をつき、苦笑した。
「……ああ。なら、俺もやるよ。“ヒーローじゃない”俺を……」
その瞬間、視界の端に“何か”が映った。
瓦礫の隙間から覗く、蛇のようにうねる黒い影。甘い香水の匂いが、風に乗って漂ってくる。
「──ずいぶん、情けない顔ねぇ。元レッドさん?」
その声は、艶やかで、どこかくすぶった炎のように熱を帯びていた。
彼女が姿を現したのは、まるで舞台の幕が上がるようだった。
妖艶なボディライン。光沢のあるバイオスーツ。瞳の奥で妖しく輝く、琥珀の光。
蛇型怪人《ラミア=カーニヴァル》が、くすりと笑う。
「うちの幹部候補になってみない? 今なら改造、タダでしてあげる」
イツキは目を細め、ゆっくりと立ち上がった。
「……あんた、敵の幹部だろ?」
「ええ。敵だったわ。でも、今のあなたは……どっちなのかしらね?」
ディストピアの空の下。
炎と絶望に包まれた瓦礫の中心で、かつてのヒーローは、初めて“悪の手”を取った。
これは、“正義”に見捨てられた男の、もうひとつの戦いのはじまりである。
※※
皆さま、本作『戦隊ヒーロー追放された俺、なぜか敵の幹部になって世界を変えていた件』を読んでくださって本当にありがとうございます!
この物語、地味に100話超えを視野に入れた長編構成となっておりまして、毎回ド派手に爆破したり、元仲間をざまぁしたり、怪人が溶かしたり、ヒーローがトラウマになったりと、作者の精神力をゴリゴリに削る重労働でございます(愛ゆえに)。
ですが、そんな深夜テンションで戦っている私を救ってくれるのが――そう、あなたの「お気に入り登録」や「感想」なんです!
お気に入りボタンを押す→作者のやる気ゲージが1本回復!
感想を送る→作者、涙を流しながら紅茶をすする!
皆さまの反応が、この物語を完走させる最大の燃料です!
書籍化も夢見つつ、今日もキーボードをカタカタ鳴らしながら、戦隊と怪人と陰謀を混ぜまくったストーリーを全力で執筆中。
今後も「まさかの展開」「読者の予想を裏切るキャラの掘り下げ」「怪人の無駄にグロい手術シーン」など盛りだくさんでお届け予定ですので、どうぞ応援よろしくお願いします!
どうか……どうかお気に入りを……
(作者、そっと正座)
それは流れ落ちる自分の血の色か、それとも空を焦がす炎のせいか。よくわからなかった。ただ一つ確かに言えるのは──今、自分たちは負けたという事実。
空中に浮かぶ崩壊した都市の残骸。溶けかけたビル群。異様に静かな風が吹き抜ける。
「……う、ぐっ……!」
がれきの中で、日向イツキは呻き声をあげて立ち上がる。血に塗れたマスクの下の顔が、歯を食いしばる音を立てた。
かつて“セイガンレッド”と呼ばれた彼のボディスーツは、既に半壊している。赤いヒーロースーツの光沢は失われ、装甲のあちこちに焼け跡と亀裂が走っていた。
「イツキ! 生きてたのか……」
声をかけてきたのはセイガンブルー──千堂レンだ。かつての仲間であり、同じ戦隊に所属していた。
「……ああ。なんとか……な」
イツキが手を伸ばしかけたその時だった。
レンの目が、冷たく細まった。
「……なんだその顔。悪びれた様子もないのか?」
「は……?」
意味がわからず、イツキはまばたきした。
だが、次の瞬間、彼の背後にいた仲間たちも姿を現す。セイガンイエロー、セイガングリーン、セイガンピンク──その誰もが、険しい表情だった。
「俺たちは、全滅寸前だったんだぞ……!」
「なにが“特攻する”だ……! あんたが突っ込んで、敵の総帥に一人で挑んだから、部隊が分断されて──!」
「作戦無視したのは、レッド……いや、お前だよ、日向イツキ」
責め立てる言葉の嵐。焼けつくような瞳が突き刺さる。
「待て……あの時は、分断される前に奴を止めるチャンスだったんだ。あれを逃したら、被害はもっと……!」
「“正義のために俺が犠牲になればいい”って、いつもそうだよな、お前」
レンが呟く。静かな言葉に、凍りつくような重みがあった。
「お前はいつだって、自分だけで勝手に突っ走ってきた。仲間を信じず、一人で抱え込んで……それでこのザマだよ」
「…………」
イツキは言葉を失った。
焼け跡の向こう、黒煙が立ち上る都市の片隅に、見覚えのある影が立っていた。
──ネメシスの総帥、“メフィウス”。
彼はもう戦っていなかった。どこか皮肉げに微笑みながら、ただこちらを見下ろしていた。
「もう……お前は、ヒーローじゃない」
ピンクの少女・ヒナが絞り出すように言った。
「今日限りで、セイガンファイブから……追放よ」
鼓膜が破れそうなほど、世界が静かだった。瓦礫が風に吹かれてカラカラと転がる音だけが響いていた。
イツキは、それをただ受け止めた。
何も言い返さなかった。できなかった。
気づいていた。自分が独りよがりだったことに。戦うことでしか生きられなかったことに。
だが──。
「俺を……見捨てるのか」
唇から、低く、呟きが漏れた。
「一緒に笑った仲間も、拳を合わせた絆も、全部……“負けた”ってだけで、捨てるのか……!」
その言葉に、誰も答えなかった。
やがて、ブルーがぽつりと呟いた。
「──さらばだ、“元”レッド」
そして彼らは、去っていった。
崩壊した空に、昭和風ヒーローのシルエットが沈んでいく。背中のマントが風に揺れて、やがて小さくなる。
その場に残されたイツキは、膝をつき、苦笑した。
「……ああ。なら、俺もやるよ。“ヒーローじゃない”俺を……」
その瞬間、視界の端に“何か”が映った。
瓦礫の隙間から覗く、蛇のようにうねる黒い影。甘い香水の匂いが、風に乗って漂ってくる。
「──ずいぶん、情けない顔ねぇ。元レッドさん?」
その声は、艶やかで、どこかくすぶった炎のように熱を帯びていた。
彼女が姿を現したのは、まるで舞台の幕が上がるようだった。
妖艶なボディライン。光沢のあるバイオスーツ。瞳の奥で妖しく輝く、琥珀の光。
蛇型怪人《ラミア=カーニヴァル》が、くすりと笑う。
「うちの幹部候補になってみない? 今なら改造、タダでしてあげる」
イツキは目を細め、ゆっくりと立ち上がった。
「……あんた、敵の幹部だろ?」
「ええ。敵だったわ。でも、今のあなたは……どっちなのかしらね?」
ディストピアの空の下。
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これは、“正義”に見捨てられた男の、もうひとつの戦いのはじまりである。
※※
皆さま、本作『戦隊ヒーロー追放された俺、なぜか敵の幹部になって世界を変えていた件』を読んでくださって本当にありがとうございます!
この物語、地味に100話超えを視野に入れた長編構成となっておりまして、毎回ド派手に爆破したり、元仲間をざまぁしたり、怪人が溶かしたり、ヒーローがトラウマになったりと、作者の精神力をゴリゴリに削る重労働でございます(愛ゆえに)。
ですが、そんな深夜テンションで戦っている私を救ってくれるのが――そう、あなたの「お気に入り登録」や「感想」なんです!
お気に入りボタンを押す→作者のやる気ゲージが1本回復!
感想を送る→作者、涙を流しながら紅茶をすする!
皆さまの反応が、この物語を完走させる最大の燃料です!
書籍化も夢見つつ、今日もキーボードをカタカタ鳴らしながら、戦隊と怪人と陰謀を混ぜまくったストーリーを全力で執筆中。
今後も「まさかの展開」「読者の予想を裏切るキャラの掘り下げ」「怪人の無駄にグロい手術シーン」など盛りだくさんでお届け予定ですので、どうぞ応援よろしくお願いします!
どうか……どうかお気に入りを……
(作者、そっと正座)
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