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傾城町
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吾輩はいつもの別荘でまったりして、夜中にお土産を持って帰ってくる主を待っているのだが。
昨日、主が近江牛を先日できた牛舎に連れて来た。そしてサトウキビからできた含蜜糖から素焚糖を作ることに成功して、ロールケーキ作製の準備をしている。借家より立派なお風呂と台所があって、
畑に牛舎、厩と順調に増築している。そして、修行と寝る間もなく働いている。ただし、寝る間がないのは付喪神のせいだが。
関白が「聚楽第」という城をを中心とした京へと都市改造しようと、「先ず洛中洛外を定むべし」と諸大名に命じ御土居を築かせ、市中に散在していた公家屋敷、寺院、遊女屋をそれぞれ一か所に集中させるように命令しだした。
ちなみに公家屋敷が集められる町は「公家町」、寺院が集められる町は「寺町」と名付けられる予定ですが。大坂に次いで二番目に遊女屋が集められる場所が、柳馬場通と二条通との交差点付近に『二条柳町』という、京都に最初の遊廓が設けられる予定だ。これは秀吉の肝いりで、その周りには綺麗な柳の並木が形成されるらしい。爺様はこの二条柳町は内裏や聚楽第の近くにあり、関白が遊女たちを召し抱えたり、利権を利用することも目的であると考えた。
◆◆◆◆…………
御所の修築も行われた。御所修築は信長時代にもあったが,秀吉のそれは新造ともいうべき本格的なもので、御所は面目を一新。聚楽第と御所の偉容は,上京の景観を完全に変えた。
秀吉は都市改造も断行した。洛中を取り囲むお土居の構築と街区の再編成を命じたのである。お土居は,東は鴨川,北は鷹峰,西は紙屋川,南は九条に至る延長二百六丁,高さ約二間半の土塁で,外側には幅五間の堀を伴った。この土塁は,外敵侵入を阻止する軍事的意味合いと同時に,鴨川など河川の氾濫から市街地を守る役割を持っていた。秀吉は,かつての平安京をイメージしながらも,京都の地形並びに治水対策を考えた綿密な計画のもとに都市改造を行ったのである。京都は聚楽第を中心に巨大な城塞都市に変貌した。
お土居の造成に前後して寺院街の建設も行われた。各寺院を強制移転させ,市街地の東側には「寺町」を,北部には「寺之内」を形成したのである。この寺院街の造成もまた,上京に新たな景観を生み出した。また,市街地も四条室町を中心に四分割して,それぞれに特徴を持たせ,条坊制に基づく平安京の町を短冊形に改め道路幅も縮小,ほぼ現在の道幅に変更した。改造された京都の街は,平安京のイメージは残すものの,聚楽第と御所を中心とした軍事的性格を持つ城下町的形態となり,平安京の左右対称的な構造は失われた。
□□□□…………大和屋五右衛門
「越後屋さん、呼び出して悪かったね」
「全くだよ、大和屋さん。こんな雨の日に。風も吹いてきたじゃないか」
昼なのに外は暗く、部屋には蝋燭で火を灯している。我が家の座敷で盃を交しているのは、私、大和屋五右衛門と越後屋庄左エ門。どちらもこの京に店を構える生粋の商人である。最近の越後屋はどうかしているので、いろいろ正そうと、越後屋を呼んだのだ。
こいつは先妻が亡くなってから、少しおかしくなっている。以前は、痩せていて色男だったのに、最近はすっかり肥え太ってしまった。私は節制癖があり、今も痩せ型だが、越後屋は四十を越したばかりなのに、でっぷりしてしまった。
「どうしても見過ごせなくてね。何だい、ありゃ? 勝蔵のとこのならず者を店にたくさん引き込んで」
勝蔵は口入れ屋の表看板を出している侠客だ。
「ならず者とはご挨拶だね。お前さんもご存じだろ、先日盗人に入られて千両箱を持って行かれた。また、来るかもしれないので用心のためさ。人手のいる所に助けを求めただけだよ」
「なるほどね。にしてもあんなに大人数かい?」
「念の為だよ、念の為。」
越後屋はまったく身を持ち崩している。今の後妻も、借金のカタに取ったも同然で、その伴につけていた女中も同様だ。女にだらしがなさすぎ、金で雁字搦めにするやり口があこぎだ。
「逐一、様子は伝わってるよ。人の口に戸は立てられないからね。また、借金で雁字搦めにして、女を遊女屋に叩き売ろうとした。それで逃げられたそうじゃないか」
「だから、何だっていうんです」
「もっと分別をつけなって。お前さん、おかしいよ」
「おかしいおかしいって……本当にやかましいねえ」
「京の都で商売やってる店は、一蓮托生なところがあるからね。お城や周りへの聞こえをもっと気にしなよ。商売あがったりになるし、京中のお店全部が変な目で見られかねないんだ」
「何を言ってるんだ、あんただって三年くらい前は散々だったじゃないか」
そう。自分も経験はある。妻を亡くして酒びたりになり、玄朔先生に救われた大病はそのせいだった。商売も没落したし、正直、玄朔先生がお美智を側室として娶ってくれ、私自身も大和屋の商売も後見してくれなければ、とても立ち行かなくなっていただろう。先生がいろいろ前に立ってくれたから、大和屋の仕事も立て直せた。
「だったら、あんただって、暮らしを立て直せるはずだよ」
「ち、ああ言えばこう言うだね。年上で昔馴染みだからって、説教はまっぴらごめんだね」
「ふぅ……しょうがないねえ。そこまで言って聞いてもらえないんじゃしょうがないや。説教めいたことはやめるから、ざっくばらんに昔みたいに腹を割って話せないか? いい酒があるんだよ」
「大和屋さん。あんた、酒をやめてたじゃないか。座の寄り合いにも来なかったし」
「チビチビやる分には、いいんだよ。今日はどうせ商売にならないし、かまわないだろ?」
店の者が酒の入った別の大きい徳利と盃、酒肴の乗った膳を持ってくる。
飲みながら、昔話を始めれば、ガキ大将だったあいつがどうだ、優男のやつがどうしたと、打ち解けて語り合える。だが、女を不幸にするのはちとやり過ぎだし、逃げ出した女中だって城下から出てしまえば、無事で済むわけがない。
「あんたあ、喧嘩がめっぽう強かったな、五右衛門さん」
「なあに、餓鬼のころの話だ」
「いやいや、あんたが二十歳くらいまでは、やくざ者まで震えてたよ」
「そういやなぁ、和嶋屋と加斗屋、覚えてるかい?」
「ああ、遊女屋の。どっちも酷かったねえ。借金が終わっても騙して女郎を続けさせて。そういや、不意に消えちまったんだよな。どこへ雲隠れしたのやら」
「どうしたんだろうねえ。まあ、お前さんもすぐに思い知るよ」
「何だって?……んっ……はっ……ぐっ」
ああ、薬が利いてきた。多分、越後屋は身体が痺れて、手足の自由が効かなくなり、声も出せない……そのことに戸惑っている。酒に酔ったどころではない。
「今だからこそ話すが、和嶋屋と加斗屋な。奴らぁ、私が消したのさ」
「はっ? なっ……ん…だ……」
「無理するなよ。まともに喋れないだろう? どっちも七・八年前だ。二人ともやくざ者で手を握って、悪辣を極めてた。今回とは違って匕首でやっちまったが」
「たった……す……け…………」
越後屋は事態を悟ったらしいが、ここまで来たら引き返せない。
「あんたが泣かせた女は、一人二人ですまないしな。調べがついただけでも二十人はいるし、五人死んでる。今回の女も行方知れずだ。やり口も女衒の方がマシだろう。勝蔵も近いうちに地獄に送ってやるから、待ってるといい…」
先生とお美智が調合した薬はなかなか効くようだ。心配しなくてもいい毒ではない眠り薬だ。気の高まりを鎮め、よく眠れるようになる薬だ。だが、普通の人に適量を超えて投ずれば毒も同然で、身動きが取れなくなる。意識もなくなる。酒に溶かせば、効き目が倍増するらしいから、ひとたまりもない。ついに昏倒して、動かなくなった。
「手伝ってくれ」
「へい」
番頭の三左衛門と手代の五助が隣の間に控えていた。和嶋屋と加斗屋を消すときから手伝ってくれた仲間同志だ。越後屋へも使いに出て、人目につかないように、ここに案内してくれた。配膳も彼がしてくれ、店の中で越後屋の来訪を知る者は他にはいない。
後は二人に任せると越後屋を戸板に乗せて、店の裏庭のすぐ横を流れる堀川に繋がる水路に、越後屋の体を運ぶ。箕と笠を着けたとはいえ、雨が激しく着物にも水が染みてくる。そうして苦労して運んだ越後屋の身体をそっと水路に浮かべる。
顔を付けて水面に浮かんだ越後屋の身体はジッとしたまま、流されていく。この雨では誰も見咎める者はない。雨中に出かけて誤って水路に落ち、流されたということになるだろう。
「ご苦労だったね。後で一杯飲んでおくれ……」
「いえ。旦那のお手伝いになっていればいいんです」
「まあ、やつはちょっとやり過ぎた。やつの息子なら堅実に商売をするだろう」
「薬は大丈夫なんですかね?」
「ばれないかってことかい。大丈夫だ死因はたらふく水を飲んだ溺死。死因に薬は関係ないからね」
先日警告したんだけどね、どうやら直らないらしいから、ささやかな世直し。商売をしているだけではなく、この町を少しずつまっとうにしていく。それは昔からの私の望みであり、そのためになら非道にも手を染める。毒を以って毒を制す……それこそ、今の時代の世直しに求められていることなのだ。
□□□□…………雉川飛益
俺は雉川飛益は京都所司代前田玄以配下で京の治安の維持する千本組一番隊副隊長である。簡単な話、町のなかのいざこざを収めることがお役目だ。
暴力沙汰になっていれば、自分の組下の連中を率いて留めに行くし、法度や慣習・慣例による揉め事なら、争っている事柄のさまざまな証拠を集め、隊長と相談して局長の近藤さんに報告。最後は所司代の前田玄以様に理非の裁定をつけてもらう。
関白様が「五右衛門を必ず捕まえ火炙り。いや、釜茹でにいたせぃ」と厳命した。このお触れを出して以来、所司代様配下は忙しくなるばかり。おかげで退屈しなくていい。千本組の禄高は平均二百石であるが、大名や大身の旗本のように特定の知行地を持っているわけでなく、全部合わせて五十騎分の合計一万石が与えられ、ここに給知世話番をおいて年貢を集め、各隊長に分配した。
検見取といって、毎年の収穫高により年貢高が決まるので、年の豊凶により増減があったが、収穫が二百石とすると、四公六民で年貢は八十石となった。この一部を現金に変え、家族、家来あわせて十五人ほどが一年間生活するのである。
初任の副隊長は百三十石、役格が上がっていくに従い禄高があがって二百石になる。更に同心支配役や年番方などの要職につくと二百三十石程度まであがった。
隊長は隊長以外への転職は絶対になく、どんなに優秀でも成果をあげても局長以上の昇進は絶対になかった。これが旗本とちがうところである。
しかし、隊長はその仕事柄、諸大名や豪商などからの付届が多く、その実収入は少なくとも六百石程度あり、多い人は禄高の何十倍にもなったという。同じくらいの禄高の旗本に比べるとはるかに生活は豊かだった。千本組御用屋敷にも畑があって普段から人手は必要だ。事件や訴訟ごとを解決するよう動いていれば、給金も報奨金も出る。領地の田畑は庄屋に託して小作を入れ、配下は町なかでの仕事に専念させている。配下には副業も認めていて、大概は店持ちで、女房が切り盛りしている。
兵種統一の法度で、隊長は刀を選び、すでに槍や弓は売っ払った。馬と刀があれば十分。戦場で手柄を立てるのは難しくても、別に所司代様配下と副業でやっていけるのだ。今は町なかの事件の詮議で大忙しだ。
「越後屋の騒動の発端が、あの長屋なんですよ。あそこに医者が一人いるんですが、お純って女郎の情夫いろで、順庵って漢方医らしい。そいつが越後屋の女将と女中を誑かしたんで」
その長屋を裏道の角から盗み見しながら、手下の犬飼介三郎の話を聞いたが、一つ合点がいかない。
「越後屋を殺す理由がなかろう?」
「越後屋が金を出すのを突っぱねたから逆上したとかね。脅していたのは、越後屋の息子が出してきた文のほか、報告したとおりで間違いないです」
「ふむ……まあ、いざとなったら、御用部屋に引っ張って絞り上げればいいか」
とは言いえ、実際には違う考えもある。魚心あれば水心。羽振りの良い小悪党とは、いろいろと良い関係を作っておきたいところで、特に順庵は長屋で女郎を何人も暮らさせている。それだけ町の裏面の事情にも通じているはずで、所司代様としては利用したい。そこんとこの値踏みもしたいので、やはり一度、乗り込んでおくべきだろう。
《バターン》
介三郎も連れて長屋へと接近し、いきなり強く入り口の障子戸を開ける。若い優男だ。薬を煎じていたところで、その手が停まる。千本組の隊色の黒色に染めあげた羽織と桐紋入りの額当てをした侍が二人、傍若無人に、にやにや微笑みながら、土間に入り込んでくる様子が理解できないという表情だ。
「邪魔するぜ。順庵だな?」
遠慮なく畳のほうに歩み寄り、順庵の方へ右半身を向ける半身の態勢で畳の縁際に腰掛ける。介三郎は後ろ手に障子を閉め、そこにつっ立っている。
「な、何ですか?」
「怖がらなくていい。これでも所司代様の配下だ」
「お城のお侍さんが、こんなところに何ですか?」
「越後屋のことで聞きてえことがある」
「あーあー、廻船問屋の?」
「とぼけなくていいぜ。越後屋の跡取りから『恐れながら』って届け出があってな。わかるだろ?」
「へ? 何のことですか?」
「おいおい、まだとぼけるか? こないだの雨の翌日に土座衛門姿で見つかって葬儀があったばかりじゃないか。『庄左エ門が土座衛門になっちまった』って笑うには微妙なことまで囁かれてやがる」
「ちょっと待ってくださいな。それと私に何のつながりが?」
「跡取りが証拠として出して来た手紙だと、女将がすごい淫乱女で、その証拠を握ってる。ついては二十五両よこせって話だそうだな」
「だから……」
「待てよ、俺の話はまだ終わってない……ところが、越後屋は金を出すことを頑として拒んだ。女将は酷く折檻され、女将に付いていた女中も逃げ出した。そんなことが町中に知れ渡っちまえば、金を脅し取るもへったくれもねえ。越後屋を逆恨みしたおめえは、雨の日に越後屋を外におびき出して、水路にドボン……そういうこったよな?」
「いやいやいや……何でそうなるんですか。だいたい、俺みたいな細腕で……」
「やかましい……ふんっ!」
俺は脇差の柄に手をかけ、片足を畳に上げ、素早く抜刀すると、奴の喉元へめがけて突き出す。無論、寸止めするつもりだったが……一寸どころか、三寸くらい手前で脇差は、にっちもさっちも行かなくなった。
「なあ、俺たちが入るなり、ここに柱を移動しただろう? すげえ力だ」
「勘弁してくださいよ。三尺程度の三寸柱を移動できても、越後屋さんのあの肥えた体を動かすのは無理です」
「くくくく……とぼけてたくせに、越後屋の体形はしっかり覚えているじゃねえか」
力が緩んだのでゆっくり脇差を引いて鞘に納めて腰掛けなおす。拷問にかけるまでもなく、話が通じるやつだと思った。
「雨の日は、この長屋の内を行ったり来たりですよ。あんな日は女たちは客を取れないから、可愛がってやらないといけないんですよ。五人だから一日仕事で、最後は隣のお純の床でくたばりました」
「情を通じた女なら、嘘の証言をして、お前を庇うかもしれねえな。御用部屋に一緒にしょっ引いてもいいんだぞ」
「女たちに聴いてくださいよ、本当に」
「脅したということに関しちゃ、残念ながら事実が並びすぎてる。文もある。文をお前自身が持ってきたって証言もある。女将がお前にされたことを越後屋に話して、激しく殴る蹴るしてるのを何人も見てる。女中が逃げたのもその煽りで、女郎屋に売っぱらわれた挙げ句に折檻されそうだからだって番頭が言ってる」
「あー、参ったなあ」
「この件だけでも所払いの追放か、牢につながれるか……」
「旦那……金子で片をつけてくださいませんか?」
「いいぜ……」
そう答えた瞬間、奴と目が合う。不意に意識がぼんやりして、光景が暗転した……と思った瞬間
「雉川殿、目を覚まされよ」
がしゃんと何かがひっくり返る音がし、私の頬を誰かが何度か張る。光景が元に戻り、何が起ころうとしたのか、はっきり理解した。
「あー、くそ……術にやられるところだった。お前が気づくのが数瞬遅れていたら危なかった。礼を言うぞ」
順庵は睡眠の術をかけ、私を操るなり、記憶を消そうとするなりしようとしたのだろう。介三郎が勘付き、順庵を慌てて殴り飛ばし、私の目を覚まさせたのだ。
「こいつぁ、ちょっと許せねえな。所司代に訴えをあげるだけじゃあ、勘弁ならん。この場で、徹底的に性根を叩き直してやるか」
介三郎はその言葉を聞くと、ひっくり返って気を失っている順庵に手ぬぐいで目隠しし、捕縛用の縄で手を縛りあげ、手笏で水をぶっかけて目をさせた。
「ぼろを出しちまったな、おい。ちょっとかわいがってやるから、覚悟しな」
順庵の身体を起こし、壁にもたれかからせて正座させると、介三郎が腹に当身を何発も入れる。順庵は吐きそうな声をあげて、身体を前に倒そうとするが、俺が肩や頭を抑えてそうはさせない……あとは嬲るように痛ぶり続ける。
順庵が自分から脅迫の罪状を完全に認め、何でも協力するからと申し出るのに、時間は掛からなかった。
その頃、猿田角の進は越後屋の不審死と五右衛門とのつながりを堀川で探っていた。
昨日、主が近江牛を先日できた牛舎に連れて来た。そしてサトウキビからできた含蜜糖から素焚糖を作ることに成功して、ロールケーキ作製の準備をしている。借家より立派なお風呂と台所があって、
畑に牛舎、厩と順調に増築している。そして、修行と寝る間もなく働いている。ただし、寝る間がないのは付喪神のせいだが。
関白が「聚楽第」という城をを中心とした京へと都市改造しようと、「先ず洛中洛外を定むべし」と諸大名に命じ御土居を築かせ、市中に散在していた公家屋敷、寺院、遊女屋をそれぞれ一か所に集中させるように命令しだした。
ちなみに公家屋敷が集められる町は「公家町」、寺院が集められる町は「寺町」と名付けられる予定ですが。大坂に次いで二番目に遊女屋が集められる場所が、柳馬場通と二条通との交差点付近に『二条柳町』という、京都に最初の遊廓が設けられる予定だ。これは秀吉の肝いりで、その周りには綺麗な柳の並木が形成されるらしい。爺様はこの二条柳町は内裏や聚楽第の近くにあり、関白が遊女たちを召し抱えたり、利権を利用することも目的であると考えた。
◆◆◆◆…………
御所の修築も行われた。御所修築は信長時代にもあったが,秀吉のそれは新造ともいうべき本格的なもので、御所は面目を一新。聚楽第と御所の偉容は,上京の景観を完全に変えた。
秀吉は都市改造も断行した。洛中を取り囲むお土居の構築と街区の再編成を命じたのである。お土居は,東は鴨川,北は鷹峰,西は紙屋川,南は九条に至る延長二百六丁,高さ約二間半の土塁で,外側には幅五間の堀を伴った。この土塁は,外敵侵入を阻止する軍事的意味合いと同時に,鴨川など河川の氾濫から市街地を守る役割を持っていた。秀吉は,かつての平安京をイメージしながらも,京都の地形並びに治水対策を考えた綿密な計画のもとに都市改造を行ったのである。京都は聚楽第を中心に巨大な城塞都市に変貌した。
お土居の造成に前後して寺院街の建設も行われた。各寺院を強制移転させ,市街地の東側には「寺町」を,北部には「寺之内」を形成したのである。この寺院街の造成もまた,上京に新たな景観を生み出した。また,市街地も四条室町を中心に四分割して,それぞれに特徴を持たせ,条坊制に基づく平安京の町を短冊形に改め道路幅も縮小,ほぼ現在の道幅に変更した。改造された京都の街は,平安京のイメージは残すものの,聚楽第と御所を中心とした軍事的性格を持つ城下町的形態となり,平安京の左右対称的な構造は失われた。
□□□□…………大和屋五右衛門
「越後屋さん、呼び出して悪かったね」
「全くだよ、大和屋さん。こんな雨の日に。風も吹いてきたじゃないか」
昼なのに外は暗く、部屋には蝋燭で火を灯している。我が家の座敷で盃を交しているのは、私、大和屋五右衛門と越後屋庄左エ門。どちらもこの京に店を構える生粋の商人である。最近の越後屋はどうかしているので、いろいろ正そうと、越後屋を呼んだのだ。
こいつは先妻が亡くなってから、少しおかしくなっている。以前は、痩せていて色男だったのに、最近はすっかり肥え太ってしまった。私は節制癖があり、今も痩せ型だが、越後屋は四十を越したばかりなのに、でっぷりしてしまった。
「どうしても見過ごせなくてね。何だい、ありゃ? 勝蔵のとこのならず者を店にたくさん引き込んで」
勝蔵は口入れ屋の表看板を出している侠客だ。
「ならず者とはご挨拶だね。お前さんもご存じだろ、先日盗人に入られて千両箱を持って行かれた。また、来るかもしれないので用心のためさ。人手のいる所に助けを求めただけだよ」
「なるほどね。にしてもあんなに大人数かい?」
「念の為だよ、念の為。」
越後屋はまったく身を持ち崩している。今の後妻も、借金のカタに取ったも同然で、その伴につけていた女中も同様だ。女にだらしがなさすぎ、金で雁字搦めにするやり口があこぎだ。
「逐一、様子は伝わってるよ。人の口に戸は立てられないからね。また、借金で雁字搦めにして、女を遊女屋に叩き売ろうとした。それで逃げられたそうじゃないか」
「だから、何だっていうんです」
「もっと分別をつけなって。お前さん、おかしいよ」
「おかしいおかしいって……本当にやかましいねえ」
「京の都で商売やってる店は、一蓮托生なところがあるからね。お城や周りへの聞こえをもっと気にしなよ。商売あがったりになるし、京中のお店全部が変な目で見られかねないんだ」
「何を言ってるんだ、あんただって三年くらい前は散々だったじゃないか」
そう。自分も経験はある。妻を亡くして酒びたりになり、玄朔先生に救われた大病はそのせいだった。商売も没落したし、正直、玄朔先生がお美智を側室として娶ってくれ、私自身も大和屋の商売も後見してくれなければ、とても立ち行かなくなっていただろう。先生がいろいろ前に立ってくれたから、大和屋の仕事も立て直せた。
「だったら、あんただって、暮らしを立て直せるはずだよ」
「ち、ああ言えばこう言うだね。年上で昔馴染みだからって、説教はまっぴらごめんだね」
「ふぅ……しょうがないねえ。そこまで言って聞いてもらえないんじゃしょうがないや。説教めいたことはやめるから、ざっくばらんに昔みたいに腹を割って話せないか? いい酒があるんだよ」
「大和屋さん。あんた、酒をやめてたじゃないか。座の寄り合いにも来なかったし」
「チビチビやる分には、いいんだよ。今日はどうせ商売にならないし、かまわないだろ?」
店の者が酒の入った別の大きい徳利と盃、酒肴の乗った膳を持ってくる。
飲みながら、昔話を始めれば、ガキ大将だったあいつがどうだ、優男のやつがどうしたと、打ち解けて語り合える。だが、女を不幸にするのはちとやり過ぎだし、逃げ出した女中だって城下から出てしまえば、無事で済むわけがない。
「あんたあ、喧嘩がめっぽう強かったな、五右衛門さん」
「なあに、餓鬼のころの話だ」
「いやいや、あんたが二十歳くらいまでは、やくざ者まで震えてたよ」
「そういやなぁ、和嶋屋と加斗屋、覚えてるかい?」
「ああ、遊女屋の。どっちも酷かったねえ。借金が終わっても騙して女郎を続けさせて。そういや、不意に消えちまったんだよな。どこへ雲隠れしたのやら」
「どうしたんだろうねえ。まあ、お前さんもすぐに思い知るよ」
「何だって?……んっ……はっ……ぐっ」
ああ、薬が利いてきた。多分、越後屋は身体が痺れて、手足の自由が効かなくなり、声も出せない……そのことに戸惑っている。酒に酔ったどころではない。
「今だからこそ話すが、和嶋屋と加斗屋な。奴らぁ、私が消したのさ」
「はっ? なっ……ん…だ……」
「無理するなよ。まともに喋れないだろう? どっちも七・八年前だ。二人ともやくざ者で手を握って、悪辣を極めてた。今回とは違って匕首でやっちまったが」
「たった……す……け…………」
越後屋は事態を悟ったらしいが、ここまで来たら引き返せない。
「あんたが泣かせた女は、一人二人ですまないしな。調べがついただけでも二十人はいるし、五人死んでる。今回の女も行方知れずだ。やり口も女衒の方がマシだろう。勝蔵も近いうちに地獄に送ってやるから、待ってるといい…」
先生とお美智が調合した薬はなかなか効くようだ。心配しなくてもいい毒ではない眠り薬だ。気の高まりを鎮め、よく眠れるようになる薬だ。だが、普通の人に適量を超えて投ずれば毒も同然で、身動きが取れなくなる。意識もなくなる。酒に溶かせば、効き目が倍増するらしいから、ひとたまりもない。ついに昏倒して、動かなくなった。
「手伝ってくれ」
「へい」
番頭の三左衛門と手代の五助が隣の間に控えていた。和嶋屋と加斗屋を消すときから手伝ってくれた仲間同志だ。越後屋へも使いに出て、人目につかないように、ここに案内してくれた。配膳も彼がしてくれ、店の中で越後屋の来訪を知る者は他にはいない。
後は二人に任せると越後屋を戸板に乗せて、店の裏庭のすぐ横を流れる堀川に繋がる水路に、越後屋の体を運ぶ。箕と笠を着けたとはいえ、雨が激しく着物にも水が染みてくる。そうして苦労して運んだ越後屋の身体をそっと水路に浮かべる。
顔を付けて水面に浮かんだ越後屋の身体はジッとしたまま、流されていく。この雨では誰も見咎める者はない。雨中に出かけて誤って水路に落ち、流されたということになるだろう。
「ご苦労だったね。後で一杯飲んでおくれ……」
「いえ。旦那のお手伝いになっていればいいんです」
「まあ、やつはちょっとやり過ぎた。やつの息子なら堅実に商売をするだろう」
「薬は大丈夫なんですかね?」
「ばれないかってことかい。大丈夫だ死因はたらふく水を飲んだ溺死。死因に薬は関係ないからね」
先日警告したんだけどね、どうやら直らないらしいから、ささやかな世直し。商売をしているだけではなく、この町を少しずつまっとうにしていく。それは昔からの私の望みであり、そのためになら非道にも手を染める。毒を以って毒を制す……それこそ、今の時代の世直しに求められていることなのだ。
□□□□…………雉川飛益
俺は雉川飛益は京都所司代前田玄以配下で京の治安の維持する千本組一番隊副隊長である。簡単な話、町のなかのいざこざを収めることがお役目だ。
暴力沙汰になっていれば、自分の組下の連中を率いて留めに行くし、法度や慣習・慣例による揉め事なら、争っている事柄のさまざまな証拠を集め、隊長と相談して局長の近藤さんに報告。最後は所司代の前田玄以様に理非の裁定をつけてもらう。
関白様が「五右衛門を必ず捕まえ火炙り。いや、釜茹でにいたせぃ」と厳命した。このお触れを出して以来、所司代様配下は忙しくなるばかり。おかげで退屈しなくていい。千本組の禄高は平均二百石であるが、大名や大身の旗本のように特定の知行地を持っているわけでなく、全部合わせて五十騎分の合計一万石が与えられ、ここに給知世話番をおいて年貢を集め、各隊長に分配した。
検見取といって、毎年の収穫高により年貢高が決まるので、年の豊凶により増減があったが、収穫が二百石とすると、四公六民で年貢は八十石となった。この一部を現金に変え、家族、家来あわせて十五人ほどが一年間生活するのである。
初任の副隊長は百三十石、役格が上がっていくに従い禄高があがって二百石になる。更に同心支配役や年番方などの要職につくと二百三十石程度まであがった。
隊長は隊長以外への転職は絶対になく、どんなに優秀でも成果をあげても局長以上の昇進は絶対になかった。これが旗本とちがうところである。
しかし、隊長はその仕事柄、諸大名や豪商などからの付届が多く、その実収入は少なくとも六百石程度あり、多い人は禄高の何十倍にもなったという。同じくらいの禄高の旗本に比べるとはるかに生活は豊かだった。千本組御用屋敷にも畑があって普段から人手は必要だ。事件や訴訟ごとを解決するよう動いていれば、給金も報奨金も出る。領地の田畑は庄屋に託して小作を入れ、配下は町なかでの仕事に専念させている。配下には副業も認めていて、大概は店持ちで、女房が切り盛りしている。
兵種統一の法度で、隊長は刀を選び、すでに槍や弓は売っ払った。馬と刀があれば十分。戦場で手柄を立てるのは難しくても、別に所司代様配下と副業でやっていけるのだ。今は町なかの事件の詮議で大忙しだ。
「越後屋の騒動の発端が、あの長屋なんですよ。あそこに医者が一人いるんですが、お純って女郎の情夫いろで、順庵って漢方医らしい。そいつが越後屋の女将と女中を誑かしたんで」
その長屋を裏道の角から盗み見しながら、手下の犬飼介三郎の話を聞いたが、一つ合点がいかない。
「越後屋を殺す理由がなかろう?」
「越後屋が金を出すのを突っぱねたから逆上したとかね。脅していたのは、越後屋の息子が出してきた文のほか、報告したとおりで間違いないです」
「ふむ……まあ、いざとなったら、御用部屋に引っ張って絞り上げればいいか」
とは言いえ、実際には違う考えもある。魚心あれば水心。羽振りの良い小悪党とは、いろいろと良い関係を作っておきたいところで、特に順庵は長屋で女郎を何人も暮らさせている。それだけ町の裏面の事情にも通じているはずで、所司代様としては利用したい。そこんとこの値踏みもしたいので、やはり一度、乗り込んでおくべきだろう。
《バターン》
介三郎も連れて長屋へと接近し、いきなり強く入り口の障子戸を開ける。若い優男だ。薬を煎じていたところで、その手が停まる。千本組の隊色の黒色に染めあげた羽織と桐紋入りの額当てをした侍が二人、傍若無人に、にやにや微笑みながら、土間に入り込んでくる様子が理解できないという表情だ。
「邪魔するぜ。順庵だな?」
遠慮なく畳のほうに歩み寄り、順庵の方へ右半身を向ける半身の態勢で畳の縁際に腰掛ける。介三郎は後ろ手に障子を閉め、そこにつっ立っている。
「な、何ですか?」
「怖がらなくていい。これでも所司代様の配下だ」
「お城のお侍さんが、こんなところに何ですか?」
「越後屋のことで聞きてえことがある」
「あーあー、廻船問屋の?」
「とぼけなくていいぜ。越後屋の跡取りから『恐れながら』って届け出があってな。わかるだろ?」
「へ? 何のことですか?」
「おいおい、まだとぼけるか? こないだの雨の翌日に土座衛門姿で見つかって葬儀があったばかりじゃないか。『庄左エ門が土座衛門になっちまった』って笑うには微妙なことまで囁かれてやがる」
「ちょっと待ってくださいな。それと私に何のつながりが?」
「跡取りが証拠として出して来た手紙だと、女将がすごい淫乱女で、その証拠を握ってる。ついては二十五両よこせって話だそうだな」
「だから……」
「待てよ、俺の話はまだ終わってない……ところが、越後屋は金を出すことを頑として拒んだ。女将は酷く折檻され、女将に付いていた女中も逃げ出した。そんなことが町中に知れ渡っちまえば、金を脅し取るもへったくれもねえ。越後屋を逆恨みしたおめえは、雨の日に越後屋を外におびき出して、水路にドボン……そういうこったよな?」
「いやいやいや……何でそうなるんですか。だいたい、俺みたいな細腕で……」
「やかましい……ふんっ!」
俺は脇差の柄に手をかけ、片足を畳に上げ、素早く抜刀すると、奴の喉元へめがけて突き出す。無論、寸止めするつもりだったが……一寸どころか、三寸くらい手前で脇差は、にっちもさっちも行かなくなった。
「なあ、俺たちが入るなり、ここに柱を移動しただろう? すげえ力だ」
「勘弁してくださいよ。三尺程度の三寸柱を移動できても、越後屋さんのあの肥えた体を動かすのは無理です」
「くくくく……とぼけてたくせに、越後屋の体形はしっかり覚えているじゃねえか」
力が緩んだのでゆっくり脇差を引いて鞘に納めて腰掛けなおす。拷問にかけるまでもなく、話が通じるやつだと思った。
「雨の日は、この長屋の内を行ったり来たりですよ。あんな日は女たちは客を取れないから、可愛がってやらないといけないんですよ。五人だから一日仕事で、最後は隣のお純の床でくたばりました」
「情を通じた女なら、嘘の証言をして、お前を庇うかもしれねえな。御用部屋に一緒にしょっ引いてもいいんだぞ」
「女たちに聴いてくださいよ、本当に」
「脅したということに関しちゃ、残念ながら事実が並びすぎてる。文もある。文をお前自身が持ってきたって証言もある。女将がお前にされたことを越後屋に話して、激しく殴る蹴るしてるのを何人も見てる。女中が逃げたのもその煽りで、女郎屋に売っぱらわれた挙げ句に折檻されそうだからだって番頭が言ってる」
「あー、参ったなあ」
「この件だけでも所払いの追放か、牢につながれるか……」
「旦那……金子で片をつけてくださいませんか?」
「いいぜ……」
そう答えた瞬間、奴と目が合う。不意に意識がぼんやりして、光景が暗転した……と思った瞬間
「雉川殿、目を覚まされよ」
がしゃんと何かがひっくり返る音がし、私の頬を誰かが何度か張る。光景が元に戻り、何が起ころうとしたのか、はっきり理解した。
「あー、くそ……術にやられるところだった。お前が気づくのが数瞬遅れていたら危なかった。礼を言うぞ」
順庵は睡眠の術をかけ、私を操るなり、記憶を消そうとするなりしようとしたのだろう。介三郎が勘付き、順庵を慌てて殴り飛ばし、私の目を覚まさせたのだ。
「こいつぁ、ちょっと許せねえな。所司代に訴えをあげるだけじゃあ、勘弁ならん。この場で、徹底的に性根を叩き直してやるか」
介三郎はその言葉を聞くと、ひっくり返って気を失っている順庵に手ぬぐいで目隠しし、捕縛用の縄で手を縛りあげ、手笏で水をぶっかけて目をさせた。
「ぼろを出しちまったな、おい。ちょっとかわいがってやるから、覚悟しな」
順庵の身体を起こし、壁にもたれかからせて正座させると、介三郎が腹に当身を何発も入れる。順庵は吐きそうな声をあげて、身体を前に倒そうとするが、俺が肩や頭を抑えてそうはさせない……あとは嬲るように痛ぶり続ける。
順庵が自分から脅迫の罪状を完全に認め、何でも協力するからと申し出るのに、時間は掛からなかった。
その頃、猿田角の進は越後屋の不審死と五右衛門とのつながりを堀川で探っていた。
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