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ボーンネルの開国譚
第十話 ジンの過去
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次の日、一度ボーンネルに帰ることにした。
そしてゼグトスとヴァンを連れてボーンネルに着くと、すぐにゼフじいが迎えにきてくれた。
「おう、ジンよく帰ってきたな」
ゼフは久しぶりにあったジンにとても嬉しそうに笑った。
エピネールであった出来事を丁寧にゼフに話して一緒に来ていたヴァンとゼグトスを紹介する。そしてゼグトスはゼフを見ると目を見開いて少しだけ驚いた顔をした。
「面白い。これはジン様に相応しい」
そう小さな声で呟きゼグトスは少し笑う。
「どうかしたか?」
「いいえ、なんでもありません」
「それにしてもよ、思ってたよりここなんもねえな。王になるってんだから、この辺も少しはいい建物が必要なんじゃねえか?」
「まあこれから人が増えていくとなると、集まる時わしの鍛冶場では少し足らんな」
「うーん、確かに。でもどうしよっかな、ある程度資金は調達できたんだけど建物を建てるにはどうも人手が足りない気がするなあ」
「確かにな。ボルが建物の設計はできるが、人数は必要だ」
「それならば我らを使うがよい」
そう言い現れたのは何人かのエルフを引き連れたリンギルだった。
「あっ、みんな! 久しぶり」
「ご無沙汰しておりますわ、ジン様。どうぞ我らシュレールの森のエルフをお使いください。私たちエルフは魔法で木材を生成できますから」
「ほんとっ!? じゃあ頼んじゃおっかな」
すると、タイミングよくボルとトキワが入ってきた。
「おう、久しぶりだなジン」
「ジン、コレ」
そう言ってボルは一枚の紙を渡して来た。
「エルフたちと一緒に相談しテタ」
その紙には建物の設計図が書かれていた。
「温泉とかレストラン、他にも色々あルヨ」
「ほう、良いではないか。これでジンといれる時間が増えるな。よくやったボル」
「お前はいつも暇さえあればジンに会いに行ってるだろ」
ジンは設計図をみると目を輝かせていた。
緻密に作られた設計図。
完成を想像しただけでも胸が高まるほどの内容だった。
「楽しみだなあ 今度作るとき言ってよ。私も手伝うから」
「オケ」
ジンはヴァンとゼグトスをみんなに紹介し終えると一度家に帰った。
「ふう、なんか疲れたねちょっとゆっくりしようかな」
ふわふわのガルを抱きしめベッドの中に入る。
色々あったがこれから始まっていくのだ。
堪らないくらい楽しみだ。もしここに····いてくれたら
目を閉じるとすぐに意識は薄れていき眠りについた。
耳に心地のいい声が聞こえる······懐かしくてあたたかい。
大好きな声。その存在を思い出すだけで心は満たされた。
「ジン、私のかわいい子」
その人物は膝に頭を乗せて眠るジンを優しく撫でていた。
「きっとジンは将来綺麗な女性になるなあ。まあ今でも十分可愛いが······本当に」
「ええ、だってクレースったらもうジンにメロメロよ。一度抱っこさせたらなかなか返してくれないもの。大変なんだから······でも本当に可愛らしい顔をしているわ」
ジンのほっぺたに優しく触れて、ますますその優しい顔には笑顔が溢れた。
「まあいいじゃないか。きっとクレースはジンのいいお姉さんになってくれるよ。それに何があっても俺が守る」
それは両親からのあたたかい愛の記憶。
しかし次の瞬間、頭にノイズが走る。
その記憶は引き裂かれ真っ黒な記憶が入り込んできた。
底知れない暗闇の中に落とされ溺れそうになりながら必死にもがいた。
真っ黒なものに体全体が包まれ、次第にその人物から離れていく。
「ジンッ!! 逃げて!」
「いやぁっ! ひとりにしないで!」
おかあさん······行かないで。
待って、いなくならないで。
声は届かない。視界に映る母親の姿は次第に遠のいていった。
「····ン!」
「ジンッ——」
薄っすらとその声が聞こえてきた。
「大丈夫か、ジン! おいジン!!」
目を開けると心配そうにこちらを見つめてくるクレースとガルがいた。
「うなされていたぞ、大丈夫か?」
「大丈夫、ちょっと昔の夢を見てただけ」
「······そうか」
ジンはクレースとガルを安心させるように優しく笑った。
「ボルのところに行こうよ、建物作り手伝わなきゃ」
そういってジンは何事もなかったように家を出る。
「盗み聞きはやめろ」
クレースはそういうと窓のすぐ側の外の壁に寄り掛かっていたゼグトスに話しかけた。
「これは失礼。ところで一つ教えていただきたいのですが、ジン様の見た昔の夢とは?」
「ジンの両親の話だ、詳しい話はまた今度な」
そういうとクレースはジンを追った。
ジンがボルの元へと向かうとリエルとルースが植物を魔法で操り、インフォルが土地を整備して建物のための土地を用意していた。
「ジン、今土地ができたからこれから材料アツメ」
「資材は俺たちに任せてくれ、シュレールの森から適度に木材などを調達してくる」
「じゃあ俺もリンギルたちと一緒に行くぜ」
どうやらトキワはすっかりリンギルと仲良くなったようであった。
「だが温泉はどうするんだ? 源泉が湧いている場所を探さねばな」
すると突然インフォルが地中から顔を出した。
「それなら任しとき、ええとこ知ってんで。この先のヴァスト山にええ湯がありよる。ワイが場所教えたるわ。でもな、問題はどうやってここまでもってくるかっちゅう話や」
「確かに、でも転移魔法を使えばどうにかならない?」
「せやな······しゃあない、かわいいジンちゃんのためや。ワイが男見せたるで······っとは言いたいもののや、さすがのワイでもそこまで行くんは骨が折れてまう。ちょいと手伝ってもらうで」
「うん! 任せて」
「ジンが行くなら私も行く」
「では、我が王の勇姿を拝見いたしましょう」
「じゃあここにいるみんなはボルの指示に従って作業を進めといて、私たち行ってくる。ゼフじい、ボル任せたよ」
「うん、マカセテ」
「気をつけてな、頑張ってこい」
ゼフはジンの後ろ姿を優しい笑顔で見送った。
こうしてジン、クレース、ガル、ゼグトスはインフォルについていきヴァスト山へ、シュレールの森にはリンギル、トキワ、ルース、エルフたちが資材調達に向かう。
そしてボーンネルにはゼフ、ボル、コッツ、リエル、ヴァンに加えてエルシアが合流した。
インフォルに連れられてジンたちはヴァスト山に向かうと、インフォルの言った通り地下に源泉があった。
まだ誰にも発見されていないようでインフォルだけが見つけられるような位置にあった。
クレースと一緒に興奮してお湯を確かめると二人向き合ってガッツポーズをする。
「さて、大変なんはこっからやで。転移魔法言うてもここにずっと魔力を注ぐわけにわいかん」
「ガルド鉱石を使うのはどうでしょう、私が魔力をこめれば数百年は持つかと」
「数百年も転移魔法がもつんかいな、兄ちゃんごっつい魔力持っとるな」
ガルド鉱石は魔力を込めることのできる鉱石であり、使用者の魔力総量に応じて込められる魔力の量が変わる。
「まあそういうことやったらワイに任せとき、ガルド鉱石やったらアホほど持っとるで」
「えへへ、あっさり解決しちゃったね」
「ああ、まあこいつがおかしいんだろう」
そう言われゼグトスは軽くお辞儀するとガルド鉱石に魔力を込めて転移魔法陣を近くに展開した。
(ゼグトスってやっぱりすごいな。なんで私の配下になるって言ってきたんだろ)
そう思っているとゼグトスはこっちを見てにっこりしてきた。
一方シュレールの森。トキワはリンギルとルースとともに建物の素材のために魔物を倒していた。
「タルクタートルの甲羅くらいならちょうどいい感じの素材になるな」
タルクタートルはBランクの魔物であり甲羅の防御力だけならばAランクの魔物に匹敵する。普段はシュレールの森に存在しないが、竜の草原から流れ込んできていたのだ。
「ああ、Bランクの魔物が多く出現したが利点もあるものだ」
「だけれどどうしましょう。タルクタートルの殻はリンギルの大剣でも壊せませんよ」
ルースはタルクタートルの殻をよく観察してそう述べた。
「どうしたものか……っ!?」
何か案を考えようとしていた時、にリンギルたちの目の前でタルクタートルは大きな音をたてて倒れ込んだ。
見ると、タルクタートルは四肢を切り刻まれ、その場で動けない状況になっていたのだ。
「おまえ、その槍······」
トキワの武器は『意思のある武器』で炎という名前の槍である。
「まあ、俺も割と強えんだぜ。ジンとクレースってほどじゃねえけどな」
トキワたちはタルクタートルの甲羅と森からの木材をいくらか持ってボーンネルへと戻った。
一方、ゼフとボルは部屋の内装を考え、家具を作っていた。
「久しぶりに燃えてきたな、たまには家具も作るのもおもしれえもんだ」
「うん、とてもたのシミ。ジンが喜んでくれたら僕も嬉シイ」
作業している二人の横でリエルとエルシアが話していた。
「久しぶりね、エルシア。調子はどう?」
「ええ、ジン様たちのおかげでエピネール国も安定しています。これから私はボーンネル商会という名前でジン様を支えたいと思っております」
エルシアはシュレールの森が出身でありリエルたちとは昔馴染みなのだ。
しばらく作業をしているtp一行の元にジンたちと木材や鉱石をもったトキワたちが帰ってきた。
「おう、おかえり。どうだ、持って来れそうか?」
「うん、ゼグトスがガルド鉱石を使って転移魔法を作ってくれた」
「ええ、あとは所定の位置に魔法陣を展開するだけです」
「資材はここに全部あるからもうつくっちまおうぜ」
そうしてシュレールの森のエルフたちが手伝ってくれた結果、その日中に予定した建設は終了したのであった。そして作り終えた日の夜、互いの労を労うため皆で小さな宴を開いた。
「カンパーイッ!」
皆はそれぞれの顔合わせということもあって初対面の者同士仲良く喋り合った。
「ジンも今日は酒を飲むが良い。私がガルと家まで抱っこしてやるぞ」
「クレースさん、ジンさんに無理を言っては駄目ですよ。わたくしが飲ませていただきます」
そう言ってコッツは酒をグビッと飲み干した。
「そういえばコッツの食べたものってどこにいってるの? 骨なのに」
「それは秘密ですよ。でもしっかりと頂いておりますのでご安心を」
「ええぇ、でもジンの酔った姿み~た~い~」
コッツの話を無視してクレースは駄々をこねたが、「いいや」と言ってジンはアップルジュースを飲んでいた。
「でもうれしいな。たった数日でこんなにたくさんの仲間ができるなんて思わなかったよ」
「ジン様なのですから、これくらいのことは当然ですよ。さあさあ美味しいアップルジュースです、どうぞ」
そう言ってゼグトスは満面の笑みでジンにアップルジュースを注いだ。
ゼグトスは既にジンの心を掴む方法を理解していた。
取り敢えずアップルジュースを出せば笑顔が見れる。
ゼグトスはそれが嬉しく暇があればアップルジュースを提供していた。
(な、なんだか子どもみたいに扱われている気がする)
一方、トキワはリンギルと二人で酒を飲んでいた。
「いやあそれにしてもお前とこんな気が合うなんてな兄弟」
「ああ、だが酒を飲みすぎるなよ。クレース殿に何をされても知らないぞ」
「大丈夫だ、あいつは大抵ジンの側から離れねえ」
トキワはジンとクレースの方を横目に見る。
「どうかしたのか?」
「······なにもねえ。今日は硬い話は無しだな。さあ飲もうぜ」
こうして各々は酒を酌み交わし、宴は夜遅くまで続いた。
そしてゼグトスとヴァンを連れてボーンネルに着くと、すぐにゼフじいが迎えにきてくれた。
「おう、ジンよく帰ってきたな」
ゼフは久しぶりにあったジンにとても嬉しそうに笑った。
エピネールであった出来事を丁寧にゼフに話して一緒に来ていたヴァンとゼグトスを紹介する。そしてゼグトスはゼフを見ると目を見開いて少しだけ驚いた顔をした。
「面白い。これはジン様に相応しい」
そう小さな声で呟きゼグトスは少し笑う。
「どうかしたか?」
「いいえ、なんでもありません」
「それにしてもよ、思ってたよりここなんもねえな。王になるってんだから、この辺も少しはいい建物が必要なんじゃねえか?」
「まあこれから人が増えていくとなると、集まる時わしの鍛冶場では少し足らんな」
「うーん、確かに。でもどうしよっかな、ある程度資金は調達できたんだけど建物を建てるにはどうも人手が足りない気がするなあ」
「確かにな。ボルが建物の設計はできるが、人数は必要だ」
「それならば我らを使うがよい」
そう言い現れたのは何人かのエルフを引き連れたリンギルだった。
「あっ、みんな! 久しぶり」
「ご無沙汰しておりますわ、ジン様。どうぞ我らシュレールの森のエルフをお使いください。私たちエルフは魔法で木材を生成できますから」
「ほんとっ!? じゃあ頼んじゃおっかな」
すると、タイミングよくボルとトキワが入ってきた。
「おう、久しぶりだなジン」
「ジン、コレ」
そう言ってボルは一枚の紙を渡して来た。
「エルフたちと一緒に相談しテタ」
その紙には建物の設計図が書かれていた。
「温泉とかレストラン、他にも色々あルヨ」
「ほう、良いではないか。これでジンといれる時間が増えるな。よくやったボル」
「お前はいつも暇さえあればジンに会いに行ってるだろ」
ジンは設計図をみると目を輝かせていた。
緻密に作られた設計図。
完成を想像しただけでも胸が高まるほどの内容だった。
「楽しみだなあ 今度作るとき言ってよ。私も手伝うから」
「オケ」
ジンはヴァンとゼグトスをみんなに紹介し終えると一度家に帰った。
「ふう、なんか疲れたねちょっとゆっくりしようかな」
ふわふわのガルを抱きしめベッドの中に入る。
色々あったがこれから始まっていくのだ。
堪らないくらい楽しみだ。もしここに····いてくれたら
目を閉じるとすぐに意識は薄れていき眠りについた。
耳に心地のいい声が聞こえる······懐かしくてあたたかい。
大好きな声。その存在を思い出すだけで心は満たされた。
「ジン、私のかわいい子」
その人物は膝に頭を乗せて眠るジンを優しく撫でていた。
「きっとジンは将来綺麗な女性になるなあ。まあ今でも十分可愛いが······本当に」
「ええ、だってクレースったらもうジンにメロメロよ。一度抱っこさせたらなかなか返してくれないもの。大変なんだから······でも本当に可愛らしい顔をしているわ」
ジンのほっぺたに優しく触れて、ますますその優しい顔には笑顔が溢れた。
「まあいいじゃないか。きっとクレースはジンのいいお姉さんになってくれるよ。それに何があっても俺が守る」
それは両親からのあたたかい愛の記憶。
しかし次の瞬間、頭にノイズが走る。
その記憶は引き裂かれ真っ黒な記憶が入り込んできた。
底知れない暗闇の中に落とされ溺れそうになりながら必死にもがいた。
真っ黒なものに体全体が包まれ、次第にその人物から離れていく。
「ジンッ!! 逃げて!」
「いやぁっ! ひとりにしないで!」
おかあさん······行かないで。
待って、いなくならないで。
声は届かない。視界に映る母親の姿は次第に遠のいていった。
「····ン!」
「ジンッ——」
薄っすらとその声が聞こえてきた。
「大丈夫か、ジン! おいジン!!」
目を開けると心配そうにこちらを見つめてくるクレースとガルがいた。
「うなされていたぞ、大丈夫か?」
「大丈夫、ちょっと昔の夢を見てただけ」
「······そうか」
ジンはクレースとガルを安心させるように優しく笑った。
「ボルのところに行こうよ、建物作り手伝わなきゃ」
そういってジンは何事もなかったように家を出る。
「盗み聞きはやめろ」
クレースはそういうと窓のすぐ側の外の壁に寄り掛かっていたゼグトスに話しかけた。
「これは失礼。ところで一つ教えていただきたいのですが、ジン様の見た昔の夢とは?」
「ジンの両親の話だ、詳しい話はまた今度な」
そういうとクレースはジンを追った。
ジンがボルの元へと向かうとリエルとルースが植物を魔法で操り、インフォルが土地を整備して建物のための土地を用意していた。
「ジン、今土地ができたからこれから材料アツメ」
「資材は俺たちに任せてくれ、シュレールの森から適度に木材などを調達してくる」
「じゃあ俺もリンギルたちと一緒に行くぜ」
どうやらトキワはすっかりリンギルと仲良くなったようであった。
「だが温泉はどうするんだ? 源泉が湧いている場所を探さねばな」
すると突然インフォルが地中から顔を出した。
「それなら任しとき、ええとこ知ってんで。この先のヴァスト山にええ湯がありよる。ワイが場所教えたるわ。でもな、問題はどうやってここまでもってくるかっちゅう話や」
「確かに、でも転移魔法を使えばどうにかならない?」
「せやな······しゃあない、かわいいジンちゃんのためや。ワイが男見せたるで······っとは言いたいもののや、さすがのワイでもそこまで行くんは骨が折れてまう。ちょいと手伝ってもらうで」
「うん! 任せて」
「ジンが行くなら私も行く」
「では、我が王の勇姿を拝見いたしましょう」
「じゃあここにいるみんなはボルの指示に従って作業を進めといて、私たち行ってくる。ゼフじい、ボル任せたよ」
「うん、マカセテ」
「気をつけてな、頑張ってこい」
ゼフはジンの後ろ姿を優しい笑顔で見送った。
こうしてジン、クレース、ガル、ゼグトスはインフォルについていきヴァスト山へ、シュレールの森にはリンギル、トキワ、ルース、エルフたちが資材調達に向かう。
そしてボーンネルにはゼフ、ボル、コッツ、リエル、ヴァンに加えてエルシアが合流した。
インフォルに連れられてジンたちはヴァスト山に向かうと、インフォルの言った通り地下に源泉があった。
まだ誰にも発見されていないようでインフォルだけが見つけられるような位置にあった。
クレースと一緒に興奮してお湯を確かめると二人向き合ってガッツポーズをする。
「さて、大変なんはこっからやで。転移魔法言うてもここにずっと魔力を注ぐわけにわいかん」
「ガルド鉱石を使うのはどうでしょう、私が魔力をこめれば数百年は持つかと」
「数百年も転移魔法がもつんかいな、兄ちゃんごっつい魔力持っとるな」
ガルド鉱石は魔力を込めることのできる鉱石であり、使用者の魔力総量に応じて込められる魔力の量が変わる。
「まあそういうことやったらワイに任せとき、ガルド鉱石やったらアホほど持っとるで」
「えへへ、あっさり解決しちゃったね」
「ああ、まあこいつがおかしいんだろう」
そう言われゼグトスは軽くお辞儀するとガルド鉱石に魔力を込めて転移魔法陣を近くに展開した。
(ゼグトスってやっぱりすごいな。なんで私の配下になるって言ってきたんだろ)
そう思っているとゼグトスはこっちを見てにっこりしてきた。
一方シュレールの森。トキワはリンギルとルースとともに建物の素材のために魔物を倒していた。
「タルクタートルの甲羅くらいならちょうどいい感じの素材になるな」
タルクタートルはBランクの魔物であり甲羅の防御力だけならばAランクの魔物に匹敵する。普段はシュレールの森に存在しないが、竜の草原から流れ込んできていたのだ。
「ああ、Bランクの魔物が多く出現したが利点もあるものだ」
「だけれどどうしましょう。タルクタートルの殻はリンギルの大剣でも壊せませんよ」
ルースはタルクタートルの殻をよく観察してそう述べた。
「どうしたものか……っ!?」
何か案を考えようとしていた時、にリンギルたちの目の前でタルクタートルは大きな音をたてて倒れ込んだ。
見ると、タルクタートルは四肢を切り刻まれ、その場で動けない状況になっていたのだ。
「おまえ、その槍······」
トキワの武器は『意思のある武器』で炎という名前の槍である。
「まあ、俺も割と強えんだぜ。ジンとクレースってほどじゃねえけどな」
トキワたちはタルクタートルの甲羅と森からの木材をいくらか持ってボーンネルへと戻った。
一方、ゼフとボルは部屋の内装を考え、家具を作っていた。
「久しぶりに燃えてきたな、たまには家具も作るのもおもしれえもんだ」
「うん、とてもたのシミ。ジンが喜んでくれたら僕も嬉シイ」
作業している二人の横でリエルとエルシアが話していた。
「久しぶりね、エルシア。調子はどう?」
「ええ、ジン様たちのおかげでエピネール国も安定しています。これから私はボーンネル商会という名前でジン様を支えたいと思っております」
エルシアはシュレールの森が出身でありリエルたちとは昔馴染みなのだ。
しばらく作業をしているtp一行の元にジンたちと木材や鉱石をもったトキワたちが帰ってきた。
「おう、おかえり。どうだ、持って来れそうか?」
「うん、ゼグトスがガルド鉱石を使って転移魔法を作ってくれた」
「ええ、あとは所定の位置に魔法陣を展開するだけです」
「資材はここに全部あるからもうつくっちまおうぜ」
そうしてシュレールの森のエルフたちが手伝ってくれた結果、その日中に予定した建設は終了したのであった。そして作り終えた日の夜、互いの労を労うため皆で小さな宴を開いた。
「カンパーイッ!」
皆はそれぞれの顔合わせということもあって初対面の者同士仲良く喋り合った。
「ジンも今日は酒を飲むが良い。私がガルと家まで抱っこしてやるぞ」
「クレースさん、ジンさんに無理を言っては駄目ですよ。わたくしが飲ませていただきます」
そう言ってコッツは酒をグビッと飲み干した。
「そういえばコッツの食べたものってどこにいってるの? 骨なのに」
「それは秘密ですよ。でもしっかりと頂いておりますのでご安心を」
「ええぇ、でもジンの酔った姿み~た~い~」
コッツの話を無視してクレースは駄々をこねたが、「いいや」と言ってジンはアップルジュースを飲んでいた。
「でもうれしいな。たった数日でこんなにたくさんの仲間ができるなんて思わなかったよ」
「ジン様なのですから、これくらいのことは当然ですよ。さあさあ美味しいアップルジュースです、どうぞ」
そう言ってゼグトスは満面の笑みでジンにアップルジュースを注いだ。
ゼグトスは既にジンの心を掴む方法を理解していた。
取り敢えずアップルジュースを出せば笑顔が見れる。
ゼグトスはそれが嬉しく暇があればアップルジュースを提供していた。
(な、なんだか子どもみたいに扱われている気がする)
一方、トキワはリンギルと二人で酒を飲んでいた。
「いやあそれにしてもお前とこんな気が合うなんてな兄弟」
「ああ、だが酒を飲みすぎるなよ。クレース殿に何をされても知らないぞ」
「大丈夫だ、あいつは大抵ジンの側から離れねえ」
トキワはジンとクレースの方を横目に見る。
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だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
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