59 / 240
ボーンネルの開国譚2
二章 二十一話 古き災厄
しおりを挟む
「誰か来るな、やっぱり気づかれたか」
鬼の社にいるベインはヘリアル達がこちらに近づいてきたのを感じ取っていた。そして同時にいち早く危機を感じたベインは神棚の封印をさらに強める。しかしながら鬼の社が存在するその岩山は鬼幻郷の他の場所と全く関わることなく、ただ独立してそこに存在しており、それに加えてベインがカモフラージュを施していたため正確な位置を把握していない限り辿り着くことは不可能に近いのだ。
だが感知部隊との連携により、ヘリアル達は魔魁玉の妖力の位置を完全に特定していた。
そしてアイルベルはゼグトスと同じく転移魔法を使用し、鬼の社のすぐ近くにまで転移をする。
「おそらくこのあたりかと」
「······誰だ、あやつは」
「警戒しろ、かなりのてだれじゃぞ」
「やあ、よくここがわかったね」
ベインはヘリアル達が鬼の社に入り込む前にその目の前に現れた。
ベインは数百年振りに少し興奮して客人を笑顔で迎える。
「お前達、10年前にここに来て悪さをしてる奴らだろ?僕がここから離れられない間、好き勝手やってくれたみたいだね。
············僕結構キレてるんだよ」
その言葉を言い終えたとき、ベインの笑みが消える。
それと同時に底知れぬ恐怖を感じさせるような虚ろな貌を見せた。
ベインの強烈な圧から危険を感じ取ったトウライはその刹那に抜刀する。
そして老体とは思えないほどの動きで、音も立てず、一瞬にしてベインとの距離を詰める。
軽く片手で持った刀は、ただ一つの剣筋をなぞるようにベインの右腕を捉えた。
「!?······」
しかしトウライのその刀はベインの生身の腕を切り落としすことはなく、刀同士がしのぎを削るような激しい音を立てて火花を散らした。
そしてトウライは腕に触れる刀を強く前に押し、反動で後ろに引き下がった。
「やはりバケモンじゃな」
「この先には行かせないよ」
「いいえ、通して頂きますよ、グラビティ・プライア」
アイルベルが前に手を翳すと四本の黒い柱がベインを取り囲むように配置された。
柱は互いに共鳴しあい、真っ黒な空間をつくりだす。
そして柱の中では強力な重力場が発生し、自身の体重の何十倍もの重みがベインを襲ったのだ。
「熟練度が足りないね」
「なに?」
しかしその強力な重力場をものともせず、アイルベルに向かって同じように手を翳した。
「グラビティ・プライア」
今度は十本の柱がその四本柱とは比べ物にならないほどの魔力を帯びてアイルベルを取り囲む。
「グハアッ!」
ベインのグラビティ・プライアにアイルベルはたまらず身体全体が地面に押し潰される。
「ー確かに流石と言ったところか」
「······!」
ベインがアイルベルへの攻撃に意識を向ける中、ヘリアルは重力場の中でほんの少し動きが鈍るベインの後ろを取った。
ヘリアルは腕に力を込め、柱の中にいるベインに体全体の重さを乗せた一撃を繰り出した。
しかしベインは一瞬でその存在に気づき、右腕で防御をとる。
「グッ」
だがほんの一刻対応が遅れたベインは横腹にヘリアル重たい一撃を食らう。
「どうした、動きが鈍ったぞ」
ベインはその重力場から一度抜け出すが、トウライがベインの上空から追撃を仕掛ける。
「あまり調子に乗るなよ」
しかし、トウライを風圧で吹き飛ばし、一度三人から距離をとった。
(でもちょっと面倒だな、一人ずつならなんとか······ん?)
その時、ベインはこの場に近づいていたある一つの存在に気が付いた。
(一か八か······まあやる価値は十分にあるな)
ベインは妖力を使い、巨大な黒い空間を創り出す。
「何をする気だ?」
「さあ、お楽しみってことで静かに見ておきなよ」
「これは、近づけませんね。近づいたところで大量の妖力を浴びて身体に支障をきたします」
ベインは少し嬉しそうに笑みを見せてその空間に向けてさらに妖力を流し込んだ。
「来い、古き災厄よ」
黒い空間は渦を巻いてその場の空気の流れを変える。それに伴い辺りの空気は冷たく、そして重たく変化し、ゆっくりとその空間から何かが出てくる。
「なんだ、あれは」
その巨体は地面に降り立つと、轟音を響かせてその振動で岩山から岩石が下へと転がり落ちていく。
「ん? いつの間にこんなところに」
降り立ったその”鬼”は辺りを見渡して不思議そうな顔をした。
「やあ、数百年ぶりだね」
「チッ、厄介なやつを呼び出しおったな」
その鬼はベインのことをじっと見て何か思い出したように驚いた顔を見せた。
「少しは落ち着くようになったじゃないか······閻魁」
鬼の社にいるベインはヘリアル達がこちらに近づいてきたのを感じ取っていた。そして同時にいち早く危機を感じたベインは神棚の封印をさらに強める。しかしながら鬼の社が存在するその岩山は鬼幻郷の他の場所と全く関わることなく、ただ独立してそこに存在しており、それに加えてベインがカモフラージュを施していたため正確な位置を把握していない限り辿り着くことは不可能に近いのだ。
だが感知部隊との連携により、ヘリアル達は魔魁玉の妖力の位置を完全に特定していた。
そしてアイルベルはゼグトスと同じく転移魔法を使用し、鬼の社のすぐ近くにまで転移をする。
「おそらくこのあたりかと」
「······誰だ、あやつは」
「警戒しろ、かなりのてだれじゃぞ」
「やあ、よくここがわかったね」
ベインはヘリアル達が鬼の社に入り込む前にその目の前に現れた。
ベインは数百年振りに少し興奮して客人を笑顔で迎える。
「お前達、10年前にここに来て悪さをしてる奴らだろ?僕がここから離れられない間、好き勝手やってくれたみたいだね。
············僕結構キレてるんだよ」
その言葉を言い終えたとき、ベインの笑みが消える。
それと同時に底知れぬ恐怖を感じさせるような虚ろな貌を見せた。
ベインの強烈な圧から危険を感じ取ったトウライはその刹那に抜刀する。
そして老体とは思えないほどの動きで、音も立てず、一瞬にしてベインとの距離を詰める。
軽く片手で持った刀は、ただ一つの剣筋をなぞるようにベインの右腕を捉えた。
「!?······」
しかしトウライのその刀はベインの生身の腕を切り落としすことはなく、刀同士がしのぎを削るような激しい音を立てて火花を散らした。
そしてトウライは腕に触れる刀を強く前に押し、反動で後ろに引き下がった。
「やはりバケモンじゃな」
「この先には行かせないよ」
「いいえ、通して頂きますよ、グラビティ・プライア」
アイルベルが前に手を翳すと四本の黒い柱がベインを取り囲むように配置された。
柱は互いに共鳴しあい、真っ黒な空間をつくりだす。
そして柱の中では強力な重力場が発生し、自身の体重の何十倍もの重みがベインを襲ったのだ。
「熟練度が足りないね」
「なに?」
しかしその強力な重力場をものともせず、アイルベルに向かって同じように手を翳した。
「グラビティ・プライア」
今度は十本の柱がその四本柱とは比べ物にならないほどの魔力を帯びてアイルベルを取り囲む。
「グハアッ!」
ベインのグラビティ・プライアにアイルベルはたまらず身体全体が地面に押し潰される。
「ー確かに流石と言ったところか」
「······!」
ベインがアイルベルへの攻撃に意識を向ける中、ヘリアルは重力場の中でほんの少し動きが鈍るベインの後ろを取った。
ヘリアルは腕に力を込め、柱の中にいるベインに体全体の重さを乗せた一撃を繰り出した。
しかしベインは一瞬でその存在に気づき、右腕で防御をとる。
「グッ」
だがほんの一刻対応が遅れたベインは横腹にヘリアル重たい一撃を食らう。
「どうした、動きが鈍ったぞ」
ベインはその重力場から一度抜け出すが、トウライがベインの上空から追撃を仕掛ける。
「あまり調子に乗るなよ」
しかし、トウライを風圧で吹き飛ばし、一度三人から距離をとった。
(でもちょっと面倒だな、一人ずつならなんとか······ん?)
その時、ベインはこの場に近づいていたある一つの存在に気が付いた。
(一か八か······まあやる価値は十分にあるな)
ベインは妖力を使い、巨大な黒い空間を創り出す。
「何をする気だ?」
「さあ、お楽しみってことで静かに見ておきなよ」
「これは、近づけませんね。近づいたところで大量の妖力を浴びて身体に支障をきたします」
ベインは少し嬉しそうに笑みを見せてその空間に向けてさらに妖力を流し込んだ。
「来い、古き災厄よ」
黒い空間は渦を巻いてその場の空気の流れを変える。それに伴い辺りの空気は冷たく、そして重たく変化し、ゆっくりとその空間から何かが出てくる。
「なんだ、あれは」
その巨体は地面に降り立つと、轟音を響かせてその振動で岩山から岩石が下へと転がり落ちていく。
「ん? いつの間にこんなところに」
降り立ったその”鬼”は辺りを見渡して不思議そうな顔をした。
「やあ、数百年ぶりだね」
「チッ、厄介なやつを呼び出しおったな」
その鬼はベインのことをじっと見て何か思い出したように驚いた顔を見せた。
「少しは落ち着くようになったじゃないか······閻魁」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる