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ボーンネルの開国譚2
二章 第二十二話 災厄の再来
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「ベインか!?」
その場に現れた閻魁は辺りの状況を理解できないまま、目の前のベインに驚いた顔を見せた。
「そうだよ、久しぶりだね災厄さん」
二人にとっては数百年前ぶりの再会である。
ベインは昔、閻魁がギルゼンノーズで暴れた際にゲルオードともに閻魁を止めるのに協力したのだ。
そしてその後、閻魁が封印されてから今までの長い間二人は敵同士の関係を維持したまま出会うことはなかった。
「お前がなぜこんなとこにおるのだ?」
「僕はここで魔魁玉の守護をしているのさ。つまり君のためってことだよ」
「······ではこやつらは誰だ?」
ヘリアル達は現れた閻魁に警戒心を剥き出しにして一つ一つの挙動を注意深く観察していた。
「こいつ達はここを占拠したクズどもさ、君も知っているだろ······だから今だけは、僕は君を敵対しない」
「······ほう、こいつ達か。ならば話は早い、我が相手をしてやろう」
その瞬間、アイルベルとトウライの背中には凍りつくような寒気が走る。
閻魁から放たれる圧倒的な強者の覇気が二人を呑み込んだのだ。
「くらうがいい、我の憎しみを。妖々慟哭【ヨウヨウドウコク】」
閻魁は両手に大量の妖力を込めてゲルオードに放った妖々慟哭を手の中に発生させる。
ーしかし、
「なに?」
閻魁の妖力は手の中に生み出された魔力弾とうまく融合し合わず、バチンッと音をたてて互いに相殺してしまった。
そしてその光景を見ていたベインは呆れたようにため息をつく。
「はぁ、やっぱりか。君は自分の技のことを何も知らないんだね」
「ん? どういうことだ?」
「妖々慟哭は君の憎しみの念に呼応して威力を増すんだよ。昔はあんなにぶっ放してたのにそんなことも知らないのかい? つまり君は今、幸せだってことだよ」
「うむ、確かにな」
「ハッ、災厄閻魁も大したことはないよのう」
「まったくです。私たち二人でも造作ありませんね」
「ほら、君がバカなせいで舐められ······」
ベインはその瞬間、何かに感づいてその場を見渡す。
「クソッ」
「どうしたベイン」
「龍人族のやつがいない、おそらくいつの間にか回り込まれていた。閻魁、こいつらは頼んだよ。結界を張っているからすぐには奪われないはずだ」
しかし時を同じくして、何かが解き放たれたように近くで巨大な魔力が発生する。
「チッ、遅かったか。あいつ龍化しやがった」
すぐに、ベインは鬼の社で展開していた結界が崩れるのを感じる。
そして封印が解き放たれると同時に空は薄暗く不気味に変化する。
ベインが警戒を強める中、あたり一帯の空気を萎縮させるような魔力と妖力が同じ場所から近づいてきた。
黒く邪悪な翼を羽ばたかせた巨大な龍が神棚ごと魔魁玉を空中に浮かせて閻魁たちの元へやって来たのだ。そしてその龍、ヘリアルは閻魁の上空あたりに止まった。
「君、それをどうする気だい? 龍人族の君じゃ触れることも叶わないよ。まあ試しに触れてもらっても構わないけど」
それを聞いてヘリアルは不敵な笑みを浮かべる。
「この妖力をどう活かそうと考えていたが、都合のいいことが起こったな」
龍化したヘリアルは少し思案するような顔を見せつつ、真下にいる閻魁のことをじっと見つめた。
「····まさか!? 閻魁! そこから離れろッ!!」
しかしベインがその言葉を言い終える前にヘリアルは神棚ごと魔魁玉を閻魁に向かって投げつけた。
「なっ」
ヘリアルがした突然の予想外の行動に閻魁は呆気にとられて飛んできた魔魁玉と衝突する。
魔魁玉は閻魁にぶつかると、黒い妖力が身体に馴染むように急速な勢いで閻魁を包み込んだ。
そしてその強大な妖力は徐々に閻魁の身体の中へと浸透していき、完全に妖力同士が一体化する。
「クソッ、面倒なことをしやがって」
「お見事でございます、ヘリアル様。その素晴らしいお考え、全く恐れ入ります」
ヘリアルは魔魁玉に含まれる『破壊衝動』を利用したのだ。
「グワァああああッ!!」
魔魁玉を取り込んだ閻魁は巨大な咆哮を上げる。その咆哮は険しい岩山に響き渡り本能的に危機を感じ取ったあたりの魔物がその場から離れていく。
「じゃがこれは······ワシらもまずいかもしれんな」
この場にかつてギルゼンノーズを襲った”災厄閻魁”が復活したのだ。
(はあ、また一か八かだけど······)
ベインは憂鬱な心になりながらも再び閻魁を呼び出したような黒く渦を巻く巨大な空間を生み出す。
「お前達も送らせてもらうよ、百鬼閣に」
(ごめんね、閻魁のお仲間さん。任せたよ)
そしてベインの生み出した空間はヘリアル達ごと閻魁を覆いこむ。
「じゃあね、向こうで好きなだけ暴れてきな」
その場に現れた閻魁は辺りの状況を理解できないまま、目の前のベインに驚いた顔を見せた。
「そうだよ、久しぶりだね災厄さん」
二人にとっては数百年前ぶりの再会である。
ベインは昔、閻魁がギルゼンノーズで暴れた際にゲルオードともに閻魁を止めるのに協力したのだ。
そしてその後、閻魁が封印されてから今までの長い間二人は敵同士の関係を維持したまま出会うことはなかった。
「お前がなぜこんなとこにおるのだ?」
「僕はここで魔魁玉の守護をしているのさ。つまり君のためってことだよ」
「······ではこやつらは誰だ?」
ヘリアル達は現れた閻魁に警戒心を剥き出しにして一つ一つの挙動を注意深く観察していた。
「こいつ達はここを占拠したクズどもさ、君も知っているだろ······だから今だけは、僕は君を敵対しない」
「······ほう、こいつ達か。ならば話は早い、我が相手をしてやろう」
その瞬間、アイルベルとトウライの背中には凍りつくような寒気が走る。
閻魁から放たれる圧倒的な強者の覇気が二人を呑み込んだのだ。
「くらうがいい、我の憎しみを。妖々慟哭【ヨウヨウドウコク】」
閻魁は両手に大量の妖力を込めてゲルオードに放った妖々慟哭を手の中に発生させる。
ーしかし、
「なに?」
閻魁の妖力は手の中に生み出された魔力弾とうまく融合し合わず、バチンッと音をたてて互いに相殺してしまった。
そしてその光景を見ていたベインは呆れたようにため息をつく。
「はぁ、やっぱりか。君は自分の技のことを何も知らないんだね」
「ん? どういうことだ?」
「妖々慟哭は君の憎しみの念に呼応して威力を増すんだよ。昔はあんなにぶっ放してたのにそんなことも知らないのかい? つまり君は今、幸せだってことだよ」
「うむ、確かにな」
「ハッ、災厄閻魁も大したことはないよのう」
「まったくです。私たち二人でも造作ありませんね」
「ほら、君がバカなせいで舐められ······」
ベインはその瞬間、何かに感づいてその場を見渡す。
「クソッ」
「どうしたベイン」
「龍人族のやつがいない、おそらくいつの間にか回り込まれていた。閻魁、こいつらは頼んだよ。結界を張っているからすぐには奪われないはずだ」
しかし時を同じくして、何かが解き放たれたように近くで巨大な魔力が発生する。
「チッ、遅かったか。あいつ龍化しやがった」
すぐに、ベインは鬼の社で展開していた結界が崩れるのを感じる。
そして封印が解き放たれると同時に空は薄暗く不気味に変化する。
ベインが警戒を強める中、あたり一帯の空気を萎縮させるような魔力と妖力が同じ場所から近づいてきた。
黒く邪悪な翼を羽ばたかせた巨大な龍が神棚ごと魔魁玉を空中に浮かせて閻魁たちの元へやって来たのだ。そしてその龍、ヘリアルは閻魁の上空あたりに止まった。
「君、それをどうする気だい? 龍人族の君じゃ触れることも叶わないよ。まあ試しに触れてもらっても構わないけど」
それを聞いてヘリアルは不敵な笑みを浮かべる。
「この妖力をどう活かそうと考えていたが、都合のいいことが起こったな」
龍化したヘリアルは少し思案するような顔を見せつつ、真下にいる閻魁のことをじっと見つめた。
「····まさか!? 閻魁! そこから離れろッ!!」
しかしベインがその言葉を言い終える前にヘリアルは神棚ごと魔魁玉を閻魁に向かって投げつけた。
「なっ」
ヘリアルがした突然の予想外の行動に閻魁は呆気にとられて飛んできた魔魁玉と衝突する。
魔魁玉は閻魁にぶつかると、黒い妖力が身体に馴染むように急速な勢いで閻魁を包み込んだ。
そしてその強大な妖力は徐々に閻魁の身体の中へと浸透していき、完全に妖力同士が一体化する。
「クソッ、面倒なことをしやがって」
「お見事でございます、ヘリアル様。その素晴らしいお考え、全く恐れ入ります」
ヘリアルは魔魁玉に含まれる『破壊衝動』を利用したのだ。
「グワァああああッ!!」
魔魁玉を取り込んだ閻魁は巨大な咆哮を上げる。その咆哮は険しい岩山に響き渡り本能的に危機を感じ取ったあたりの魔物がその場から離れていく。
「じゃがこれは······ワシらもまずいかもしれんな」
この場にかつてギルゼンノーズを襲った”災厄閻魁”が復活したのだ。
(はあ、また一か八かだけど······)
ベインは憂鬱な心になりながらも再び閻魁を呼び出したような黒く渦を巻く巨大な空間を生み出す。
「お前達も送らせてもらうよ、百鬼閣に」
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そしてベインの生み出した空間はヘリアル達ごと閻魁を覆いこむ。
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