ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜

ふーみ

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ボーンネルの開国譚2

二章 第三十六話 破壊の悪魔

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「へリアルッ!!」

ヘリアルの胸には風が通るほどの大きな穴が開き、大量の血とともに地面に倒れ込んだ。
辛い後悔の念が込められたその瞳にはもう光が差すことはなく、ただ純粋な涙が静かにヘリアルの頬を伝わる。

次の瞬間、ジン達の目の前に翼をはためかせて何者かが地面に着地した。そして冷たく見下すような瞳と嘲笑うかのように口角を上げたその顔は倒れ込んだヘリアルのことをじっと見つめた。

「哀れなものだな、無駄な感情に弄ばれた龍人族のものよ」

直感的に危険を感じ取ったレイはレグルスを構えてその者へ向かって背中から全力で振りかざした。

「ッ—!?」

しかしその者は高速で振りかざされたレグルスを最も簡単に受け止めると、先を掴んで軽々とレイごと遠くに投げ飛ばした。

「レイお姉ちゃんッ!!」

空中を舞ったレイは器用に体を捻って体制を立て直し、レグルスを地面に突き刺しなんとか受け身を取った。

「大丈夫だ。ジン、私の後ろに」

レイはジンの前に立って再びレグルスを握り完全な警戒体制で敵を観察する。

「お前は誰だ」

その者は背中から黒い翼を生やし、鋭い牙を見せてニタリと笑みを浮かべた。

「我が名はイルマーダ、最強たる破壊の悪魔である。ひれ伏すがよい、下等な種族である人の子よ」

「ジンが下等な種族だと? ぬかせ下劣な悪魔が」

「フッ、生意気な人間だ。だが妙だな、予想よりも刈り取れる魂の量が少ないようだ」

その時、再びジンの頭の中に魔力波が伝わってきた。

(ジン様、予想通りこちらにもかなりの量の敵が出現いたしました。どうやら敵幹部の一人が裏でつながっていたようです)

(ありがとう、さすがゼグトスだね。避難は大丈夫?)

(はい、問題ありません。しかし私の作成したジン様専用の特殊防御結界領域を避難に使ってしまいました。
エルムさん達は引き続きここで警護をしております。急ぎ最優先で新たな領域を作成したしますが、少しの間ジン様が危険にさらされてしまいます。どうか未熟な私をお許しくださいませ)

((特殊防御結界領域? 何それ、すごい初耳))

(だ、大丈夫だからエルム達のことを頼むね、気をつけて)


一階ではアイルベルによって操られた兵士たちを鎮静化させた後、すぐに続いて大量の悪魔達が召喚されていた。
悪魔達は最低でもBランクほどの実力を持っており、生き残った百鬼閣の兵士たちも苦戦を強いられていた。

「こりゃあ予想以上だな」

そして同じくクレース達とトキワ達は合流し、無尽蔵に湧いてくる目の前の悪魔達と戦っていた。
しかしそこにいた怪我人などはゼグトスの転移魔法で移動したため、奇跡的に未だ被害はなかったのだ。

「かなりの魔力を溜め込んでたようだ。軽く数万はいるか」

「魔物に乗り移ってる悪魔もイル」

その場には悪魔とともに先程二階三階にいたリザードマンやゴブリンたちが乗り移られたことにより敵対し襲ってきていた。

「悪魔以外は殺さないようにシナイト」

「クソッ、おめえはヘリアルのことも裏切ってたってわけか」

この大量の悪魔を召喚したのは他でもないアイルベルであった。アイルベルはいつの間にか黒いツノを生やし手が四本に増え悪魔の姿に変化していた。その状態でのアイルベルは先程までとの魔力量とは比べ物にならないほどに増加し、激しい闘気を放っていた。

「ようやく気づきましたか。私の主はイルマーダ様だけです。誇り高き悪魔族が下等な種族などの下につくわけないでしょう。まあ騙されるあなた方も相当な愚か者ですがね」

「なんだとッ!」

しかしその言葉を聞いてゼグトスは不敵な笑みを浮かべた。

「本当に騙されていらっしゃるのは一体どちらなのでしょうかね」

その言葉を聞き、アイルベルは若干イラついたような顔でゼグトスを睨んだ。

「····まあ、適当なことを言うだけなら簡単ですが、それでは何も変わりませんよ。負け惜しみはやめなさい。それに悪魔を召喚したのはここだけではありません。他の場所にも大量に送り込みましたから今頃愚か者どもは一掃されているでしょう」

その言葉を聞いてトキワはある人物に魔力波を繋いだ。

(ガルミューラ、聞こえるか? そっちは無事か?)

(ッ!? お、お前かなんだこれは)

(まあ詳しい話は後だ。今そっちに悪魔族の奴らが向かってるか?)

(ああ、今は他の集落にいるのだが凶暴化した魔物が攻め込んできた。悪魔が取り憑いているということか)

(そういうことだ、頼むぜ。気をつけてくれよ)

(······了解した)

「お姉ちゃん、どうしたの? 嬉しそうだけど」

「····何も無い。どうやらこいつらには悪魔族が取り憑いているようだ。······ん? 誰だアイツは」

するとガルミューラ達のいる元へと誰かが飛んできた。

「やっぱりこうなったか」

その人物はガルミューラ達の目の前に降り立ち辺りを見渡した。

「安心していいよ。今はもう、僕は君たちの味方さ」

数百年ぶりに鬼の社から出たベインは警戒するヒュード族の目の前に姿を現したのだ。
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