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Ⅰ
豚……
しおりを挟むバイクが止まると共に、
キリストはマリアがバイクを下りるのに
手を貸した。
その姿を見るなり、
先程まで叫んでいたAROEの者達が
キリスト、マリアに跪いた。
すると、
宮殿の奥から
オシリスが走って来た。
彼は深くお辞儀すると、
キリストとマリアに媚びる様に言った。
オ「これはこれはキリスト様、マリア様。
よくこんなみすぼらしい所まで
わざわざ来て下さりました。」
キ「今日はお前に用があって来た。」
オ「おぉ、それではこちらへどうぞ。」
キ「…………マリア。」
マ「何?」
キ「しばらく時間がかかるだろう。」
マ「!!」
キリストのそれは、
遠回しに言った男遊びのお許しだ。
マリアは嬉しそうに
キリストの首元に抱きついた。
マ「ありがとう、貴方!!」
そう言うと、
彼女は男どもの方へスキップしに行った。
キ「…………?」
その姿を見送りながら、
キリストはふと
AROEの本部あたりの
治安の悪さを思い出した。
キ「待て!!」
マ「…え?」
キリストの叫び声に
マリアは驚いた様にこちらを振り返った。
マ「貴方?」
何も言わず、
眉間の皺を深めていくキリストに
マリアは心配そうに近付いた。
マ「………大丈夫?」
キ「…………………あぁ。」
マリアはやはり顔を変えず、
キリストの頬に手を当て
安心させる動作をした。
キ「………やっぱり
今回はお前も参加しろ。」
マ「え?何に??」
キ「治安についての会議だ。」
マ「え?そんなのに私が出て
貴方達に何のメリットが?」
キ「………来てくれるか?」
キリストは純粋にマリアの腰に腕を回し
ぐいと引き寄せた。
マリアはその動作に
一瞬驚きを見せたが、
余裕の笑みで嬉しそうに
マ「分かったわ♪」
と言った。
連れてこない方が良かったかもしれない。
***********
あーだこーだあーだこーだ!!
そーだこーだそーだこーだ!!
男達のむさくるしい会議とは言えない
『言い争い』を、
マリアは退屈そうに聞いていた。
「治安が悪いのは~~側の
警備が甘いからだ!!」
「何を言う!!
我々は貴様らと違い、
仕事中に酒は飲まん!!」
「チュー杯は酒に入らん!!」
「それならーー側はこの前
ウォッカ飲んでたぞ!!」
「はぁ?!」
「我々は酒など飲まん!!
あんなの非道徳的概念を
発生させる原因だ!!」
「言ってる意味がちっともわからん!!」
マリアは横のキリストに目を向けた。
あぁ、
退屈なのは同じのようだ。
彼は頬ずえをついて眠っていた。
しばらくの罵声や悪口が飛び交う中、
先程から50m程先のトイレの前で
豚の仮面をかぶった男が
こちらを覗いているのが分かった。
まず頭に出てきた言葉は
何あれ?
である。
次に気持ち悪いが来た。
豚男は本当に豚と言えるくらい
腹が大きく出ていた。
何故こんなところに
そいつがいるのかわからないが、
とりあえず、
マリアはその豚男の方へ行った。
呼ばれている気がしたのだ。
カツカツとヒールの音を鳴らしながら、
数秒ほどの時間を使い
マリアは豚男の前に来た。
遠くからは気付かなかったが、
そいつ、
実はかなりの大男で
マリアの身長よりはるかに大きく、
大体2.5mはあった。
マ「貴方、どうしたの?」
豚「……」
マ「何故私を見てたの?」
豚「……」
何を問うても、
豚男は何も言わず荒々しい息を吐いていた。
仮面の下からヨダレが垂れていた。
マリアは反応がないのを見て、
最後に聞いた。
マ「…黙り込んでしまったら
何も出来な」
キ「マリアッ!!!」
マ「……………え?」
今まで聞いたこともないほどの
とてつもない大声を発して、
キリストがこちらへ走っていた。
キリストの後には
ゼウス、ハデス、エロス、クロノスが
銃を構えて走っていた。
マ「……どうしたっ…の………」
キ「っ!!!」
突如背中を走る痛みに
マリアはショックで気絶した。
意識が遠のく中、
キリストが命じて
クロノスが自分を持ち上げるのが分かった。
運ばれていく。
心の中には一つの疑問しかなかった。
何故??
***********
豚男の前には、
ゼウス、ハデス、エロスが構えていた。
その後で、
オシリスがキリストを守る。
キ「オシリス、こいつは誰だ。」
オ「…………多分………
豚の仮面でわかりませんが、
この前麻薬吸っちまった
セクメトだと思います。」
キ「………」
エ「セクメト!!
何故彼女を刺した!!
彼女が誰かわかっているのか?!」
すると、
仮面の奥から
低い声が響いた。
豚「……あ、マ、ママ…マヤクホシイ」
ハ「っ……こいつ完全に駄目だぜ。」
会議机のAROらも、
危機感を感じ武器を構えた。
すると、
キリストが机の上に乗る酒瓶を持ち
男の頭に叩きつけた。
バリィィィンッ!!
皆は驚いてキリストを見つめた。
豚「あひ?」
キ「………………」
キリストが怒っているのは明らかだった。
しかし、
ここまで彼が行動に表すのは初めてだ。
背中から溢れる怒気と殺意は
相当なもので、
後ろにいる皆が恐れおののいたほどだ。
キ「……お前…………殺すぞ…」
それはキリシャ内での合図。
『殺せ』という意味だ。
何発もの弾丸は豚男にだけ、
百発百中で当たった。
やがて、豚男は死んだ。
……………………
誰も何も喋らない。
キ「この豚男、
麻薬を吸ってから
どのようにして扱った。」
オ「え?そりゃ、
舌噛まねぇように抑えて
トイレの個室に閉じ込めました。」
ゼ「トイレの個室?!」
キリストは呆れ返ってゼウス達を見た。
3人とも気持ちは同じらしい。
キ「………あと10分以内に
ここを出なければ、
速やかにここを爆破する。」
オ「!!!?」
その言葉に、
AROEの者達はギャーギャー喚きだした。
反対のようだ。
辺りに混乱の念が走り、
その会議の場は
あっという間に人だらけになった。
キリストの周りを
ゼウス、ハデス、エロスが守る。
キ「………帰るぞ。」
3「はい。」
キリストは疲れたように
バイクに乗り走り去った。
今はとにかくマリアが心配だった。
クロノスはバイク乗りが
キリスト内で2番目に上手い。
任せたのは正解だった。
………マリア……
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