Maria

エターナル★

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病室

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目を開けると、
真っ白のベッドに寝ていた。
隣にはキリストがいた。

何故こんな所にいるのかわからないが、
マリアはキリストに抱きつき
胸を優しく撫でた。

どうやら病室のようだ。

マ「………私、何でここにいるの?」

働かない頭を働かすこともなく、
ただただのんびりその空間を楽しんだ。
何故かとても穏やかな気持ちなのだ。
それは多分、
先程から頭上の窓からの日光を
体いっぱいに浴びているからだろう。
すると、
ガチャリという音と共に
アフロディーテ、ゼウス、エロス、
ハデス、クロノスが現れた。

マ「……ん~?」
ア「マリア様、おはようございます。」
マ「おはよう♪
  ねぇねぇ、アフロディーテ?
  何故私はここにいるの?」

皆はどこか気遣ったように
目を合わせると、
ゼウスが言った。

ゼ「麻薬中毒者に腰を刺されたんですよ。」
マ「あら?背中じゃないの?」
ア「いえ、腰です。
  危ないところでした。
  刺された箇所が
  子宮に近かったんです。」

するとマリアは
余裕のない強ばった表情で聞いた。

マ「………大丈夫なの?」

するとアフロディーテは
今にも泣きそうな顔で言った。

ア「………万が一を考えると、
  恐らく妊娠は控えた方が
  良いかもしれません。」
マ「っ?!」

マリアはそれを聞くと、
驚いた顔で涙を一粒こぼした。

エ「マリア様?」

彼女の泣き顔など初めて見た。
その姿は大変憐れで苦しそうだった。

マ「…………………そう」

マリアは横で眠る
キリストの頬を撫でながら、
静かに涙を流し呟いた。

マ「……子供…欲しかったな………」

あまりにも可哀想で見てられず、
男連中は部屋を出た。
アフロディーテは泣いていたが、
マリアの良き理解者であるので、
彼女の手を優しく握っていた。

マ「………キリストには言った?」
ア「……はい。」
マ「……………そう。」

アフロディーテは
マリアがもぬけの殻状態に近い様子を見て
声をかけた。

ア「マリア様?」
マ「………ねぇ、アフロディーテ。」
ア「?」
マ「イイ子が産まれるといいわね。」
ア「っ……」

マリアがアフロディーテに言った
その言葉には、
寂しさがこもっていた。

ア「………………はい。」


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