Maria

エターナル★

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Maria*reverse Ⅰ

彼女こそ

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厚い灰色の曇り空の下、
大道路の11番道路の端で
アダム、麒麟、鳳凰、
白澤、天照、天帝の6人が
退屈そうに空を眺めていた。

鳳「まだなのか?」
あま「文昌帝君によれば、
  あと3分程だそうですが。」
ア「…………」
白「可愛い娘々ニャンニャンいないかなぁ……」
天「天照の前でそれは失礼だ。」
白「天照にはもう手、出したし。」
麒「ため息も出ないクズだな。」
白「女性レディーの前で
  煙草たばこ吸うおっさんよりマシさ。」
麒「お前もそのおっさんになるんだよ。」
白「僕は女性レディーの前で
  そんな臭いのなんか吸わないね。
  というか、一生吸わないさ。」
鳳「一生は難しくないか?
  何故そんな頑ななんだ。」
白「臭い男は女にモテない。」
麒「やっぱクズだな。」

5人が話す中、
アダムは1人。
遠くの方から聞こえてくる
バイクのエンジン音に耳を澄ませていた。



…………………




………………ッ

ア「?」

……ルルルッ……



………ブルルルッ…



ア「……………来た」
天「おぉ?」
麒「整列しろ。」

組織の身分順に道路に向かって一列に並ぶ。


ブロロロロロロッッ


バイクは太く速い鼓動を走らせながら
こちらの方へ来た。
バイクは4台。
その中、
一番先頭を走るバイクには
2人の人間が乗っていた。
アダムは迷わず後部座席の女性に目を向けた。

金色の上品なデザインの王冠、
淡く綺麗な長い金髪、
そのセクシーな体型を包み込む
黒い革のコスチュームは
首元に大きな黒いマントが付いていた。
彼女はキリストの腰に抱きついて
紅黒い唇を不動のまま、
サングラスをかけ直した。
彼女こそ、
この国一帯を支配する裏の組織
『キリシャ』のボス、
キリストの妻のマリア、
『聖母マリア』である。
勿論本名ではない。

彼女はこちらを見ることもなく、
通り過ぎて行った。

ア「…………」
麒「…………」
ア「…………」
麒「……良いのか?」
ア「…何が?」
麒「彼女、行っちゃったぞ。」
ア「あぁ、良いんだ。」

消えゆくバイク群を悲しそうに眺めながら
アダムは麒麟に言った。
麒麟は気を使って自分のバイクに乗り
アダムに乗るよう指差した。
首を垂らすアダムを
金色の瞳で睨みつけながら
白澤は相手を挑発するかの如く吐き捨てた。

白「………あーあ。
  アダムは弱いね。」
ア「っ」

その言葉にアダムは立ち止まり、
麒麟はバイクから降り
白澤の胸ぐらを片手で掴み持ち上げた。

麒「貴様なんて言った?!」
白「まぁまぁ、そんなカッカするなよ。」

白澤はどこか余裕のある笑みで
麒麟に笑いかけた。
舌打ちをする麒麟。

麒「なんて言ったか聞いてるんだ!」
白「もう、これだから脳筋は。
  まぁ、興味無い事だから
  あまり干渉はしないようにするけど、
  ボス、
  それじゃあいつか後悔するよ?
  取り返しのつかないことにだって
  なるんだ。
  子供みたいにぼーっとしてても
  誰も助けてはくれないぜ?」

遠くの方で雷の音が聞こえる。
雨が降る。

天「帰りましょう、皆さん。」
あま「そうですね。」



………マリア……………


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