Maria

エターナル★

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Maria*reverse Ⅰ

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「ねぇねぇ、○○くん!」
「ん?なぁにぃ~?」
「あたちね!
 将来○○くんのおよめたんに
 なるのぉ~!!」
「およめたんってなぁに?」
「えぇ?えぇ~っとねぇ~~!
 おかあたん!!」
「××がぼくのおかあたんになるのぉ?!」
「そう!○○くんはおとうたんね!!」
「うぅ~ん……」
「なによ!!あたちじゃいや?」
「ふーふになるってこと?」
「うん!そぅ!!」
「わぁ~!!うん!なる!
 ぼく××好きだもん!!!
 だいじにするからね!」
「うん!」
「こまってたらぜったいにたすけにいくね!」
「うん!」


「おい」

***********

「おい!」
「んぁ?」

朝の窓からの光を背に
金髪のオールバックの男が
どこか面倒くさそうにこちらを見ていた。

「起きろ、アダム。」
「んぁ?………あぁ、麒麟きりんか。」

アダム。
かなり豪華な名前だが、
これは本名ではない。
勿論、向こうの男も本名は
『麒麟』なんていう、
めでたい本名じゃない。

2人は、
というより彼らの組織では
本名は使われない。
それはまぁ、
言うなれば裏社会でそんな本名使ったら
ろくな事がないからだ。

ア「なんだよ。
  まだ朝の……9時………遅い方だな。」
麒「だから言ってんだ。」
ア「あぁ、そうかよ。
  ご苦労さん。」
麒「嘘だよ。」
ア「んだよ。ウソって……
  じゃあ、なんかあったのかよ。」
麒「キリシャが動き出した。」
ア「!」
麒「と言っても、あのキリシャだ。
  あそこに計画性なんてねぇだろうが……」
ア「……」
麒「………人気ひとけのねぇ南の大道路の11番道路。
  数台のバイクで通るらしい。
  メンバーは
  キリスト、マリア、エロス、
  デメテル、クロノスだ。」
ア「………マリア……」
麒「……キリストの後ろに座ってるよ。」
ア「っ…………行くぞ。」
麒「そのつもりさ。」

黒の革ジャン、黒のジーンズ、
黒のワイシャツに黒のサングラス。
黒、黒、黒、黒……

黒ずくめの姿で部屋を出る。

麒「急いだ方がいい。
  文昌帝君ぶんしょうていくんから聞いたところ、
  残りあと15分らしい。」

白黒のハーリキンチェック柄の床を歩き、
シャンデリアの美しさを受けながら
2人はエレベーターに乗る。

ア「わかった。
  鳳凰ほうおう白澤はくたく天照あまてらす天帝てんていらも起こせ。」
麒「もう起きてるよ。」
ア「え?はぁ…早起きだな。」
麒「お前がおせぇんだ。
  ボスのくせに夜遅く
  エロ本とか読んでるから。」
ア「それは白澤はくたくだろ。」
麒「あいつ、性に関しては積極的だからな。」
ア「元気な証拠さ。」
麒「お前の方が年下だろ。」
ア「俺はそこら辺が枯れてる。」
麒「枯れてるって……」

***********


チーン


エレベーターが一階についたようだ。
出ると、
あぁ麒麟の言う通り。
そこにはくるくるの赤髪の鳳凰ほうおう(♂)、
金色の瞳を持つ美青年の白澤はくたく(♂)、
長い黒髪を一つにまとめる、色白の天照あまてらす(♀)、
ちょび髭を生やす
いかにも中国人らしい顔の爺天帝てんてい(♂)らが
バイクに乗ってこちらを振り返っていた。

白「おそいねぇ、ボス。」
あま「心配しましたわよ?」
天「下痢か?」
鳳「おぉ?
  朝から下痢とはボス、
  なかなかやるねぇ」
ア「違うわ、アホ」

彼らは我が組織『日中書記』の四天王。
皆武器の腕はピカイチだ。
筋肉量は天照が少し劣るが、
皆とても強い者達だ。
隣の麒麟は『日中書記』のボス、
『アダム』の補助だ。

ア「皆、遅くなってすまない。
  蛇と格闘していたよ。」
麒「面白くない。
  さっさと俺のに乗れ。」
ア「はいはい。」

眉間に皺を寄せる麒麟のバイクの
背後座席に乗り、
ヘルメットをかぶる。


…………マリア……

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