Maria

エターナル★

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VI

inside poker

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マ「あはははは♪
  フルハウス♪」
オ「おぉ!なかなかやりますな」

ポーカーの開始から1時間。
マリアは華麗なトランプさばきで
勝利を導いていた。

マ「貴方も本気を出してはいかが?
  ずっと女に負けるのも
  悔しいでしょうに♪」
オ「はは。
  女性に本気を出すほどの
  私ではありませんよ。」
マ「ま♪」

大広間の真ん中の小さな黒机の上で
オーディンとマリアは
ポーカーを続けていた。

キリストはと言うと、
庭でエロス、ゼウス、
ハデス、デメテル等々と
オーディンを待っていた。

ゼ「来ませんな」
エ「どうせあの娼婦なマリアと
  ポーカーでもしてんだろうよ。」

腕時計の針を見つめるキリストに
デメテルは時刻を聞いた。

デ「今何時ですか?」
キ「10時27分」
ゼ「…………微妙じゃの」
エ「しばらく待つしかないな」

時期は12月の後半。
寒くて息が白かった。

***********

10時30分。
オーディンはマリアにトイレと言って
キリストらのところへ来た。

キ「遅かったな。」
オ「彼女はポーカーの神か?
  やり始めて間がないとは思えないよ
  きっと神の御加護だな」
キ「要件を聞け」
オ「あぁ、すみませんな。
  で?何の用です?」
キ「マリアをポーカーで負けさせ
  このキリシャから退いてほしい」

事前に説明すべきだった。
オーディンでなく、
ゼウスらが硬直している。
オーディンは
探るような目でキリストを見つめ、
試すように質問した。

オ「……はい?
  仰る意味がわかりませんが…」

キリストはオーディンの前に立ち
皆を近寄らせる。
声を細めて喋るから
皆は耳を澄ました。

キ「計画がある。
  内容は……」

キリストの顔に皆の耳が近付く。

キ「キリシャの主、マリアを
  絶体絶命まで追い詰め
  主を変える作戦だ。」

***********

現在時刻12時32分。

マ「ん~~……もぅむりぃ~~♪」
オ「………マリア様」

ろうそくの明かりだけが、
大広間には広がっている。
流石に遅くなり過ぎた。
もう起きているのは、
自分とギリギリマリアだけだった。
いや、
あそこに露出狂の女がいるが
あいつはまだ起きてるな。
確かアフロディーテが名前だったかな?

オ「一つ、
  賭け事をしませんか?」
マ「まぁ、素敵!
  どんなこと?」

遊び人のマリアにとって、
これほどウキウキするものはないだろう。

オーディンはワイングラスをじっと見つめ
紅色に金の光がかかる
心落ち着く机の上を見つめ、
マリアにひっそり言った。

オ「もし私が勝った場合、
  Northern Europeは
  キリシャから退団する。」
マ「?」
オ「もし貴方様が勝った場合、
  1日私の団の男と遊ばせましょう。」
ア「マリア様?!」
マ「ちょっと黙って、アフロディーテ♪」

マリアの背後で
オーディンの話を聞いていたアフロディーテは
賭けるものの規模の違いに気付き、
マリアに伝えようとした。
が、マリアはそれを遮った。
みるみるマリアの瞳が
色の欲に染まっていく。

マ「んふ♪
  …………良いわ。やりましょ♪」
ア「マリア様、よろしいのですか?」
マ「ゲームに危険はつきものよ♪」

アフロディーテは
無表情でオーディンを見張った。
彼の口端がかすかに上がっていた。

***********

マ「あ、れ?」
オ「ロイヤルストレートフラッシュ。」

オ「ツウペア」

オ「フォアガード」

オ「フラッシュ」

オ「ストレートフラッシュ」

***********

マ「うそ……」
オ「貴方様の負けですな、マリア」
マ「………」
オ「では、これで失礼致します。」

席を立つ時、
マリアが一瞬笑っているような気がした。


気のせい……だよな?

彼女はしばらく顔を手で覆った後、
アフロディーテに言った。

マ「オーディンを外へお連れして。
  お帰りになるわ。」
ア「はい。」

***********

クラシックな黒車の中で、
オーディンは
数時間前キリストに聞かされた計画を
思い出していた。

*****

キ「良いか?計画はこうだ。
  まずオーディンはポーカーで
  彼女に勝負を挑む。
  そうだな。
  真夜中、
  ポーカーをやってた奴らが寝た頃に
  マリアに言うといい。
  もし、俺が勝ったら
  Northern Europeは
  キリシャから退団する。」
オ「っ?!」
キ「もし、彼女が勝ったら
  お前の所の男達をあいつにヤらせろ。」

オーディンはニヤリと笑い、
キリストに言った。

オ「おいおい。
  それはちょっと卑怯じゃねぇか?
  天下のキリスト様も
  ここまで堕ちたか!」

すると、
ハデスがオーディンの首に
サバイバルナイフを突き付けた。

ハ「話は最後まで聞け」
オ「は、はは。
  そんなカッカするなよ…はは」

オーディンは怖気づいたように
両手を横に振った。

*****

オ「今日はいつものバーに行こう」
 「はいよ!」

運転手はメンバーのウル。
弓術の神。
以下は略する。

気付かなかったが、
雨が降っていたようだ。
しかも、結構強めだった。

オ「…………すまない、ウル。
  やっぱり今日のバーは止めとくよ。
  本降りになる前に帰らないと。
  今日はかなり強そうだ。」
ウ「おぉ、わかりました。
  今日は寒いですし……
  南の館にしておきますか?」
オ「うん。そうしよう」

Northern Europeの本部は
大規模な所有地に美しい建物が四つ、
東西南北にある。
天気と気温によって
どこの建物が快適かを分ける為だ。

***********

南の館は室温が温かい。
オーディンは一人ソファーに腰掛け、
用意されたウイスキーを
暖炉に火にすかし眺めた。

琥珀色の、
暖かな色だ。

*****

キ「………あいつは賭け事が大好きだからな。
  簡単に食いついてくるはずだ。
  お前はそれで本気を出し、
  マリアを完敗させろ。
  ルール違反も黙示する。」

それを聞くと、
オーディンは顔をしかめて聞いた。

オ「それは間接的に
  我々をクビにしたいだけなのでは?」

何も考えず聞けば、
こう思うのが当たり前かもしれない。
わざわざ、
キリシャのボスを騙してまで
Northern Europeを退団させるんだから。

キ「マリアを
  絶体絶命まで追い詰め
  主を変える作戦だと言っているだろ。
  キリシャにとって、
  お前達Northern Europeは
  大変大きな存在だ。
  そんなのがいなくなったら、
  このキリシャはどうなる?」

キリストは眉間の皺を変えずに言った。

オ「それは……まぁ、
  はっきりいえば、
  かなり経済的に傾きますな。」
キ「その通り。
  そこでマリアに自分に
  主は務まらないと自覚し、
  俺に権利を譲ってくる。
  そうすれば、
  キリシャは前のような
  裏組織界の王となれる。」

話し終わると、
オーディンはニヤニヤ笑い言った。

オ「一つ忘れてる事がありますぞ?」
キ「ん?なんだ」
オ「仮に貴方が再び主になったとして、
  もう退団してしまった我々は
  どうするおつもりです?」
キ「戻すに決まってるだろう。」

オーディンはゲラゲラと笑い
キリストに言う。

オ「そんなの不可能でしょう!
  我々が
  退団したあとに見つかったとして
  素直に戻ると思いですか?
  甘ったるい話だ!!」

キリストはそれを聞くや否や、
オーディンの胸ぐらを掴み片手で持ち上げ
恐ろしい声で聞いた。

キ「出来ると思ってるのか?」
オ「………え?」
キ「裏社会の麻薬、人身売買、
  偽札作り、裏の経済的賄賂、
  違法奴隷の買取等々の
  全ての事柄の大部分に関わっている
  キリシャに、
  お前達のような経済的賄賂の部分でしか
  社会に関わりのない者が
  我々の言う事に逆らえるのか?」
オ「っ!」

簡単に言えば、
「言う事聞かなけりゃぶち殺す」
こういう事だ。

キ「我々の金で生きていられるお前達が
  我々無しで生きられる根城ねじろは?」
オ「わ、悪かった……」
キ「それによく考えてもみろ。
  あのリリスに経済的概念やらが
  理解でき、
  それを利用する事が出来ると思うか?」

答えはNoだ。
現にキリシャの主がマリアになってから
キリシャの経済的安定は
図表で表すと右肩下がりだ。
とても良い状況ではない。

キ「よく考えろよ?
  仮に今お前がこれに協力せずに
  キリシャが解散する事になってみろ。
  地球は大規模な不況の波を
  かぶる事になるぞ?
  お前のNorthern Europeも
  存続が怪しくなる訳だ。
  ここまで聞いて、
  頭の良いお前なら
  俺が何を言いたいか分かるよな?」
オ「…………わかりました」

*****

雷鳴が外から聞こえてくる。

オーディンはグラスを上げ
一気にそれを飲み干した。

瞼が重くなるのは眠いからじゃない。
疲れているからだ。

煙草を吸い、
大好きなジャズを部屋に流す。

この時間は
どんなにゆっくりしても
怒られない癒しの時間だ。

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