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Ⅷ
女の名は
しおりを挟む「リリスを殺せ!」
「馬にでも踏ませてしまえ!!」
キリシャの大広間で
何億人もの人々が
今そこにはいない一人の女に
罵声を浴びせていた。
大広間の外装は
コロシアムに大変よく似ている。
「奴は我々を裏切った!!」
「反逆者は消滅させろ!」
Northern Europe、日中書記、
オメテオトル、
その他様々なキリシャの配下の者が
そこには集まっていた。
理由は簡単。
1人の女が
地球にある全ての裏組織の情報、
存在する裏組織名と
そこにいる犯罪者の個人情報まで、
何もかもを世界中に拡散したからだ。
「あいつのせいで、
私の妻と子が殺された!」
「毎日くる沢山の苦情や嫌がらせで
妻が自殺した!!」
「全てあの女のせいだ!!」
「リリスを殺せ!!」
地球上の人口の10分の1もの人々が
1人の女に激怒していた。
***********
赤いカーテンで壁を覆ったその部屋の中で
アフロディーテは
マリアに衣装を着せていた。
主色は黒、紅、金だ。
マ「………」
ア「………」
マ「…………貴方のお世話になるのも、
今日で終わりかしらね。」
ア「……貴方様が
お亡くなりになられたとしても、
私は貴方様の忠実な侍女です。」
マ「…………んふ♪」
ア「?どうかされましたか?」
マ「沢山の人達に見られるのって、
興奮する♪」
ア「………………そうですね。」
アフロディーテは
マリアの腕首に金の腕輪を付け、
黒の鋭い王冠を被せた。
首には銀の十字架をかけている。
アフロディーテは無表情で
マリアの瞳を見つめた。
ア「マリア様」
マ「なぁに?」
ア「あの件ですが…」
マ「…………タイミングは貴方に任せるわ」
ア「……はい。
マリア様」
マ「今度はなぁに?」
アフロディーテのその行動は、
失う物に最後の別れを告げるようであった。
彼女はマリアに跪くと、
彼女の左手の甲に口付けをした。
マ「…………どうしたの?」
マリアの瞳は
寂しそうに揺れていた。
しばらくお互いを見つめる。
ア「……今まで
本当にありがとうございました。」
すると、
マリアの赤黒く塗られた厚い唇が
僅かに震えているのがわかった。
マ「…………貴方の忠誠心。
主を信じる心は
とても素晴らしいわ。」
ア「マリア様…」
マ「だから……今までありがとう…」
涙目、涙混じりの声で
鼻を赤くしながらマリアはそう言った。
マ「さぁ!
皆が私を待ってるわ!
早く皆に見られたいわ!!」
ア「…………はい。」
色情の溢れる彼女の後ろに
アフロディーテはただただ付いて行った。
悲しそうな無表情で。
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