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プロローグ

序章【全ての始まり】

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序章 【全ての始まり】
 
 蝉の求愛行動が五月蝿い8月3日、俺、相沢南雲 23歳(アイザワナグモ)は高校時代の友人と遊ぶ約束した場所に走っていた。

「ハァ‥ハァ‥間に合え!!」

相沢は、息を切らしながらその約束した場所に走る。信号につかまったり、人の波をに逆らって走る。きっとこれまでの人生でこんなにも急いだのはないだろうとそんなことを思いながら、走っていると昔、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「おーいこっちこっち!!」

その声のほうを見てみると高校時代の心の友
夏目太陽(ナツメ タイヨウ)が手を振って待っていた。


珍しいじゃん?と笑いながら話す太陽に

「マジですまん!!!!」

と土下座をする勢いで謝る。謝罪を聞いた夏目は腕を組みながら、ウンウンと頷くと

「よろしい、頭をあげよ‥其方の急いで走っていた様子はこちらからも見えていたのでなぁ」

「ありがとうございます夏目様!!」

と会話した後で二人でフフッと笑う、相沢は夏目のユニークな所に何度救われたことか、と安堵しようとしたのだが、それよりも

「所でさ夏目?髪染めたの?すんごい派手な色してるけどさ」
「ん?そだよ下の名前が太陽だから太陽ぽい色にしてみました!」

と前髪をいじりながらこのカラーどうよ?と聞いてくる、どうと聞かれても、生まれてこの方髪など染めたこともない相沢には
『‥派手な色だね』という言葉しか思いつかない

「あ、えーとあ、明るい色だな!!」

「でしょ~!これで目立つこと間違いなし!!」

「そ、そうだな!目立つしな」
『必死に考えた答えだったが良かった喜んで貰えて』

相沢はこういう何気ない質問に答えるのは苦手だ。だからといって難しい質問にも答えることが出来るかどうかも難しいのだが、すると夏目が自分のスマホを見ながらあ!と声を上げる

「遊ぶ場所なんだけどさ一ヶ月前に送った場所でおk?南雲がいいならそこに遊びに行こうぜ~」

「ん、いいよぉ別に、せっかく太陽が予約とかしてくるて話だっからそれならと思ってたし」

「やった!南雲と行きたい所、沢山あんだよねぇ~」

とはしゃぐ太陽に相沢は、あんまりはしゃぐ転ぶぞ?と軽く注意をして太陽の後についていく。そんな中相沢は

『いやぁ本当に久ぶりだ、誰かと一緒に出かけるなんて。一人暮らしだと仕事の受け答えとコンビニやスーパーの袋いりますか?の返答をするだけだから自分の中の何かで、何かすり減っていく感覚に哀しさを覚えてしまう、なんてことを考えしまう自分には惨めさ感じるなそんなことを考える自分には嫌気がさすけどさ‥』
と後ろ向きな思考を巡らせながら歩き出す。
        





       ※※※※※※※※※※※※※※


「今日は楽しかったねぇ~また遊ぼうね」

「俺も楽しかった今度は俺から誘えるように頑張るわ」

と相沢は答える。それを見て太陽が心配そうな顔をしながら口を開く
「‥そんなに辛いなら辞めてもいいと思うよ?仕事。俺はさ実家継いでるからあんまり言える立場じゃないけどさいまの南雲はその、なんていうかさ‥あーー言葉に出来ねぇ!!」

と頭抱えながら、「だから~、えーと‥」と相沢を慰めるために言葉を選んでくれている太陽を見ていると彼は目頭が熱くなる。かつての彼はもう少し明るい性格だった。こんな性格になったのは一年前の4月、両親が病気になった、二人の病気は命を脅かす病気ではなかったが完治するまでは、入院しなければならないと医者はいった。それだけでも莫大な医療費を払わないといけない。両親は彼に泣きながら『迷惑をかけてすまない』と彼の顔を見るたびそう呟く。これだけでも大変なのだがその一ヶ月後
俺の勤めている会社が倒産の危機を回避するために合併し、俗に言うブラック企業になった。

この二つの出来事で俺の人生と書かれた紙に黒いインクをぼたぼたと垂らしたように黒く汚れていく。


合併した際、相沢たちの勤めいる会社にきたのは
【態度の大きい無能な上司】だった
馬鹿の一つ覚えのように本社から仕事を貰ってきては、短期間に仕上げるようにと言ってきたり、有給を取ろうものなら仕事を渡された挙句自宅で必ず仕上げてくるようにと命令したり、と【休み】がない会社になっていた。そのせいで、沢山の同僚や仕事の先輩が辞めていき残った者たちに今までの倍の量の仕事が溜まるという事態になった。

【ならやめればいい】なんて簡単ではないのだ。

次は莫大な医療費と両親の病気の変化だ。あの日突然、彼の家族はおかしくなった。突然怒り出す父、突然幼児退行する母、本当にあの時は気が狂いそうになった医師に聞いても本当になぜこんなことになったのか分からないそうだ。そしてどんどんなくなる貯金。だが、それでも、彼は二人の治療を続けて貰うことにした。仕事が休みの日は必ず、病室にいき母と父の様子を確認し記録する。これの繰り返しのはずだったのに。いつものように母と父会いに行くとキョトンとした顔で父と母が彼に

「お兄さんだあれ?」
「お前は誰だ!!」

と答えた。急いで医師に相談するとどうやら脳の記憶に混濁が見られるようで彼だけではなく担当医やナースの区別もつかなくなっているらしい。医師が言うには治療は出来るしかしいままで以上の医療費が必要ならしいのだ、俺は何度も両親に救われてきた。助けたいだから

「お願いします!」
そう言って頭を下げた。

両親を治すためには金がいる。仕事を止めるわけにはいかない。だがある日、彼の中でプツンと何かが切れる音がした。そこからどんどん暗い性格になり今の相沢南雲になったのだ

「あ、あのね?」と俺がどんどん暗い顔になっているのに気づいた太陽は俺に

「も、もし辞めた後の仕事先ないならさ!お、俺が南雲を雇うからそれと南雲の【両親】のことも俺がなんとかするし!!」

‥必死に俺を説得してくれている。あ、そっか‥俺を説得するために今日誘ってくれたのか。どうしよう嬉しい‥けど、けど

「い、いまやめたら‥他の人に迷惑がかかっちゃうし‥そ、それに」

涙声になりながら【言い訳】する。情けない23にもなってこんな子供見たいな‥それでも【逃げたい】という感情を押し殺す

「か、考えておくよ‥じゃあ俺はここで!!」

そう言って彼は太陽に背を向け走り出す、太陽は待ってるから!と相沢に叫ぶ、『聞こえない!俺は何も聞いていない!!』そう心中で聞こえた声に対する気持ちを押し殺し走る。




         ※※※※※※※※※※※※※※


 どこまで走ったのだろうか?だいぶ息が上がっているのを自覚した彼は足を止める。夕日が彼の影を伸ばす‥

『ああ、もう今日も終わりか、そう思うと情けない声が出そうになる。』と考えていると‥

ポケットに、突っ込んでいたスマホがブルブルと揺れているのに気づき、確認する。
そこには【会社】と登録している通知の画面それを見た瞬間、相沢は慌てて通話を繋げる

「はい、南雲です!あ、はい、はい‥え?明日ですか!いや、その件は来月では?え、伝える日付を間違えていた?あ、そうですか‥いえいえ不満なんてありません!帰って必ず!はい、はいではお忙しい中連絡してくださりありがとうございます!」

そう言って通話を切る「‥明日までに仕上げないと」そう口に出ていた。すると今度はメールの通知音がきた。『今度はなんだよ』と思い彼はスマホのメールを確認して呆然とする。









タイトル なし

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タスケテクダサイ

という意味不明なメールを見てスマホを見つめてしまう。『なんだこれ?イタズラメール?だとしたら悪質すぎないか?!』そう考えながら視線を前に戻すと


「あれ?」

見たことのない場所にいた



       ※※※※※※※※※※※※※※


 彼が、視界を前に向けた先に目が捉えていたものは、部屋のような場所だった。天井には赤、青、黄色、緑、白をベースに作られたであろうステンドグラスが天井を覆い尽くしており、中央には、お茶会で使われるような小さな白色の丸いテーブルが一つ置いてある。そこにはとても美味しそうなスコーンを乗せた皿と紅茶が置いてある。相沢は、慌てる場面のはずなのに妙に落ち着く、『むしろもっとここにいたいような‥』そう感じていると、後ろから声がかけられる

「こんにちは、ん?あなた方の時間だと、こんばんわになるんですかね?」

後ろを振り向くとファーのついた黒いロングコートを着た男が立っていた。その男の風貌は、美しい黒髪で、日光に一度も当たったことがないのではないかと思うほど色白で、ルビーのように赤い目でスラっと伸びた手足、まるで空想上の人物と言われてもおかしくないほどの美しい男だった。なぜか彼はこの男から目が離せない。

━━━━離したくない
と思い硬直していると

「フフッそんな風に熱い視線を向けられると、ころ、いえ!ンンっ恥ずかしいです」

と言って笑みを浮かべる彼を見て相沢もぎこちない笑顔を浮かべる‥『ちゃんと自分は笑えているのだろうか?』そう思っていると男はスタスタ歩きどこからか真っ白な椅子を二つ取り出すと小さな丸い机の近くに置いてから、私に振り向き小さく手招きをして

「そんな所に立ってないでこちらにどうぞ?」

と手招きされ相沢は吸い込まれるように椅子に腰を下ろした。

          
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