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第1章
【転生者に選ばれた】
しおりを挟む男に誘われるまま椅子に座った。俺は男に質問をした
「あの、ここはどこで、あなたは誰ですか?」
「あー自己紹介ですね、私の名前はそうですね‥うん!アルとお呼びください」
と男はいま考えた様な名前を名乗った普通なら信じないはずなのだが相沢は
『こんな人物信用でない!出来るはずがないのにどうして?【この人は安全だ】なんて思えるのだろうか?』
「あ、えーとアルさん?はあのここでなにを、されておられるのですか?」
「簡単に言えば穴埋めの補充です。いや~本当に自分で選んだくせに投げ出すとは‥本当に人間は面白い生き物ですよね~」
「人間?あのアルさんも人間ではないのですか?」
この質問を聞いたアルは微笑みながら
「違うと言ったら?あなたはなんておもうのでしょか?」
と聞き返してきた。質問を質問で返されてアタフタしている相沢を見て、アルは小動物を見るような目をしながらちゃんと「説明しますから」と言って紅茶を一口飲み込んだ。
「先程軽く説明しましたが、貴方はある逃げ出した【転生者】の穴埋めで呼ばれました。断ることとか出来ませんので悪しからず。」
「え?穴埋め?転生者なんですそれ?」
『頭が追いつかない転生者てなんだ?穴埋めて?そもそも自分は明日にも仕事があるに‥』
そう焦っていると
「ん?メール見てないんですか?見ましたよね?」
「あのその大変言いにくいのですがメールのほとんどが文字化けしていて最後のタスケテクダサイしか分かりませんでした。」
そう告げると‥アルは席を立ち背中を見せる、すると「ふーんあの人間引き継ぎもできないんかですね」と小さく呟いてから、アルはもう一度相沢の方に振り返り
「わかりました!では正式に異世界転生して貰います。本当は駄目なんですけど、私のミスでもありますしね」
「ま、待って待って!あの異世界転生?とか興味なくてあの明日も仕事で!!」
「ご安心下さい貴方の時間はいま止まっています。こうゆう【ご都合展開】人間はお好きでしょう?なのでご安心下さい」
「へ?時間が止まっている?」
「はい!止めさせていただ来ました!」
『そんな馬鹿なことあり得るのか?本当にご都合展開すぎる、それにいくらなんでも無茶苦茶だ、夢でも見ているのかな?
それとも本当に‥?』
「本当ですよ?疑われているみたいなので言っておきます」
不意に突かれた言葉に驚いた相沢はいま、自分の聞きたいこと全て口に出してしまった。
「うぇ!あのえっと、時間が止まっているとしてもどうして俺なんですか?俺は本当に何も出来ないし‥」
「出来る出来ないではないです。そんなのこちらは聞いていませんし、そんな心配されなくても大丈夫です。空いた穴はど無能だったのであなたは無理に活躍しなくてもいいです。ただ穴を埋めさえしてくれればいいので」
「穴を埋めるとはどうゆうことですか?人材を派遣するみたいなことなんですかね?」
「はい、そう思っていただければ!」
そういうと彼はスコーンを口に運び食べ始める。それを視界の端で捉えながら相沢は思考を巡らせる。
「‥何がそんなに不安なのですか?大抵の人間はこれ聞いて喜びますよ?『やったー異世界転生だぁー!』って」
「私は、あの異世界転生?と言うものを知らなくて‥」
『そう本当に知らないのだ、異世界転生言葉だけなら知っているがこう言った題材の小説や漫画などを見たことがないためそういう知識はほとんどないそのため普通?喜ぶはずの人のように喜べない‥』
「じゃあ説明しますね、ものすごい長い話になるので紅茶とかスコーンとか食べながら聞いて下さい。」
そう言ってアルは相沢に異世界転生とはなんなのか説明してくれた
※※※※※※※※※※※※※※※
「━とまぁこんな感じです、どうですか理解して下さいましたか?」
「はい、なんとなくですが‥つまり魔法とか使える世界に行くてことなんですよね?」
「ですです、んで貴方はそれに選ばれたのでここにいるというわけです。」
そんな会話を紅茶とスコーンを食べながら、聞いていた相沢にはある疑問があったそれはきっと誰でも思いつくことだろう
「あの、元の世界には帰れるんですよね?」
「はい、帰れます。誰も帰さないなんていってないでしょ?そこら辺はちゃーんとしているので心配しないでくださいね」
『‥帰れるのなら息抜き程度で第二の人生を歩んでみたい、こんな、こんな惨めな自分を捨てられるのなら!!!』
そう決心したが、アルは紅茶をテーブルに置くと
「あ、相沢さん!貴方は【肉体的な死】ではないのでそのまま異世界に飛ばされます。なので姿はそのままですよ?」
そう答えた━━体から力が抜ける、やっとこの状態から抜けらることが、出来るかもしれないと考えていた相沢に取っては、この返答は、本当にショックだった。
「えぇ‥ああそうなんですか」
「ふむ‥では元の性格に戻してさしあげましょうか?いまの貴方は2020年4月から現在にいたり人格が変化しています。なので一番自分らしかった歳の人格を再形成しますので明るい性格に戻れますよ?」
「「是非お願いします!!!!」」
その言葉を聞いた瞬間、さっきまで抜けていた力が戻った感覚がする。高校生のころ部活動していた時のような元気のいい声が出た。久しぶりだ、こんなに心が躍るのは、だって時間は止まっている!なら会社とか両親とかいまだけ頭の隅においやって
【逃げることができれば】また【昔のような自分】
に戻れるかもしれない!!!
「では再形成をしますね」
そうゆうと彼は何か呪文?のような言葉を呟くとティーカップや皿がカタカタと音をたてる。揺れが収まるとアルは、相沢の額を指で軽く触る。頭の中に電気が走ったような衝撃が頭の中を掻き回す。どんどん自分から【不安】が消えていき晴れ晴れとした気分になっていく。こんな気分はいつぶりだろうか?
「どうですか?気分は」
「あぁ、最高だ!!あんなに毎日不安だったのに!!今じゃ全然!それどころか何でも出来るそんな気がするぜ!」
そう答えるとアルは、そうですかと笑いながら手を叩き
「では、はじめましよう?貴方の異世界についてのお話を」
※※※※※※※※※※※※※
「まず、貴方の行く世界は保存No.12番の『ノンタイル』という異世界に行って貰います。」
「ノンタイル?それが名前?」
『なんだが変な名前だなぁと感じる日本みたいに〇〇県とか〇〇市とかではないんだなぁ』と勝手に自己完結し、アルの話を聞く
「前はあったんですよ?名前は、でもね、ある転生者が無茶苦茶したせいで世界が壊れまして‥」
「まってくれ!!お前てやっぱり人間じゃない‥よな?」
「はいそうですよ?神様です」
『えええええええ!!なんてこった!俺は今まで神様に失礼なことをしてたのか、というか今思えば神様ぽいことしてくれたよなぁ‥』
その発言はまさかのものだった。確かに人ではないのではないか?と考えてはいたが、まさか神様とは彼は慌てて謝罪を行う。
「え、あのそのお前とかいってすみません‥あの、この頃は本当に生意気な性格だったので‥」
「知ってますよ?それくらい別にタメでいいですし、はい」
「じゃあ遠慮なく」と彼はアルに返す。『神様ってイメージだとめちゃくちゃ偉いイメージがあったけどアルはなんか違うそんな気がする。』なんてことを思考しているとアルが話を戻した。
「では、貴方はその【ノンタイル】という世界に言って貰うのですがそんなに気張らなくてもいいです前にもいいましたが、穴埋めなので」
「その穴埋めてどうゆうことっすか?」
「先程説明した通り、【ノンタイル】という異世界は転生者によってめちゃくちゃになりました。ですがこれを放置するのは他の異世界を巻き込みかねないと決まりまして。なら同じ転生者に作り直させればいいではないか!となったんです」
「ほえー」そうなんだとしか言えない、先程確かに基本は教えて貰ったが、自分の考えていたものよりスケールがおおきすぎて
『━かなり壮大な話ではないか?』
としか考えられなくなっていた。
「ここからが本題です。現在その【ノンタイル】という世界には350人ほどの転生者たちがくらしています。」
「そんなに!?俺いらなくないっすか?」
「それがそうもいかなくてですね?転生者一人一人に【役割】があるんですよね~」
『転生者に役割?そうなのか‥なんか大変そうだなでも俺一人加わるだけで、そんなに変わるものなのか?そもそも俺って穴埋めでは?』
「転生者の種類は大体3つです。戦闘、文化の発展、魔法の研究です。貴方に埋めてもらう場所はそうですね【戦闘】ですね」
「せ、戦闘?!戦うてことですよね?無理無理!無理ですよ!!」
「いやいや、いけますいけます!チートアイテムとかあげるのでそれを使って蹴散らせばいいので」
『簡単にゆうな!?俺は生まれてこの方は魔法とか剣とかもったことないぞ?!あるのは自慢の足と腕だけだ!』
「あ、別に剣とかでなくてもいいですよ?手足につける武器とかありますし。ただ魔法はあると便利ですね~野宿とか見てて楽そうですもん」
『むむっ、それならいいかな‥いいよな?あぶね~もし剣とかしかダメなら焦ったぜ‥じゃなくて!!戦うんだぞ?死ぬかしれないのにそんな‥』
「転生者は死にませんよ?死ぬわけないじゃないですか、足りないのに減らすなんて馬鹿でしょう?」
「つまり‥不老不死?てことか?」
「違います。不死なだけです。病気にはなりますし、怪我もします。ただ死なないだけです。」
「し、死なないならいいか‥うん」
あの世界から少しだけでも休みたいだけなんだ俺は‥死んだらそく元の世界に帰るなんてそれだけは嫌だ‥━━━━━絶対に
「そろそろ転生する特典を選びましょうか」
「特典とかあんのか‥」
「もちろんですよ、ないと死なないだけの肉盾になるだけでしょう?」
「お、おう」
いままでの人を小馬鹿にした喋り方ではなく真剣なトーンでアルは話した。身体中の体温が一気下がる。いままでのアルからまるで別人のような雰囲気を感じて若干恐怖を感じた相沢だったが
「ど、どんな特典があるんだろーなぁ!!た、楽しみだなぁ!」
と雰囲気を変えようと試みた。それをみたアルが笑いながらじょーだんですと行って笑う相沢もアルにつられて笑う
笑う、笑う、笑う、笑う、笑う、笑う、笑う
「もう、いいですか?」
その声で現実に引き戻される‥「はい‥」俺は小声でそう呟いた。
※※※※※※※※※※※※※※※
アルが言うには貰える特典は3つ
〔身体的能力の向上〕 〔魔力を蓄積出来るようになる〕
〔レベルアップ出来るようになる〕
の3つだ。俺的にはこの時点でワクワクしているのだが、最初に話していたチートアイテムというものが貰るのかと疑問に思い
「アルさん、アルさんチートアイテム?なるものが貰える特典はどこでしょか?」
「あーチートアイテムですか?いや最初は与えようと思っていたのですが‥やめました」
『やめた?なんで?他の転生者は貰えるのにどうして俺だけ?そんな思考が頭に走る‥だっておかしくないか?これから命をかけて戦うとゆう役目に与えられたのに自分だけ特典が少ないなんて‥あれか?穴埋めだからか?』
「だってぇ、貴方にはぁ、アイテムよりもいいものをあげるからです」
「え?」
『まさかの特別待遇!?まじで!いいのかなぁそんなことして貰っても~ いかん顔がニヤける!いままで生きていて特別待遇なんてして貰ったことないから嬉しすぎて‥』
「それってなに!!マジで気になるおしえ「は内緒です。だって教えたらつまらないでしょう?」
『それもそうか!なーんて俺は考える。自分でも楽観的な性格だなぁと思うがいまはそんなことどうでもいい』
「じゃあ説明も特典も渡しましたしいきましょう!異世界!」
「おう!!」
それと同時にアルの後ろから白色に輝く扉が現れるアルは椅子から立ち上がり扉を開く
「さあ‥いってらっしゃい良い異世界ライフを」
その言葉を聞き相沢は異世界の扉の前に立ち、【くだらない質問がある】ことにまだあるのに気づき扉の中に入る前に足が止まる
「‥アル?」
「はい?」
「空いた穴の役割は分かったけど‥俺って戦うだけ?なんか転生者以外の名称とかないの?」
そう言って振り返ると‥邪悪な笑みを浮かべているアルがいた
「あは、あはは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
アルは笑い続ける、俺は何がおかしいんだよ!とアルに聞き返す。俺がアルと呼んでいた、男の顔が裂けるとそこには‥
【虚無】があった。
真っ黒な空間、顔がないはずなのにみられているという感覚を感じるアルだったものはジリジリと俺に近寄り、俺の方にソレの手が肩に乗せられると同時に
「勇者ですよぉ?頑張ってくださいねぇ」
と聞こえたと瞬間に━━━俺は光の中に突き飛ばされた。
応援ありがとうございます!
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