43 / 56
1章
42話 因果応報
しおりを挟む
「パトリックさんは、覚えているだろうか? 神様は君に新しいステージを用意した、という話を」
パトリックは首を振った。あの緊急時だから覚えていないのも無理はない。
新しいステージというのは、魂がレベルアップすることを言う。
それは、さらなる魂のレベルアップのために伴う出来事がやってくる。
その前には、今までのままでは、いられなくなる現象……人によっては、強制終了といわれる『シャットダウン』や、ステージが変わるという言い方をする。
「君の場合に起きた『シャットダウン』は、『銀の狼』から追放されたことだ。それは、君にこれから起きることのために、『空き』が必要だったからだ」
和葉を森で発見したこと、スキルの使い道を調べたこと、メメルとの出会い、そして今日まで起きた出来事。
それは、『銀の狼』と共に遠征に駆り出されて和葉達に出会うこともなかった。
「今君の魂が、さらなるレベルアップのために必要だから、今日の出来事が起きたんだ。これからきっと、今まで頑張ってきた分が報われる出来事がたくさん起こるだろう」
だからこれからは、自分に起きた出来事に対して『どうして起こったんだろう?』と疑問を抱くようにしてほしい。
そして、自分の心に正直に、素直になってほしい。
それこそが、パトリックにとって最も大切なことだからだ。
大人から言われたことが全てではない。
嫌なことは、やらなくてもいい。
できないことは、できないと言って良い。
できることを、できると自信を持って、ハッキリ言える人間になってほしい。
「存外、自分に本当に必要なことは、自分の方が分かっているものだ」
だが、大人から言われて、世間からの目を気にして、本当にやりたいことが分からなってしまう人は、大勢いる。
「これからは、自分の心に従って生きなさい。私や、他の大人が言ったことばかりを信じるのではなく、自分の心が正しいと思うことを選ぶんだ。例えば、スキルの使い方。そのノートは確かに、私が君のスキルで使えそうだと思い付いたものが書いてある。だが、それを使うかどうかは君が取捨選択をして良い。それに、君はどちらかというと、『シャボン玉の中に入れる』という使い方をしている」
デイヴィスの保護然り、シルバーグリズリーの生け捕り然り。そして、ハウルの逃走防止然り。この三点はどれもパトリックの発想力の賜物だ。
その『シャボン玉』のスキルは、パトリックのものだ。汎用性の高さから、使い道はいろいろあるだろう。これからは、パトリックが見つけていくと良い。
その際には、ノートに書いていけば、記憶やインスピレーションの一助にもなる。
「そして、自分の考えを信じるためには、情報の取捨選択が必要になる」
確かに大人から言われる事柄が正しいものが多い。それは、彼らの人生経験に基づくものだ。そして彼らも先人から聞いて、学んでいる。
人から話を聞くというのは、自分の成長速度は早めることでもある。
多くのことを学び、ノートに記録を付け、そして分からないことがあったら大人から話をしっかり聞くこと。
最初は分からなくても、時が経ってから意味が分かることも多い。
幸い、これからパトリックが同行するメンバーは冒険者ギルドで先輩達に当たる人達だ。
シーラ達からであれば、今後の冒険者生活でも参考にできることがたくさん聞けるだろう。『銀の狼』程度では知らないような、ハイレベルな情報も。
「だから、学びなさい。君が生きているその人生は、君が主人公だ。他人軸ではいけない。君の人生は、君が舵を取れるようにする必要がある……――もう少し落ち着いたら、実の親に会った時、どうしたいかも考えておいた方が良い」
「……」
「私からは、これぐらいだ。長々とすまない。パトリックさんからは、何か聞きたいことはあるだろうか?」
パトリックはちょっと躊躇ったように、和葉を見つめる。
「その……瓶の改悪が終わったら、カズハさんの所に戻ってきも、良いですか……?」
「あぁ、もちろん。私のような人間の所で良いのならば」
ただし、ブレーメンとの決着がついてからというのが前提条件になる。ついていない場合はこちらに来たら危険だから、許可はできなくなってしまう。
それでも良いだろうかと尋ねれば、パトリックは嬉しそうに頷いた。
パトリックは首を振った。あの緊急時だから覚えていないのも無理はない。
新しいステージというのは、魂がレベルアップすることを言う。
それは、さらなる魂のレベルアップのために伴う出来事がやってくる。
その前には、今までのままでは、いられなくなる現象……人によっては、強制終了といわれる『シャットダウン』や、ステージが変わるという言い方をする。
「君の場合に起きた『シャットダウン』は、『銀の狼』から追放されたことだ。それは、君にこれから起きることのために、『空き』が必要だったからだ」
和葉を森で発見したこと、スキルの使い道を調べたこと、メメルとの出会い、そして今日まで起きた出来事。
それは、『銀の狼』と共に遠征に駆り出されて和葉達に出会うこともなかった。
「今君の魂が、さらなるレベルアップのために必要だから、今日の出来事が起きたんだ。これからきっと、今まで頑張ってきた分が報われる出来事がたくさん起こるだろう」
だからこれからは、自分に起きた出来事に対して『どうして起こったんだろう?』と疑問を抱くようにしてほしい。
そして、自分の心に正直に、素直になってほしい。
それこそが、パトリックにとって最も大切なことだからだ。
大人から言われたことが全てではない。
嫌なことは、やらなくてもいい。
できないことは、できないと言って良い。
できることを、できると自信を持って、ハッキリ言える人間になってほしい。
「存外、自分に本当に必要なことは、自分の方が分かっているものだ」
だが、大人から言われて、世間からの目を気にして、本当にやりたいことが分からなってしまう人は、大勢いる。
「これからは、自分の心に従って生きなさい。私や、他の大人が言ったことばかりを信じるのではなく、自分の心が正しいと思うことを選ぶんだ。例えば、スキルの使い方。そのノートは確かに、私が君のスキルで使えそうだと思い付いたものが書いてある。だが、それを使うかどうかは君が取捨選択をして良い。それに、君はどちらかというと、『シャボン玉の中に入れる』という使い方をしている」
デイヴィスの保護然り、シルバーグリズリーの生け捕り然り。そして、ハウルの逃走防止然り。この三点はどれもパトリックの発想力の賜物だ。
その『シャボン玉』のスキルは、パトリックのものだ。汎用性の高さから、使い道はいろいろあるだろう。これからは、パトリックが見つけていくと良い。
その際には、ノートに書いていけば、記憶やインスピレーションの一助にもなる。
「そして、自分の考えを信じるためには、情報の取捨選択が必要になる」
確かに大人から言われる事柄が正しいものが多い。それは、彼らの人生経験に基づくものだ。そして彼らも先人から聞いて、学んでいる。
人から話を聞くというのは、自分の成長速度は早めることでもある。
多くのことを学び、ノートに記録を付け、そして分からないことがあったら大人から話をしっかり聞くこと。
最初は分からなくても、時が経ってから意味が分かることも多い。
幸い、これからパトリックが同行するメンバーは冒険者ギルドで先輩達に当たる人達だ。
シーラ達からであれば、今後の冒険者生活でも参考にできることがたくさん聞けるだろう。『銀の狼』程度では知らないような、ハイレベルな情報も。
「だから、学びなさい。君が生きているその人生は、君が主人公だ。他人軸ではいけない。君の人生は、君が舵を取れるようにする必要がある……――もう少し落ち着いたら、実の親に会った時、どうしたいかも考えておいた方が良い」
「……」
「私からは、これぐらいだ。長々とすまない。パトリックさんからは、何か聞きたいことはあるだろうか?」
パトリックはちょっと躊躇ったように、和葉を見つめる。
「その……瓶の改悪が終わったら、カズハさんの所に戻ってきも、良いですか……?」
「あぁ、もちろん。私のような人間の所で良いのならば」
ただし、ブレーメンとの決着がついてからというのが前提条件になる。ついていない場合はこちらに来たら危険だから、許可はできなくなってしまう。
それでも良いだろうかと尋ねれば、パトリックは嬉しそうに頷いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる