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67話 戦闘の嵐が止んだ後
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(怖いでしょ?)
《うん。すごいんだね、台風って》
舞の国は自然災害が多かった。それをヒントに、舞は台風の風速を利用して重たい岩を高速で四方八方に散らせた。台風の恐ろしいところは風速で巻き込まれた物が、勢いよく飛んでくることだ。それは、木造家屋に穴を開けてしまう。それを証明するように、硬そうな壁に、砕けた岩がガンガン食い込んでいる。
時々こっちに飛んでくる岩は、『みじん切り』スキルで木端微塵にして物理耐性の高い防御魔法で被弾を防いでいる。
テンペストを放った舞の魔法攻撃を見たガイアは全てを悟ったようにアルフレッドに黒くて硬質な鉱石の壁を作って守ってくれた。
エマ達は、自力で物理防御を展開して台風が止むのを待つしかない。
《でも、どうして土属性耐性のバリアが壊れたのに、物理耐性のバリアは割れないんだろ?》
(多分だけど、台風は確かに風魔法で、岩も土属性魔法の産物だけど、それが巻き上げて辺りに散らしているのは、あくまでも『現象』なんだよ。それで、岩は風に吹き飛ばされてるだけだから、物理攻撃になってるんだと思う)
台風が、一陣の風を残して突然止んだ。
台風が巻き起こっていた場所は、石の破片もなくまっさらになっている。
「『そこまでだ。攻撃を止めなさい』」
真後ろから、アルフレッドの声が聞こえた。
身体が軽くなって、舞は座り込んだ。
顔を上げると、白い面を被ったアルフレッド。その瞳は、鳶色をしている。舞の頭を撫でて、告げる。
「『これより、君との契約を破棄する』……了承を」
「分かりました」
そう舞が答えた途端、体の中でばきん! と硬いものが砕け散った。骨が俺だけじゃない。見えないけれど腹部の内蔵をぐるっと巻き付いていた硬い何かが、壊れたと感じる。
舞は、ふう、と小さく溜息を溢した。
「やったぜ☆ うぇーい!」
舞が両手をアルフレッドへ伸ばした。仮面を外したばかりのアルフレッドが、薄い笑みを浮かべて両手にそっと触れる。
「あぁ、よくやってくれた。本当に……感謝する」
「全くだ。よくやってくれたな、エマ……あぁ、今はマイだったな」
エマと交代するねーと、手をひらひらさせた舞。画面越しだった意識が鮮明になる。
あぐらをかいたガイアの膝に乗せられた。
優しくぬいぐるみを抱くように、腕が腹部に回った。
「ディバインライトの直撃地点を目眩ましで潰して被弾率を上げるとは、よく考えたものだ。先の嵐の風速を利用した岩の物理攻撃も然り、子供の想像力は恐ろしい……いや、異世界人か」
えへへ、と舞が頭の中で笑う。
「それでも、そろそろ彼らから拝借したものを返そうか」
ガイアがエマの頭を優しく撫でる。
アルフレッドも膝を折り、正座する。
「……はい。分かりました」
エマはステータス画面を開く。
『二重詠唱』はすごく使い勝手が良い。魔法で戦うなら、絶対にほしい。『魔力探知』も便利だった。きっと、冒険者の仕事を始めたら役に立つだろうな。
(ほしいなぁ……)
《うん。すごいんだね、台風って》
舞の国は自然災害が多かった。それをヒントに、舞は台風の風速を利用して重たい岩を高速で四方八方に散らせた。台風の恐ろしいところは風速で巻き込まれた物が、勢いよく飛んでくることだ。それは、木造家屋に穴を開けてしまう。それを証明するように、硬そうな壁に、砕けた岩がガンガン食い込んでいる。
時々こっちに飛んでくる岩は、『みじん切り』スキルで木端微塵にして物理耐性の高い防御魔法で被弾を防いでいる。
テンペストを放った舞の魔法攻撃を見たガイアは全てを悟ったようにアルフレッドに黒くて硬質な鉱石の壁を作って守ってくれた。
エマ達は、自力で物理防御を展開して台風が止むのを待つしかない。
《でも、どうして土属性耐性のバリアが壊れたのに、物理耐性のバリアは割れないんだろ?》
(多分だけど、台風は確かに風魔法で、岩も土属性魔法の産物だけど、それが巻き上げて辺りに散らしているのは、あくまでも『現象』なんだよ。それで、岩は風に吹き飛ばされてるだけだから、物理攻撃になってるんだと思う)
台風が、一陣の風を残して突然止んだ。
台風が巻き起こっていた場所は、石の破片もなくまっさらになっている。
「『そこまでだ。攻撃を止めなさい』」
真後ろから、アルフレッドの声が聞こえた。
身体が軽くなって、舞は座り込んだ。
顔を上げると、白い面を被ったアルフレッド。その瞳は、鳶色をしている。舞の頭を撫でて、告げる。
「『これより、君との契約を破棄する』……了承を」
「分かりました」
そう舞が答えた途端、体の中でばきん! と硬いものが砕け散った。骨が俺だけじゃない。見えないけれど腹部の内蔵をぐるっと巻き付いていた硬い何かが、壊れたと感じる。
舞は、ふう、と小さく溜息を溢した。
「やったぜ☆ うぇーい!」
舞が両手をアルフレッドへ伸ばした。仮面を外したばかりのアルフレッドが、薄い笑みを浮かべて両手にそっと触れる。
「あぁ、よくやってくれた。本当に……感謝する」
「全くだ。よくやってくれたな、エマ……あぁ、今はマイだったな」
エマと交代するねーと、手をひらひらさせた舞。画面越しだった意識が鮮明になる。
あぐらをかいたガイアの膝に乗せられた。
優しくぬいぐるみを抱くように、腕が腹部に回った。
「ディバインライトの直撃地点を目眩ましで潰して被弾率を上げるとは、よく考えたものだ。先の嵐の風速を利用した岩の物理攻撃も然り、子供の想像力は恐ろしい……いや、異世界人か」
えへへ、と舞が頭の中で笑う。
「それでも、そろそろ彼らから拝借したものを返そうか」
ガイアがエマの頭を優しく撫でる。
アルフレッドも膝を折り、正座する。
「……はい。分かりました」
エマはステータス画面を開く。
『二重詠唱』はすごく使い勝手が良い。魔法で戦うなら、絶対にほしい。『魔力探知』も便利だった。きっと、冒険者の仕事を始めたら役に立つだろうな。
(ほしいなぁ……)
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