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 根暗で暗闇が落ち着くオタクでファンタジーRPG好きの脳筋伊月がドハマりした戦闘システムを搭載した乙女ゲーム『クロスロードズ~君と僕の道が重なる時~』、通称『クロキミ』。

 アニメ調の3Dキャラを自由に動かせるオープンワールドを取り入れた恋愛RPG。そのラスボスこそクソザコ悪役令嬢『ヴァレリア・ヴァイオレット』。

 この顔はヴァレリア・ヴァイオレットの幼少期の姿だ。アレンとの婚約に至るエピソードの時に見たものそのまま。

 王子の皿からつまみ食いするという淑女らしさカスレベルの行いが、結果としてアレンを救ったことになり婚姻へ至る。
 ここ連日ヴァレリアに襲い掛かっていた嘔吐、下痢、腹痛、発熱のクインテットは毒を食べたせいだった。

 そして今ココ。

 戦闘関連であればオールコンプリートしている無駄な記憶力はモンスターの生息地、戦い方、そして全素材のマッピングに吸われてしまっており、本編ストーリーはほとんどうろ覚え。

 だが、ヴァレリア以外にも攻略対象専用のライバルキャラがそれぞれいて、彼らも攻略対象になったとクロキミ界隈は大騒ぎ。

 そのライバルキャラ以外にも新キャラが多数出ており、キャラクターの攻略より育成に全力注いでいたのだ。
 というか、攻略対照以外キャラが多すぎる。ポンポン出てきていたが、それは乙女ゲームじゃなくてファンタジーRPGだ。マジでこのゲームシステムで作ってほしかった。

 話はさておき、ヴァレリアといえば邪神のベネディエッタと契約してラスボス化、死亡確定悪役なのだ。
 邪神ベネディエッタは手下のベネディックという硬質な肌を持つ黒い魔物を従え、この世界の人間達を滅ぼそうと考えている。おそらく性別は女性だ。

 しかし、私が何をしたというのか。そんなに神様は伊月に死んでほしいのか?

「どうせ『ステータス・オープン』とか言っても何も出ないだろうし……」

 その時、ぶぉんと目の前にスクリーンが現れる。

 その青いスクリーン画面には、ヴァレリア・ヴァイオレットの名前。それと、白く色付いている星が一つと、灰色の星が九つ整列していた。

「……もしかして、限界突破?!」

 好奇心のままに星マークをタップする。


 ☆★★★★★★★★★

限界突破

条件
  魔 力 200/1200
  レベル 1/20


突破素材
  水の魔石×1
  ルナミリアの花×2
  聖水×2

 ☆★★★★★★★★★


(星が全部で十個ある……てことは、私、頑張ればメチャクチャ強くなれるんじゃない?!)
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