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『クロキミ』の攻略対象にはそれぞれライバルキャラ達がいる。
アレン・ディ・エリアスガルズには他国の冷徹王子『セドリック・ソル・オーリューン』。
次期宰相となる天才児『シリル・ベイリー』にはマフィア『パンドラ』の若頭『ギルバート・シディス』。本名は『ガイア・スタインベルト』。
悪役令嬢・ヴァレリアの弟『カイル・ヴァイオレット』には『オズウェル・ロンドニア』。
若くして騎士団に入団した『フレイ・マーティン(弟のケイ)』には双子の弟『ケイ・マーティン(兄のフレイ)』。
この双子は弟のケイがフレイのふりをして生活している。というのも、ケイの瞳には魔力や魔素を感知できる『水晶眼』という瞳を持っていて、頭のイカれてる父親が『水晶眼』を持っているケイが兄の方が良いと宣い、一卵性双生児なのも相まってガチで兄と弟の立場を入れ換えさせているのだ。
『クロキミ』界隈では『TK度』という単語が造語されるぐらい出てくる父親の大半がカスだ。
ちなみにアルトもカスの部類である。実力を隠せ、ではなくヴァレリアより低くしろ、だ。
(何か忘れてる気がするけど……何だっけ?)
多分、ストーリーの細かな内容だろうが思い出せない。この後ストーリー詳細を覚えていなくてひどく後悔することになる。
クロキミにはキャラクターのレベル上げとお金稼ぎを兼ねて冒険者として依頼をこなしていくシステムがある。
そこにいればヴァレリアも学校へ行かずに冒険者として生きれば結婚しなくて済むし、何よりモンスターをボコって強くなれる。
ヴァレリアは帰宅したアルトに冒険者になりたいと突撃。
二つ返事で了承してくれると予想していたが、応援されるどころか大慌てで止めた方がいい、心配だと全力で止められた。覚悟の上だと言うがアルトからオーケーはもらえなかった。
その日の夜、部屋で腕立て伏せ中にライリーが訪ねてきた。それを中止して、ヴァレリアは招き入れる。
夜遅くにどうしたのか尋ねると、彼は夕方言っていたこと――冒険者になりたいという話について、わざわざ聞きにきたらしい。
こんな夜に来るなんて真面目だと思ったのも束の間、もしかしてアレンとの婚約が決まってると報告しに来たのではと慌てて問い質すと、彼は顔をしかめて申し上げにくいことなのですが前置きした。
「ヴァレリアお嬢様のステラは、一つでございますよね」
「? そうですね」
アレンの話ではなくてほっとしたのも束の間、ライリーは謝罪すると、本当に言いにくそうに顔をしかめた。
「お嬢様、ステラは増えないものなのです」
「…………うん?」
アレン・ディ・エリアスガルズには他国の冷徹王子『セドリック・ソル・オーリューン』。
次期宰相となる天才児『シリル・ベイリー』にはマフィア『パンドラ』の若頭『ギルバート・シディス』。本名は『ガイア・スタインベルト』。
悪役令嬢・ヴァレリアの弟『カイル・ヴァイオレット』には『オズウェル・ロンドニア』。
若くして騎士団に入団した『フレイ・マーティン(弟のケイ)』には双子の弟『ケイ・マーティン(兄のフレイ)』。
この双子は弟のケイがフレイのふりをして生活している。というのも、ケイの瞳には魔力や魔素を感知できる『水晶眼』という瞳を持っていて、頭のイカれてる父親が『水晶眼』を持っているケイが兄の方が良いと宣い、一卵性双生児なのも相まってガチで兄と弟の立場を入れ換えさせているのだ。
『クロキミ』界隈では『TK度』という単語が造語されるぐらい出てくる父親の大半がカスだ。
ちなみにアルトもカスの部類である。実力を隠せ、ではなくヴァレリアより低くしろ、だ。
(何か忘れてる気がするけど……何だっけ?)
多分、ストーリーの細かな内容だろうが思い出せない。この後ストーリー詳細を覚えていなくてひどく後悔することになる。
クロキミにはキャラクターのレベル上げとお金稼ぎを兼ねて冒険者として依頼をこなしていくシステムがある。
そこにいればヴァレリアも学校へ行かずに冒険者として生きれば結婚しなくて済むし、何よりモンスターをボコって強くなれる。
ヴァレリアは帰宅したアルトに冒険者になりたいと突撃。
二つ返事で了承してくれると予想していたが、応援されるどころか大慌てで止めた方がいい、心配だと全力で止められた。覚悟の上だと言うがアルトからオーケーはもらえなかった。
その日の夜、部屋で腕立て伏せ中にライリーが訪ねてきた。それを中止して、ヴァレリアは招き入れる。
夜遅くにどうしたのか尋ねると、彼は夕方言っていたこと――冒険者になりたいという話について、わざわざ聞きにきたらしい。
こんな夜に来るなんて真面目だと思ったのも束の間、もしかしてアレンとの婚約が決まってると報告しに来たのではと慌てて問い質すと、彼は顔をしかめて申し上げにくいことなのですが前置きした。
「ヴァレリアお嬢様のステラは、一つでございますよね」
「? そうですね」
アレンの話ではなくてほっとしたのも束の間、ライリーは謝罪すると、本当に言いにくそうに顔をしかめた。
「お嬢様、ステラは増えないものなのです」
「…………うん?」
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