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「申し訳ないのですが、最後にもう一つお手すきの時にお願いしたいことがありまして……」
最後のページに乗っている素材について調べてほしいという依頼だ。むしろこっちがメインだが。これは見つけられなくても良いと言って締めくくる。
(強くなるために、突破素材の情報が一つでも入手できれば……)
シリルがじっとヴァレリアの顔を見ていた。
「分かりました。お引き受けしましょう」
「ありがとうございます」
(自分で調べに行ければ迷惑掛けないで済むのにな……)
「他でもない、貴女の頼みですから」
いつにも増して丁寧語な口調は、プロローグでは当たりのキツかったシリルがティファニーに助けられて見方を変えた時のようだった。
小さく笑う少年の笑顔はとても優しかった。
シリルに依頼してから三日後、アルトがガイアを連れて城へ向かったその日の夜、カイルの介抱(傍にいるだけ)をしていたヴァレリアは衝撃的な話を聞くことになる。
今日ガイアを連れて行ったのは『月浴の神酒』作りが立て続けに失敗していたため助言を求めるためだ。
ガイアは状況を見ることなく成分抽出時の成分純度が低いことが原因だと指摘した。少しでも不純物が多いと『月浴の神酒』は失敗する。そこで、ガイア自身も成分抽出は完璧にできないからコナーに頼んでいたと言ったのだ。
よくよく考えてみれば、ガイア一人で作れるならコナーを脱獄させる必要はない。助手が必要なら『パンドラ』の人間にやらせれば良いのだ。
最初のうちは失敗するだろうと成分抽出された薬液をコナーに予備を作っておいてもらったと発覚した。それらを魔法薬研究所の所員達は自分で作ったものだと言い張っていたらしい。
家に帰る前に研究所へ寄って、コナーに事情を説明したら断固拒否された。結局、魔法薬研究所で成分抽出が成功するまでは依頼料を支払う形でコナーが薬液を作る形で収まるだろうとアルトは言う。
さらに朗報。シグルトが主体になって開発者の技術所有権が立案されたという。
ヴァレリアとシリルが『パンドラ』のアジトに突撃した時、建物には外から中の様子を探れるように声が聞こえるようになる魔法が掛けてあって、中の会話が一部の人間に会話が筒抜けだったのだ。
もちろん「この豚みたいな人が?」と「ブタァアア!」もバッチリである。
「それで、ヴァレリアがどう考えているのか意見を聞きたいから登城してほしいって……」
「カイル君が心配だから、行きたくないです」
「そうだよね! 大丈夫だよ、パパが言っておくからね!」
最後のページに乗っている素材について調べてほしいという依頼だ。むしろこっちがメインだが。これは見つけられなくても良いと言って締めくくる。
(強くなるために、突破素材の情報が一つでも入手できれば……)
シリルがじっとヴァレリアの顔を見ていた。
「分かりました。お引き受けしましょう」
「ありがとうございます」
(自分で調べに行ければ迷惑掛けないで済むのにな……)
「他でもない、貴女の頼みですから」
いつにも増して丁寧語な口調は、プロローグでは当たりのキツかったシリルがティファニーに助けられて見方を変えた時のようだった。
小さく笑う少年の笑顔はとても優しかった。
シリルに依頼してから三日後、アルトがガイアを連れて城へ向かったその日の夜、カイルの介抱(傍にいるだけ)をしていたヴァレリアは衝撃的な話を聞くことになる。
今日ガイアを連れて行ったのは『月浴の神酒』作りが立て続けに失敗していたため助言を求めるためだ。
ガイアは状況を見ることなく成分抽出時の成分純度が低いことが原因だと指摘した。少しでも不純物が多いと『月浴の神酒』は失敗する。そこで、ガイア自身も成分抽出は完璧にできないからコナーに頼んでいたと言ったのだ。
よくよく考えてみれば、ガイア一人で作れるならコナーを脱獄させる必要はない。助手が必要なら『パンドラ』の人間にやらせれば良いのだ。
最初のうちは失敗するだろうと成分抽出された薬液をコナーに予備を作っておいてもらったと発覚した。それらを魔法薬研究所の所員達は自分で作ったものだと言い張っていたらしい。
家に帰る前に研究所へ寄って、コナーに事情を説明したら断固拒否された。結局、魔法薬研究所で成分抽出が成功するまでは依頼料を支払う形でコナーが薬液を作る形で収まるだろうとアルトは言う。
さらに朗報。シグルトが主体になって開発者の技術所有権が立案されたという。
ヴァレリアとシリルが『パンドラ』のアジトに突撃した時、建物には外から中の様子を探れるように声が聞こえるようになる魔法が掛けてあって、中の会話が一部の人間に会話が筒抜けだったのだ。
もちろん「この豚みたいな人が?」と「ブタァアア!」もバッチリである。
「それで、ヴァレリアがどう考えているのか意見を聞きたいから登城してほしいって……」
「カイル君が心配だから、行きたくないです」
「そうだよね! 大丈夫だよ、パパが言っておくからね!」
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