THE IMMORTAL ~転生したら不死身になった~

ヘタノヨコズキ

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【第一章】

【第6話】暗黒龍と旅立ち

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 契約を終えたシアンとサリスは、お互いの能力について話し合っていた。

「成る程なのじゃ。つまりシアンのスキルは最凶最悪と言うわけじゃな」

「まあ、そうなるよなぁ。理不尽極まりないし」 

わらわのスキルも大概たいがいだとは思うが、シアンのスキルは酷いぞ」

「知ってた。……サリス」

「何じゃ?」

「この刀、憑依出来るらしいんだけどやってくれる?」

 シアンは鞘から抜いた刀をサリスの前に出す。

「良いじゃろう」

 そう言ってサリスは刀身に触れる。
 するとサリスが刀に吸い込まれ、刀が一瞬光ったかと思うと大鎌デスサイズに変形していた。

「……え?」

 大鎌の刃はサリスの髪の色の緋色をしている。

「その刀の特性、というかスキルの形状変化の所為せいだな。又、形質変化のスキルでサリスの固有ユニークスキルも受け継いでいる」

なんか色々凄いですね……(後、口調が戻ってる……)」

「その刀は大当たりだと言っただろう。さあ、使ってみろ」

「あ、はい」

 鎌ってどう使うんだろ。と考えていたシアンの頭の中にサリスの声が聞こえてくる

「『シアン~、聞こえておるか~?』」

「うん、聞こえてる」

「『良かったのじゃ。如何どうやら憑依した状態でも頭に直接なら話せる様じゃな。では、わらわを使ってみるとい』」

「了解。じゃあ早速。鎌ってどう使うんだろ?」

 シアンは大鎌を横に一振りする。

 空気抵抗も重力も何も抵抗できないので凄く軽く又、音もしなかった。

 そんなことを考えていたシアンは、眼前の光景を凝視する一一

「……ど、ど、どういう訳?」

「『わらわ凄い!!』」

 シアンの目には、大鎌から放たれた鎌鼬かまいたち鎌鼬かまいたちどころではない)に横に綺麗に切られた木たちの無惨な光景が広がっていた。

「ふむ、シアンから漏れ出している微量の魔力がその大鎌に伝わって、その魔力が大鎌から放たれこうなったのだろう」

「……SSSランクの魔物逃げて! 超逃げて! 逃がさねえけど!」

「何を言っておるのだ。さて、そろそろSSSランクの魔物を召喚するぞ」

「『待ってました!』」

「ちょっ!? 待って下さいよ!」

「今回召喚する魔物は……喜べ! この世界の平和のため、飛び切り強い奴を連れて来てやる!」

 女神は満面の笑みを浮かべている。

「あ、この人ダメだ」

「『ワクワク……』」

「その名は……暗黒龍ヴリトラだ!」

「ヴ、ヴリトラァ!? ヤベェ、俺もワクワクしてきた……けど色々ヤバイ気も……」

 ヴリトラってあのドラゴンのだよな。
 パズ○○で見たことがある。それだったら名前の一部に濁点が付いてたけど。

「『ヴリトラ? 聞いた事がある様な……』」

「暗黒龍ヴリトラは『障害』の名を冠する龍だ。
 全ての生物を憎むその龍は、極西のガリア火山で永遠とも言える時を過ごしている。
 だが、れも今日で終わりだ」

「俺らで討伐するって事ですね」

「そうだな。メッタメタのギッタギタにしてやれ」

「あのー、今からですかね?」

「そうだ。慈悲は無い」

「デスヨネー」

「『わらわ何時いつでもいぞ!』」

「もう良いや、面倒くさくなってきた」

「では、召喚しよう」

 ちょっ!?早過ぎ! 心の準備が一一

シアンと大鎌サリスの前に今までのよりも何倍も大きい魔法陣が現れる。

「ZZZ……………zzz……」

 魔法陣から現れたのは、指でさえシアンの何倍も有ろうかと言う黒い巨龍。
 寝ているとしてもその重圧は伝わってくる。

「コレはアレだな……先手必勝不意打ち上等で行かないと駄目だよな……」

「『わらわ一刻いっこくも早く此奴こいつを倒したいのじゃ。邪悪な魔力が流れ出しておる』」

「邪悪な魔力……兎に角全力で行くぞ!」

「『わかったのじゃ!』」

「取り敢えずは脳天に一発!」

 シアンはヴリトラの頭上に転移する。
 そして空間魔法の足場と重力操作を使い、大鎌サリスを全力でヴリトラの脳天に叩き込んだ。
 頭部の鱗は割れずに綺麗に斬られた。

「GRYUAAAAAA!!(ギャアアアアアア!!)」

 断末魔の様な叫びを上げたヴリトラの体は、その攻撃の余波で両断される。

「え? 終わった……?」

 呆気ないな……でも、体を縦に真っ二つにされて生きてる生き物なんて一一

 地面に降り立ったシアンは目の前の光景に絶句した。
 真っ二つになったヴリトラが元に戻ろうとしている。
 傷口はサリスのスキルの影響か動かないが、肉が傷の外側に集められ無理矢理くっつこうとしている。
 シアンとサリスはほぼ同時に叫んだ。

「サリス!」

「『シアン!』」

 攻撃の余波でも通じると判断したシアンは、その場で大鎌を横に一振りする。
 だが、その攻撃は鱗に弾かれてしまった。

「なっ!? ……直接か!」

「『その様じゃな!』」

 如何どうやら余波には、『不可』の効果が無いか、効果が薄く効かないようだ。

 シアンはもう一度ヴリトラの頭上に転移して、また斬りつける。
 今度もヴリトラは綺麗に斬られて、しかし今度は再生する素振りを見せなかった。
 代わりに、ヴリトラはシアンの頭に直接語りかけてくる。

「『我を、我を誰と心得るか人の子よ……』」

「……暗黒龍ヴリトラ、全ての生物を憎む龍」

「『知っているのならば何故なぜ……いや、我を倒す事が出来るのだったな……』」

なんかすみません。でもそういう試練なので……」

「『死ぬ間際だからかもな……憎しみが、憎しみが嘘のように消えていく……人の子よ、礼を言おう。有難ありがとう、殺してくれて。……そして、一つ頼まれてくれんか?』」

 死ぬ間際の頼み事だ。聞かずに断るのは野暮だろう。

「……俺にできる事ならしましょう」

「『我には、一人娘がいる。会ったこともないがな。名前はリドリー。
 今は立派に育っていることだろうが、そのリドリーの生活ぶりを確かめることと、我が死んだということを伝えて欲しいというのが願いだ。それ以上は望まん』」

「引き受けました。俺が責任を持って確かめ、伝えます」

 それなら叶えられそうだ。もっと無茶振りが来ると思ったのに。
 でも、その場の流れに流されたけど……ヴリトラに娘が居るって、ドウイウコト?
 龍だよね? 今考えるとリドリー、龍だよね?
 前言撤回。厄介なことになりそうだな。

「『有難ありがとう。では、我もそろそろ死ぬとするか……』」

 ヴリトラはゆっくりとまぶたを閉じる。

「だが断る」

 言ったのは女神様。俺は女神様が言った意味がわからなかった。

 シアンが気づいた時には女神はヴリトラの目の前に転移していた。
 そして女神様はヴリトラに手を当てる。

「死ぬ時に自分の娘の心配をするとは……感動した!」

「『な、何だ?』」

 ヴリトラが女神の突然の行動にたじたじとする。

「貴様を操っていたシステムを崩壊させて自由に人間に変化へんげ出来るようにしてやる」

「?」

 ヴリトラは全く意味がわからないという様子で困惑する。

 ていうか、女神様が女神だってことを伝えてないよな。
 それに見知らぬ女性に触れられて感動されてたら、普通困惑するよな。

「『どういう事だ?』」

「先ず貴様を支配している敵識別の回路を崩壊させて通常のものに戻す。
 後、貴様を常時人化できるようにもしてやる。種別を超えた愛を、私は応援するぞ!」

 最後辺り言ってる意味がわからないが、仮にも女神だ。記憶でも読み取ってるのかも。

「『その前に貴女あなたは何者だ? 只者ただものではないと思われるが』」

「見破るとは流石。私は女神だ」

「『め、め、め、め、女神ぃ!?』」

 そりゃ驚くわな。目の前に居て、俺との戦いでもしかしたら巻きぞえを喰らわすところだったし。

「『……………』」

 当然の如くヴリトラは放心状態。その間に女神様がヴリトラの傷(体が真っ二つになってる)を治していく。
 ヴリトラもあの状態でよく生きてたよ。流石、前世では伝説の龍。

「さあ、完了したぞ」

 女神がそう言った瞬間にヴリトラの体が光に包まれる。
 発光が収まったそこには三十代位の男性が立っていた。
 最低限のエチケットの服はちゃんと着ている。

「こ、これは。傷が治っている。それに人化を使っているのに魔力の消費が無い?」

「そう言っただろう。さあ! これで妻と娘に会ってくるがいい! シアン、連れて行ってやれよ」

「はい、そうします。で、女神様。これで終わりなんですか?」

 これでチュートリアルは終わりのはずだ。短かったけど(実践が。前準備は長かった)良い経験ができた。
 旅仲間もできたし、俺も目的とかを考えなくちゃな。

「ああ、そうだな。貴様もよく耐え抜いた。
 最後のご褒美、というか餞別だ。
 解析のスキルを妨害する偽装のスキル、今まで倒した魔物の分の報奨金と同じ分の貨幣、それに特別だ。私の加護もやる」

 シアン達が光に包まれ、さらにその前には銅、銀、金色の硬貨が現れる。
 発光が終わり、シアン達は偽装のスキルを獲得した。
 そしてシアンだけは女神の加護を手に入れる。
 シアンは貨幣を擬似的な亜空間に入れる。今までの魔物の死体や女神長からの贈り物もそこに入れていた。

 解析を妨害する偽装は絶対必要だよな。ヴリトラさん(これからはさん付けしよう)とかモロ龍だし。
 後、貨幣。そう言えば俺無一文だった。
 飢え死にしないし、サリスの分も女神長さんに貰った魔法の弁当があるから大丈夫だろうけど、やっぱお金は必要だし。
 加護ってなんぞや? 女神長さんの加護は貰ってたけど。一つ心当たりがあるとすれば幸運のスキルだな。異常にスキルレベルが高かったから。
 スキルを貰えたりするの?

「ありがとうございます。そして、今までありがとうございました」

「『ありがとうなのじゃ!』」

「ありがとうございます。これで妻と娘と一緒に暮らせる」

 シアン達は深く頭を下げる。(サリスはいつの間にか戻っていた)

(むう、素直にお礼を言われると調子が狂う)

「ああ、感謝するがいい。そしてお別れだ。今まで楽しかったぞ」

「俺も……楽しかったです」

「折角だし、ヴリトラの娘が今いる場所に飛ばしてやろう。その方が良いだろう?」

「はい。ありがとうございます」

「また会おう!」

 女神がそう言った瞬間、シアン達の下の地面が無くなる。

「さようなら!……って落ちんの!?」

「さようなら!……きゃっ!?」

「言葉では伝えきれないが一一」

 シアン達は空中に放り出された。
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