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異世界からやって来た女の子

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 俺は神谷隆司、20歳の大学生だ。深夜のバイトの帰り道、人の気配が無い路地で突然それと邂逅した。

 路地に1m大の紫色をした卵のような物があり、俺はそれを凝視していると突然、卵が割れ中から

 得体の知れない生物が見えたが次の瞬間いなくなった。

「何だったんだ……?」俺は声を上げ辺りを見渡すと割れた殻も忽然と消えていた。

 俺はバイトの疲れで幻覚を見たのかと思い家に帰ることにした。

 翌日いつも通り大学に行き講義を受け、昼休みになった時友人達と一緒に食堂で昼食を食べていると昨日の事を話してみた。

「おい!昨日俺変な物見たんだけど!」

 すると友人の1人が「は?お前何言ってんの?」と言い他の友人達も怪しむような目で見てきた。

 誰も信用してくれない。当然だ、オカルトめいた話だからな。

 そう思いながら午後の講義を受けるために教室に入った。

 そして講義が終わると俺は直接家に帰った。一人暮らしなのでアパート住まいだ。

 鍵を開けドアを開けると部屋の奥に人がいる。しかも、女で高校生ぐらいだ。

 俺には彼女がいないし見覚えのない女であった。

 しかし、顔はとても綺麗でスタイルも良い。胸も大きい方だろう。顔はアジア人でも欧米人でもない顔つきであり髪はセミロングである。

 その顔に暫く見とれていると、鍵をかけたドアの中に彼女が侵入している事を思い出した。

 不法侵入者だと思い警戒しながら声を掛ける。

「誰だよあんた!」

 そう言うと彼女は笑顔になり言った。

「お帰りなさい。パパ」と……。

 一瞬意味がわからなかった。何を言っているんだこの女はと思った。

 だが直ぐに気付いた。こいつは何かおかしいと。

 俺は急いで警察に電話しようとスマホを取り出した時、彼女が俺の腕を掴み止めてきた。

「待ってください!私はあなたの娘です!怪しいものじゃありません!」

 そう言い俺にしがみついてくる。振り払おうとしたが意外に強い力で離れられない。

 その時、腕の痛みに耐え切れず思わず悲鳴を上げた。

「うわぁあああ!!痛い!!」

 俺は腕を見ると強い圧力で皮膚が押しつぶされ血が出ており、彼女の手にも赤い液体が付いている。

 それを見て驚いた様子で自分の手を見ながら呟いた。

「ごめんなさい……つい力を入れすぎちゃった……」

 申し訳なさそうな表情を浮かべている彼女に対して俺は恐怖を感じた。

 一体どういう力が働いたらこんな事が出来るんだよと。

 そして何とか冷静さを取り戻し彼女に話しかける。

「わかったからとりあえず手を離してくれないか?」

 そういうと素直に従い手を離してくれた。

 俺は恐る恐る怪我をしている方の手に視線を向けると傷口が完全に塞がり完治していた。

 そんな馬鹿なと思っていると再び彼女が話しかけてくる。

「あの……信じてもらえないかもしれないけど私あなたの子供なの……」

「信じられるかよそんな話!どう見ても高校生じゃないか!」

 そう反論すると彼女は少し困った顔をして俯く。

 そして何かを思い付いたようにハッとした表情をして俺の顔を見る。

「そうだよね。いきなりこんなこと言われても信じられないよね。でも本当なの。」

 真剣な眼差しで言う彼女を見ていると信じざる負えない状況だった。

「昨日、夜に大きな卵を見たよね?」

 彼女がそう聞いてきた。確かに見た。それがどうかしたのか?と思いながら答える。

「あぁ、それが何なんだ?」

 すると彼女は答えた。

「あれは私なの。私はね、あの卵の中で眠っていたの。だけど、急に卵が割れて外を見ることができた。そして初めて外の世界に出て最初に見た人間があなただったというわけ。」

 彼女の話は突拍子もない話だったが嘘をついている感じではなかった。

 ただ、それでもまだ疑問が残る点があった。

「ならどうして俺の部屋にいるんだ?どうやって入った?」

 そう聞くと彼女は笑顔で言った。

「それは、私が特別な存在だからだよ。この世界とは違う異世界から来たから鍵なんてあって無いようなものだし。」

 正直何言ってんだこの子?と思った。しかし、今の話を聞いて1つだけ心当たりがある。

 俺がバイト帰りに見かけた謎の物体。アレの正体はこの子か? もし仮にそうなのだとしても何故俺を選んだ?

「お前は何で俺の子供になったんだ?」

 そう質問すると彼女は笑顔で答えた。

「私がパパを気に入ったからだよ!それに、この世界の事も色々知りたいし。だからパパと一緒に居させて?」

 そう言われて俺は戸惑ったが、このまま放っておくことも出来ないので渋々了承することにした。

 まずは名前が必要だな。

 俺はそう思い彼女に名前を尋ねた。

「お前名前は?」

「私の名前は×○*%△ていうの!」全然聞き取れない。

「あっ、この世界の人間には発せない言葉だったね。」

 俺は困って頭を抱える。そこでふとあることを思いつく。

「じゃあ俺が考えてもいいのか?」すると彼女は嬉しそうな顔をしながら言った。

「うん!いいよ!どんな名前にしてくれるの?」

「……ユナはどうだ?」

 俺がそう言うと彼女は暫く考え込み、やがて満面の笑みになりながら言った。

「良いと思う!これからよろしくねパパ!」

 こうして奇妙な親子生活が始まった。
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