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第225話:第二次桶狭間の戦い(4)
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山田家家臣小原元規は乱戦の中にいた。
まだ上杉の本陣へは遠いな・・・
しかしこの勢いならば時間の問題。
間延びした敵の懐を突くだけだ。
そんな元規の視線の先を第2陣の坂井政尚本隊が突き進んでいく。
「さあ越後の龍まであと一歩じゃ!!」
坂井政尚は久しぶりに血が沸き立つ感覚に酔いしれていた。
守る戦いではワシはチカラが出せぬ・・・ワシはただ攻めるのみじゃ。
その槍の前に上杉の兵たちは衆寡敵せずに叩きのめされていく。
「・・・!?」
しかし、政尚は恐ろしいほどの殺気を感じた。
そして、崩されかけていた上杉軍に再びまとまりが生まれていることにも気付き始めた時・・・
「ウラァァァ!!」
怒号のような掛け声とともに一騎の武者が政尚めがけて突撃をかけてきた。
その姿は上杉軍随一の猛将と謳われている男である。
柿崎景家か・・・
柿崎景家の姿を見ると政尚は嬉しそうに槍を捨て刀を抜く。
「思い残すことはないぞ・・・柿崎景家ェェェ!!」
「好敵手なりィィィ!! 坂井右近政尚・・・覚悟ォォォ!!」
両者の打ち合いは激しくなるはずであったが、あまりにも早い決着となった。
「グアァァッ!?」
柿崎景家の右腕が坂井政尚の一撃で宙空に血飛沫と共に舞い上がる。
「お・・・み・・・ごと・・・」
そして坂井政尚は柿崎景家の刀で胸を刺し貫かれていた。
・・・信長様・・・ワシは常世では十分果たしましたぞ・・・
地獄で永久に側に・・・お仕えいたしまする・・・
そのまま馬上で絶命する坂井政尚。
その姿に残された坂井隊の兵は怯むどころか狂乱の勢いで攻め立てる。
右腕を失った柿崎景家に次々と襲い掛かっていく。
「まだまだじゃァァァ!! ワシはくたばっておらぬぞィ!!」
「オオッ!!」
柿崎景家も負けじと声を上げると兵たちが坂井隊に反撃をかけるのだった。
その頃、第3陣の丹羽長秀隊と上杉軍北条景広隊も死闘を繰り広げていた。
「丹羽殿は一騎打ちはせぬか・・・怖気づいたかァァァ!!」
北条景広は挑発しながら次々と織田の兵を血祭りに上げていく。
「悪いが時代遅れじゃ・・・おぬしほどの剛の者を相手にするほどワシは腕に自信がないのでな。一騎打ちはせぬ。」
丹羽長秀は巧みな用兵術でいつの間にか北条景広隊を包囲しつつあった。
知勇兼備の名将・・・そしてその用兵術こそ丹羽殿の一番の武器ぞ・・・
秀吉の家臣である中村一氏は丹羽隊に属していた。
しかし・・・北条殿は山田家とも所縁のある御方・・・何とかできぬものか・・・
中村一氏は槍を手に北条景家へと向かっていく。
「オウッ・・・やっと武のある将が来られたか・・・」
嬉しそうに北条景広は一氏へと槍の穂先を向けた。
「拙者も貴殿も山田大輔様と御縁があるはず・・・」
その一氏の言葉に景広の表情がこわばった。
「完全に貴殿らは包囲されておる。このまま鉄砲の餌食になるのは必然。木下藤吉郎秀吉様は一騎打ちのような甘美な世界は好まんのだ。」
「それがどうした・・・」
「この戦で上杉が勝っても山田大輔様には勝てぬ。」
「覚悟の上・・・」
「何故にこうも武を誇る者は愚かなのだ・・・」
北条景広の豪胆な態度に中村一氏は唇を噛み締める。
その時だった。
「まあよいではないか・・・中村殿。ワシに任せろ・・・こういう戦いの為に来たのだからな。」
姿を現したのは六兵衛。
「よし、丹羽長秀殿。首尾は上々じゃ。後は任せろ!!」
「かたじけない!!」
赤井直正が籾井教業、荒木氏綱と共に兵を率いて北条景広隊に襲い掛かっていく。
「獲った首の数でな。褒美じゃ!!ワシがありったけの褒美をくれてやるわァァ!!」
「ウオォォォ!!」
籾井教業の声に兵たちの士気は限界を超える程の高まりである。
「おお・・・滝谷六兵衛勝政殿!!」
北条景広も六兵衛を前にして高揚感が収まらない。
まして登坂藤右衛門清長に打ち勝った相手である。
「まさか北条殿と戦う日が来るとはな。思い出さぬか・・・あの大和での美佳様の婿取りのことだ。」
「あれは我が人生において最良の時でございました。」
「ワシもおぬしと戦いたいが、それ以上の感情がある・・・」
「しかし、あの時以上の最良の時・・・それが今ぞォォォ!!」
北条景広は槍を構えると六兵衛に襲い掛かる。
「そうか・・・ならば存分に打ち合おうぞ!!」
六兵衛は大刀に得物を持ち替えると景広を迎え撃った。
そんな中、更に戦況が大きく動いた。
丹波の三鬼を加えた丹羽長秀率いる第3陣は怒涛の勢いで北条景広軍を突破したのである。
「統率が乱れている・・・ここを無視して一気に本陣を急襲、上杉輝虎の首を獲りますぞ、赤井殿、籾井殿、荒木殿!!」
「オウ!!」
限りなく士気の高まった第3陣は統率なく群がる上杉軍を蹴散らしていく。
そして遠目に上杉輝虎の本陣が見えてきた。
その時であった。
「ウオォォォ!!」
天地を揺るがす怒号のような声と共に上杉軍本陣が動き出したのだ。
遊兵となった自軍の兵たちを蹴散らしながら前進していく。
まさか・・・自らが動くとは・・・
長秀は輝虎の用兵に、思わず感嘆のため息をついてしまう。
「おい、丹羽殿。このままじゃ敵陣で孤立するぞ!!」
「なんぼワシらでも左翼の兵に追いつかれたら終いじゃ!!」
籾井教業、荒木氏綱がそんな長秀を見かねて声を荒げて促す。
「丹羽殿・・・ここはやり過ごしつつ攻め入った上杉輝虎の背後を突くか?」
「いや・・・それならば右翼の直江、左翼の本庄に挟撃されまする。」
「となると第2陣が真っ向から上杉輝虎の本隊とぶつかる訳か。」
「となると数が違いすぎます。」
「となると答えは1つじゃ・・・」
赤井直正は丹羽長秀の肩に手を乗せた。
「第3陣は退くぞォォ!! 退いて砦の前を固めるのだァァァ!!」
それを受けて長秀は大声で叫ぶのであった。
「やはり戦とはこういうものじゃ!!」
上杉輝虎は小島弥太郎と共に先陣を切っていた。
それにより士気高まった上杉軍本隊は主将を失った織田・山田軍第2陣を蹴散らしていく。
「殿・・・不覚を取りましたぞ・・・」
右腕を失った柿崎景家が息も絶え絶えに輝虎に近づいてきた。
「景家・・・誰か手当をせい!!」
すぐに気を失った景家を兵たちが運んでいく。
それを見送ると輝虎は再び馬を駆る。
怒涛の勢いの上杉軍本隊は第1陣へと迫ってきていた。
「ハア・・・ハア・・・」
前田利家の前に追い詰められていた甘粕景持にはまさしく天の助けであった。
あれが越後の龍・・・
利家は景持を威嚇しながら兵をまとめて上杉軍本隊の勢いを受け止めようとするも抑えきれない。
「又左殿ォ!! ここが堪えどころぞォ!!」
第1陣の指揮を任されている金森長近が兵を率いて利家の手勢を追い越して上杉軍本隊へと向かっていく。
ここが・・・分かれ目・・・
元規は乱戦の中、覚悟を決めていた。
それは上杉輝虎の首を取るという覚悟。
「輝虎は俺と互角に打ち合いおった・・・まあ、あくまで戦場とは別物だがな。」
そんな義輝の言葉を思い出す。
永禄最強大武道会において義輝は尼子家家臣武輝丸として上杉輝虎と戦っていた。
「元規・・・オマエの才ならば輝虎に勝てると思うがな。」
さあ・・・私も皆に追いつかねば・・・
元規の脳裏に浮かぶのは一馬、義成、純忠、源之進、慎之介、英圭、大雅の姿。
ずっと義輝様に甘やかされていた・・・私はそう思っている。
だからこそ・・・ここで・・・ここで私の武を示す!!
山田家家臣小原元規は穏やかで笑みを絶やさない男であったが、その表情は修羅の形相と化していた。
流星鎚ではなく見事な剣術で上杉軍の中央部を斬り崩していく。
「なんだ・・・あの者は?」
上杉輝虎は驚いていた。
圧倒的な勢いで織田・山田軍を追い詰めていた我が軍に抗う存在。
「あの旗印は山田家家臣小原元規なる者とその手勢。その手勢は伊賀の山田義輝殿の兵でございまする。」
竹俣慶綱が輝虎に問いに答えた。
「繁長に手傷を負わせ、その上で景広と渡りおうた者か・・・あれこそが才気そのものよのう。」
輝虎は槍を握りしめる。
「殿、待たれよ。ワシにやらせてもらえませぬか?」
しかし、その前を小島弥太郎が遮った。
「弥太郎・・・」
「柿崎殿もあの身体ではもう戦えんでしょう。ワシもそろそろ老いぼれの身。畳の上で死ぬのはこの鬼小島弥太郎にとって屈辱の極み。あの好敵手と存分に打ち合いたいのじゃ。」
「むう・・・」
「無論、負ける気はござらん。あの若造に我が武の重みをとくと味あわせてやりましょうぞ・・・ガハハハ!!」
高笑いと共に小島弥太郎は手勢を率いて乱戦の中に消えていった。
遂に3日目の戦いも佳境に差し掛かるのであった。
まだ上杉の本陣へは遠いな・・・
しかしこの勢いならば時間の問題。
間延びした敵の懐を突くだけだ。
そんな元規の視線の先を第2陣の坂井政尚本隊が突き進んでいく。
「さあ越後の龍まであと一歩じゃ!!」
坂井政尚は久しぶりに血が沸き立つ感覚に酔いしれていた。
守る戦いではワシはチカラが出せぬ・・・ワシはただ攻めるのみじゃ。
その槍の前に上杉の兵たちは衆寡敵せずに叩きのめされていく。
「・・・!?」
しかし、政尚は恐ろしいほどの殺気を感じた。
そして、崩されかけていた上杉軍に再びまとまりが生まれていることにも気付き始めた時・・・
「ウラァァァ!!」
怒号のような掛け声とともに一騎の武者が政尚めがけて突撃をかけてきた。
その姿は上杉軍随一の猛将と謳われている男である。
柿崎景家か・・・
柿崎景家の姿を見ると政尚は嬉しそうに槍を捨て刀を抜く。
「思い残すことはないぞ・・・柿崎景家ェェェ!!」
「好敵手なりィィィ!! 坂井右近政尚・・・覚悟ォォォ!!」
両者の打ち合いは激しくなるはずであったが、あまりにも早い決着となった。
「グアァァッ!?」
柿崎景家の右腕が坂井政尚の一撃で宙空に血飛沫と共に舞い上がる。
「お・・・み・・・ごと・・・」
そして坂井政尚は柿崎景家の刀で胸を刺し貫かれていた。
・・・信長様・・・ワシは常世では十分果たしましたぞ・・・
地獄で永久に側に・・・お仕えいたしまする・・・
そのまま馬上で絶命する坂井政尚。
その姿に残された坂井隊の兵は怯むどころか狂乱の勢いで攻め立てる。
右腕を失った柿崎景家に次々と襲い掛かっていく。
「まだまだじゃァァァ!! ワシはくたばっておらぬぞィ!!」
「オオッ!!」
柿崎景家も負けじと声を上げると兵たちが坂井隊に反撃をかけるのだった。
その頃、第3陣の丹羽長秀隊と上杉軍北条景広隊も死闘を繰り広げていた。
「丹羽殿は一騎打ちはせぬか・・・怖気づいたかァァァ!!」
北条景広は挑発しながら次々と織田の兵を血祭りに上げていく。
「悪いが時代遅れじゃ・・・おぬしほどの剛の者を相手にするほどワシは腕に自信がないのでな。一騎打ちはせぬ。」
丹羽長秀は巧みな用兵術でいつの間にか北条景広隊を包囲しつつあった。
知勇兼備の名将・・・そしてその用兵術こそ丹羽殿の一番の武器ぞ・・・
秀吉の家臣である中村一氏は丹羽隊に属していた。
しかし・・・北条殿は山田家とも所縁のある御方・・・何とかできぬものか・・・
中村一氏は槍を手に北条景家へと向かっていく。
「オウッ・・・やっと武のある将が来られたか・・・」
嬉しそうに北条景広は一氏へと槍の穂先を向けた。
「拙者も貴殿も山田大輔様と御縁があるはず・・・」
その一氏の言葉に景広の表情がこわばった。
「完全に貴殿らは包囲されておる。このまま鉄砲の餌食になるのは必然。木下藤吉郎秀吉様は一騎打ちのような甘美な世界は好まんのだ。」
「それがどうした・・・」
「この戦で上杉が勝っても山田大輔様には勝てぬ。」
「覚悟の上・・・」
「何故にこうも武を誇る者は愚かなのだ・・・」
北条景広の豪胆な態度に中村一氏は唇を噛み締める。
その時だった。
「まあよいではないか・・・中村殿。ワシに任せろ・・・こういう戦いの為に来たのだからな。」
姿を現したのは六兵衛。
「よし、丹羽長秀殿。首尾は上々じゃ。後は任せろ!!」
「かたじけない!!」
赤井直正が籾井教業、荒木氏綱と共に兵を率いて北条景広隊に襲い掛かっていく。
「獲った首の数でな。褒美じゃ!!ワシがありったけの褒美をくれてやるわァァ!!」
「ウオォォォ!!」
籾井教業の声に兵たちの士気は限界を超える程の高まりである。
「おお・・・滝谷六兵衛勝政殿!!」
北条景広も六兵衛を前にして高揚感が収まらない。
まして登坂藤右衛門清長に打ち勝った相手である。
「まさか北条殿と戦う日が来るとはな。思い出さぬか・・・あの大和での美佳様の婿取りのことだ。」
「あれは我が人生において最良の時でございました。」
「ワシもおぬしと戦いたいが、それ以上の感情がある・・・」
「しかし、あの時以上の最良の時・・・それが今ぞォォォ!!」
北条景広は槍を構えると六兵衛に襲い掛かる。
「そうか・・・ならば存分に打ち合おうぞ!!」
六兵衛は大刀に得物を持ち替えると景広を迎え撃った。
そんな中、更に戦況が大きく動いた。
丹波の三鬼を加えた丹羽長秀率いる第3陣は怒涛の勢いで北条景広軍を突破したのである。
「統率が乱れている・・・ここを無視して一気に本陣を急襲、上杉輝虎の首を獲りますぞ、赤井殿、籾井殿、荒木殿!!」
「オウ!!」
限りなく士気の高まった第3陣は統率なく群がる上杉軍を蹴散らしていく。
そして遠目に上杉輝虎の本陣が見えてきた。
その時であった。
「ウオォォォ!!」
天地を揺るがす怒号のような声と共に上杉軍本陣が動き出したのだ。
遊兵となった自軍の兵たちを蹴散らしながら前進していく。
まさか・・・自らが動くとは・・・
長秀は輝虎の用兵に、思わず感嘆のため息をついてしまう。
「おい、丹羽殿。このままじゃ敵陣で孤立するぞ!!」
「なんぼワシらでも左翼の兵に追いつかれたら終いじゃ!!」
籾井教業、荒木氏綱がそんな長秀を見かねて声を荒げて促す。
「丹羽殿・・・ここはやり過ごしつつ攻め入った上杉輝虎の背後を突くか?」
「いや・・・それならば右翼の直江、左翼の本庄に挟撃されまする。」
「となると第2陣が真っ向から上杉輝虎の本隊とぶつかる訳か。」
「となると数が違いすぎます。」
「となると答えは1つじゃ・・・」
赤井直正は丹羽長秀の肩に手を乗せた。
「第3陣は退くぞォォ!! 退いて砦の前を固めるのだァァァ!!」
それを受けて長秀は大声で叫ぶのであった。
「やはり戦とはこういうものじゃ!!」
上杉輝虎は小島弥太郎と共に先陣を切っていた。
それにより士気高まった上杉軍本隊は主将を失った織田・山田軍第2陣を蹴散らしていく。
「殿・・・不覚を取りましたぞ・・・」
右腕を失った柿崎景家が息も絶え絶えに輝虎に近づいてきた。
「景家・・・誰か手当をせい!!」
すぐに気を失った景家を兵たちが運んでいく。
それを見送ると輝虎は再び馬を駆る。
怒涛の勢いの上杉軍本隊は第1陣へと迫ってきていた。
「ハア・・・ハア・・・」
前田利家の前に追い詰められていた甘粕景持にはまさしく天の助けであった。
あれが越後の龍・・・
利家は景持を威嚇しながら兵をまとめて上杉軍本隊の勢いを受け止めようとするも抑えきれない。
「又左殿ォ!! ここが堪えどころぞォ!!」
第1陣の指揮を任されている金森長近が兵を率いて利家の手勢を追い越して上杉軍本隊へと向かっていく。
ここが・・・分かれ目・・・
元規は乱戦の中、覚悟を決めていた。
それは上杉輝虎の首を取るという覚悟。
「輝虎は俺と互角に打ち合いおった・・・まあ、あくまで戦場とは別物だがな。」
そんな義輝の言葉を思い出す。
永禄最強大武道会において義輝は尼子家家臣武輝丸として上杉輝虎と戦っていた。
「元規・・・オマエの才ならば輝虎に勝てると思うがな。」
さあ・・・私も皆に追いつかねば・・・
元規の脳裏に浮かぶのは一馬、義成、純忠、源之進、慎之介、英圭、大雅の姿。
ずっと義輝様に甘やかされていた・・・私はそう思っている。
だからこそ・・・ここで・・・ここで私の武を示す!!
山田家家臣小原元規は穏やかで笑みを絶やさない男であったが、その表情は修羅の形相と化していた。
流星鎚ではなく見事な剣術で上杉軍の中央部を斬り崩していく。
「なんだ・・・あの者は?」
上杉輝虎は驚いていた。
圧倒的な勢いで織田・山田軍を追い詰めていた我が軍に抗う存在。
「あの旗印は山田家家臣小原元規なる者とその手勢。その手勢は伊賀の山田義輝殿の兵でございまする。」
竹俣慶綱が輝虎に問いに答えた。
「繁長に手傷を負わせ、その上で景広と渡りおうた者か・・・あれこそが才気そのものよのう。」
輝虎は槍を握りしめる。
「殿、待たれよ。ワシにやらせてもらえませぬか?」
しかし、その前を小島弥太郎が遮った。
「弥太郎・・・」
「柿崎殿もあの身体ではもう戦えんでしょう。ワシもそろそろ老いぼれの身。畳の上で死ぬのはこの鬼小島弥太郎にとって屈辱の極み。あの好敵手と存分に打ち合いたいのじゃ。」
「むう・・・」
「無論、負ける気はござらん。あの若造に我が武の重みをとくと味あわせてやりましょうぞ・・・ガハハハ!!」
高笑いと共に小島弥太郎は手勢を率いて乱戦の中に消えていった。
遂に3日目の戦いも佳境に差し掛かるのであった。
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