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第5話:私が領主になっている(1)
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「山田様、先ほど獲れました雨魚でございまする。」
「伍平さんご苦労さまです。」
私への献上品として雨魚10匹・・・今夜は雨魚の釜めしかな。
伍平の後も次々と近隣の庄屋たちがやってきては農作物を納めてくれる。
まるで領主のよう・・・
そう・・・私は祭り上げられてこの辺りの領主になってしまっていた。
あの山賊の襲来から3ヵ月が過ぎた。
だいぶ落ち着いてきたので現状を飲み込めてきている。
我が家は何故かわからないがタイムスリップしたようだ。
そしてここは大和の国・・・そう現在の奈良県であるということ。
松永弾正という大名が大和の覇権を得る為に侵攻を続けているということ。
歴史オタクである岳人によると1565年ではないかということだ。
ちなみに我が家を襲撃しようとした山賊たちはこの辺りでは無差別に略奪を繰り返す存在であった。
近隣の大和の国の国人たちも手に余る存在だったようだ。
その山賊を撃退した不思議な恰好をした不思議な屋敷の噂はすぐに近隣に広まった。
次に近隣の農民たちが我が家の麓あたりに突然移住を始めた。
我が家が小高い山の上に建つ山城だとしたらそのうち城下町のようになるのかもしれない。
旅の商人たちが麓で店を開き交易も始まっている。
「若様、言われた通りの物はこれでよろしいでしょうか?」
「おお・・・これだよ。」
岳人は長柄の武器を見て喜ぶ。
「若様のお考えになられる武具は思いもつかぬものばかりだ。」
我が家が雇った刀鍛冶の唐次郎は感嘆している。
「これは僕には重い、力のある人たちに訓練させよう・・・唐次郎さん20本お願い。」
「承知いたしました・・・ところでこの武具の名はどのような?」
「ハルバードだよ。」
岳人は言い残すと唐次郎の小屋から出る。
岳人は小高い山の上を見上げる・・・我が家が見える。
我が家への道もしっかりと出来上がっている。
360度、4重の柵を張り巡らした。
「あとはここをどう堅固にするかだよね・・・。」
岳人は形成されつつある町を見回す。
柵や空堀が徐々に出来上がっている。
「エイヤ!! エイヤ!!」
農民たちやその子供たちが槍の練習をしている。
「腰が入っていないぞ!!」
指導しているのは近隣の大和国人の赤埴氏から派遣された滝谷六兵衛。
赤埴氏とは友好関係を結んでいる。
そのまま我が家はこの辺りの所領を任せられたのだった。
「いざ松永が攻めてきたときは僕らのチカラを借りたいんだろうな。」
岳人は呟いた。
その頃、美佳は近隣の庄屋である伝吉の屋敷にいた。
「美佳様は本当に面白い方ですわ。」
「ほら、おりんもコスプレするの。」
「楽しいですわ。」
伝吉の娘のおりんと友達になり頻繁に遊びに行っていた。
「美佳様、そろそろお帰りになる時間でございまする。」
外で控えている六兵衛の弟である滝谷九兵衛が声をかける。
「じゃあね、おりん!!」
「またお越しください。」
伝吉の屋敷から山田家までは3キロほどある。
「美佳様、用心せねばなりませんぞ。」
九兵衛の言葉に
「いつもいつも用心ばかりって九ちゃんってば。」
美佳は脳天気な笑顔。
「ハァ・・・。」
九兵衛はため息をついた・・・が
「何やつじゃ!!」
九兵衛は声を荒げて刀を抜いた。
「山田家の姫君とお見受けする・・・。」
草むらの中から3人の侍が姿を現した。
「美佳様には指1本触れさせはせんぞ!!」
しかし九兵衛は気付いていた。
手練れだ・・・この3人と戦って俺は勝てないだろう。
・・・しかし!!
九兵衛は1人に切りかかるも一撃で刀を払いのけられてしまう。
更に右肩を切られて倒れこむ。
「クッ・・・」
「九ちゃん大丈夫・・・? コラッ!!アンタたち何するのよ!!」
美佳が九兵衛の前に立ちふさがる。
「我らが主、松阪弾正様の命により姫君を・・・。」
侍の1人が近づいてくる。
「あたしは姫じゃないよ・・・山田美佳よ・・・一体何なのよ。」
震えながらも九兵衛をかばう美佳。
「美佳様!!」
九兵衛は美佳の前に出た。
「邪魔だ!!」
侍が刀を抜いたその時・・・
「おいおい・・・黙って見ていたが・・・。」
1人の遊び人の姿をした男が侍の刀を持つ手を掴んでいた。
そしてそのまま侍の顔に拳をいれて刀を奪う。
「美佳様!! 見てはいけませぬ!!」
九兵衛は美佳の目を塞いだ。
一瞬であった・・・その遊び人は3人の侍を斬り捨てていた。
「何という・・・何という速さだ・・・。」
うろたえる九兵衛を横目に
「えっ・・・」
その遊び人は美佳の唇を奪っていた。
「ちょ・・・ちょっと・・・何すんのよ!!」
美佳は遊び人を振りほどくとその顔を叩いた。
すると遊び人は笑い出す。
「黙ってみていたがオマエを気に入った・・・俺のオンナになれ。」
「ふざけんなよ・・・アンタ誰?」
美佳は再び遊び人の顔を叩こうとするが
遊び人はその手を掴む。
「オマエ・・・震えているではないか・・・俺の名は足利義輝だ。」
遊び人はそのまま手を引いて美佳を抱きしめたのだった。
「伍平さんご苦労さまです。」
私への献上品として雨魚10匹・・・今夜は雨魚の釜めしかな。
伍平の後も次々と近隣の庄屋たちがやってきては農作物を納めてくれる。
まるで領主のよう・・・
そう・・・私は祭り上げられてこの辺りの領主になってしまっていた。
あの山賊の襲来から3ヵ月が過ぎた。
だいぶ落ち着いてきたので現状を飲み込めてきている。
我が家は何故かわからないがタイムスリップしたようだ。
そしてここは大和の国・・・そう現在の奈良県であるということ。
松永弾正という大名が大和の覇権を得る為に侵攻を続けているということ。
歴史オタクである岳人によると1565年ではないかということだ。
ちなみに我が家を襲撃しようとした山賊たちはこの辺りでは無差別に略奪を繰り返す存在であった。
近隣の大和の国の国人たちも手に余る存在だったようだ。
その山賊を撃退した不思議な恰好をした不思議な屋敷の噂はすぐに近隣に広まった。
次に近隣の農民たちが我が家の麓あたりに突然移住を始めた。
我が家が小高い山の上に建つ山城だとしたらそのうち城下町のようになるのかもしれない。
旅の商人たちが麓で店を開き交易も始まっている。
「若様、言われた通りの物はこれでよろしいでしょうか?」
「おお・・・これだよ。」
岳人は長柄の武器を見て喜ぶ。
「若様のお考えになられる武具は思いもつかぬものばかりだ。」
我が家が雇った刀鍛冶の唐次郎は感嘆している。
「これは僕には重い、力のある人たちに訓練させよう・・・唐次郎さん20本お願い。」
「承知いたしました・・・ところでこの武具の名はどのような?」
「ハルバードだよ。」
岳人は言い残すと唐次郎の小屋から出る。
岳人は小高い山の上を見上げる・・・我が家が見える。
我が家への道もしっかりと出来上がっている。
360度、4重の柵を張り巡らした。
「あとはここをどう堅固にするかだよね・・・。」
岳人は形成されつつある町を見回す。
柵や空堀が徐々に出来上がっている。
「エイヤ!! エイヤ!!」
農民たちやその子供たちが槍の練習をしている。
「腰が入っていないぞ!!」
指導しているのは近隣の大和国人の赤埴氏から派遣された滝谷六兵衛。
赤埴氏とは友好関係を結んでいる。
そのまま我が家はこの辺りの所領を任せられたのだった。
「いざ松永が攻めてきたときは僕らのチカラを借りたいんだろうな。」
岳人は呟いた。
その頃、美佳は近隣の庄屋である伝吉の屋敷にいた。
「美佳様は本当に面白い方ですわ。」
「ほら、おりんもコスプレするの。」
「楽しいですわ。」
伝吉の娘のおりんと友達になり頻繁に遊びに行っていた。
「美佳様、そろそろお帰りになる時間でございまする。」
外で控えている六兵衛の弟である滝谷九兵衛が声をかける。
「じゃあね、おりん!!」
「またお越しください。」
伝吉の屋敷から山田家までは3キロほどある。
「美佳様、用心せねばなりませんぞ。」
九兵衛の言葉に
「いつもいつも用心ばかりって九ちゃんってば。」
美佳は脳天気な笑顔。
「ハァ・・・。」
九兵衛はため息をついた・・・が
「何やつじゃ!!」
九兵衛は声を荒げて刀を抜いた。
「山田家の姫君とお見受けする・・・。」
草むらの中から3人の侍が姿を現した。
「美佳様には指1本触れさせはせんぞ!!」
しかし九兵衛は気付いていた。
手練れだ・・・この3人と戦って俺は勝てないだろう。
・・・しかし!!
九兵衛は1人に切りかかるも一撃で刀を払いのけられてしまう。
更に右肩を切られて倒れこむ。
「クッ・・・」
「九ちゃん大丈夫・・・? コラッ!!アンタたち何するのよ!!」
美佳が九兵衛の前に立ちふさがる。
「我らが主、松阪弾正様の命により姫君を・・・。」
侍の1人が近づいてくる。
「あたしは姫じゃないよ・・・山田美佳よ・・・一体何なのよ。」
震えながらも九兵衛をかばう美佳。
「美佳様!!」
九兵衛は美佳の前に出た。
「邪魔だ!!」
侍が刀を抜いたその時・・・
「おいおい・・・黙って見ていたが・・・。」
1人の遊び人の姿をした男が侍の刀を持つ手を掴んでいた。
そしてそのまま侍の顔に拳をいれて刀を奪う。
「美佳様!! 見てはいけませぬ!!」
九兵衛は美佳の目を塞いだ。
一瞬であった・・・その遊び人は3人の侍を斬り捨てていた。
「何という・・・何という速さだ・・・。」
うろたえる九兵衛を横目に
「えっ・・・」
その遊び人は美佳の唇を奪っていた。
「ちょ・・・ちょっと・・・何すんのよ!!」
美佳は遊び人を振りほどくとその顔を叩いた。
すると遊び人は笑い出す。
「黙ってみていたがオマエを気に入った・・・俺のオンナになれ。」
「ふざけんなよ・・・アンタ誰?」
美佳は再び遊び人の顔を叩こうとするが
遊び人はその手を掴む。
「オマエ・・・震えているではないか・・・俺の名は足利義輝だ。」
遊び人はそのまま手を引いて美佳を抱きしめたのだった。
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