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第6話:私が領主になっている(2)
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美佳と九兵衛が帰ってきた。
怪我をしている九兵衛の様子に一同騒然となる。
「九兵衛大丈夫か?」
六兵衛が駆け寄る。
「兄上・・・申し訳ございませぬ・・・。」
九兵衛はそのまま倒れこんだ。
「美佳様が松永の刺客に襲われ・・・あの御方が助けてくださいました・・・。」
そのまま気を失う九兵衛、美佳は怒りに満ちた表情で町の入り口を見る。
刀を手にした1人の遊び人がやってきた。
「オマエ・・・そこまで怒らんでもなあ。」
「オマエじゃない・・・美佳という名前がありますが!!」
美佳が襲われた話を聞き、私は家から麓まで駆け下りた。
「美佳無事かァァァ!?」
「無事よ・・・ただ九ちゃんが斬られたわ。六兵衛さんが手当てしている。」
「おお、なんてこったい!!」
「そしてこの人が助けてくれたの・・・。」
美佳が遊び人を指さす。
戦国時代とは思えない長身のイケメンではないか。
年齢は20代だろうか・・・。
「美佳を助けてくださって本当にありがとうございます!!」
「いいってことよ。」
「お名前を教えていただけませんか?」
私の言葉に対し遊び人は首を振った。
「この人の名前はあしかが・・・もごもご」
「おお・・・ではお礼として一晩泊めてくだされぬか?」
美佳の口を手で塞いだ遊び人、その様子に岳人は何かを感じたようだった。
我が家での晩餐。
役に立たないガスコンロや調理家電に代わってキッチンには釜戸(唐次郎作)を置いている。
「好きなだけ食べてね♪美佳の命の恩人なのだから。」
朋美の作った晩御飯は雨魚の釜飯と雉肉と野菜の鍋。
「美味い・・・こんな美味いもんは食べたことがないぞ。」
物凄い勢いで食べる遊び人。
そのとき岳人が遊び人に問いかけた。
「すみません、一体何者なのですか?」
「ただの遊び人だぜ。」
「違うでしょ、足利義輝だったっけ? そんな名前でしょ?」
美佳が箸を止めて言った。
「ブウー!!」
岳人が食べていたモノを吹き出す。
「う・・・嘘だろ・・・。」
狼狽する岳人。
「そんなに有名なの? 九ちゃんも怪我しているのに土下座してたし・・・。」
首をかしげる美佳。
「室町幕府第十三代将軍足利義輝・・・剣豪将軍と呼ばれた・・・。」
岳人は震えながら遊び人を見る。
「剣豪将軍? ハハハ!!何じゃそりゃ、そんな呼ばれ方は初めてだな。」
遊び人=義輝は笑いながら岳人の肩をポンポン叩く。
なんということだ・・・
いや・・・マジでわからない・・・
私はどうすれば良いかわからない・・・目の前に室町幕府の将軍がいる。
朋美もさすがに顔がドン引きしているではないか。
美佳はあまり事の重大さを理解していないようだ。
「でも・・・でも確か松永久通と三好三人衆の謀反で暗殺されたはずじゃ・・・。」
岳人の言葉に対し義輝は驚きの表情を浮かべた。
「よく知っているな・・・ただ・・・殺られてはいない・・・死んだことになっているが。」
義輝は岳人を見つめる。
「60人斬ったというのは本当ですか?」
岳人の言葉に義輝はまた驚く。
「・・・数えてはいないが御所で奴等の兵を斬り続けたのは事実だ・・・百は下らんな。」
「スゲー・・・どうやってそんな数を倒せるのですか?」
「刀はすぐ斬れなくなるからな、倒しては刀や槍を奪い続けたってワケだ。」
そう言うと義輝は天を仰いだ。
「・・・死んだ糸千代丸や影武者となった家臣たち、そして・・・私は母上を見殺しにした・・・。それでも私は生き残ってしまった・・・」
義輝の口調が変わった。
「私は将軍には戻れない・・・戻ることは望まない・・・。」
「ただ・・・松永や三好への復讐ができれば良い・・・そのために生き残ったのじゃ。」
「だが・・・だが・・・余りに無力なのだ・・・気が付けば都から離れてここまで・・・。」
表情も一変した足利義輝の悲しみがこちらに伝わってくる。
「義輝殿・・・しばらくここで休んでいってください。」
私にはこの男を放っておくことができなかった。
「よろしいのか?」
「美佳の命の恩人なのですよ、どうぞご自由に過ごしてください。」
私の言葉に将軍だった男が頭を下げている。
「つきましては・・・」
義輝は頭を上げた。
「美佳殿を私にいただけませぬか?」
「ブウ―!!」
私は飲みかけのお茶を吹き出した・・・。
朋美と岳人は口を開けたままだ。
「・・・」
美佳はうつむいている。
どうしたのだ美佳よ・・・我が娘よ・・・。
「・・・」
美佳は唇を触っている。
美佳・・・なんで唇を触っている・・・何故、顔が赤い。
「ハハハハ!! 冗談ですぞ♪」
義輝は笑い出した。
冗談にも程があるのだが。
私は胸をなで下ろしたが、美佳が義輝を見つめているのは気になる。
「義輝殿・・・あなたは今日から山田義輝を名乗りなさい。」
突然、朋美が口を開いた。
「どうしたの?突然、何を言うんですか?」
私にはどういう意味か理解できないのですが・・・婿入りですか?
「あなたの名前を知られてはいけません。松永がすぐにここを攻めてくるでしょう。」
なるほど・・・朋美も賢いところがあるな。
「だから主人の・・・大輔の義理の弟ということにして身を隠し、松永と三好へのリベンジのチャンスを待てばいいんじゃない。」
なるほど・・・ただ・・・戦国時代の人にリベンジやチャンスなんて意味がわからないだろう。
「ありがたい!!」
なんと義輝さんにちゃんと伝わっているし・・・。
「なんか・・・マジでスゲーことになってきた!! 剣術教えてよ!!」
岳人は興奮している。
「よ・・・よろしくね・・・オジサマ・・・。」
美佳ちゃんどうしたの? 何で顔が真っ赤なの? 何? 何、その恥じらい?
「わんわんわん。」
外ではサスケが喜んでいるようだ。
こうして我が家に新しい家族が加わった。
元・・・室町幕府第十三代将軍足利義輝・・・元将軍が家族になったのだった。
怪我をしている九兵衛の様子に一同騒然となる。
「九兵衛大丈夫か?」
六兵衛が駆け寄る。
「兄上・・・申し訳ございませぬ・・・。」
九兵衛はそのまま倒れこんだ。
「美佳様が松永の刺客に襲われ・・・あの御方が助けてくださいました・・・。」
そのまま気を失う九兵衛、美佳は怒りに満ちた表情で町の入り口を見る。
刀を手にした1人の遊び人がやってきた。
「オマエ・・・そこまで怒らんでもなあ。」
「オマエじゃない・・・美佳という名前がありますが!!」
美佳が襲われた話を聞き、私は家から麓まで駆け下りた。
「美佳無事かァァァ!?」
「無事よ・・・ただ九ちゃんが斬られたわ。六兵衛さんが手当てしている。」
「おお、なんてこったい!!」
「そしてこの人が助けてくれたの・・・。」
美佳が遊び人を指さす。
戦国時代とは思えない長身のイケメンではないか。
年齢は20代だろうか・・・。
「美佳を助けてくださって本当にありがとうございます!!」
「いいってことよ。」
「お名前を教えていただけませんか?」
私の言葉に対し遊び人は首を振った。
「この人の名前はあしかが・・・もごもご」
「おお・・・ではお礼として一晩泊めてくだされぬか?」
美佳の口を手で塞いだ遊び人、その様子に岳人は何かを感じたようだった。
我が家での晩餐。
役に立たないガスコンロや調理家電に代わってキッチンには釜戸(唐次郎作)を置いている。
「好きなだけ食べてね♪美佳の命の恩人なのだから。」
朋美の作った晩御飯は雨魚の釜飯と雉肉と野菜の鍋。
「美味い・・・こんな美味いもんは食べたことがないぞ。」
物凄い勢いで食べる遊び人。
そのとき岳人が遊び人に問いかけた。
「すみません、一体何者なのですか?」
「ただの遊び人だぜ。」
「違うでしょ、足利義輝だったっけ? そんな名前でしょ?」
美佳が箸を止めて言った。
「ブウー!!」
岳人が食べていたモノを吹き出す。
「う・・・嘘だろ・・・。」
狼狽する岳人。
「そんなに有名なの? 九ちゃんも怪我しているのに土下座してたし・・・。」
首をかしげる美佳。
「室町幕府第十三代将軍足利義輝・・・剣豪将軍と呼ばれた・・・。」
岳人は震えながら遊び人を見る。
「剣豪将軍? ハハハ!!何じゃそりゃ、そんな呼ばれ方は初めてだな。」
遊び人=義輝は笑いながら岳人の肩をポンポン叩く。
なんということだ・・・
いや・・・マジでわからない・・・
私はどうすれば良いかわからない・・・目の前に室町幕府の将軍がいる。
朋美もさすがに顔がドン引きしているではないか。
美佳はあまり事の重大さを理解していないようだ。
「でも・・・でも確か松永久通と三好三人衆の謀反で暗殺されたはずじゃ・・・。」
岳人の言葉に対し義輝は驚きの表情を浮かべた。
「よく知っているな・・・ただ・・・殺られてはいない・・・死んだことになっているが。」
義輝は岳人を見つめる。
「60人斬ったというのは本当ですか?」
岳人の言葉に義輝はまた驚く。
「・・・数えてはいないが御所で奴等の兵を斬り続けたのは事実だ・・・百は下らんな。」
「スゲー・・・どうやってそんな数を倒せるのですか?」
「刀はすぐ斬れなくなるからな、倒しては刀や槍を奪い続けたってワケだ。」
そう言うと義輝は天を仰いだ。
「・・・死んだ糸千代丸や影武者となった家臣たち、そして・・・私は母上を見殺しにした・・・。それでも私は生き残ってしまった・・・」
義輝の口調が変わった。
「私は将軍には戻れない・・・戻ることは望まない・・・。」
「ただ・・・松永や三好への復讐ができれば良い・・・そのために生き残ったのじゃ。」
「だが・・・だが・・・余りに無力なのだ・・・気が付けば都から離れてここまで・・・。」
表情も一変した足利義輝の悲しみがこちらに伝わってくる。
「義輝殿・・・しばらくここで休んでいってください。」
私にはこの男を放っておくことができなかった。
「よろしいのか?」
「美佳の命の恩人なのですよ、どうぞご自由に過ごしてください。」
私の言葉に将軍だった男が頭を下げている。
「つきましては・・・」
義輝は頭を上げた。
「美佳殿を私にいただけませぬか?」
「ブウ―!!」
私は飲みかけのお茶を吹き出した・・・。
朋美と岳人は口を開けたままだ。
「・・・」
美佳はうつむいている。
どうしたのだ美佳よ・・・我が娘よ・・・。
「・・・」
美佳は唇を触っている。
美佳・・・なんで唇を触っている・・・何故、顔が赤い。
「ハハハハ!! 冗談ですぞ♪」
義輝は笑い出した。
冗談にも程があるのだが。
私は胸をなで下ろしたが、美佳が義輝を見つめているのは気になる。
「義輝殿・・・あなたは今日から山田義輝を名乗りなさい。」
突然、朋美が口を開いた。
「どうしたの?突然、何を言うんですか?」
私にはどういう意味か理解できないのですが・・・婿入りですか?
「あなたの名前を知られてはいけません。松永がすぐにここを攻めてくるでしょう。」
なるほど・・・朋美も賢いところがあるな。
「だから主人の・・・大輔の義理の弟ということにして身を隠し、松永と三好へのリベンジのチャンスを待てばいいんじゃない。」
なるほど・・・ただ・・・戦国時代の人にリベンジやチャンスなんて意味がわからないだろう。
「ありがたい!!」
なんと義輝さんにちゃんと伝わっているし・・・。
「なんか・・・マジでスゲーことになってきた!! 剣術教えてよ!!」
岳人は興奮している。
「よ・・・よろしくね・・・オジサマ・・・。」
美佳ちゃんどうしたの? 何で顔が真っ赤なの? 何? 何、その恥じらい?
「わんわんわん。」
外ではサスケが喜んでいるようだ。
こうして我が家に新しい家族が加わった。
元・・・室町幕府第十三代将軍足利義輝・・・元将軍が家族になったのだった。
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