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第11話:私たちが刺客に襲われている(2)
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どれだけ寝たのだろう・・・。
物凄く頭が重いんだけど・・・。
美佳は目を覚ました。
「ここは・・・?」
「宿だよ。」
私は美佳の頭を撫でた。
「目覚められましたか・・・良かった。」
六兵衛がホッとした表情を見せた。
「美佳様、死んだかと思ったよ~。」
重友が泣いている。その隣で清興も泣いていた。
半坂峠を越えて、下った先の宿場町で私たちは宿をとった。
刺客に対しての用心もあるため、迂闊な行動は取れない。
「パパ・・・元の世界に帰りたい・・・」
美佳は泣いて私に抱きついてきた。
私は頭を撫でることしかできない。
「・・・」
六兵衛たち三人は気を遣って無言で部屋を出て行った。
しばらく・・・無言の時間が続いていたが、
「わたし・・・甘く考えていたのかもしれない・・・。」
美佳は涙をぬぐう。
「この時代にいるのだから・・・やるべきことをやらないと・・・な。」
私は自分自身に言い聞かせるように美佳に問いかける。
「わたしも戦えるようになりたい!!」
えっ・・・戦う方を選択するの?
私は動揺する。
「だってみんなはパパやわたしのために命懸けで戦ってくれたじゃん・・・。だからね、わたしも強くなればみんなが危険な目に遭う可能性って低くなると思う。」
美佳は涙を浮かべながら笑顔で言う。
意外な強さを・・・心の強さを見せた我が娘。
私も強くならねば・・・娘を・・・家族を守るために!!
心に強く誓ってみるのだった。
翌日、美佳も体調を取り戻したので出発した。
街道は人が多いが峠は危険だ。
この先には竹内峠がある。
出来れば今日中には越えて河内に入りたい。
急がねば・・・。
「キヨさんはわたしに合う武器ってどれだと思う?」
「鎖鎌でしょう。」
「シゲちゃんは?」
「吹き矢だと思うけど鎖鎌。」
「それってどんな武器?」
美佳が聞くと荷物の中から重友は鎖鎌を取り出した。
「これが鎖鎌ね・・・貸して?」
美佳は鎖鎌を手にすると
「テメエら、こんな武器が本当にわたしに似合うと思っているんかァァァ!!」
鎖を振り回す。
「ブベッ!!」
背中に直撃して清興は吹っ飛んでいく。
「み、美佳様!! それ死んじゃうよ!! 頭に当たると死んじゃうんだってばァァァ!?」
重友は逃げ惑う。
「お元気になられたのは何よりですが・・・」
美佳の様子に呆れ顔の六兵衛。
「ああ・・・。」
私には無理をしているようにしか見えなかった。
更に進んでいくと・・・
「マジかよ・・・。」
私たちの目の前に侍の集団が待ち構えていた。
その数は五十人は確実にいる。
「軍勢じゃねえか・・・ある意味で。」
清興は刀を抜く。
「ある意味、正念場というものですかね。」
六兵衛も刀を抜く。
「援護は任せなよ。」
重友は弓矢を構えた。
「気を失わないわ・・・強くなるの。」
美佳も鎖鎌を構える。
「・・・」
私には武器がなかった。
ゴルフクラブでも持って来れば良かったかな。
でもとりあえず戦闘ポーズだけは決めてみた。
その時だった・・・。
侍の集団に脇から1人の男が斬り込んでいったのだ。
恐ろしい強さで次々と斬り伏せていく。
昔、テレビで観た時代劇の主人公のようだ。
一人だけ早送り状態とでも表現すれば良いのか・・・。
「来たか・・・。」
清興はつぶやく。
「さすがだね・・・でも加勢しておかないとね。」
「承知!! 六兵衛殿、いざ参ろう!!」
重友の言葉に清興も突撃していく。
「はッ!!」
六兵衛も続いた。
乱戦はすぐに終わりを迎えた。
「島殿、間に合って良かった。」
先程の男が刀を収めると笑顔を見せた。
「こちらの方は?」
私の問いかけに
「拙者、疋田豊五郎景兼と申します。」
その男が答えた。
「!?」
六兵衛は驚愕する。
「疋田殿は畿内随一、いや日ノ本でも随一の剣の使い手でございます。」
清興の言葉に
「いや・・・我がお師匠様やまだ見ぬ強者がおるだろう。」
景兼は首を横に振った。
疋田豊五郎景兼・・・この男は柳生新陰流の創始者といわれる柳生宗厳を三度に渡って打ち負かしたという伝説を持つ。更に、兵法家として豊臣秀次や黒田長政にも指南したという傑物である。
「山田殿、貴殿の弟殿との立ち合いを許してくださるか? さすればチカラになろうぞ。」
「殺し合いではないですよね?」
「ハッハッハ!! ただどちらが強いかを決めるだけの立ち合いじゃ。」
何故、義輝の存在を知っているのだろう・・・。
しかし、その謎はすぐに解けた。
山田城の城主の弟が凄まじい剛の者だと宇陀中に広まっていた。
清興はそれを知り、景兼にけしかけたとのこと。
「先ほどの六兵衛殿の腕を見る限り、その師であるという山田殿の弟殿はワシよりも強いかもしれぬ・・・楽しみでならぬわ。」
景兼の身体からなんかオーラらしきものが出ているんですけど・・・。
「柳生の地を去る前に楽しみができたものじゃ・・・」
「清興殿は伝聞のみで義輝様の腕前を知らぬだろう?」
「だが六兵衛殿の腕前は知っておる、その師ならばその強さ予測不能。疋田殿との立ち合いが楽しみでならないぞ♪」
剣術狂ともいうべき男たちが談笑する中、
「置き去りじゃん・・・。男って理解不能・・・」
そんな様子を美佳はただ見つめるだけだった。
「ん!?」
その時、私は木の陰からこちらを覗き見している男に気が付いた。
「・・・」
私に気づかれるとその男は姿を隠した。
しかし景兼はチラっとその様子を横目でうかがってニヤっとするではないか!?
どういうことなの?
でもツッコんで斬られるのは嫌だし・・・。
でも怪しい・・・非常に怪しい気がするんですが。
「さあ、行かないとね。今日中に竹内峠を越えないと!!」
重友の声で再び私たちは出発した。
刺客たちの屍の山を乗り越えて・・・
これが戦乱の世・・・弱き者は生き残れない。
本当に仲間になったのかは信憑性に欠けるが、疋田豊五郎景兼という日本の歴史に残る武芸の達人が加わった。
さあ行こう・・・大勢の刺客が待ち構えているであろう竹内峠に。
物凄く頭が重いんだけど・・・。
美佳は目を覚ました。
「ここは・・・?」
「宿だよ。」
私は美佳の頭を撫でた。
「目覚められましたか・・・良かった。」
六兵衛がホッとした表情を見せた。
「美佳様、死んだかと思ったよ~。」
重友が泣いている。その隣で清興も泣いていた。
半坂峠を越えて、下った先の宿場町で私たちは宿をとった。
刺客に対しての用心もあるため、迂闊な行動は取れない。
「パパ・・・元の世界に帰りたい・・・」
美佳は泣いて私に抱きついてきた。
私は頭を撫でることしかできない。
「・・・」
六兵衛たち三人は気を遣って無言で部屋を出て行った。
しばらく・・・無言の時間が続いていたが、
「わたし・・・甘く考えていたのかもしれない・・・。」
美佳は涙をぬぐう。
「この時代にいるのだから・・・やるべきことをやらないと・・・な。」
私は自分自身に言い聞かせるように美佳に問いかける。
「わたしも戦えるようになりたい!!」
えっ・・・戦う方を選択するの?
私は動揺する。
「だってみんなはパパやわたしのために命懸けで戦ってくれたじゃん・・・。だからね、わたしも強くなればみんなが危険な目に遭う可能性って低くなると思う。」
美佳は涙を浮かべながら笑顔で言う。
意外な強さを・・・心の強さを見せた我が娘。
私も強くならねば・・・娘を・・・家族を守るために!!
心に強く誓ってみるのだった。
翌日、美佳も体調を取り戻したので出発した。
街道は人が多いが峠は危険だ。
この先には竹内峠がある。
出来れば今日中には越えて河内に入りたい。
急がねば・・・。
「キヨさんはわたしに合う武器ってどれだと思う?」
「鎖鎌でしょう。」
「シゲちゃんは?」
「吹き矢だと思うけど鎖鎌。」
「それってどんな武器?」
美佳が聞くと荷物の中から重友は鎖鎌を取り出した。
「これが鎖鎌ね・・・貸して?」
美佳は鎖鎌を手にすると
「テメエら、こんな武器が本当にわたしに似合うと思っているんかァァァ!!」
鎖を振り回す。
「ブベッ!!」
背中に直撃して清興は吹っ飛んでいく。
「み、美佳様!! それ死んじゃうよ!! 頭に当たると死んじゃうんだってばァァァ!?」
重友は逃げ惑う。
「お元気になられたのは何よりですが・・・」
美佳の様子に呆れ顔の六兵衛。
「ああ・・・。」
私には無理をしているようにしか見えなかった。
更に進んでいくと・・・
「マジかよ・・・。」
私たちの目の前に侍の集団が待ち構えていた。
その数は五十人は確実にいる。
「軍勢じゃねえか・・・ある意味で。」
清興は刀を抜く。
「ある意味、正念場というものですかね。」
六兵衛も刀を抜く。
「援護は任せなよ。」
重友は弓矢を構えた。
「気を失わないわ・・・強くなるの。」
美佳も鎖鎌を構える。
「・・・」
私には武器がなかった。
ゴルフクラブでも持って来れば良かったかな。
でもとりあえず戦闘ポーズだけは決めてみた。
その時だった・・・。
侍の集団に脇から1人の男が斬り込んでいったのだ。
恐ろしい強さで次々と斬り伏せていく。
昔、テレビで観た時代劇の主人公のようだ。
一人だけ早送り状態とでも表現すれば良いのか・・・。
「来たか・・・。」
清興はつぶやく。
「さすがだね・・・でも加勢しておかないとね。」
「承知!! 六兵衛殿、いざ参ろう!!」
重友の言葉に清興も突撃していく。
「はッ!!」
六兵衛も続いた。
乱戦はすぐに終わりを迎えた。
「島殿、間に合って良かった。」
先程の男が刀を収めると笑顔を見せた。
「こちらの方は?」
私の問いかけに
「拙者、疋田豊五郎景兼と申します。」
その男が答えた。
「!?」
六兵衛は驚愕する。
「疋田殿は畿内随一、いや日ノ本でも随一の剣の使い手でございます。」
清興の言葉に
「いや・・・我がお師匠様やまだ見ぬ強者がおるだろう。」
景兼は首を横に振った。
疋田豊五郎景兼・・・この男は柳生新陰流の創始者といわれる柳生宗厳を三度に渡って打ち負かしたという伝説を持つ。更に、兵法家として豊臣秀次や黒田長政にも指南したという傑物である。
「山田殿、貴殿の弟殿との立ち合いを許してくださるか? さすればチカラになろうぞ。」
「殺し合いではないですよね?」
「ハッハッハ!! ただどちらが強いかを決めるだけの立ち合いじゃ。」
何故、義輝の存在を知っているのだろう・・・。
しかし、その謎はすぐに解けた。
山田城の城主の弟が凄まじい剛の者だと宇陀中に広まっていた。
清興はそれを知り、景兼にけしかけたとのこと。
「先ほどの六兵衛殿の腕を見る限り、その師であるという山田殿の弟殿はワシよりも強いかもしれぬ・・・楽しみでならぬわ。」
景兼の身体からなんかオーラらしきものが出ているんですけど・・・。
「柳生の地を去る前に楽しみができたものじゃ・・・」
「清興殿は伝聞のみで義輝様の腕前を知らぬだろう?」
「だが六兵衛殿の腕前は知っておる、その師ならばその強さ予測不能。疋田殿との立ち合いが楽しみでならないぞ♪」
剣術狂ともいうべき男たちが談笑する中、
「置き去りじゃん・・・。男って理解不能・・・」
そんな様子を美佳はただ見つめるだけだった。
「ん!?」
その時、私は木の陰からこちらを覗き見している男に気が付いた。
「・・・」
私に気づかれるとその男は姿を隠した。
しかし景兼はチラっとその様子を横目でうかがってニヤっとするではないか!?
どういうことなの?
でもツッコんで斬られるのは嫌だし・・・。
でも怪しい・・・非常に怪しい気がするんですが。
「さあ、行かないとね。今日中に竹内峠を越えないと!!」
重友の声で再び私たちは出発した。
刺客たちの屍の山を乗り越えて・・・
これが戦乱の世・・・弱き者は生き残れない。
本当に仲間になったのかは信憑性に欠けるが、疋田豊五郎景兼という日本の歴史に残る武芸の達人が加わった。
さあ行こう・・・大勢の刺客が待ち構えているであろう竹内峠に。
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