79 / 238
第72話:大和合戦(4)第1次龍田城の戦い
しおりを挟む
1567年6月7日龍田城。
「そうか・・・遂に三好政康も大和に入ってきおったか。」
嘆息するのは筒井家家臣井戸良弘。
龍田城は既に臨戦態勢にあった。
その南方に位置する片岡城。
筒井家家臣で片岡城城主の片岡春利は対応に追われていた。
北に三好政康、松永弾正。南からは三好康長。
どちらに対応すれば良いのだろうか・・・
そして三好・松永軍に対抗すべく小泉城から小泉秀元が一千の兵で出陣。
更に筒井城からも慈明寺順国が一千の兵で率いて龍田城で合流した。
「松永がどうこうではなく、早かれ遅かれ三好は大和に攻め入ったでしょうな。」
順国は秀元に話しかける。
「そうじゃな・・・松永にしろ三好にしろ、この大和の国をこれ以上土足で踏みにじらせるわけにはいかぬ。」
小泉秀元は強い口調で答えた。
小泉氏も箸尾と同じく元々は筒井家に敵対していた国人である。
筒井の家臣になってはいるが、その立場故に発言力を持っていた。
「それにしても行盛殿が寝返るとは・・・」
「うむ、殿は御心を痛めておられるじゃろう。」
筒井城では順慶を中心に評定が続いていた。
「布施行盛は厳罰に処すべきかと。」
筒井家家臣中坊秀祐の言葉に家臣団は黙り込む。
「しかし・・・殿のお命をお助けし守り続けたのも行盛殿じゃ。」
筒井家重臣松倉重信は首を横に振る。
「お二方・・・今は布施どころではないと思われます。」
そこに口を挟むのは森好久。
「そうですぞ。越智に笑われますぞ。」
同じく筒井家家臣窪田内記は秀祐を睨んだ。
若造が・・・でじゃばるな。
その視線を受けて秀祐は顔をそむける。
戦しか能がない猪武者が・・・
「ふう・・・」
筒井順慶は大きなため息をつく。
「行盛の件は私が全て考えておる。口出し無用。」
その順慶の言葉に秀祐はうつむいた。
「今の状況は山城国木津にて島殿が岩成友通の軍を防いでおります。」
好久が言う。
清興・・・我らが山田と同盟を結んでからも一度も顔を見せてくれぬ。
我らに対し、余程の恨みなのだろう・・・
そして行盛まで私を見限った。
順慶は天を仰ぐ。
「北田原に三好長免は陣を構えており、それに対するは山田家家臣の本田正信殿。膠着状態になっております。」
「本田殿は相当の切れ者じゃ。あの者が松永におったときはこっぴどくやられたもんじゃ。」
筒井家重臣の森好之はうなずく。
「そして越智が布施殿と岡、高田をまとめて撃退。高春殿が三好為三の軍を大和から追い払われた。今のところはこのような状況です。」
好久は言い終わると他の家臣団を見回した。
そこに入ってきた一人の男。
「失礼するよ~。」
「おお・・・石川殿!!」
順慶は笑顔を見せる。
「石川殿・・・何の挨拶もなしに・・・殿に無礼ではないか?」
秀祐が立ち上がるも
「この人は特別なのだよ。例え足利の将軍の前でも怯まない、媚びない人だ。」
そんな順慶の言葉に五右衛門は笑顔でうなずいた。
「筒井の若殿。人払いをよろしいかい?」
「構わないよ。」
「松倉様と森様と岸田様は残っていただきたいんだけど。」
筒井城本丸では五右衛門と順慶、重臣三人による談合が始まった。
そして信貴山城大広間。
松永弾正久秀は満面の笑みを浮かべていた。
全てが上手くいっておる。早く平蜘蛛に会いたいのう。
そこに入ってきたのは三好政康。
鋭い視線で久秀を睨みつける。
「おおこれは政康様。わざわざこのようなむさ苦しい城まで。」
久秀は平伏する。
何をぬかすか・・・あのような立派な天守閣など築きおってからに。
更に悪趣味じゃった多聞山城にいたっては、贅沢の極みを尽くした末に山田に奪われておる。
「それで戦況は?」
「すこぶる順調でございます。」
久秀は平伏したままだ。
あまりわからんが、兵力が違うだろうから大丈夫じゃ。
「そうか・・・。」
政康の苛立ちは限界まで差し掛かっていた。
嘘ばかり並べおってからに・・・少しは痛い目を味わせねばな。
「久秀。おぬしの手勢五千で攻めれる限り攻めよ。」
「はァ?」
「いいから出陣しろ。目の前の龍田城でも片岡城でもその先の小泉城でも構わん!!必ず落とせ!!」
こうして同年6月9日、松永弾正久秀率いる五千の軍勢が信貴山城を出陣。
龍田城への攻撃態勢にはいった。
「政康・・・あのくそ坊主がァ」
久秀は怒り心頭であった。
出陣する松永軍を信貴山城の天守閣から見送る政康。
キレておるわ・・・ここで討死してくれても構わんしな。
翌6月10日、松永軍は龍田城に攻撃を開始した。
前面に展開する慈明寺順国と小泉秀元率いる筒井軍は幾重にも柵を建てている。
不規則に並べられた柵は迷路のようになっていた。
「構わん。柵を蹴散らしていゆけ。弓隊は援護しろォ!!」
松永軍は柵を壊しながら進軍を開始するも
「うぎゃ!?」「うわッ!!」「痛えェッ!!」
至るところにトラバサミが仕掛けられていた。
更にその先には落とし穴。
「うわぁッ!!」「オエッ!!」
落とし穴の中には汚物である。
「柵をかわしながら進めば良いだけなのじゃが・・・。」
大混乱の松永軍を秀元は憐みの顔で見つめる。
「そうはならないことを読んでおるのが山田の若君ということ。」
順国はただただ岳人の智謀に感服するだけであった。
あらかじめこの罠を指示したのは岳人である。
その指示の下、井戸良弘は松永軍に察知されぬよう夜間に罠を仕掛け続けたのだ。
自軍が罠を踏まないように罠の前に柵を建てる。
柵を罠に見せかけた用意周到な二重の罠であった。
「鉄砲隊撃てィ!!」
「弓隊撃てぇ!!」
そこに更なる鉄砲隊と弓隊による攻撃。
次々と倒れていく松永軍だが・・・
「怯むなァ!!」
松永軍の騎馬隊が突撃をかけてきた。
先陣を切るのは松永家家臣飯田基次。
その武勇は松永家最強と謳われており、大和の国人たちに知れ渡っていた。
「ウルァァァッ!!」
基次の得物は巨大な鉄鎚であるが、まるでおもちゃのように振り回す。
次々と吹っ飛ばされていく筒井軍の兵たち。
小泉秀元の軍が崩され始めていた。
「くッ・・・退けィ!! 城内に逃げ込め!!」
秀元は退却を指示するもそこに基次が迫ってきていた。
「フハハハ・・・小泉秀元ォ・・・成仏せい!!」
基次の鉄鎚が振り下ろされる。
「ガァッ・・・」
槍で防ごうとするも秀元は槍ごと鉄鎚に潰されてしまった。
「小泉殿ォォォ・・・くそッ、退くぞォ!!」
順国の命令で全軍龍田城内へと退却を始める。
しかし、息を吹き返した松永軍の追撃は厳しい。
「このままでは城に入り込まれる・・・くそがァァッ!!」
順国は馬首を転じて松永軍に斬り込んでいった。
「慈明寺様・・・何をされる!!」
その様子を龍田城から見ていた井戸良弘は馬に飛び乗った。
「我らも撃って出るぞォォ!!」
意を決した兵三百で突撃をかけた。
「おお・・・これぞ俺が生きる場所じゃァァ!!」
大乱戦の中を基次は敵・味方問わずに暴れ回っていた。
そこに奮戦する順国の姿が目に入った。
「見つけたぞォォォ!!」
基次は鉄鎚を振り回し順国に襲い掛かる。
「当たるか!!」
順国はその一撃をかわすと次々と槍をついていく。
「おっ・・・おっ・・・やるのォォォ!!」
基次は手が出なくなる。
すると鉄鎚を投げ捨てて素手で順国に襲い掛かる。
「愚かなァァ!!」
順国が槍で基次の喉元を突く。
しかし、突然素早い動きで身体をひねり順国の渾身の一撃をかわすとそのまま槍を掴んだ。
「なっ!?」
「ウオォォリャァァァッ!!」
なんと順国の身体を槍ごと持ち上げると地面に叩きつけた。
「ぐはッ!!」
吐血すると白目を剥いて順国は気絶する。
そのまま基次は槍を順国の喉元に突き立てようとしたときだった。
一筋の矢が基次の顔めがけて飛んでくる。
「うおッ!?」
辛うじて躱すも基次は落馬した。そして頬を触ると手に血がついている。
この俺が血・・・血を流すだとォォ
しかし次の矢が飛んでくる。
「ぐッ!!」
今度は躱しきれずに肩に矢が刺さった。
「次は外さん!!」
基次の視線の先には一人の若武者の姿が・・・
「山田家家臣高井義成か・・・」
意識を取り戻した順国は兵たちに助けられながらその様子を見ていた。
義成が五百の兵を率いて援軍に駆けつけたのだった。
覚えておれ・・・貴様の顔はこの眼に焼き付けておいたぞ。
基次は乱戦の中へと逃げていった。
まあ良い・・・小泉秀元を討ち取った。
次で良い、それがダメならその次じゃてな。
松永久秀はためらいもなく軍を退却させるのだった。
時間をかければ龍田城を確実に落とせるという自信を得ていた。
「慈明寺様、申し訳ございませぬ。もう少しでも早く・・・」
「いや・・・助かった。さすがよのう。まさしく大和随一の腕前じゃ。高井殿。」
謝る義成の肩に手を置くと順国は退却する松永軍を見つめていた。
小泉殿が討ち取られた・・・これは痛いぞ。
このままでは確実にやられる・・・
後に龍田城の戦いと語り継がれるこの戦・・・まずは筒井軍の勝利に終わった。
しかし、これから蟻地獄のような松永の攻撃にさらされることになるのである。
「そうか・・・遂に三好政康も大和に入ってきおったか。」
嘆息するのは筒井家家臣井戸良弘。
龍田城は既に臨戦態勢にあった。
その南方に位置する片岡城。
筒井家家臣で片岡城城主の片岡春利は対応に追われていた。
北に三好政康、松永弾正。南からは三好康長。
どちらに対応すれば良いのだろうか・・・
そして三好・松永軍に対抗すべく小泉城から小泉秀元が一千の兵で出陣。
更に筒井城からも慈明寺順国が一千の兵で率いて龍田城で合流した。
「松永がどうこうではなく、早かれ遅かれ三好は大和に攻め入ったでしょうな。」
順国は秀元に話しかける。
「そうじゃな・・・松永にしろ三好にしろ、この大和の国をこれ以上土足で踏みにじらせるわけにはいかぬ。」
小泉秀元は強い口調で答えた。
小泉氏も箸尾と同じく元々は筒井家に敵対していた国人である。
筒井の家臣になってはいるが、その立場故に発言力を持っていた。
「それにしても行盛殿が寝返るとは・・・」
「うむ、殿は御心を痛めておられるじゃろう。」
筒井城では順慶を中心に評定が続いていた。
「布施行盛は厳罰に処すべきかと。」
筒井家家臣中坊秀祐の言葉に家臣団は黙り込む。
「しかし・・・殿のお命をお助けし守り続けたのも行盛殿じゃ。」
筒井家重臣松倉重信は首を横に振る。
「お二方・・・今は布施どころではないと思われます。」
そこに口を挟むのは森好久。
「そうですぞ。越智に笑われますぞ。」
同じく筒井家家臣窪田内記は秀祐を睨んだ。
若造が・・・でじゃばるな。
その視線を受けて秀祐は顔をそむける。
戦しか能がない猪武者が・・・
「ふう・・・」
筒井順慶は大きなため息をつく。
「行盛の件は私が全て考えておる。口出し無用。」
その順慶の言葉に秀祐はうつむいた。
「今の状況は山城国木津にて島殿が岩成友通の軍を防いでおります。」
好久が言う。
清興・・・我らが山田と同盟を結んでからも一度も顔を見せてくれぬ。
我らに対し、余程の恨みなのだろう・・・
そして行盛まで私を見限った。
順慶は天を仰ぐ。
「北田原に三好長免は陣を構えており、それに対するは山田家家臣の本田正信殿。膠着状態になっております。」
「本田殿は相当の切れ者じゃ。あの者が松永におったときはこっぴどくやられたもんじゃ。」
筒井家重臣の森好之はうなずく。
「そして越智が布施殿と岡、高田をまとめて撃退。高春殿が三好為三の軍を大和から追い払われた。今のところはこのような状況です。」
好久は言い終わると他の家臣団を見回した。
そこに入ってきた一人の男。
「失礼するよ~。」
「おお・・・石川殿!!」
順慶は笑顔を見せる。
「石川殿・・・何の挨拶もなしに・・・殿に無礼ではないか?」
秀祐が立ち上がるも
「この人は特別なのだよ。例え足利の将軍の前でも怯まない、媚びない人だ。」
そんな順慶の言葉に五右衛門は笑顔でうなずいた。
「筒井の若殿。人払いをよろしいかい?」
「構わないよ。」
「松倉様と森様と岸田様は残っていただきたいんだけど。」
筒井城本丸では五右衛門と順慶、重臣三人による談合が始まった。
そして信貴山城大広間。
松永弾正久秀は満面の笑みを浮かべていた。
全てが上手くいっておる。早く平蜘蛛に会いたいのう。
そこに入ってきたのは三好政康。
鋭い視線で久秀を睨みつける。
「おおこれは政康様。わざわざこのようなむさ苦しい城まで。」
久秀は平伏する。
何をぬかすか・・・あのような立派な天守閣など築きおってからに。
更に悪趣味じゃった多聞山城にいたっては、贅沢の極みを尽くした末に山田に奪われておる。
「それで戦況は?」
「すこぶる順調でございます。」
久秀は平伏したままだ。
あまりわからんが、兵力が違うだろうから大丈夫じゃ。
「そうか・・・。」
政康の苛立ちは限界まで差し掛かっていた。
嘘ばかり並べおってからに・・・少しは痛い目を味わせねばな。
「久秀。おぬしの手勢五千で攻めれる限り攻めよ。」
「はァ?」
「いいから出陣しろ。目の前の龍田城でも片岡城でもその先の小泉城でも構わん!!必ず落とせ!!」
こうして同年6月9日、松永弾正久秀率いる五千の軍勢が信貴山城を出陣。
龍田城への攻撃態勢にはいった。
「政康・・・あのくそ坊主がァ」
久秀は怒り心頭であった。
出陣する松永軍を信貴山城の天守閣から見送る政康。
キレておるわ・・・ここで討死してくれても構わんしな。
翌6月10日、松永軍は龍田城に攻撃を開始した。
前面に展開する慈明寺順国と小泉秀元率いる筒井軍は幾重にも柵を建てている。
不規則に並べられた柵は迷路のようになっていた。
「構わん。柵を蹴散らしていゆけ。弓隊は援護しろォ!!」
松永軍は柵を壊しながら進軍を開始するも
「うぎゃ!?」「うわッ!!」「痛えェッ!!」
至るところにトラバサミが仕掛けられていた。
更にその先には落とし穴。
「うわぁッ!!」「オエッ!!」
落とし穴の中には汚物である。
「柵をかわしながら進めば良いだけなのじゃが・・・。」
大混乱の松永軍を秀元は憐みの顔で見つめる。
「そうはならないことを読んでおるのが山田の若君ということ。」
順国はただただ岳人の智謀に感服するだけであった。
あらかじめこの罠を指示したのは岳人である。
その指示の下、井戸良弘は松永軍に察知されぬよう夜間に罠を仕掛け続けたのだ。
自軍が罠を踏まないように罠の前に柵を建てる。
柵を罠に見せかけた用意周到な二重の罠であった。
「鉄砲隊撃てィ!!」
「弓隊撃てぇ!!」
そこに更なる鉄砲隊と弓隊による攻撃。
次々と倒れていく松永軍だが・・・
「怯むなァ!!」
松永軍の騎馬隊が突撃をかけてきた。
先陣を切るのは松永家家臣飯田基次。
その武勇は松永家最強と謳われており、大和の国人たちに知れ渡っていた。
「ウルァァァッ!!」
基次の得物は巨大な鉄鎚であるが、まるでおもちゃのように振り回す。
次々と吹っ飛ばされていく筒井軍の兵たち。
小泉秀元の軍が崩され始めていた。
「くッ・・・退けィ!! 城内に逃げ込め!!」
秀元は退却を指示するもそこに基次が迫ってきていた。
「フハハハ・・・小泉秀元ォ・・・成仏せい!!」
基次の鉄鎚が振り下ろされる。
「ガァッ・・・」
槍で防ごうとするも秀元は槍ごと鉄鎚に潰されてしまった。
「小泉殿ォォォ・・・くそッ、退くぞォ!!」
順国の命令で全軍龍田城内へと退却を始める。
しかし、息を吹き返した松永軍の追撃は厳しい。
「このままでは城に入り込まれる・・・くそがァァッ!!」
順国は馬首を転じて松永軍に斬り込んでいった。
「慈明寺様・・・何をされる!!」
その様子を龍田城から見ていた井戸良弘は馬に飛び乗った。
「我らも撃って出るぞォォ!!」
意を決した兵三百で突撃をかけた。
「おお・・・これぞ俺が生きる場所じゃァァ!!」
大乱戦の中を基次は敵・味方問わずに暴れ回っていた。
そこに奮戦する順国の姿が目に入った。
「見つけたぞォォォ!!」
基次は鉄鎚を振り回し順国に襲い掛かる。
「当たるか!!」
順国はその一撃をかわすと次々と槍をついていく。
「おっ・・・おっ・・・やるのォォォ!!」
基次は手が出なくなる。
すると鉄鎚を投げ捨てて素手で順国に襲い掛かる。
「愚かなァァ!!」
順国が槍で基次の喉元を突く。
しかし、突然素早い動きで身体をひねり順国の渾身の一撃をかわすとそのまま槍を掴んだ。
「なっ!?」
「ウオォォリャァァァッ!!」
なんと順国の身体を槍ごと持ち上げると地面に叩きつけた。
「ぐはッ!!」
吐血すると白目を剥いて順国は気絶する。
そのまま基次は槍を順国の喉元に突き立てようとしたときだった。
一筋の矢が基次の顔めがけて飛んでくる。
「うおッ!?」
辛うじて躱すも基次は落馬した。そして頬を触ると手に血がついている。
この俺が血・・・血を流すだとォォ
しかし次の矢が飛んでくる。
「ぐッ!!」
今度は躱しきれずに肩に矢が刺さった。
「次は外さん!!」
基次の視線の先には一人の若武者の姿が・・・
「山田家家臣高井義成か・・・」
意識を取り戻した順国は兵たちに助けられながらその様子を見ていた。
義成が五百の兵を率いて援軍に駆けつけたのだった。
覚えておれ・・・貴様の顔はこの眼に焼き付けておいたぞ。
基次は乱戦の中へと逃げていった。
まあ良い・・・小泉秀元を討ち取った。
次で良い、それがダメならその次じゃてな。
松永久秀はためらいもなく軍を退却させるのだった。
時間をかければ龍田城を確実に落とせるという自信を得ていた。
「慈明寺様、申し訳ございませぬ。もう少しでも早く・・・」
「いや・・・助かった。さすがよのう。まさしく大和随一の腕前じゃ。高井殿。」
謝る義成の肩に手を置くと順国は退却する松永軍を見つめていた。
小泉殿が討ち取られた・・・これは痛いぞ。
このままでは確実にやられる・・・
後に龍田城の戦いと語り継がれるこの戦・・・まずは筒井軍の勝利に終わった。
しかし、これから蟻地獄のような松永の攻撃にさらされることになるのである。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる