婚約破棄された令嬢は海に愛される

月夜の庭

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お花畑の自称ヒロイン

お友達の第一号は自称悪役令嬢

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メルビンのお兄様、ポセイドン公爵家の嫡男であるスチュアート様に挨拶しに来ていました。

「今更ですけど、メルビンはポセイドンの名を捨ててもよろしいのですか?」


歩きながら聞いてみる。


「メデューサと結婚出来るなら、昔の姓など必要無い。それに神話でポセイドンはメデューサと結ばれ幸せになれ無かった。メデューサだけが知るメルビンだからこそ、傍にいられる」


「わたくしは神話のポセイドンも、目の前のメルビンも好きよ」


「……………」


微笑み見下ろすメルビンの顔が、可愛いくて愛おしい。


「だらしない顔しやがって」


冷やかにツッコミを入れたのは、メルビンと同じ赤い目をした男性でした。


緑色の短めの髪をオールバックにした、細身の男性がメルビンの兄のスチュアート様です。

隣にはキラキラした白金色のゆるふわウェーブの髪の可愛い令嬢がいました。


深い緑色の大きな目が愛らしいです。


「わたくしはエスメラルダと申します。アンダルシア伯爵家の長女にございます」


「まぁ、スチュアート様の婚約者のエスメラルダ様ですのね。わたくしはメルビンの婚約者でゴルゴン公爵家の三女のメデューサですわ」


「………存じ上げておりますわ。とても聡明な方だと聞いておりますわ」


可愛いのにニコリとも笑いません。


ですが、小さな耳が赤いので、顔に出ないだけのようです。


「ふふっ、可愛い方ですやね。そんなに緊張なさらないで?わたくしは義妹になりますのよ……お義姉様」


「可愛いだなんて」


「それに同い年ですよね?可愛い お友達が出来て嬉しいですわ」


「友達!?」


かなりビックリした顔をしている。


「お嫌ですか?」


「そんな! どうしてもと、仰るなら」


「どうしてもですわ。エスメラルダ、メデューサとお呼びになってね?」


「………メデューサ」


「えぇ、お友達ですもの」


「お友達」


小さな笑顔を見逃しません。


「ほぉ、メルビンにしては趣味が良いな。エスメラルダを笑わせるとは」


「笑ってなど」


「可愛い」


「お黙り」


「好きだ」


「うっ…………はい」


はっ! ツンのエスメラルダがデレた!


「エスメラルダが可愛いですわ」


「だろう?」


「ふん」


そっぽを向いても真っ赤な耳が、気持ちを教えてくれる。


4人でテラスに出てきた。


ポセイドン兄弟は、少し離れたベンチに座り、わたくし達はテラスの手摺り近くて話している。


「え?婚約を破棄なさるの?」


「違うわ。わたくしが破棄される事を知っておりますの」


「ありえませんわ」


スチュアート様はエスメラルダにデレデレなのに。


「でも………入学したら、ヒロインが……わたくし、悪役なんて向いてませんのに」


「悪役だなんて、仰るならいで?エスメラルダは大切な お友達ですのよ」


「メデューサ……でも、運命だから」


すると、エスメラルダがハッと目を見開いて、わたくしを見た。


「悪役令嬢やヒロインが通じる?転生者?」


「ふふふっわたくしとメルビンは、前世から恋人同士ですわ。だからこそ、ハッキリ申しますわ。これはゲームではございませんわ。現実に役など存在しませんわ。エスメラルダは、エスメラルダの人生のヒロインですわ」


「スチュアート様を好きになって良いのかしら?」


自称ヒロインで好き勝手する馬鹿だけでなく、自称悪役令嬢だと思い込んで、自分の幸せに素直に浸れない方も存在するのだと知りました。


「お好きなのね」


「だって、両親ですら無表情で可愛くないって仰るのに、スチュアート様だけは可愛いって………本当の気持ちを分かって下さるんですもの。好きにならない方が可笑しいですわ」


「なら、大事になさい。もしお花畑の住人……では無く、エスメラルダを侮辱してスチュアート様に手を出す不届き者が現れたら、真っ先に……わたくしに相談なさい。大切なお友達ですもの。お力になりますわ」

「………ありがとう」


2人で手を繋ぎ、ポセイドン兄弟の座るベンチに駆け寄ります。


「スチュアート様……………好き」


スチュアート様が、顎が外れそうな程、口をポカンと開けて固まってます。


「………エスメラルダ……もう一度」


恥ずかしそうに真っ赤な顔で、スチュアート様の胸に飛び込む。


「……………好き。わたくしだけを見て」


「鼻血………鼻血が出そうだ」


「え?」


ビックリして顔を上げるエスメラルダをスチュアート様がギューって抱き締める。


「好きだよ。ちゃんと伝わってるけど、やっぱり………エスメラルダに言って貰えると、嬉しいよ」


「………恥ずかしくて………でも、少しづつ頑張る」


「愛しているよ」


「…………………うん」



エスメラルダが可愛い。


ロゼッタの観察したいって気持ちが、ちょっと分かります。


エスメラルダを見守っていたいです。


でも、こっそりメルビンと、その場を離れてサロンに戻ります。


鼻の下が伸び切ったスチュアート様と、恥ずかしそうに、それでいて幸せそうに微笑むエスメラルダの様子に、ホッコリしながらメルビンの腕に抱きついていた。


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