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勇者と魔王の目的
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鍵が掛かった扉を力技で開けて入って来たのは、汗だくのジュブナイルでした。
その後ろから勇者と無表情の騎士も入って来た。
「ビアンカ様の悲鳴が聞こえたのですが大丈夫ですか?」
パパンに抱っこされる あちしに駆け寄って、オロオロしているジュブナイルが愉快に思えた。
『大丈夫なような………大丈夫じゃないような』
「大丈夫じゃないんですか?!」
『セクハラされまくっておったからなぁ』
「セク………王妃様の聖獣であるビアンカ様になんて事を」
ワナワナと青い顔で震えるジュブナイル。
「思う存分モフるとは羨ま………けしからん!」
羨ましいって口走りやがったな!?
「ごめん。ちょっと口を挟んで良いかな?」
近寄ってきたのは勇者です。
「聖獣のビアンカ様ですね。僕は勇者のエヴァンスです。兄のドウェインが魔王だと知られてしまったんですね」
勇者エヴァンスの説明では、血は繋がってないけど一緒に育ったそうです。
捨て子だったエヴァンスを拾って育てたのが、ドウェインの父親である前任の魔王だったそうです。
顔が似ているのは偶然で、面白いと思った前任の魔王がドウェインの弟にと拾ったそうです。
魔王というのは総称で、なりたくてなれるモノでは無いそうです。
名乗るのでは無く、周りから呼ばれるモノなのだそうです。
「ドウェインは魔力が最強だったから、跡を継ぐ形で魔王に就任した。そして魔王として人間や過激派から命を狙われているので、身分を偽り隠れているんです。見逃して下さい」
あちしとジュブナイルは顔を見合わせて、お互いコクリと首を縦に振る。
『勘違いしないで。魔王討伐にノリノリなのは、教会の一部の人間だけだし。むしろアンちゃんと あちしは職務怠慢魔王……じゃなくて、穏健派の魔王が過激派に取って代わられる方が困ると思っているから』
「無意味な魔王討伐は阻止せよ。それがアンダルシア王妃様の指示です」
『ちなみにジュブナイルは、あちしの城での話し相手だよ』
「ビアンカ様に仕える神官です」
『ただし!あちしは魔王の嫁にはならないけどね!』
強めに宣言しておきます!
「兄さんの嫁?」
「あぁ」
「ずるいよ、兄さん」
なんか勇者と魔王がモゴモゴ話しているけど………聞いてるのか?
「兄さんの嫁は置いといて」
「置くな!」
「兄さんは黙って」
「むっ」
あっ………そこで黙るんだ(笑)
「人間の間で魔王の仕業と噂される悪行?は全て、黒炎を纏った虎と混同されて誤解されている事が原因だと分かったんだ。魔王討伐を隠れ蓑にして黒虎を捕獲するのが僕達の本来の目的なんだ」
『アイツか』
『パパン知ってるの?』
『うむ。我と対と考えられている存在でな。怒りと悲しみにのたうち回って暴れる姿は哀れであった』
遠い目をするパパンの顔が、今まで見た事がないほど泣きそうに見える。
『湧き上がる何かに、抵抗している様にも見えたな。アレは………我が眠らせてやったのになぁ』
何かを探す様に暴れ回る黒虎を眠らせ、封印した事で国が落ち着きパパンが後ろ盾になり建国されたのが、この国なのだそうです。
『誰かが封印を解いたか?』
黒虎が苦しまないように封印して眠らせた。
そんな彼を無理矢理に起こした奴がいる。
そして解き放たれた黒虎は、魔王と勘違いされながら暴れている。
『我も勇者達に同行しよう。黒虎に関しては無視できんからな』
この日から人の姿をしたパパンも、勇者御一行様の一員になったのです。
その後ろから勇者と無表情の騎士も入って来た。
「ビアンカ様の悲鳴が聞こえたのですが大丈夫ですか?」
パパンに抱っこされる あちしに駆け寄って、オロオロしているジュブナイルが愉快に思えた。
『大丈夫なような………大丈夫じゃないような』
「大丈夫じゃないんですか?!」
『セクハラされまくっておったからなぁ』
「セク………王妃様の聖獣であるビアンカ様になんて事を」
ワナワナと青い顔で震えるジュブナイル。
「思う存分モフるとは羨ま………けしからん!」
羨ましいって口走りやがったな!?
「ごめん。ちょっと口を挟んで良いかな?」
近寄ってきたのは勇者です。
「聖獣のビアンカ様ですね。僕は勇者のエヴァンスです。兄のドウェインが魔王だと知られてしまったんですね」
勇者エヴァンスの説明では、血は繋がってないけど一緒に育ったそうです。
捨て子だったエヴァンスを拾って育てたのが、ドウェインの父親である前任の魔王だったそうです。
顔が似ているのは偶然で、面白いと思った前任の魔王がドウェインの弟にと拾ったそうです。
魔王というのは総称で、なりたくてなれるモノでは無いそうです。
名乗るのでは無く、周りから呼ばれるモノなのだそうです。
「ドウェインは魔力が最強だったから、跡を継ぐ形で魔王に就任した。そして魔王として人間や過激派から命を狙われているので、身分を偽り隠れているんです。見逃して下さい」
あちしとジュブナイルは顔を見合わせて、お互いコクリと首を縦に振る。
『勘違いしないで。魔王討伐にノリノリなのは、教会の一部の人間だけだし。むしろアンちゃんと あちしは職務怠慢魔王……じゃなくて、穏健派の魔王が過激派に取って代わられる方が困ると思っているから』
「無意味な魔王討伐は阻止せよ。それがアンダルシア王妃様の指示です」
『ちなみにジュブナイルは、あちしの城での話し相手だよ』
「ビアンカ様に仕える神官です」
『ただし!あちしは魔王の嫁にはならないけどね!』
強めに宣言しておきます!
「兄さんの嫁?」
「あぁ」
「ずるいよ、兄さん」
なんか勇者と魔王がモゴモゴ話しているけど………聞いてるのか?
「兄さんの嫁は置いといて」
「置くな!」
「兄さんは黙って」
「むっ」
あっ………そこで黙るんだ(笑)
「人間の間で魔王の仕業と噂される悪行?は全て、黒炎を纏った虎と混同されて誤解されている事が原因だと分かったんだ。魔王討伐を隠れ蓑にして黒虎を捕獲するのが僕達の本来の目的なんだ」
『アイツか』
『パパン知ってるの?』
『うむ。我と対と考えられている存在でな。怒りと悲しみにのたうち回って暴れる姿は哀れであった』
遠い目をするパパンの顔が、今まで見た事がないほど泣きそうに見える。
『湧き上がる何かに、抵抗している様にも見えたな。アレは………我が眠らせてやったのになぁ』
何かを探す様に暴れ回る黒虎を眠らせ、封印した事で国が落ち着きパパンが後ろ盾になり建国されたのが、この国なのだそうです。
『誰かが封印を解いたか?』
黒虎が苦しまないように封印して眠らせた。
そんな彼を無理矢理に起こした奴がいる。
そして解き放たれた黒虎は、魔王と勘違いされながら暴れている。
『我も勇者達に同行しよう。黒虎に関しては無視できんからな』
この日から人の姿をしたパパンも、勇者御一行様の一員になったのです。
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