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男性しかいない異世界にもモブデリ

どちらが囚われているのか?

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ハーレムの一番奥にある庭園の中央に設置されたのは人間が1人寝起きできるサイズの鉄製の鳥籠で、ハーレムから逃げ出した人間が入れられる牢屋でした。


牢屋と言っても貴重な人間を酷く扱うことは無く、飢えぬ量の食事が3食と簡素だけど清潔な衣服が与えられ、ハーレムの一日を見せられるだけの場所でした。


その鳥籠を囲むように王族専用の東屋が幾つも建てられており、屋根の下は丸いベットになっていました。


モビッチが連れ込まれたのは王子専用の東屋で、許可されたお気に入りしか入る事を許されない場所でした。


「俺は追いかけられるのは嫌いでな。獲物は狩るに限る。お前は擦り寄っても追いかけては来ないから好ましい」


寝転がったモビッチは、それって攻略対象の筆頭の王子として大丈夫なの?とは思ったけど、早く入れて欲しい気持ちの方が上回っていたので何も言わずに首を傾げながら男の顔を見上げるだけだった。


「お前はここで、俺だけに可愛がられていればいい。面倒くさい段取りも関係なく、いつの間にか仕事が終わっているだろう」


「主人公の前でイチャイチャしてれば仕事が終わるってこと?」


「そうだ」


「じゃ~しよ?してくれないなら違うとこ行く」


「逃がす訳ないだろう」


両手の親指でお尻の穴を広げられると、来るであろ圧迫感を期待してキュッとお臍の下が締まった気がした。


「エロいケツしやがって」


王子らしくない言い方だけど、ライオンの王子の設定だし、お上品とかじゃなくワイルド系の見た目だから良いのか?


「ダメ?」


「いや最高だろ」


焦れったいほどゆっくりと男根のカリ部分を押し進め収まるのを感じたら、急に太ももを掴まれて広げられパンと音を立てて根元まで一気に突き入れた。


「ひにゃぁん!」


打ち付けた時の切れた腹筋に目を取られていたら、いっぱいに広げられた自分の穴に入ってる物の太さを知ってびっくりしてしまった。


「中も最高かよ。絡み付いてくる」


リーンと初めて首の鈴が透き通った音で鳴る。


「ボスライオンのお気に入りって、お前か。ライオン達の中でもボスをはってる奴は直系の王族でな。王族専用と認められた人間だけに鈴が反応すんだよ」


「そんなァッ……裏設定あったの?」


「設定資料くらいは読んでこいよ」


「モブに台本も設定も関係ないもん」


ぷいっと頬を膨らませながら顔を横を背ける。


「可愛い顔して煽るなよ」


「煽ってなぁあん♡」


中に入れられていることを忘れかけていた僕は、煽ってないと抗議したかったのに、埋まっていた竿をギリギリまで引き抜いてから一気に打ち付けられる衝撃に言葉が続けられない。


「お前は此処から出さねぇ。俺の飼い猫になれ」


「やだ」


「あ"あ"?」


「他の場所も見たいもん」


「逃がさねぇ。気絶するまでぶち犯す」


本気で僕を抱き潰す気満々のSEXの中でも、感じるのは鳥籠から向けられた主人公からの視線で、こちらを食い入るように見ていました。


それからは体力の限界まで抱き潰されては目覚めたら東屋から抜け出す僕と、ハーレムの中で僕を見つけると、その場で犯してから捕獲しては東屋に押し込んで服を剥ぎ取り再び襲うを繰り返す王子の追い掛けっこを繰り返していた。


もはやハーレム内でSEXしてない場所が無いのでは?と思い始めた時に、僕が気を失っている内に首のチョーカーに金色のチェーンを付けられ物理的に抜け出せなくされてしまった。


かなり長いけど細めのチェーンだし引きちぎれそうだけど、手が痛そうだし面倒くさいから仕方なく東屋のベットの上で一日を過ごしていた。


「あれ?これが泊まり掛けの仕事?いつの間に泊まり掛けの仕事に切り替わったの?」


社長が嬉しそうに交渉してる姿が想像できて考えるのを止めた。


トイレやお風呂は王子に縦抱きにされて連れて行かれている日々が続き、僕が東屋で1人きりになる事が無くなっていった。


そんな中、鳥籠の主人公は観念したのかハーレムでの生活を受け入れるとヒラヒラのベビードールを身にまとい東屋にやって来た。


「僕も撫でてみたかったんだ」


もしかして東屋から開放されるかもと期待していたのに、あっさりと裏切られてベットと上に上がってきた主人公に頭を撫で回された。


このまま主人公も、ここで生活するのかと思っていたけど、色黒王子の反応は冷たいものでした。


「俺は、お前がここに入るのを許可してねぇんだよ!」


声を荒らげて怒りをあらわにすると、あろうことか主人公の胸倉を掴んでから顔面を拳で殴り付けると東屋から放り出した。


あれ?


こんな話の流れだった?



僕的には主人公と交代しても構わないんだけど。


頬を腫らした主人公を抱き起こしたのは、まさかの白い狼の獣人だった。


「要らぬなら貰っていく」


「やだ!」


抵抗虚しく連れ去らる主人公。


色黒王子を怒られせた主人公を助けてくれる人はいませんでした。


主要キャラが主人公を殴るのを始めて見て呆然としていたけど、ハーレムに居るライオンの獣人は色黒王子だけじゃないし、ライオン達と好感度を上げられなかった主人公が連れ去られるストーリーは何処かで読んだ覚えがありました。


「はっ!これってBADEND?」


でも主人公が殴られるとは書いてなかった気がする。


「俺は王子とか向いてねぇ」


どうしても主人公の行動に我慢できなかったと、ガシガシと乱暴に自分の頭を搔く色黒王子。


連れ去られた主人公は、もう二度とハーレムには戻れない。


仕事が終わったかもと思っていたら、僕を迎えに来た社長にチェーンを切らずにキョーカを外され開放されると、色黒王子が近付いてきて社長に話しかけている。


「まぁオリジナルキャラを引き抜くのは色々と手間だけど私に任せなさい。君は今日からコケシ帝王だ」


「はぁ?だせぇ名前を付けんなよ」


「本気でウチで働きたいのなら異論は認め無いよ」


「チッ」


「これでモビッチの負担が減るね。エッチはコケシ帝王に任せればいいからね」


「「え?」」


相棒のコケシ帝王が誕生した瞬間でした。
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