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変人と忍ばないくノ一
目が覚めるとそこには少女と男がいて、明らかに自分がいるべきではないと悟ったよ。
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「今日はよくわからんことがあったな。」
布団を整えて、寝る準備をする。そろそろ梅雨が明けるということもあり、床に追いやられていた毛布も片付けないといけないのだが、面倒くさい。
記憶が抜け落ちていたり、その間に倒れたりと奇妙不可思議なことが起こったのだが、そんなことは脳の片隅においやる。そこであることをふと思い出した。
「そういえばポケットに…」
日本史の授業の始まりに教科書に挟まっていたJOKERのカードを入れっぱなしにしていたのだ。間違って姉さんが洗濯しないように、制服のズボンのポケットに手を入れて探る。しかし、出てきたのは飴のガラだけだった。
……あっれー?
他のポケットも探すが、一向に見つからない。
「ま、いっか。」
そう言うと、整えたはずの布団にダイブしそのまま俺は寝付いた。
夢を見た。
透き通るように綺麗な銀色の髪、そして蒼く輝く瞳に、頭に犬耳をもつ少女。その両手には携えた現代日本では見かけない、少女には似つかわしくないクナイを持っている。えっ、ラノベや漫画じゃ当たり前だって?こまけぇこたぁいいんだよ。
対して、その少女の前にいる男。黒いローブで顔が隠れていてはっきりとは見えない。しかし、動く口の中からは鋭く尖った牙が覗いている。そして、手には包丁を持っている。
というか、これ……
「夢じゃないっ?!」
さっきベッドにダイブして眠ったはずなのに、俺は真夜中の通学路に立っていた。
もはや、夢遊病ってレベルじゃねぇぞ!
「誰だ!!」
俺の声に反応したのか、男が声を荒げる。
「なんで、ここに一般人が……ってキミは!?」
少女も遅れて、こちらに反応する。今思えば、何処かで見たことがあるような……
「優樹くん、早く逃げて!」
「へへへ、隙あり!」
少女は俺に逃げろと警告するが、その瞬間男は少女に接近しお腹に蹴りを入れる。
「かはっ……!?」
人という枠を秀でたスピードとパワーで叩き込まれた蹴りは、少女の体を容赦なく傷つけて吹き飛ばす。そしてそのままこっちへ……
ん?
「うわああああ!こっちへ来んなぁぁぁぁぁ!」
吹き飛ばされた少女を避けようとするが時既に遅し。少女の体は俺に激突するだけにと止まらず、俺も巻き込まれて吹き飛ばされる。
そしてそのまま地球の重力をもろともせずに飛ばされて、住宅街の壁にへと衝突する。
「うべぇ!」
「ぐっ!」
少女は俺の体がクッションとなったみたいだが、俺は少女と壁にサンドイッチされたせいで、体から鳴ってはいけない音が聞こえた。
そして、壁から床に叩きつけられるが俺はすぐに起き上がる。しかし、少女はお腹を押さえたままうずくまっている。
「はあはあ……ぐっ……。」
男にやられて苦しむ少女の体が一瞬白く輝く。
「しまった………変身が…!」
満身創痍の顔をしている少女は、先ほどの銀髪ではなく、黒髪で犬耳もなくなっていた。さらに、目の前に現れた彼女は、
「日田月 刹那……なんでお前が。」
この辺りでは、かわいいという評判で持ちきりな子だった。
彼女は、俺と同じ学校に通う高校2年生で同級生だ。とはいえ、話したことは一度もない。しかし、彼女が文武両道かつ容姿端麗、性格もよしということなしの正に絵にかいたような女の子であることから、学校はもちろん、この辺りでは知らない人はいないだろう。
「く、くそ……あいつがくる。」
ろくに体が動かないにも関わらず、必死に彼女が手を伸ばす先には、カードが二枚あった。そのカードは狼らしき絵とハート5が描かれたカード、そして昼に俺が見つけたJOKERのカードだった。
「なんでここに…?」
「いいから、早く逃げて……殺されるよ……。」
彼女は、狼のカードを手に取り、ボロボロの体に鞭を打ち、立ち上がる。
「アクテ……ぐっ!?」
しかし、痛みに耐えきれず、その体は地面に伏した。
「その体じゃ無理だろ!」
「いいから、はやく逃げて!無理でもボクはやらなくちゃいけないんだ!」
日田月さんはそう叫ぶ。しかし、こんなところで、言い合いをしている場合ではない。こうしている間にも、
「ハハハ、思っていたより飛んだなぁ…。」
男は、口元を緩ませながら一歩また一歩と、不気味に歩いてきた。包丁をクルクルと指を器用に回している。
そのまま刺さってくれないかな。
このままじっとしていても男に殺されるのだけなので、彼女が取ろうとしていたカードではなく、JOKERのカードを手に取る。
その瞬間、カードは手から腕、そして首から脳へと、なにかが流れ込んできた。
それはカードの正しい使い方。これを使うのには、難しい儀式や祈り、奇跡などはいらない。一言、たった一言でカードは起動し、使用者にその力を与える。
俺はJOKERを男へと向ける。すると、男はふらふらと歩くのを止め、立ち止まる。
さあ闘いの始まりだ。
俺には戦いの極意はもちろん、運動神経が特別いいわけではない。喧嘩だって大したこともないだろう。日田月さんは動けない、最悪勝てなくとも、時間稼ぎ、もしくは道連れにはしてやる。
そうやるべきことを確認し、男との戦いの火蓋を切るように俺は告げた。
「Active」
布団を整えて、寝る準備をする。そろそろ梅雨が明けるということもあり、床に追いやられていた毛布も片付けないといけないのだが、面倒くさい。
記憶が抜け落ちていたり、その間に倒れたりと奇妙不可思議なことが起こったのだが、そんなことは脳の片隅においやる。そこであることをふと思い出した。
「そういえばポケットに…」
日本史の授業の始まりに教科書に挟まっていたJOKERのカードを入れっぱなしにしていたのだ。間違って姉さんが洗濯しないように、制服のズボンのポケットに手を入れて探る。しかし、出てきたのは飴のガラだけだった。
……あっれー?
他のポケットも探すが、一向に見つからない。
「ま、いっか。」
そう言うと、整えたはずの布団にダイブしそのまま俺は寝付いた。
夢を見た。
透き通るように綺麗な銀色の髪、そして蒼く輝く瞳に、頭に犬耳をもつ少女。その両手には携えた現代日本では見かけない、少女には似つかわしくないクナイを持っている。えっ、ラノベや漫画じゃ当たり前だって?こまけぇこたぁいいんだよ。
対して、その少女の前にいる男。黒いローブで顔が隠れていてはっきりとは見えない。しかし、動く口の中からは鋭く尖った牙が覗いている。そして、手には包丁を持っている。
というか、これ……
「夢じゃないっ?!」
さっきベッドにダイブして眠ったはずなのに、俺は真夜中の通学路に立っていた。
もはや、夢遊病ってレベルじゃねぇぞ!
「誰だ!!」
俺の声に反応したのか、男が声を荒げる。
「なんで、ここに一般人が……ってキミは!?」
少女も遅れて、こちらに反応する。今思えば、何処かで見たことがあるような……
「優樹くん、早く逃げて!」
「へへへ、隙あり!」
少女は俺に逃げろと警告するが、その瞬間男は少女に接近しお腹に蹴りを入れる。
「かはっ……!?」
人という枠を秀でたスピードとパワーで叩き込まれた蹴りは、少女の体を容赦なく傷つけて吹き飛ばす。そしてそのままこっちへ……
ん?
「うわああああ!こっちへ来んなぁぁぁぁぁ!」
吹き飛ばされた少女を避けようとするが時既に遅し。少女の体は俺に激突するだけにと止まらず、俺も巻き込まれて吹き飛ばされる。
そしてそのまま地球の重力をもろともせずに飛ばされて、住宅街の壁にへと衝突する。
「うべぇ!」
「ぐっ!」
少女は俺の体がクッションとなったみたいだが、俺は少女と壁にサンドイッチされたせいで、体から鳴ってはいけない音が聞こえた。
そして、壁から床に叩きつけられるが俺はすぐに起き上がる。しかし、少女はお腹を押さえたままうずくまっている。
「はあはあ……ぐっ……。」
男にやられて苦しむ少女の体が一瞬白く輝く。
「しまった………変身が…!」
満身創痍の顔をしている少女は、先ほどの銀髪ではなく、黒髪で犬耳もなくなっていた。さらに、目の前に現れた彼女は、
「日田月 刹那……なんでお前が。」
この辺りでは、かわいいという評判で持ちきりな子だった。
彼女は、俺と同じ学校に通う高校2年生で同級生だ。とはいえ、話したことは一度もない。しかし、彼女が文武両道かつ容姿端麗、性格もよしということなしの正に絵にかいたような女の子であることから、学校はもちろん、この辺りでは知らない人はいないだろう。
「く、くそ……あいつがくる。」
ろくに体が動かないにも関わらず、必死に彼女が手を伸ばす先には、カードが二枚あった。そのカードは狼らしき絵とハート5が描かれたカード、そして昼に俺が見つけたJOKERのカードだった。
「なんでここに…?」
「いいから、早く逃げて……殺されるよ……。」
彼女は、狼のカードを手に取り、ボロボロの体に鞭を打ち、立ち上がる。
「アクテ……ぐっ!?」
しかし、痛みに耐えきれず、その体は地面に伏した。
「その体じゃ無理だろ!」
「いいから、はやく逃げて!無理でもボクはやらなくちゃいけないんだ!」
日田月さんはそう叫ぶ。しかし、こんなところで、言い合いをしている場合ではない。こうしている間にも、
「ハハハ、思っていたより飛んだなぁ…。」
男は、口元を緩ませながら一歩また一歩と、不気味に歩いてきた。包丁をクルクルと指を器用に回している。
そのまま刺さってくれないかな。
このままじっとしていても男に殺されるのだけなので、彼女が取ろうとしていたカードではなく、JOKERのカードを手に取る。
その瞬間、カードは手から腕、そして首から脳へと、なにかが流れ込んできた。
それはカードの正しい使い方。これを使うのには、難しい儀式や祈り、奇跡などはいらない。一言、たった一言でカードは起動し、使用者にその力を与える。
俺はJOKERを男へと向ける。すると、男はふらふらと歩くのを止め、立ち止まる。
さあ闘いの始まりだ。
俺には戦いの極意はもちろん、運動神経が特別いいわけではない。喧嘩だって大したこともないだろう。日田月さんは動けない、最悪勝てなくとも、時間稼ぎ、もしくは道連れにはしてやる。
そうやるべきことを確認し、男との戦いの火蓋を切るように俺は告げた。
「Active」
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