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「幻を追い求めて2」23話
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「幻を追い求めて2」23話
鶯谷花美は高いヒールを履いて音を鳴らしながら、まるでモデルのように背筋を伸ばして歩いている。そんな鶯谷から少し離れた場所から大瑠璃が様子を窺う。
竹田長社長によれば、どうやら弟の一壱は今日の夕方に彼女と会う予定ならしい。
ーまあ、それも長社長がチャットのメッセージを盗み見ての勝手な推理なんだがな。
大瑠璃は小さくため息をついた。顔を上げると、鶯谷は角を曲がり、お店の前で立ち止まった。お店というのは、外壁が煉瓦でできたBARだった。
ーこんなところで待ち合わせしているのか?
大瑠璃が長から聞いた話とは違った。夕方、友人とカフェで少し話をしてからすぐ帰ると長に一壱はぶっきらぼうに話していたらしい。加えて、部屋には入ってこないで欲しいとも言われていたらしい。
思わず大瑠璃は鶯谷に話しかけた。
「失礼ですが、鶯谷さんですか?」
鶯谷花美はスマホを弄るのを止めて怪訝そうに顔を上げた。
「なあに?」
一壱に見せていた朗らかな顔とは違い、赤の他人を見る目をしていた。
「突然、すみません。わたし竹田一壱さんの同僚で、大瑠璃と申します。」と一壱の名前を出すと、鶯谷の瞳が揺れるのを大瑠璃は見逃さなかった。
「一壱の同僚?」
「はい。」
鶯谷は少し警戒を解いたのか、口元が少し緩んだ。大瑠璃は安心してすぐに要件を聞いた。
「実は一壱さんにどうしても渡さなければいけないものがあって、探していたんですよ。そうしたら、今日貴方とここの歓楽街で会う約束をしてると言っていたのを思い出して。」
「なんのこと?」
大瑠璃は鶯谷の顔を凝視した。眉を顰め、こちらを睨んでいる。さっきまでの警戒心が元通りに戻るどころか、さらに増大しているように見えた。
「わたし、一壱と待ち合わせなんてしてないわよ。」
大瑠璃は目を見開いた。
「今、なんて言いました?」
「だから、一壱と待ち合わせなんてしてないって。」
普段汗など掻かない白い肌に一筋の雫がゆっくりと落ちていく。乾いた唇で大瑠璃は口を開ける。
「ですが、一壱さんは貴方とチャットでメッセージを取り合っていましたよ。」
鶯谷は目を見開いた。それは思い出したというよりは、戦慄しているような表情だった。
「あたし、最近チャットやってないわよ。」
まるで時が止まったかのように周りの音が遮断される感覚だった。常に視野が広く、ミスも全く無い大瑠璃が初めて味わう感覚だった。
「なんか、最近、乗っ取られたのか、ログイン出来なくって。」
遠くで小夜啼鳥が鳴いた気がした。
「もうそのアカウント、捨てちゃってるの。」
「なんだって?」
すぐ後ろで聞こえた声に大瑠璃が振り返ると、先ほどまでダッシュボードにうつ伏せていた男が立っていた。
男は事情をすぐ察したのか、勢いよく走り出す。大瑠璃は引き止めようと彼の名前を叫んだが、彼には聞こえていないようだった。
鶯谷花美は高いヒールを履いて音を鳴らしながら、まるでモデルのように背筋を伸ばして歩いている。そんな鶯谷から少し離れた場所から大瑠璃が様子を窺う。
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ーまあ、それも長社長がチャットのメッセージを盗み見ての勝手な推理なんだがな。
大瑠璃は小さくため息をついた。顔を上げると、鶯谷は角を曲がり、お店の前で立ち止まった。お店というのは、外壁が煉瓦でできたBARだった。
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思わず大瑠璃は鶯谷に話しかけた。
「失礼ですが、鶯谷さんですか?」
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「なあに?」
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「突然、すみません。わたし竹田一壱さんの同僚で、大瑠璃と申します。」と一壱の名前を出すと、鶯谷の瞳が揺れるのを大瑠璃は見逃さなかった。
「一壱の同僚?」
「はい。」
鶯谷は少し警戒を解いたのか、口元が少し緩んだ。大瑠璃は安心してすぐに要件を聞いた。
「実は一壱さんにどうしても渡さなければいけないものがあって、探していたんですよ。そうしたら、今日貴方とここの歓楽街で会う約束をしてると言っていたのを思い出して。」
「なんのこと?」
大瑠璃は鶯谷の顔を凝視した。眉を顰め、こちらを睨んでいる。さっきまでの警戒心が元通りに戻るどころか、さらに増大しているように見えた。
「わたし、一壱と待ち合わせなんてしてないわよ。」
大瑠璃は目を見開いた。
「今、なんて言いました?」
「だから、一壱と待ち合わせなんてしてないって。」
普段汗など掻かない白い肌に一筋の雫がゆっくりと落ちていく。乾いた唇で大瑠璃は口を開ける。
「ですが、一壱さんは貴方とチャットでメッセージを取り合っていましたよ。」
鶯谷は目を見開いた。それは思い出したというよりは、戦慄しているような表情だった。
「あたし、最近チャットやってないわよ。」
まるで時が止まったかのように周りの音が遮断される感覚だった。常に視野が広く、ミスも全く無い大瑠璃が初めて味わう感覚だった。
「なんか、最近、乗っ取られたのか、ログイン出来なくって。」
遠くで小夜啼鳥が鳴いた気がした。
「もうそのアカウント、捨てちゃってるの。」
「なんだって?」
すぐ後ろで聞こえた声に大瑠璃が振り返ると、先ほどまでダッシュボードにうつ伏せていた男が立っていた。
男は事情をすぐ察したのか、勢いよく走り出す。大瑠璃は引き止めようと彼の名前を叫んだが、彼には聞こえていないようだった。
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