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「幻を追い求めて2」22話
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「幻を追い求めて2」22話
「うーん?」
一壱は部屋の中で長財布の中を確認する。レシートやメモアプリを見てもお金の貸し借りについてピンとくるものは何も無かった。
ー「やっほー。ねぇ、このあいだ借りたお金返したいんだけど、今週末どお?会えそ?」
この間届いた、はるこからのチャットのメッセージが気になっていたが、会って聞けば分かるだろう、と一壱は気持ちを切り替え、長の部屋の扉を開けた。
エントランスを抜けると、すっかり葉の落ちた木の枝でツグミがステップを踏むかのように跳ねながら移動しているのが見えた。
ーまあ、たまにはノリの悪い先輩じゃなくて友人と話すのもいいだろう。最近、色んなことがあったのだから。
空には少し季節遅れのうろこ雲が泳いでいた。
「それで?その"はるこ"って女の本名は鶯谷花美って言うのか?」
外車の右側に座り、ジッとたくさん行き交う通行人を長は睨んだ。
「はい。調べたところ、大学の同級生でもあるみたいですね。」
「そうか。」と素っ気無い返事を大瑠璃に返す。大瑠璃は小さくため息をついた。
「確かに調べると、最近一壱様がホストを辞めてから頻繁に連絡を取ってるみたいですけど。」
大瑠璃は普段の柔らかい表情とは真逆の表情をしている長を一瞥した。
「そんなに気になるんですか?」
「初めはホスト用のアカウントに連絡してたのに、返事が無いからプライベート用のアカウントに連絡手段を切り替えたんだろう?怪しいだろう。」
「そうですかね。」
大瑠璃は掴んだハンドルを人差し指で軽く叩く。
「元々、仲が良いなら初めからプライベート用のアカウントで連絡を取るのでは?」
「それ程ホストとしてのイッチーが気になってたってことだろう!イッチーに付き纏っているんだ、きっと。」と少し長は声を荒げた。その様子を白けた目で大瑠璃は見遣る。
「私から見れば付き纏っているのは貴方の方に見えるんですけど。」
「俺はあくまで兄として、イッチーの力になりたいんだ。」
「普通の兄はイッチーなんて裏でこっそり言いませんよ。」と大瑠璃は長の発言を一刀両断した。
長は遠くの空を眺めた。
「今日、雨が降りそうだな。」
「冬の雨は冷たいですよ。鶯谷が見つからなかったら社に戻ります。」
長は助手席からダッシュボードに突っ伏して顔を上げた。見ると、鶯らしき鳥が電柱に止まっていた。ここらへんは他の地域と比べて気温が高い為、少し早目にやってきたのかもしれない。その姿はこの間海外出張した際に見た小夜啼鳥を彷彿とさせる。長はギュッと脇腹を抑えた。
「分かってるさ。イッチー、いや一壱への気持ちは墓場まで持っていくつもりだ。」
大瑠璃は長の話を聞きながら真っ直ぐ通行人を眺める。
すると、見覚えのある黒い巻き毛の女が向かい側の歩道を歩いているのが見えた。
大瑠璃はすぐフロントドアを開けた。
「うーん?」
一壱は部屋の中で長財布の中を確認する。レシートやメモアプリを見てもお金の貸し借りについてピンとくるものは何も無かった。
ー「やっほー。ねぇ、このあいだ借りたお金返したいんだけど、今週末どお?会えそ?」
この間届いた、はるこからのチャットのメッセージが気になっていたが、会って聞けば分かるだろう、と一壱は気持ちを切り替え、長の部屋の扉を開けた。
エントランスを抜けると、すっかり葉の落ちた木の枝でツグミがステップを踏むかのように跳ねながら移動しているのが見えた。
ーまあ、たまにはノリの悪い先輩じゃなくて友人と話すのもいいだろう。最近、色んなことがあったのだから。
空には少し季節遅れのうろこ雲が泳いでいた。
「それで?その"はるこ"って女の本名は鶯谷花美って言うのか?」
外車の右側に座り、ジッとたくさん行き交う通行人を長は睨んだ。
「はい。調べたところ、大学の同級生でもあるみたいですね。」
「そうか。」と素っ気無い返事を大瑠璃に返す。大瑠璃は小さくため息をついた。
「確かに調べると、最近一壱様がホストを辞めてから頻繁に連絡を取ってるみたいですけど。」
大瑠璃は普段の柔らかい表情とは真逆の表情をしている長を一瞥した。
「そんなに気になるんですか?」
「初めはホスト用のアカウントに連絡してたのに、返事が無いからプライベート用のアカウントに連絡手段を切り替えたんだろう?怪しいだろう。」
「そうですかね。」
大瑠璃は掴んだハンドルを人差し指で軽く叩く。
「元々、仲が良いなら初めからプライベート用のアカウントで連絡を取るのでは?」
「それ程ホストとしてのイッチーが気になってたってことだろう!イッチーに付き纏っているんだ、きっと。」と少し長は声を荒げた。その様子を白けた目で大瑠璃は見遣る。
「私から見れば付き纏っているのは貴方の方に見えるんですけど。」
「俺はあくまで兄として、イッチーの力になりたいんだ。」
「普通の兄はイッチーなんて裏でこっそり言いませんよ。」と大瑠璃は長の発言を一刀両断した。
長は遠くの空を眺めた。
「今日、雨が降りそうだな。」
「冬の雨は冷たいですよ。鶯谷が見つからなかったら社に戻ります。」
長は助手席からダッシュボードに突っ伏して顔を上げた。見ると、鶯らしき鳥が電柱に止まっていた。ここらへんは他の地域と比べて気温が高い為、少し早目にやってきたのかもしれない。その姿はこの間海外出張した際に見た小夜啼鳥を彷彿とさせる。長はギュッと脇腹を抑えた。
「分かってるさ。イッチー、いや一壱への気持ちは墓場まで持っていくつもりだ。」
大瑠璃は長の話を聞きながら真っ直ぐ通行人を眺める。
すると、見覚えのある黒い巻き毛の女が向かい側の歩道を歩いているのが見えた。
大瑠璃はすぐフロントドアを開けた。
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