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「幻を追い求めて2」2話
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「幻を追い求めて2」2話
振り返ると背が高い、スーツを着た男が立っていた。
綺麗に整えられた七三分けの髪型を風ではためかせながら男はこちらに走ってくる。
一壱はまずいと思ったが、今ここで逃げても事を大きくするだけでなんの得策でもないと思い、ただ男が自分の目の前で足を止めるのを待った。
しかし、男は目の前で止まるどころか、一壱の肩を掴んで大きく揺らした。
「何をしてるんだ!こんな夜に!こんな場所で!」
男は怒りを露わにして一壱の肩をさらに強く掴んだ。締め付けられる痛さに思わず顔が歪む。それを見た男は慌てて一壱の肩から手を離した。
「おまえ、病気になるぞ。」
どうやら男は一壱の職業を一瞬で当てたみたいだ。一壱は困り眉を作って笑った。
「おれ、もうお酒飲める年齢だし、子どもじゃないよ。」
男の目尻が上がる。しかし、それでも一壱は空気を読まず男の腕を掴んで言った。
「それに、凄く儲かるんだ!心配しなくていいよ。」と一壱が言い終える前に男は声を荒げてまた一壱の肩を掴んだ。
「馬鹿!!今すぐ辞めろ!」
思ったよりも大きな声だったので一壱は目を瞑った。
少し間を置いたところで一壱は恐る恐る目を開けた。すると、先ほどとは違って心配そうにこちらを見てる男がいた。
一壱が目を見開いてると、男は優しく一壱に語りかけた。
「お金に困ってるのか?後で振り込んでおくから。」
一壱は何か喋ろうと口を開けたが、それを遮るように男は続ける。
「仕事は他のにしなさい。俺が見繕ってやる。じゃないと、旭さんと苑香さんに言いつけるからな。」
最後の一言が一壱の心に突き刺さった。父さんと母さんにバレるのはまずい。
一壱はしおらしく頷いた。それを見た男は胸を撫で下ろして「車に乗せて行く。」と親指で後ろを差した。見ると、一人の眼鏡をかけた、いかにも謹厳実直そうな男が駐車場に停まってある車の横に立っていた。
一壱は急いで被りを振ったが、そのまま腕を掴まれてしまい、黒い外車に押し込まれた。
車はネオン街を背に遠ざかって行く。
「一壱、今どこで暮らしてるんだ?家の前で降ろすから。」
一壱はまたもや被りを振った。
「大丈夫、大丈夫!そこの駅近くでいいから。そこから近いんだ。」
「そうか?じゃあ、そこで降ろすからな。」
実際は嘘だ。本当はそこから暫く歩いた先にアパートがある。
車から降りて歩き始めた一壱はほっと一息ついた。後ろを振り向くと車がまだ停まっていたので、慌ててその場を離れた。
再び後ろを振り向いたが、もう車の姿は見えなかった。今度こそ一壱は胸を撫で下ろした。
ーあいつ、どういうつもりだ?なんでこんなところにいるんだよ。
一壱は心の中で悪態をついた。
ーまさか、あいつ自ら苦言を呈してくるとは思わなかったな。まあ、それもそうか。向こうからしてみても、有名な竹田グループの社長の兄弟が水商売してるなんて知られたら、せっかく積み上げた評判が下がるもんな。
一壱は錆びた赤い屋根の下、錆びたドアノブを握り、床に寝っ転がってこれからのことについて思案を巡らせることにした。
振り返ると背が高い、スーツを着た男が立っていた。
綺麗に整えられた七三分けの髪型を風ではためかせながら男はこちらに走ってくる。
一壱はまずいと思ったが、今ここで逃げても事を大きくするだけでなんの得策でもないと思い、ただ男が自分の目の前で足を止めるのを待った。
しかし、男は目の前で止まるどころか、一壱の肩を掴んで大きく揺らした。
「何をしてるんだ!こんな夜に!こんな場所で!」
男は怒りを露わにして一壱の肩をさらに強く掴んだ。締め付けられる痛さに思わず顔が歪む。それを見た男は慌てて一壱の肩から手を離した。
「おまえ、病気になるぞ。」
どうやら男は一壱の職業を一瞬で当てたみたいだ。一壱は困り眉を作って笑った。
「おれ、もうお酒飲める年齢だし、子どもじゃないよ。」
男の目尻が上がる。しかし、それでも一壱は空気を読まず男の腕を掴んで言った。
「それに、凄く儲かるんだ!心配しなくていいよ。」と一壱が言い終える前に男は声を荒げてまた一壱の肩を掴んだ。
「馬鹿!!今すぐ辞めろ!」
思ったよりも大きな声だったので一壱は目を瞑った。
少し間を置いたところで一壱は恐る恐る目を開けた。すると、先ほどとは違って心配そうにこちらを見てる男がいた。
一壱が目を見開いてると、男は優しく一壱に語りかけた。
「お金に困ってるのか?後で振り込んでおくから。」
一壱は何か喋ろうと口を開けたが、それを遮るように男は続ける。
「仕事は他のにしなさい。俺が見繕ってやる。じゃないと、旭さんと苑香さんに言いつけるからな。」
最後の一言が一壱の心に突き刺さった。父さんと母さんにバレるのはまずい。
一壱はしおらしく頷いた。それを見た男は胸を撫で下ろして「車に乗せて行く。」と親指で後ろを差した。見ると、一人の眼鏡をかけた、いかにも謹厳実直そうな男が駐車場に停まってある車の横に立っていた。
一壱は急いで被りを振ったが、そのまま腕を掴まれてしまい、黒い外車に押し込まれた。
車はネオン街を背に遠ざかって行く。
「一壱、今どこで暮らしてるんだ?家の前で降ろすから。」
一壱はまたもや被りを振った。
「大丈夫、大丈夫!そこの駅近くでいいから。そこから近いんだ。」
「そうか?じゃあ、そこで降ろすからな。」
実際は嘘だ。本当はそこから暫く歩いた先にアパートがある。
車から降りて歩き始めた一壱はほっと一息ついた。後ろを振り向くと車がまだ停まっていたので、慌ててその場を離れた。
再び後ろを振り向いたが、もう車の姿は見えなかった。今度こそ一壱は胸を撫で下ろした。
ーあいつ、どういうつもりだ?なんでこんなところにいるんだよ。
一壱は心の中で悪態をついた。
ーまさか、あいつ自ら苦言を呈してくるとは思わなかったな。まあ、それもそうか。向こうからしてみても、有名な竹田グループの社長の兄弟が水商売してるなんて知られたら、せっかく積み上げた評判が下がるもんな。
一壱は錆びた赤い屋根の下、錆びたドアノブを握り、床に寝っ転がってこれからのことについて思案を巡らせることにした。
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