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「ちゃんちゃら」75話
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「ちゃんちゃら」75話
そんな話は大地とした事がなかったので海斗は唖然としていた。水城がどうして金城家と関わりのある会社で働いているのか、謎が解けた。
「じゃあ、金城大地って人、知ってる?」
「ええ。パーティでお話しした事が何度かありますよ。」
またも何の気無しに水城が紅茶に口をつけるので海斗はポカンと口を開ける。
「知り合いなんですか?」
水城の問いかけに海斗は意を決して大地との関係性を明かした。水城は興味深く耳を傾けている。海斗が大体の説明を終えたところでスコーンやパンナコッタ、サンドウィッチやカップケーキが乗ったアフタヌーンティースタンドが運ばれてくる。
「わー私、こういったカフェのアフタヌーンティー食べてみたかったんです!」
恐らく水城が普段食べているアフタヌーンティーはもっと高額なのだろうな、と考えながら海斗はいただきますと言っている水城を見遣った。水城は笑顔でスコーンを口に運ぶ。
「でも、まさか大地さんの婚約者が海斗さんだったなんて」
彼女の小さい口にまたクロテッドクリームがたっぷり乗ったスコーンが入っていく。
「知りませんでした。」
彼女は幸せそうだった。この先、絶望するようなことなど何もないかのような、そんな雰囲気があった。
「水城さんの婚約者は、どんな人なんですか?」
「まだよく分かりませんが、優しさがある方なのは分かったところです。」
かなり曖昧な言い方に動揺を隠せなかった。
「え、よく知らないんですか?」
「はい。両親が事業拡大の為に考えたことなので、彼と実際に会ったのは最近なんです。」
まさか政略結婚という話を今の時代で聞くとは思わず、海斗は固まる。
「良いんですか?自分で選ばなくて」
水城は小首を傾げている。
「選びましたよ?実際に会ってみて」
特に躊躇いがない態度を見ると、水城なりに考えて出した答えなのだろう、と海斗は考えた。いつまでも悩んでいる自分とは違って決断力のある水城にまたいつもの羨望の念を抱く。
「水城さんは凄いな。俺だったら不安になって、ずっと悩んじゃうな。」
水城は香りを嗅ぎつつ紅茶を楽しんでいる。
「確かに、不安が無いわけではないですけど、ワクワクの方が強いんです。」
「ワクワク?」
自分だったら絶対に口に出さないような言葉に海斗は唖然とする。
「はい。だって、これからその人と色んなことを経験して、お互いのことを知っていくわけですよね?楽しみじゃないですか。」
自分には無い考えだった。そもそも楽しむという発想すら思い浮かばなかった。水城は呆然としている海斗には気にも止めず、次は何を食べようかとスタンド内にあるお菓子を物色している。
「海斗さんは楽しみじゃないんですか?大地さんとの結婚生活。と言っても、もう一緒に暮らしてるんですもんね?」
水城の何気ない質問に海斗は黙り込む。返答が無いことを不審に思ったのか、水城はパンナコッタが入ったヴェリーヌを手に持ったまま、こちらを凝視してくる。
「なにか、不安な点があるんですか?」
海斗は言葉が詰まった。
「いや、なにが不安なのか、よく分からなくて。」
「あら。」
海斗が口を開くと彼女は安心したようにパンナコッタにスプーンを入れた。
そんな話は大地とした事がなかったので海斗は唖然としていた。水城がどうして金城家と関わりのある会社で働いているのか、謎が解けた。
「じゃあ、金城大地って人、知ってる?」
「ええ。パーティでお話しした事が何度かありますよ。」
またも何の気無しに水城が紅茶に口をつけるので海斗はポカンと口を開ける。
「知り合いなんですか?」
水城の問いかけに海斗は意を決して大地との関係性を明かした。水城は興味深く耳を傾けている。海斗が大体の説明を終えたところでスコーンやパンナコッタ、サンドウィッチやカップケーキが乗ったアフタヌーンティースタンドが運ばれてくる。
「わー私、こういったカフェのアフタヌーンティー食べてみたかったんです!」
恐らく水城が普段食べているアフタヌーンティーはもっと高額なのだろうな、と考えながら海斗はいただきますと言っている水城を見遣った。水城は笑顔でスコーンを口に運ぶ。
「でも、まさか大地さんの婚約者が海斗さんだったなんて」
彼女の小さい口にまたクロテッドクリームがたっぷり乗ったスコーンが入っていく。
「知りませんでした。」
彼女は幸せそうだった。この先、絶望するようなことなど何もないかのような、そんな雰囲気があった。
「水城さんの婚約者は、どんな人なんですか?」
「まだよく分かりませんが、優しさがある方なのは分かったところです。」
かなり曖昧な言い方に動揺を隠せなかった。
「え、よく知らないんですか?」
「はい。両親が事業拡大の為に考えたことなので、彼と実際に会ったのは最近なんです。」
まさか政略結婚という話を今の時代で聞くとは思わず、海斗は固まる。
「良いんですか?自分で選ばなくて」
水城は小首を傾げている。
「選びましたよ?実際に会ってみて」
特に躊躇いがない態度を見ると、水城なりに考えて出した答えなのだろう、と海斗は考えた。いつまでも悩んでいる自分とは違って決断力のある水城にまたいつもの羨望の念を抱く。
「水城さんは凄いな。俺だったら不安になって、ずっと悩んじゃうな。」
水城は香りを嗅ぎつつ紅茶を楽しんでいる。
「確かに、不安が無いわけではないですけど、ワクワクの方が強いんです。」
「ワクワク?」
自分だったら絶対に口に出さないような言葉に海斗は唖然とする。
「はい。だって、これからその人と色んなことを経験して、お互いのことを知っていくわけですよね?楽しみじゃないですか。」
自分には無い考えだった。そもそも楽しむという発想すら思い浮かばなかった。水城は呆然としている海斗には気にも止めず、次は何を食べようかとスタンド内にあるお菓子を物色している。
「海斗さんは楽しみじゃないんですか?大地さんとの結婚生活。と言っても、もう一緒に暮らしてるんですもんね?」
水城の何気ない質問に海斗は黙り込む。返答が無いことを不審に思ったのか、水城はパンナコッタが入ったヴェリーヌを手に持ったまま、こちらを凝視してくる。
「なにか、不安な点があるんですか?」
海斗は言葉が詰まった。
「いや、なにが不安なのか、よく分からなくて。」
「あら。」
海斗が口を開くと彼女は安心したようにパンナコッタにスプーンを入れた。
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